東方人形誌   作:サイドカー

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何はともあれ、此度もごゆるりとご覧いただけると、幸いでございます。では、どうぞ。


第十四話 「路地裏の宇宙青年」

 途中で寄り道したりして、なんやかんやあったものの、吸血鬼の館こと紅魔館までどうにか辿り着いた。とりあえず前回と同じく、正門まで向かうとするか。

 足を進めていくと、門番の中国娘こと紅美鈴の姿を捉えた。ここからはまだ距離があるせいで、美鈴が何をしているかまでは分からないが、こちらに背を向ける形で、しゃがみ込んでいる。まだ一回しか会ってないはずなのだが、彼女が寝ていないのを見て、珍しいと思ってしまった。すまん、美鈴。

 近付いていくにつれて、先日訪問したときとは劇的に違っているところがあることに気付き始めた。それを見た瞬間、「うわー……」と思わず悲観の声が漏れてしまった。

「何があったんだろうな、アレ」

「大方の予想はつくけどね」

 かつて似たようなことがあったのか、アリスは誰の仕業なのか見当がついているようだ。額に手を当てて、やれやれと溜息を吐いた。

 さて、何が起こっているか説明しよう。現在、俺とアリスは紅魔館の正門前まで来ている。そこから少しだけ離れた場所では、屋敷を取り囲む外壁の一部が、盛大に崩壊していた。あたかも爆破テロ事件でも起きたかのように、ぽっかりと穴が開いており、地面には塀の残骸が散らばっている。事件現場では、門番娘が一人で黙々と瓦礫の撤去作業をしていた。大小さまざまな塊を、拾っては隅っこへ寄せてを繰り返している。こちらからは後ろ姿しか見えないが、それがかえって彼女の背中から漂ってくる哀愁感を増幅させている。それっぽいBGMでも流してやりたいところだ。

 黙って勝手に屋敷の中にも入るわけにもいかないし、何より彼女を無視するのもあんまりだろう。ということで、俺達は美鈴のところまで近寄り、声をかけた。

 

「よっ。知らん間に随分とメチャクチャなことになってるな」

「あ、ユウさん。それにアリスさんも。こんにちは」

「……ユウさん? まぁ、いいか。それより一体何があったんだ? ヤクザかマフィアの襲撃でも受けたみたいになってんじゃん」

「どうせまた魔理沙の仕業でしょ? 美鈴」

「ぅ、アリスさんの言う通りです……。『ちょっと邪魔するぜ~』って言うなり、塀を破壊して中へ。本人はもう帰っちゃうし、それで私が後片付けを……」

 事情を話していくにつれ、美鈴の周りにはどんよりとした重い空気が纏わりついていくのが見えた。見事すぎるくらいの苦労人の姿がそこにあった。

「あー……ドンマイとしか言えんな。俺も手伝おうか?」

「あ、いえいえ大丈夫ですよ。気持ちだけで十分です。ありがとうございます、ユウさん。ところで、二人は今日はどんな用件で?」

 俺の申し出に、滅相もないと言わんばかりに、美鈴はブンブンと大げさに両手を振る。居眠りはしても、ちゃんと仕事はするんだな。美鈴に用件を尋ねられたので、俺は右手に握っている傘を、彼女に見せた。

「借りてたものを返しに来たんよ」

「私も同じ理由よ」

「そうですか。それでしたら中へどうぞ。咲夜さんがいますので」

「了解、またな」

「お仕事頑張ってね、美鈴」

「うぅ、ありがとうございます!」

 アリスから労いの言葉を受け取り、感動に震えている門番。美鈴から入館許可をもらったところで、俺達は敷地内に入ることにした。もちろん正門から。

 

「ごめんくださいましまし~!」

「何やってるのよ、もう……」

 玄関に物々しく佇む、大きな扉の前で、俺は大声で呼びかける。アリスが呆れの視線をこちらに送ってくるが、気にしない。間もなくして、ギギィ……と軋むような音を立てながら扉が開いた。「お邪魔しまーす」と一声かけてから、中に入る。

