ハドラー子育て日記 コーセルテル編   作:ウジョー

18 / 71
地獄の狭間からの誕生

火竜家への届け物を終え 急ぎの仕事もなくルーラを使わず歩いて帰っていた

抱えている卵は相変わらず孵る様子もない

こんな状態でも卵の中の子竜には抱えている竜術士の感情などが伝わることもあるらしいが・・・

 

「今のオレの考えていることも伝わっているのだろうか・・・」

 

今のオレの思い・・・ それは・・・

 

 

 

この卵を割ってみたい・・・

 

『なに物騒なこと考えているんですか!?』

聖母竜には伝わっているな まあいつものことだが・・・

 

『大体竜の卵は 星を貫通しても 太陽に放り込んでも無事なほどの強度なんですから

外からではどうやっても割れないはずでしょう

そもそも割れないから竜の卵と気づけたのですから・・・』

 

「だからだ聖母竜 あのとき割れなかったことがオレの心の中でひっかかっていてな

マシェルから聞く限り 卵が孵ったあと殻は 消滅してしまうようでな

チャンスは この状態しかない

オリハルコン以上の強度の物質・・・ 

オレの今の全力をぶつける甲斐がある」

 

卵を抱く手にも自然と力が入る

 

            ///

 

ほう ジゼルにも伝わったか オレの全力受けてみるか

 

『だから 駄目ですって! 

そんなことしても折角の産着が駄目になるだけですよ』

 

「それもそうだな」

 

さらしを外し 卵を巻くように着せていた産着を脱がせ 地面に置き距離をとった

 

『待ってください!

そんなことをしたら卵が割れなくてもどこかに飛んでいってしまうでしょう!』

 

「なるほど ならば・・・ 地獄の鎖(ヘルズ・チェーン)!!」

 

オレの左手から伸ばしたヘルズ・チェーンで卵を絡みとり固定し

闘気を高めた

 

「生まれ変わってからは はじめてだな・・・ 

超魔爆炎覇!!」

 

『何とんでもないことをやろうとしてるんですか!!

それにその技はあの剣がないとできないのでは?!』

 

「必死だなおまえも・・・

覇者の剣はなくとも この地獄の爪(ヘルズ・クロー)に貫けぬものなどないわ」

 

『貫いては駄目なんです!!

大体手も足もでない卵にどれだけムキになってるんですか!

大人げないにもほどがありますよ!!!』

 

「オレがかつて捨て去ったはずの虚栄心や功名心がまだくすぶっているようだな

今こそ完全燃焼させてやろう・・・ この一撃に悔いはのこさん!」

 

『いえ これはそんな言葉で割り切れない 捨てることなどできない あなた自身の・・・

死んでも変わらない個性なのでしょう・・・』

 

高まる闘気のせいか聖母竜の声が遠ざかっていくようだ

ヘルズ・チェーンもクローもオレの体の一部 この身一つ ぶつけてくれるわ

オレの目にはもうジゼルしか映らなくなった

 

「いざ・・・

超魔爆炎覇!!!」

 

一心にふみこんだまさにそのとき

 

             パリ・・・

 

ヘルズ・チェーンから伝わった手応え まさか今!?

 

『まってくださいハドラー!!! 卵が孵ります!!!!』

 

わかっている!!!

急遽闘気を押さえ 技は中断したものの すでに踏み出した今

ジゼルに向かう勢いまでは おさえきれない!?

 

               ポゥ   バシュッ!

 

ふわ                           ぎゅっ

 

卵が発光し たしかな熱気を感じた直後 卵の殻は消え去り

かわりにオレの胸元に 卵よりひとまわり大きな幼竜がしがみついていた

どうやらこやつが・・・

 

「ジゼル・・・か  ご苦労だったな」

 

                \ ♡ /

 

オレの胸に顔をうずめているため その表情は読めんが・・・

既に命名したときに竜人化術を込めていたせいか

竜というよりも魔族や人間の幼体に近い姿をしていた。

ダイやヒュンケルの赤子時代と明らかに違うところは 2頭身の体に大きな足と尾

なかなかさわり心地のよい髪から突き出た2本の角に耳 そして

額や手の甲など体のところどころに見える鱗のような模様といったところか・・・

この模様は他の幼竜では見られなかったが オレの竜人化術が甘かったのか?

『どうでしょうね? それよりもすぐにジゼルに服を着せてください

火竜は寒さに弱いそうですから』

 

そういえば 産着を着せてなかったな 先ほど畳んでおいた服を手にとりジゼルに服を・・・

 

「おい ジゼル手を離せ オレの胸倉をつかんだままでは服が着せられん」

 

                 \ ~♡ /

 

生意気にも孵りたてながら竜の力か オレにしがみつく握力は意外にもしっかりしたものだ

引き剥がそうにも力加減を誤るわけにはいかぬ・・・

ただ腕を通せば着れる服が なぜこんなに厄介なのだ!?

