ハドラー子育て日記 コーセルテル編   作:ウジョー

20 / 71
補佐竜のはじまり

ジゼルの祝いの宴が終わり 一夜明けた

いまだ眠り続けつつもオレの服の腹部を離さないジゼルだが 朝食の支度がある為

そのまま上からエプロンを装備した

足元が見えにくいが この勝手をおぼえた台所なら目をつぶっても支障はなかろう

 

              ゴン

 

と思ったそばから 手を洗う際に おそらくジゼルの頭部をぶつけてしまった

 

『なにやってるんですか!!』

 

いや スマン・・・ まだハイテンション状態の聖母竜の怒鳴り声が頭に響く

エプロン越しにぶつけた場所をなでた限り異常はなさそうだ

 

『はやくホイミ(回復呪文)を』

 

「過保護が過ぎるぞ聖母竜この程度にホイミを使わんぞ」

 

〔どうしました? ハドラーさん〕

 

すでに朝食の準備をしていたマシェルがやってきた

 

「大したことではない ジゼルの頭をここにぶつけてしまってな

聖母竜が回復魔法を使えとうるさいだけだ 

別に異常はない上 ジゼルも声をあげんし必要ないだろう」

 

ホイミは身体にじかにふれなければ効果はない 余計な手間が増えるだけだ

 

〔ならハドラーさん いたいの いたいのとんでけーっ

はい これで痛みがひくはずです なおるわけではないですけど〕

 

「ほう 今のも竜術か わずかに力を感じたが」

 

〔はい 簡単な術ですし 力をつかわなくてもとんでいった気がしますから

今度からハドラーさんが 使ってあげてくださいね〕

 

「オレがか?!」

 

素直にホイミをしておけばよかったか・・・

 

『私がつかっても効くでしょうか』

 

次の機会にでもやってみろ・・・ やれやれようやく準備をはじめられそうだな・・・

 

 

           \\いただきまーす//

 

(あれ? ハドラーさん おなかどうしたの? ジゼルはー?)

 

「ああそういえば そのままだったな」

 

エプロンを外すと ジゼルはすでに目を覚ましていた 

意外とエプロンの中が気に入っていたのだろうか

 

≪ジゼルおはよー 朝ごはんたべよ≫

 

マータがジゼルの口元にトマトをもってきた

 

「お前 自分が嫌いなものを押し付けてるだけではあるまいな」

 

≪・・・そんなことないよ≫

 

〔マータはお姉ちゃんだから おいしく食べてるところを見せればジゼルはきっと食べてくれるよ〕

 

≪も もちろん ほらジゼル トマトおいしよー≫

 

       パクッ         ニコッ

 

苦手なはずのトマトをほうばり ジゼルに笑顔を向けるマータ なかなか根性を見せるではないか・・・

それを見たジゼルも 目の前の小皿のサラダに手をのばし トマトを食べてみた

 

「よい食べっぷりではないか このサラダはオレが調理したものだ

そのようにうまそうに食えば オレも気分がいい」

 

《モリモリ・・・》

 

生野菜が苦手なはずのアータも 大皿から積極的にサラダをとって食べている

それにつられるように ジゼルも時間をかけながらも小皿にのっていたサラダを完食した

昨日の宴よりも食がすすんでいるのはよい傾向だろう

 

『そうですね やはりマシェルの子竜たちがいるのは いい影響があるようですね』

 

などと考えていると

 

             トントン

 

家の出入り口側のドアからノック音が聞こえた この気配・・・ 竜だな

 

〔はい どうぞ〕

 

<おはようございます

マシェルさんからの手紙でハドラーさんの子竜ちゃん・・・ジゼルが孵ったのがわかったから

お祝いもって来ました>

 

<あま~い果物の砂糖漬け♡ 

みんなの分もあるから 大きな瓶で持ってきたよ ロイおつかれさま>

 

来客は木竜家の補佐竜ノイとロイだった

しかし 一晩でもう他の家に知れわたっていたのか これは他にも来客がくるか

 

<カディオの言ったとおり ちょうど朝食が終わる頃合だったみたいだね>

 

<うちは いつもより早めに朝食をすませたとはいえ

こんなにいいタイミングに合わせるのは流石よね>

 

〔ふたりともお疲れ様 朝食すませてるなら ゆっくりできるんでしょ

どうぞ 中にはいって〕

 

マシェルが二人を家に促しているところで さらに近づいてくる気配があった これはまた・・・

 

〔おっはよーーーっ ジゼル孵ったってーーー! あ! ノイとロイもお祝い?!〕

 

           \おいわいー/

 

アグリナがヤチとパンを抱えてやってきた 朝食が終わった後に主食パンを持って来るあたり

木竜家とは逆だな まあ昼食に食えばいいことだが

 

〔アグリナとヤチもいらっしゃい 二人は朝ごはん食べた?〕

 

〔ええと まだ・・・〕

 

            \まだー/

 

〔じゃあ 入って食べていって まだ朝食かたづけてないし〕

 

