ハドラー子育て日記 コーセルテル編   作:ウジョー

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ハドラーの・・・???の巻 パート8

               ハドラーはめをさました

 

「・・・しまった オレとしたことが まさか寝てしまうとは」

 

『ジゼルのおかげでしょうか』

 

あのドラゴラムで魔法力が尽きていたとはいえ

こんな卵ひとつにオレが不覚をとったというのか

ナータは卵の時から術が使えたらしいが・・・

ジゼルはすでにラリホー(催眠呪文)を使えるということか・・・?!

 

「流石オレの子!」

 

『いえ そういう意味ではなく 大体あなたくらいのレベルでは効きにくいでしょう』

 

なんだ違うのか まあよい

それよりオレが寝ている間 何かあったか そもそもどれほど寝ていたのだ?

 

『さあ・・・ あなたが寝ている間は私も寝ていたようなので』

 

・・・やはり役にたたんなこやつ 今回はオレに非があるが

しかし、オレと卵を包むようにかけられた毛布があるということは・・・

寝ている間にだれかに近づかれた上にまったく気付かなかったということか

まあオリハルコンより頑強そうな殻に守られているこやつは問題ないだろうが

 

゜おはようございます ハドラーさん゜

 

産着を頼んだグイ族の村長があいさつをしてきた

あいさつを返し外を見ると夜明けだった 一泊してしまったようだな

 

゜マシェルさんには連絡してありますよ

どうぞ アグリナさんからいただいたパンです゜

 

「いただこう」

 

パンと茶をうけとり 食した

なかなかいい出来だな パン作りで竜術の練習をしていると聞いていたが

アグリナの子竜ヤチは卵から孵って間もない幼竜だったはずだ

それでもこれほど出来るとは 竜とは大したものだな

 

『竜術士によるところも大きいでしょうね』

 

「馳走になった 今度はオレから差し入れしよう」

 

゜まあ楽しみです

卵ちゃんの産着はもうできています

マシェルさんの家まで空から送りましょうか?゜

 

「休んで魔法力は回復した 自分で飛んで帰れる

それよりもここの仕事は非常に参考になった

また仕事を頼むときは邪魔をすることになろう

何か望みがあれば言うがいい」

 

゜・・・そうですね いつもは地竜家に頼むのですが

今度 力仕事をお願いしてもいいですか?゜

 

「任せろ」

 

『あなたの得意分野ですね』

 

゜では これを卵ちゃんに゜

 

村長から受け取った産着を・・・ どう卵に着せればいいんだ?

 

『・・・さあ・・・・・・』

 

「そもそも卵はどこが頭にあたるかもわからん」

 

ああでもない こうでもないと卵に服を着せようとこねくりまわしていると村長が見かねたのか

 

゜このとがったほうを 上にして こう包むように・・・゜

 

との助言をもとに どうにか服を着せることができた

まるで海苔巻きおにぎりのようになったな

 

『たしかにそのようにも見えますね これで いつこの卵が孵っても大丈夫ですね』

 

「世話になった また面倒をかけるだろうが これからもよろしく頼む」

 

゜はい またいつでもいらしてくださいね゜

 

グイ族の工房を後にし 山を下り火竜家におもむいた

 

〔あ おはようございます ハドラーさん〕

 

              \おはよー/

 

アグリナらに挨拶を交わし 諸々の礼を述べた後 目的を伝えた

 

「この卵に命名の術を施したい 基本竜術の本を貸してくれ」

 

〔わかったわ でもそういうことならマシェルの家でやりましょう

あっちにも基本竜術の本あるし

それで 術のあとで皆でお祝いしましょう!〕

 

「祝いだと?」

 

〔そうですよ 卵ちゃんの名前のお披露目と新しい竜術士の誕生に〕

 

「別にオレはこのコーセルテルの正式な竜術士になるわけではないのだがな」

 

『前にも同じようなことを言われましたね 

こういったお祝いごとによく気付いてくれますね』

 

「ではお前も 連れて行ってやろう すぐに出発できるか?」

 

〔大丈夫です ヤチもいいよね?〕

 

                \うん/

 

「では行くぞ  ルーラ(瞬間移動呪文)!!!」

 

 

 ドンッ

              ギューーーンッ

 

                              ドォォォン!!

 

マシェルの家についた 卵も無事だ

 

〔・・・びっくりしたあ!!! だっていきなり飛んじゃうだもん!!

しかも一瞬でマシェルの家についちゃってるし!?〕

 

                     \わーい/

 

抱いていたヤチを抱きしめなおし驚きを隠そうとしないアグリナはさておき

 

〔おはようございます ハドラーさん 卵ちゃんの服できたんですね

とってもお似合いですよ〕

 

「ああ おはよう 帰って早速で悪いが基本竜術の本を貸してもらえんか

一度本に目を通しているが 命名の術を使う前に確認しておきたくてな」

 

≪用意してますよハドラーさん どうぞ! このページです≫

 

〔すごい! さすがアータね〕

 

「ああ 助かる」

 

『頼もしいですね この卵ちゃんもこんなお利口に育ってくれるでしょうか』

 

さあな オレは早速本に目を通し 術を確認した

そして・・・

 

「オレは竜の保護者ハドラー

お前を守り育てる者として

お前に名付ける―――

お前の名は

ジゼル」

 

           ポゥ・・・

 

                   \\わーーーーーーーー!!//

 

術の完成とともに子竜たちの歓声に包まれた

 

〔無事に術は成功しましたね これでいつ孵っても大丈夫です〕

 

マシェルの祝福をうけ この海苔巻きおにぎりも喜んでいるようだ

 

『卵ちゃん ジゼルでしょう

折角名付けたのだからこれからはしっかり呼んであげてくださいね』

 

〔ハドラーさん 

火竜の卵は成長が速いからすぐに孵っちゃうかもしれないから気をつけてね〕

 

〔そういえばハータもうちに来てすぐに孵ったね 

でも卵によって孵る時期はずいぶん違うから気を張りすぎないようにもしてください

ジゼルちゃんも最初に見るのが疲れた顔のハドラーさんよりも

元気で喜んでいる顔の方がいいと思います〕

 

〔ヤチも ジゼルが孵ったらお兄ちゃんになるのね がんばらないとね!〕

 

                  \うん!/

 

笑顔に囲まれどうにも居心地がよくない気もするがあくまで主役はこの卵 ジゼルだ

 

『そういえば そうですね それにあなたも笑顔ですよ』

 

なにっ!?

 

とっさに卵を持っていない手で顔をおさえた

 

『ふふっ 間違いないようですね』

 

・・・しまった やられたか

 

 

 

 

              ハドラーは命名の術をおぼえた

 




これでようやく ハドラーの・・・???の巻もおしまいです
まさかこんなに長くなるとは っていつも言ってる気がしますが
何かハドラー様がどんどん可愛くなっていく気がします
                           ・・・どうしてこうなった?

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