 

「紅魔館へようこそ。優斗様、アリス」

 

 屋敷に足を踏み入れると、ショートの銀髪が美しいメイドさんが出迎えてくれた。言うまでもなく、メイド長の十六夜咲夜さんだ。相変わらずの瀟洒っぷりで、洗練された流れるような動きでお辞儀をする。

 咲夜さんを見るや否や、早速アプローチを始めるべく、俺は高速で彼女の傍まで移動した。もはや本能の動きである。無意識だから仕方ないよね、うん。鼻の下が伸びているのが、自分でも分かってしまう。

「今日もお美しいですね、咲夜さん」

「うふふ。お世辞がお上手なのですね。優斗様」

「いやいや、お世辞だなんてとんでもない! 事実ですとも!」

「まぁ。ありがとうございます。優斗様も素敵ですよ」

「え、そうですかぁ? いやぁ、それほどでも~。でへへへ――アダダダダッ!? ちょ、アリスさん何故に耳を引っ張るとですか!?」

「………何でもないわよ」

 ふくれっ面のアリスが、俺にキツイ視線を向ける。何でもないと言うわりには、えらく不機嫌じゃないか? とりあえず、出来ればもう少しだけ力を弱めてもらえないだろうか。 地味に痛いんだけど。

 ようやくアリスが手を放してくれたところで、話題逸らしも兼ねて、俺は手にしている例のブツを、咲夜さんに差し出した。というか、そもそも当初の目的がこれだし。

「あー、先日はどうも。おかげさまで助かりました」

「こちらこそ、お役に立てましたのなら光栄ですわ」

 俺から傘を受け取った咲夜さん。次の瞬間、まるで手品のように彼女の手から傘が消えた。この間も、気配無く現れたりするからビビったが、あのあと彼女の能力について聞いて、納得した。咲夜さんの能力は「時間を操る程度の能力」だという。早い話が時を止めることが出来るのだ。まさにザ・ワールドである。おそらく今も時間を止めて、傘を片付けに行ってたのだろう。見えないところで仕事をするとは、メイドの鑑ですな。

 

 一つ目の用件を済ませたところで、二つ目すなわち、アリスが大図書館からレンタルした本を返却するミッションを完遂すべく、咲夜さんの先導に従い、俺とアリスは地下の大図書館へ向かった。

「そういえば、どんな本を借りてたんだ?」

 階段を下りる途中、気になっていたことを、アリスに聞いてみる。彼女は「コレよ」と、やや古っぽいハードカバーに包まれた、分厚い本を俺に見せた。それって、さっきまで家でアリスが読んでいたやつだったような。

「魔導書ね。グリモワールって言った方が良いのかしら? 魔法使いが研究する上で、必須アイテムよ」

「んー、俺が読んでも理解出来なそうな本だな」

「優斗は魔法使いじゃないでしょ。そうそう、本といえば人里に貸本屋があって、聞いた話だと『外』の本も置いてあるらしいの。今度行ってみない?」

「へぇ、貸本屋か。確かになかなか面白そうだ。オッケー、そのうち行ってみるか。二人でな」

「うん!」

 今から待ちきれないと言わんばかりに、アリスは小さな花が綻ぶような、可憐な笑みを見せた。そんなに楽しみにしてもらえるとは、俺としても嬉しいことだ。まぁ、アリスと一緒なら何処に行っても楽しいんだけどな!

