鬼哭劾―朱天の剣と巫蠱の澱―   作:焼肉大将軍

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事態の推移と推理について

 †††

 

 遠坂邸の応接室には暫しの間、何処か緊迫した空気が流れていた。その空気を作り出しているのは部屋の中央で向かい合う二人の男、即ち間桐雁夜と言峰綺礼の二人である。

 

 無論、彼等とて馬鹿では無いし、礼儀知らずでも無い。

 それぞれ互いに、師の家族を救って貰った恩があり、サーヴァント共々治癒して貰った借りがあるのだ。また、戦略的にも下手に敵対するよりは、共闘に持っていく方が後々有利なのは明白である以上、友好的な態度は必然と言える。

 

 彼等もそれは理解している。

 しかし、その空気は緊迫していた。

 

 数分前。

 

 言峰綺礼は応接室に入った雁夜を一目見るなりその目を爛と輝かせた。雁夜の人と成りについて綺礼は聞き及んでいる。治療を施した際に彼の状況も把握していた。

 

 しかし、改めて見れば、酷い冗談の様な人間だ。否、体内の魔蟲が醜悪に蠢くその様は人の形をしたナニかと言った方が正しいに違いない。その事に遠坂母娘は気付いていない。気付かず笑う彼女達に笑みを返す蠢く毒蟲の群れを幻視して、綺礼は知らず知らずの内にその口端を歪めていた。

 

 一方、雁夜は葵と綺礼が親しそうにしているのが気に喰わず、露骨に舌打ちしていた。

 

 雁夜が応接室の綺礼を訪ねた際、綺礼は遠坂葵と時臣の安否について話していた。その際に、時臣の事を心配し心を痛める葵を元気付けようと励ました綺礼が、葵の肩に手を置いていただけだ。綺礼が雁夜を見て笑みを浮かべたのも全く別の理由だが、それを雁夜が知る由も無い。

 

 雁夜の中で綺礼の人物評価が地に落ちた瞬間である。

 

「はいはい、ガン垂れてないで、建設的な話をしましょ。私達はずっとアンタが起きるのを待ってたんだから」

 

 様子を見ていたバーサーカーが呆れた顔で言った。

 雁夜の憤りを余所に、話し合いの場が設けられた。聖杯戦争についての話をするという事で葵が席を外すと、雁夜はドカリとソファに腰を下ろし、改めて目の前の男の戦力を確認する。

 

 強い。

 一見しただけで雁夜はそう断じた。

 ただそこに在るだけで分かる事がある。

 

 ゆったりとしたカソックに覆われているが、袖口から覗く指から幾重にも巻き付けられた針金の如き力強さが見て取れる。硬質化した手の甲は、人を殴る訓練を怠っていない証左だ。姿勢と重心。男の座った椅子の軋みから、その鍛え抜かれた巌の如き肉体が見えてくる。

 

 何より剃刀の如く鋭い視線が雄弁に男の力を物語っていた。

 

“これが時臣の弟子か……。”

 

 時が経ったものだと思い知る。

 どこまでも自分の先を行く男だと雁夜は思った。それは単なる感嘆の念では無い。雁夜は頭を振って余計な思考を追い出すと、目下の問題に集中する事にする。

 

 一方で、相手の力量を値踏みしていたのは綺礼も同じ。

 

「フム、やはり何事も自分の目で確かめるに限りますね。間桐は後継となれる碌な人間がいない故、参戦する事は無いと聞いていましたが、時臣師の目も級友相手には曇るらしい。調子は如何ですか?」

 

 聞き捨てならない台詞と共に差し出された手を取って握手を交わす。綺礼が差し出した手の甲に朱き紋様、令呪の存在を見て取ると、雁夜は笑みを返した。

 

「治癒を施してくれた術者の腕が余程良かったらしい。もう戦闘も問題無さそうだ。その節は大変世話になった。礼を言わせて貰う」

「礼を言うのはこちらの方ですよ。師の家族を救って貰ったのだから。握力も回復したようですね。結構。では、これからの事について話し合いましょうか」

「ああ、こちらもそのつもりだ。ところで、そちらの英霊の気配が無いが、アサシンを召喚したのか?」

 

 雁夜は周囲に視線を配りながら言った。サーヴァントは霊体化すれば一般人からは不可視となる。とは言え、遠坂邸内に存在しているならば魔術師である雁夜が感知出来ない筈はない。否、たとえ雁夜の感知をすり抜けたとしても、雁夜の内部で蠢く魔蟲が無反応という事は有り得ない。

 

 そんな事が可能な存在があるとすれば、ただ一つ。

 気配遮断のスキルを持つ暗殺者の英霊、アサシン。

 しかし、雁夜の予想に反して、綺礼は首を振った。

 