 

『とりあえずマシェルのところに帰りましょうか 

早く服を着せないとジゼルが風邪をひいてしまうかもしれません』

 

ぬう たしかにこんなことは経験がない ここでまごまごしていてもつまらん

そもそもこういう打開策を覚えるためにこの地にいるのだ まずは帰るか

 

「ルーラ!!」

 

ビュワン!

                  

                             ドーーン!!

 

〔あ、 おかえりなさいハドラーさん って その子竜は?!〕

 

「ああ 先ほど孵ったジゼルだ すまんが知恵を借りたい

こやつオレにしがみついたまま 手を離そうとせん このままでは服が着せられん」

 

マシェルに服を預け助力を頼む 

オレもいささか経験を積みレベルアップしたつもりだったがまだまだのようだな

 

〔ああ よくわかります 僕の子竜たちもこんな感じで甘えてきて大変でした〕

 

『大変という割には笑顔ですね』

 

七竜育てた余裕か それともそれほど・・・

まあよい コツが盗むのが先決だ

 

〔甘えんぼしているときは無理にひきはがそうとしないで 

まずはジゼルの気をそらしてください〕

 

(おやつがあるよ ジゼル~)

 

                  ・・・・・・

 

【たしかにサータには有効だったが ダメか・・・】

 

サータの声にジゼルは反応を示さず ナータのつぶやきだけが残った

 

[だっこいいなー]

 

{ねー  じー・・・}

 

〔みっ・・・ みんなはもうジゼルの お兄ちゃん お姉ちゃんだから 甘えんぼはしないよね?〕

 

{お兄ちゃんっ}

 

≪お姉ちゃんっ≫

 

『子竜たちも 兄や姉の自覚があるのですね』

 

たしかにハータたちに今の言葉は有効だったが 今はジゼルだ

 

<そうだ! ジゼル~ このおやつハドラーさんの手作りよ>

 

              ピクッ

 

ジゼルの耳が動いた! だがまだ手が緩むほどではない

 

《ハドラーさんの名前に反応したのかな?》

 

アータの言葉に一理あるかもしれん ならば・・・

 

「このオレの爪を今度こそくらってみるか?」

 

オレはかつてダイにくらわせたこの爪を ジゼルの顔の近くにちらつかせた

 

                 パクッ

 

≪あっ ジゼルが顔見せてくれた かわい~≫

 

ジゼルがオレの指に噛みついたことで ようやく顔が見えたな

 

『あなたに似ず かわいいですね~』

 

まあ たしかにオレには似とらんが・・・

今はそれどころではない くわえられたままの指を少しずつオレの体から離すように動かすと・・・

 

                \ ~♡ /

 

ジゼルもオレの手を追うように顔を動かし そしてついにオレの体から手を離した!

 

「今だマシェル!!」

〔はい!!!〕

 

                  バッ

 

 

オレの声にジゼルが一瞬動きを止め マシェルはその一瞬でジゼルに例の産着を着せた

なんというスピードだ!?

術を使った様子はなかったが このオレの目にもとまらぬほどだった

 

               \ ~♡ ~♡ /

 

ジゼルは産着を着て何もなかったかのようにオレの指を捕まえしゃぶりついている

 

〔いい作戦でしたね ハドラーさん 

でも外から帰ってすぐに手を洗っていればもっとよかったですね〕

 

いわれてみればたしかに 手を洗っていなかったな

 

「オレとしたことが つめが甘かったということか」

 

                \~♡♡!/

 

         \\わ~ ジゼル笑うともっとかわいい~♡//

 

ジゼルと それを取り囲む子竜たちの笑顔につられるようにマシェルも笑う

 

『あなたも笑ってますよ ハドラー フフッ』

 

「クッ・・・ ククッ クックックックッ・・・ ファッハッハッハーーッ!!」

 

 

 

 

            ハドラーはレベルがあがった

 

            ちからが3あがった

 

            すばやさが3あがった

 

            たいりょくが1あがった

 

            かしこさが3あがった

 

            うんのよさが1あがった

 

            さいだいHPが5あがった

 

            さいだいMPが2あがった

 

 

 

            ジゼルはレベルがあがった

 

            ちからが3あがった

 

            すばやさが2あがった

            みのまもりが1あがった

 

            たいりょくが2あがった

 

            かしこさが2あがった

 

            うんのよさが3あがった

 

            さいだいHPが 5ふえた!

 

            さいだいMPが 2ふえた!

 

            1Pの スキルポイントを かくとく!

 




マシェルには ドラクエの防具屋がみにつけてるお客さんに一瞬で装備させるスキルが
きっとあると思います 一人で7種7竜 着替えひとつとっても大変そう・・・
ハドラー様がこの方面の経験値を積むのは これからということで。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。