 

 大図書館に入ると、最初に会った時とみたいに、パチュリーが机に向かって本を読んでいた。さらにその傍では、暇そうにパラパラと適当にページを捲っている、レミリアの姿もあった。

「あら。誰かと思えば、あなたたちか」

 声をかけるよりも先に、レミリアが俺達に気付いた。眺めていた本を脇に退け、机の上に両肘を乗せて指を組む。碇ゲンドウっぽい姿勢でこちらを見据える。俺は挨拶代わりに「おいすー」と軽く手を上げた。そこでようやくパチュリーも俺達の来訪に気付いたようだ。が、チラッとこちらに視線を向けただけで、すぐさま読書に戻ってしまった。せめて何か言ってくれよ。

「いらっしゃい。……これでいいかしら?」

「心読まれた!?」

「顔に書いてあるわよ」

「ふふ、優斗ってすぐ顔に出るもんね」

 俺の驚愕のリアクションにも、パチュリーは眉ひとつ動かさず冷静に切り返す。そのやり取りが可笑しかったのか、アリスがくすくすと笑う。というか、俺ってそんなに顔に出るタイプだったのか。

「むむむ……これは直すべきか」

「別に直さなくても良いんじゃない? 私は今のままでいいと思うわ」

「んー、そうか?」

「ええ、そうよ」

 自信たっぷりにアリスが頷く。アリスがそう言うなら、まぁいいか。

「それで? 二人はイチャつきに来たのかしら?」

「なっ!? そ、そんなんじゃないわよ! ほら、この前借りたのを返しに来たの!」

 パチュリーの一言に対して、アリスはやや声を荒げつつ、魔導書をパチュリーに突きだすような形でずいっと押し付けた。彼女は「確かに受け取ったわ」と相変わらずの落ち着きっぷりで承認すると、傍らに控えていた小悪魔にそれを手渡した。小悪魔は本を抱えて、迷うことなく奥の棚の方へ飛ぶ。おそらく元あった場所に戻しに行ったのだろう。

 

 小悪魔が奥へ引っ込んだあたりで、アリスとパチュリーの会話を、愉快そうに眺めていたレミリアが「ところで」と口を開いた。

「先日フランが世話になったみたいね。私があげたぬいぐるみの服を作ってくれたって、自慢されてしまったわ」

「そう。喜んでくれたのなら、私も作った甲斐があったわ」

 レミリアの話を聞いて、アリスが嬉しそうに微笑む。聞いた感じだと、フランは屋敷を抜け出したことと、ぬいぐるみを壊してしまったことは伏せて、服のことだけ姉に話したといったところか。よっぽど、進化した相棒をレミリアに見せたかったんだろうな。相変わらずの天真爛漫っぷりだ。

「私のところにも来たわよ」

 アリスとレミリアが話していると、パチュリーも便乗してきた。レミリア以外にも見せて回っていたとは。うむ? ということは……

 とある可能性を思いついた俺は、彼女の方を振り返った。

「もしかして、咲夜さんにも?」

「ええ、とても嬉しそうに見せてくださいましたよ」

 俺の推測は当たったようだ。その時の様子を思い出したのか、咲夜さんは柔和な笑みで肯定する。あまりの美しさに、にへらっと締まりのないツラになりかけたが、「それで」とレミリアが続けたおかげで、ギリギリのところで踏ん張ることが出来た。あぶねぇ。

 陰で繰り広げられていた、俺の理性と本能の闘争に気付くことなく、レミリアは話を進める。

「そのお礼というわけではないのだけれど、このあと一緒にディナーでもどうかしら?」

 レミリアの誘いに、アリスが答えるよりも先に、身を乗り出して話に食いつく。

「マジで? ごちになります」

「もう、即答し過ぎよ。優斗ったら……でも、そうね。折角だからご馳走になろうかしら」

 俺の反応速度に苦笑しつつも、アリスも賛同する。俺達の返答を聞き、レミリアは満足そうに頷いた。

「決まりね。咲夜、準備を任せるわ」

「はい、かしこまりました。お嬢様」

 レミリアはパチンと指を鳴らし、従者を呼ぶと、晩餐の指示を出す。クールな仕草がなかなかサマになっていると称賛したい。なお、咲夜さんは最初から近くに居たため、ぶっちゃけその動作が必要なかったことは触れないことにする。誰だってカッコつけたいときはあるさ。