「いえ、私はまだサーヴァントの召喚を行っていませんので」

「なんだ、そうなのか――。いや、という事はアンタ、アレと単身やりあったのか?」

「アレとは、遠坂邸を襲撃した鬼面の男の事でしょうか?」

 

 雁夜は首肯する。

 

 鬼面の男。

 アレは正に怪物だった。

 雁夜とて間桐を出奔した後に、幾人もの本物と対峙している。正に天才、異才と称するに相応しい手合いや、実際に人外の化生と呼ばれる類や猛獣とも闘った事がある。

 だが……。

 

「そちらのバーサーカー嬢と二人で応戦したのですが、ふむ、まぁ、見逃されたのでしょうね。事実、こちらは満身創痍だった。向こうがその気であれば、こちらは全滅していたでしょう」

「それか、何か戦闘続行が困難な訳があったか、ね。退く時、アイツは聖杯戦争開催の地、トゥリファスで待つ、と言っていたわ」

 

 バーサーカーは言いながら雁夜の隣にちょこんと座る。綺礼はソファに座る二人の前に紅茶を置くと、向かい合う形で席に着く。

 

「ふむ、戦闘続行が困難な訳とは?」

「そう言われると具体的には思いつかないんだケド。そうねぇ、例えば――」

「神便鬼毒酒」

 

 綺礼のバーサーカーへの問いに、割り込む形で雁夜が答えた。

 雁夜には一つの確信があった。

 

「言峰さん。アンタはアレが何者だと考えてる?」

「ふむ、恐らくは貴方と同見解かと。不可解な点は幾つか在るものの、あの尋常ならざる力と宝具、サーヴァントと考えるのが自然――否、そう考える他無い。宝具から予想するに、その真名は、源頼光でしょうか」

「不可解な点ね……。確かに不可解な事だらけだな」

 

 雁夜は暫し何処まで踏み込むか考えながらバーサーカーへと念話を送る。

 

『バーサーカー、この男にお前の真名周りについて気取られる様な事はあったか?』

『いえ、何も。情報のやり取りや今後の方針なんかはアンタが起きてからって事であんまり喋って無いしね。葵達もその辺は知らないし、そもそも私の伝承は湾曲されてるから分かり様が無いわ。とは言え、私がアレと無関係とは思ってないでしょーね、多分』

『その辺については後で聞かせて貰うぞ。しかし、そうか……。』

 

 目の前の男に一体どこまで話したものかと雁夜は思案する。

 

 言峰綺礼、遠坂時臣の弟子で聖杯戦争の参加者。

 忌々しい事に葵からの信頼は厚いらしい。そして、自らの留守中に家族の保護を一任する程度には、時臣もこの男を信用している様だ。

 魔術師の世界では、その成果を巡って子弟が相争う事など珍しくないと言うのに。

 

 魔術師としての倫理を是として生きる時臣が、その事を想定していないとは思えないが……。兎も角、時臣とこの男は組んでいる。

 ここで話した内容は時臣にも筒抜けになると考えて間違いあるまい。

 

 本人の実力も折り紙付きだ。治癒魔術の腕は確かな物だし、本人は謙遜したが、あの鬼面の男と渡り合った技量に疑いの余地は無い。

 目の前の男は死にかけた雁夜に治療を施し、消滅しかけていたバーサーカーを救った。言峰綺礼には今の所、敵対の意志は見受けられないが、その友好関係が最期まで続くとは限らない。

 

 否、続く筈が無い。

 雁夜はこの聖杯戦争で、時臣と雌雄を決するつもりなのだから。

 

 それは既に彼の中で決定事項だった。

 時臣を殴り飛ばして葵さんや桜ちゃん達に詫びを入れさせる必要があるし、聖杯を手に入れるというバーサーカーとの約束もある。時臣は相変わらず大聖杯奪還を目論んでいるだろうし、サーヴァントが聖杯への願いを抱いて喚ばれる以上、時臣のサーヴァントにも戦わなければならない理由があるだろう。

 

 雁夜とて言峰神父に治癒して貰った恩を感じていない訳ではない。時臣が変わらず根源到達を夢見ているなら叶えさせてやりたい気持ちも無いでは無い。葵さんもきっとそれを望んでいると思う。聖杯が真に万能で皆の願いが叶うなら問題は無い話だが、きっとそうはならないだろう。

ならなかったから、今もこんな聖杯戦争(ぎしき)は続いている。

 

 だから、戦いは必然だ。そこから逃げるつもりは毛頭無い。

 故に、最終的に障害となり得る目の前の男には、こちらの戦力を可能な限り隠したい。とりわけ己がサーヴァントの真名に繋がり兼ねない情報など以ての外だ。

 

