ハドラー子育て日記 コーセルテル編   作:ウジョー

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マシェル家の台所

オレはマシェルの家で住み込み修業をすることになった

そして今オレは 家で料理を手伝っている

折角の機会なのでオレの力を見せてやろうと思ったが今回はオレの歓迎会とのことで手伝い程度となった

まあいい この家での台所の勝手を知りマシェルの技術を盗むとしよう

しかし7種7竜の人の姿をした子竜を世話していると聞いていたが・・・

 

【・・・】

 

無言でマシェルの手伝いをしている暗竜・ナータ 黒い服に黒い羽根、竜というよりどこか魔族に似ている

台所のどこに何があるのかを完全に把握しマシェルの行動の先をよんで動く気のまわるやつだが・・・

何よりオレへの警戒を隠そうともしない しかもマシェルのもとにいる7竜の中でも随一ともいえる力を感じる。

マシェルともっとも付き合いが長い一番竜と聞いている 子竜の中でも年長でありこれは当然といえる

 

[マシェル このお鍋を弱火であたためるの?]

 

〔そうだよ 沸騰させた後は弱めでじっくりとね 疲れたらすぐに言うんだよ〕

 

汁物が入った鍋の側面を支えるように持つ火竜・ハータ 赤い服を着て火の力を扱うのが得意ときく

どうやらマシェルではなく自分の火竜術のみで鍋をあたためるつもりのようだ

なかなか手慣れているようだ

鍋の煮込み具合から見るに最適な温度の維持にムラが小さい

火や熱の力はただ強くするよりもコントロールをする方が難しい 

どうやら竜術士のもとでの修業が最高の英才教育というのは伊達ではないようだ

 

≪ハドラーさん お水はこれを使ってね 水竜術でちょっとおいしくなってるから≫

 

ポットいっぱいに入った水を持ってきた水竜・マータ 青い服に青い髪とやはり水をイメージさせるものだ

オレのエプロンに一番反応していたが こいつが着ているエプロンも手縫いのいい仕事のものだ

水仕事を中心に台所でよく働いていたようだがいつの間にポットの水まで用意していたのか

 

「・・・ほう いうだけはあるな」

 

味見をしてみたが水竜術とはなかなかのものだな 

オレの知る呪文には水に関するものはあまり多くない上 これは例がない

この術はオレも学びたいぐらいだ

 

〔こらサータ! つまみぐいはダメでしょ!〕

 

笑いながら叱られている風竜・サータ あの調子では叱られ慣れている上反省もしてないだろう

子竜とはいえなかなかのスピードだったな、しかしおそらく台所の状況をろくにたしかめずに

テーブルの上に手をのばしていた そこを止められて結局つまみぐいは成功していない

まあ あれではすぐにバレるだろう だが・・・

 

「サータが叱られているうちなら 成功すると思ったか タータ?」

 

オレがマシェルに聞こえない程度の声をだすとテーブルの死角でビクッとした気配がした

そして顔をだした木竜・タータ すでにその手にはさきほどオレがつくったばかりの団子がある

 

「マシェルの意識は完全にサータに向いている上にその気配の消しかたならまず気付かれんだろう

そして数が十分にあるその団子ならひとつ減ったところで多分わからんだろうな」

 

タータは頭が回るようだな 気配を消したのは竜術かもしれんがこの知恵は経験によるところだろう

 

「その団子はくれてやる 味の感想を言ってみろ」

 

オレが促すとタータは素直に団子を食べて言った

 

<あ、ちゃんとおいしい これならみんなよろこぶよ>

 

笑顔で答えるタータの言葉に正直安堵した

アバンの元で使っていた材料とは微妙に違う気がしていたが 調理の微調整はうまくいったようだな

 

<そうだ このお茶 木竜家からもらったの 変わった味がするから面白いよ

あと一人分しかないから ハドラーさんにあげるね じゃあ戻るね>

 

ほう 茶葉か この地で特別製のものに早くもめぐりあうとはな

アバンのやつも茶については色々とこだわっていた 

正直オレにはあまり興味がなかったがやつも知らない茶葉ともなればその味が気になるところだ

茶葉を渡すときのあの含みのある笑顔 かつてよく見たものに似て気になるが邪悪さはない

それも含め 飲むのが楽しみだ

タータが出て行ったのと入れ違いに入ってきたのが

 

《もう 向こうは片付いたから料理持ってくよ》

 

地竜・アータと

 

{わあ おいしそう こっちはぼくが運ぶよ}

 

光竜・カータだった

アータはさっきタータが出て行ったほうを見て苦笑している おそらくつまみぐいに気付いているのだろう

カータは料理の乗った大皿をゆっくりと アータは複数の皿が乗った大き目の盆を苦もなく運んでいた

 

「ほう アータよ その盆はオレが運ぶつもりだったが 問題なさそうだな」

 

《地竜は重さを感じないからこのくらいはもてるんです》

 

竜の特性ということか そういえば火竜ハータも熱いはずの鍋などを問題なく触れていた

この家の照明にはカータの竜術を使っていたようだったしその笑顔には自然と『光』を発していた

おそらく属性ごとにこういったものが色々あるのだろう

オレの知る魔物などにもそういったものが多くあった 勿論オレ自身にも・・・

どうやら退屈しない修業になりそうだ

 

「まずは マシェルの料理の味を見るとしよう」

 

マシェルのあの動き かなりの量を素早くつくりながらも油断のない仕事だった

それでいて子竜ごとの好みに合わせそれぞれ工夫もしているというではないか

盗める技術はやはり多そうだ 

 

              \\いただきます//

 

食卓に響く声に混ざりながらそんなことを考えていた・・・

 

・・・肝心のマシェルの料理の味は大したものだった 食卓で子竜たちの笑顔が絶えることはないほどに

 

・・・もっともオレの料理も捨てたものではないようだったがな

 

 

           ハドラーはレベルがあがった

 

           ちからが2あがった

 

           すばやさが3あがった

 

           たいりょくが1あがった

 

           かしこさが3あがった

 

           うんのよさが3あがった

 

           さいだいHPが2あがった

 

           さいだいMPが3あがった

 

 




少々間が空きましたが つづきを投稿できました
「コーセルテルの竜術士」は登場人物が結構多くて色々大変ですが、
これからもボチボチと・・・

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