 

 

『いただきま~す!』

 というわけで大図書館から場所を移動して、洋画にでも出てきそうなご立派な食堂でディナーと洒落込むこととなった。最初はアホみたいにロングサイズなテーブル席に案内されたのだが、それぞれの椅子から距離があり過ぎて落ち着かなかったため、丸型のテーブルに変えてもらった。自分の庶民体質を情けなく思った瞬間でもあった。まぁ、そのテーブルも家庭用サイズに比べたら、相当デカいんだが。

 さて、純白のテーブルクロスの上には現在、数多のご馳走が所狭しと鎮座している。金持ちのパーティとかで出しそうな大皿のオードブルやら、クリスマスでしかお目にかかれないような丸ごとの七面鳥やら、どことなく高級感漂うワイングラスに注がれた赤い飲み物などなど。レミリアやフランのはともかく、俺やアリスのは血じゃないよな? こんなスタイリッシュな輸血方法はご遠慮願いたいものだね。

「うぉおお! こいつぁ美味いっ!」

「おいしーねっ!」

 テーブルマナーを無視せんばかりの勢いで、ガツガツと頬張るように、口の中へ次々と食べ物を押し込んでいるのは俺とフラン。なお、フランは夕飯が俺達と一緒と知るや否や、俺ではなくアリスに抱き着いたが、俺は気にしていない。……気にしてなんか、ないっ!

 ともあれ、料理があまりに美味なもんで、ついつい食べることに夢中になってしまう。さすが咲夜さん、料理の腕前も超メイド級ですわ。

「ちょっと、優斗。喉に詰まらせちゃうわよ」

「フランも。淑女らしく振舞いなさい」

『は~い』

 勢いよく食事をしていたら、俺はアリスから、フランはレミリアからそれぞれ窘められてしまった。俺とフランの返事がハモったのが可笑しかったのか、食卓が和やかな雰囲気に包まれる。いつだかフランが訪ねてきたときも思っていたが、やはり紅魔館はアットホームで良いな。

 と、俺はあることに気づき、右隣で鶏肉を頬張っている吸血鬼妹に声をかけた。

「おいおい、フランよ」

「んー?」

「口の周りがソースでベットベトじゃないか。ほれ、拭いてやるからこっち向き」

「ん!」

「……うし、もう良いぞ」

「えへ、ありがと。ユウ」

 俺は手元にあったナプキンで、フランの口元に付いた七面鳥のタレを拭き取る。何というか、年端もいかない一人娘の面倒を見る、全国のパパさんの気持ちが分かったような気がした。

 そんなことをしみじみ思っていると、左隣に座っているアリスが俺の顔を見て「あっ」と声を上げた。そして、

「もう、優斗ってば。自分だってソース付けてるじゃない」

「え、マジで? どこどこ?」

「ここ」

「ふがふが」

 俺が先程フランにしたのと同じように、アリスが俺の口元にナプキンを当てる。布越しに伝わってくる、優しくて丁寧なソフトタッチがくすぐったい。

「ほら、動かないの……はい、もういいわよ」

「おう、サンキュな」

 どこか上機嫌で手を動かすアリスの顔を見たら、こりゃ役得だなと思った俺は悪くないはずだ。

 

 

 そんな俺とアリスの様子を見て、レミリアとパチュリーが何やら話していた。

「ねぇ、今日のワインどこか甘くない? パチェ」

「ええ、同感よ。レミィ」

 

 