 しかし、一方で時臣との決着を差し置いてでも、雁夜には優先せざるを得ない事がある。

 

 遠坂邸に現れた鬼面の男。

 皆を危険に晒したあの男を、雁夜は許せなかったし、許す訳にはいかなかった。何より、あの男が間桐の一族に憎悪の念を燃やしている限り、再び激突する事は避けられまい。臓硯が撒いた禍根と思えば複雑ではあったが、皆の安全には代えられない。

 

 それは避けられない戦いである。

 あの男は聖杯戦争開催の地で待ち受けている。

 激突は必至だったし、そうでなくとも、もし聖杯戦争が終わり、サーヴァントが消えてバーサーカーの宝具である神便鬼毒酒まで無くなれば、あの男を討伐する機会は永久に失われてしまうだろう。

 

 そして、バーサーカーの宝具の力を借りてすら彼我の実力差が明白であった以上、時臣達との同盟はあの男を討つ上での生命線である。元よりトゥリファスは聖杯を奪ったと目される者達の本拠地だ。敵地に飛び込む以上、御三家同士の協調関係は必要不可欠である。

 

「まぁ、あの男の正体が何にせよだ。アレが俺達にとって厄介な敵である事に間違いはない。どうだろうか、言峰さん。あの鬼面の男を討伐するまで、共同戦線を張らないか? ああ、勿論、直ぐに返事をしてくれとは言わない。そうだな――」

「いえ、それには及びません。その話、お受けしましょう」

「ん? それは助かるが、時臣に指示を仰がなくていいのかい?」

 

 綺礼の即断即決に雁夜は首を傾げる。綺礼と時臣が子弟の間柄である以上、彼等の行動方針の決定権は時臣にあるものだと雁夜は思っていた。同盟の締結などという重要事項であれば、先ず師である時臣に判断を仰ぐべきである。

 

 考えられる理由は二つ。

 判断を仰ぐ必要が無いか、仰ぐ事が出来ないか――。

 

「ええ、と言うより、仰げませんので。これより同盟についての話は私の独断となります。状況を鑑みるに時臣師が反対するとも思えませんが、向こうで落ち合った後、もう一度同盟については師を交えて話す機会を設けて頂きたい」

「それは一体どういう事だ?」

 

 怪訝な顔で問いかける雁夜に、綺礼は淡々と答える。

 

「我々はブカレストにて敵の襲撃を受け、時臣師が召喚する筈だった英雄王所縁の聖遺物を奪われました。襲撃したのはユグドミレニアの手の者だった。結果、サーヴァント召喚の触媒となる聖遺物を失った我々は、二手に別れる事にした――。

 私は一度日本に戻り時臣師の家族の保護と、代わりとなる聖遺物の回収を。時臣師はルーマニア内に用意していた幾つかの拠点や協力者の安否確認を」

「時臣は無事なのか?」

「連絡用の水晶盤が先の戦いで破損しましてね。時臣師に限って滅多な事は無いとは思いますが、師の機械嫌いのせいで連絡を取る事もままならない有様です」

「そうか。アイツがそう簡単に死ぬとも思えないが……。今の話は葵さんには黙っていてくれないか? ただでさえ、あんな事の後だ。不安にさせたくない」

 

 あの男の機械嫌いはどうやら未だ以て健在らしい。

 時臣に限って万が一も無いだろうとは思ったが、雁夜はその話を葵の耳に入れたくはなかった。彼女の哀しむ顔も、時臣を想う憂い顔も見たくなかったからだ。

 バーサーカーは隣に座る雁夜の横顔を醒めた目で一瞥すると、綺礼に続きを促す。

 

「何処も彼処も随分と物騒な状況みたいね」

「ええ、ですから同盟の件はこちらにとっても渡りに船。私の一存ではありますが、時臣師も異を唱える事はありますまい。何しろ、我々は聖杯を奪ったユグドミレニア一族の牙城を切り崩し、時臣師が召喚する筈だった最古にして最強の英霊、英雄王ギルガメッシュを討たねばならないのですから」

「英雄王ギルガメッシュ、ね……」

 

 雁夜は苦々しく呟く。

 メソポタミア文明に伝わる世界最古の英雄譚に登場する神代の大英雄。

 神秘とは古ければ古い程その力を増す性質がある。時臣が一体どういう伝手を駆使して召喚の為の触媒を手に入れたかは不明だが、完全に裏目に出た形である。

 

「ところで、そのユグドミレニアってのはどういう奴等なんだ?」

「……御三家にとっては正に宿敵の筈ですが。まさか――」

「ああ、良く知らない。と言うよりも、出奔してたせいで俺はそいつ等が宿敵であった事さえ知らなかったからな」

 