〔やった マシェルのごはん!〕

 

          \わーい いいにおいー/

 

ほう それが狙いなら こやつの読みも捨てたものでもないな

 

<あっ あっちから歩いてきてるの ロービィとエリーゼじゃないの?>

 

〔あー ホントだ ロービィが持ってるのは本かな〕

 

<あの二人ほんと仲いいねー ここに来るまで手をつないでたかもね~>

 

やれやれ この調子では 今日は一段とにぎやかになりそうだな

ならば・・・

 

「ジゼルよ 今日お前に会いにきた者たちに 自分で挨拶しろ」

 

『ジゼルは卵から孵ったばかりですよ まだしゃべれません』

 

「自分の足で立って 一礼する それで合格だ」

 

『それだってまだ・・・』

 

「歩けとまではいわん だがこやつは このでかい足に太い尻尾の3本で支えるのだ 問題なかろう

ジゼルよ やってみせろ」

 

ロイたちが家に入ってきたのを見計らって ジゼルをオレのひざの上から床に降ろし 離れた

 

                   バサッ

 

ジゼルの背に例の翼が生えた

 

        \\ええっ ジゼルに暗竜みたいな羽が生えた?!//

 

   ぐら・・・              びたん!

 

みなの驚きの声にジゼルも驚いたのか それとも離れたオレに気をとられたのか

あっさりとバランスを崩し顔面から転んだ

 

『ジゼル!?』

 

落ち着け聖母竜

 

「ジゼルよ オレは手を貸さん そして誰にも手はださせん

自らの力で立ってみせろ」

 

ジゼルは短い手足をバタバタさせているが状況が好転する様子はない

まわりの者どもも 不安そうな顔を向けているが とりあえず手を貸す様子はない が・・・

 

・・・ジゼルの動きが段々にぶくなってきたようだ

 

〔ハドラーさん・・・!?〕

 

「ジゼルよ これからお前が オレの補佐竜として生きていくのであれば

まずはオレの横に立つことだ

それから はじまるのだ」

 

               \!!/

 

ジゼルがオレの言葉に明らかに反応を示した

そして力を振り絞るようにテーブルの足につかまり 一気に立ち上がった

そしてテーブルからも手を離し アグリナたちに向きなおった

そこではじめてジゼルの顔をしっかり見れたのか

 

〔うわ ジゼルかわいい~♡〕

 

<ほんとうだ この頃から美人さんっているんだねー>

 

<ローイ なにリリックみたいなこと言ってんの!>

 

《すごい もう立てるなんて・・・ 》

 

【すごい・・・の?】

 

《そんな例 本でも読んだことないよ》

 

【それよりその羽だ 聞いてないぞ ハドラー】

 

「言ってなかったか? ああそういえば以前見たときいたのはフェルリだけだったか」

 

〔やっぱり変種なのかな?〕

 

だが これで終わりではないのだ

 

「ジゼル一礼だ」

 

『みんなに向かって頭を下げるんですよ』

 

            ぺこ

 

ジゼルが頭を下げた

 

              ベタン!!

 

二頭身とはいえ 頭がでかすぎたのか・・・ また顔面からこけた

 

「・・・まあ いいだろう」

 

ジゼルに声をかけてやると

 

〔ハドラーさん さっきの術かけてあげてください〕

 

マシェルからとんでもない言葉がでた

 

「うぐぐっ・・・!!」

 

〔ほらジゼルがんばったんだし〕

 

・・・聖母竜出番だぞ!!

 

『わたしは 役に立ちませんよ』

 

・・・ちっ こんなときだけ役立たずアピールか

 

         \\ハドラーさん ごほうび ごほうび   わくわく//

 

この程度で褒美など・・・  まあよい折角の新しい術だ試してみるか

ジゼルに手をかざし・・・

 

「い、 いたいの いたいのとんでいけー・・・」

 

               \♡!!/

 

術がよほど効いたのかジゼルがオレの足にとびついてきた

 

(すごい もうジャンプまでできるんだ 風竜のおれでも時間かかったのに!)

 

まあジゼルの成長を促したようなら 今回だけはよしとするか・・・

 

 

            ジゼルはレベルがあがった

 

            ちからが2あがった

 

            すばやさが3あがった

 

            みのまもりが1あがった

 

            たいりょくが2あがった

 

            かしこさが3あがった

 

            うんのよさが3あがった

 

            さいだいHPが 3ふえた!

 

            さいだいMPが 2ふえた!

 

            1Pの スキルポイントを かくとく!

 

            ジゼルのメイドが スキルアップした!

 

            エプロン系のそうびで守備力+5   

 




コーセルテルの原作連載がめでたく再開されましたが 予想に反して時間軸がちょっと前 拙作の時間軸でいうと「ハドラーの・・・???の巻」の直前あたりの内容だったので
今後の投稿作がそのあたりに割り込むものもでてくるかもしれません 非常にわかりにくくなりますが やっぱり原作が面白いだけにそのほうが話をつくりやすいかもしれないので。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。