 色んな意味で美味しい展開がありつつも、ディナータイムは幕を閉じた。

 食後、俺は話がしたい人がいたので一人だけ席を外し、彼女の元へ向かった。その人物というのが……

「咲夜さん」

「優斗様。いかがなさいましたか?」

 メイド長こと咲夜さんだった。ちょうど後片付けを済ませ、皆が居る部屋に戻るところだったのか。途中で会うことが出来たのはラッキーだった。

 本題に入る前に、まずは食事へのお礼を伝える。

「夕飯、ご馳走様でした。マジで美味しかったです」

「ありがとうございます。わざわざそのために?」

「まぁ、それもあるんですが。実は、ちょいとお願いしたいことが二つほどありましてですね」

「お願い……ですか?」

「ズバリ言いましょう。皆には内緒で、今度二人で――」

 

 咲夜さんと話を済ませ、食堂に戻る。すると、メンバーのほとんどが居なくなっており、残っていたのはアリスとレミリアの二人だけだった。両者とも洋式慣れしているせいか、ゆっくりとティーカップを傾ける動作が、まるで一枚の絵画のように似合っている。

 俺が戻ってきたのに気付いたアリスが、こちらに視線を向け、質問してきた。

「どこに行ってたの?」

「ちょいとな。人間が空を飛ぶ秘訣を聞いてきた。それより、ぼちぼち帰ろうぜ」

 冗談を交えて誤魔化しつつ、話題を逸らす。少しわざとらしかったかと内心焦ったが、不要な心配だったようだ。アリスは特に気にした様子も無く、椅子から立ち上がると、レミリアに向き直る。

「そうね。それじゃあレミリア、夕飯ご馳走様」

「ええ、また来ると良いわ」

 腕を組み、ふふんと笑う吸血鬼。宵も更け、本格的な活動時間になったからか、目の輝きが増しているような気がする。それ以外にも、何やら下世話なニュアンスも混じっている感じも受けたが、多分気のせいだろう。

 

 紅魔館を出て、魔法の森を目指して夜道を歩く。ふと見上げれば、くっきりと形作られた三日月や、いくつもの星が自己主張の輝きを放っていた。外灯の光が無いせいか、『外』の世界のものよりも、瞬きが強いように思える。いや、田舎とかに行けば、現代でもこういうの体験出来るんだろうけど。これから時代が進んでも、美しい自然はちゃんと残っていてほしいものだな。

「お?」

 月明かりの下、聞こえてくるのは草木が揺れる音くらい――かと思っていたら、誰かの声が、風に乗って俺達のところまで流れてきた。かすかにしか聞こえないため、発生源が何処かまでは分からない。だが、歩みを進めていくと、次第にその声がよく聞こえるようになった。

 それは、少女の歌声だった。静かな夜には若干不釣り合いな、ノリノリで賑やかなメロディ。軽快なリズムは、まるで音符が跳ね回っているかのような印象を受ける。声の主はよっぽど歌うことが好きなのだろう。歌声から楽しげな雰囲気が伝わってくる。姿が見えないところからすると、遠くで歌っているのかもしれない。だとしたら、離れていてもこれだけハッキリ聞こえるってスゲーな。これを本人の目の前で聞いたら、ライブ級の大音声であること間違いなしだ。

 突如流れてきたアカペラに耳を傾けながら、アリスに感想を伝える。

「何か、小鳥が歌ってるみたいじゃないか?」

「正解。この声は夜雀ね。私は行ったことないけど、彼女は屋台もやっているそうよ」

「ほほぅ、歌に屋台か。宴会向きなタイプだな」

 夜雀は移動しながら歌っているのか、しばらくすると声はどんどん遠ざかり、やがて聞こえなくなった。ドップラー効果? 違うか。

 

 その後の帰り道。どこぞの俺の歌を聞け的なボイスに影響されたのか。チラッと隣に目をやると、

「ふんふーん♪ うふふっ」

 アリスが楽しそうに鼻歌を口ずさんでいた。夜雀の元気系ソングとは反対に、鈴の音色を思わせる繊細な旋律が、耳を癒す。その儚げで綺麗な歌声は、そよ風に乗ってふわりと舞い上がり、やがて星空に溶けていった。

 

 

つづく

 




次回、ちょっとだけ物語が動く! ……かも

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