 そう言い放つ雁夜を見て、綺礼は呆れ顔で額を押さえた。

 とは言え、雁夜がユグドミレニアの一族について知らぬのは無理からぬ話なのである。ユグドミレニアが前聖杯戦争の混乱に乗じて冬木の聖杯を奪った下手人であるという情報がある程度の確度を以て知れ渡ったのは、つい先日の事である。また、知れ渡ったと言っても、時計塔内部の有力者と僅かな関係者の耳に入ったに過ぎない。

 

 直後に諸々の大きな動きがあったものの、時計塔に伝手が在り、常にアンテナを張っていた時臣と違い、間桐の家を出奔して修業に明け暮れていた雁夜がそれを把握している筈も無い。

 

「ふむ、まぁ、良いでしょう。彼等は魔術師の寄り合い所帯の様な一族です。衰退しかけた一族が寄り集まっている」

「間桐の様な、か?」

「そうですね。魔術回路の衰退、自らの魔道の停滞、理由は皆似たり寄ったりですが、詰まる所、彼等はユグドミレニアという名の大樹の元に集った魔術師達だ。元二流から三流魔術師の集団。時臣師はそう評価していました。恐れるに足らず、と」

「評価していた、ね……。で、油断してて出し抜かれた、と」

「ふむ、全くその通り。見誤っていた、と言わざるを得ないでしょうね」

 

 綺礼の言葉に、雁夜は溜息を吐いた。

 

「時臣の詰めの甘さと油断は相変わらずか……。敵はウチの化物爺やアインツベルンから見事に大聖杯を掠め取った奴等なんだ。舐めてかかれる相手じゃねェだろうに」

「返す言葉もありませんね。我々もまさかラドクリフがユグドミレニアと合流しているとは思っていませんでした」

 

 綺礼の言葉に雁夜は眉を顰める。

 

「その名前は流石に俺でも知っている。あのラドクリフで間違いないのか?」

「ええ、御察しの通り、北のアインツベルンに並ぶ錬金術の大家の、あのラドクリフです。我々はブカレストでラドクリフ製ホムンクルスの戦闘部隊による襲撃を受けました」

 

 雁夜は眉間を押さえた。

 どうにも行く手に厄介事の山が、幾重にも立塞がっている気がしてならなかった。

 綺礼は続ける。

 

「今、トゥリファス周辺、主に空路の要となるブカレストには四つの勢力が存在し、水面下で争いが起こっています。一つはトゥリファス入りしようとする我々の様な聖杯戦争の参加者達。一つはユグドミレニアへの牽制として魔術協会が雇ったフリーランスの魔術師達。一つはそんな外部から来る魔術師を狩ろうとするユグドミレニアの魔術師とホムンクルスの戦闘部隊。そして、アインツベルンの刺客である『魔術師殺し』」

「『魔術師殺し』の衛宮切嗣をアインツベルンが雇い入れたのか? それは……、また何というか、アインツベルンも思い切った人選をしたもんだな。前回の敗戦が余程応えたらしい……。しかし、何で協会がユグドミレニアに対して態々喧嘩を売るような真似をする必要があるんだ? 今までの聖杯戦争に対しても協会は静観の立場を崩してなかった筈だが」

「時計塔において、ユグドミレニアが聖杯を旗印に、協会からの離反を目論んでいるという情報が出回ったからですよ。聖杯戦争で勝手に殺し合うには構わないが、協会からの離反には死を、という事の様ですね。随分と名うての連中が集められた様です」

 

 どうやら事態は思っていた以上に深刻で、自分の与り知らぬ所で勝手に進行しているらしい。御三家が取り仕切る儀式である筈が最早蚊帳の外ではないか、と雁夜は思った。魔術協会と本当に衝突するとなれば、聖杯戦争の結果がどうあれ碌な事にならないのは目に見えている。

 

「ユグドミレニアはまだ離反を宣言した訳では無いんだよな? 協会はどの程度動いてるんだ?」

「正式な宣言があった訳ではありません。しかし、トゥリファスには相当数の腕利きが監視、及び有事の際の処理の為に派遣されています。直ぐにでも粛清に移れる様にという事でしょう。まだ大手を振って殺し合う段階ではありませんが、小競り合いは既に確認されています。ただ、協会がフリーランスの魔術師ばかりを派遣している理由は不明ですが、そのお陰で未だに全面戦争には至っていません」

「フリーランスの連中が行方不明になってもお互いに知らぬ存ぜぬ、か。協会内部でゴタついてンのかね? その辺は時臣が詳しいんだろうけどな。残念ながら連絡付かずだ」

「問題は、いつ令呪が宿って彼等が聖杯戦争の参加者に成ってもおかしくない存在である、という事です。否、既に彼等の多くは令呪の確保に向けて積極的に動いている」

「そりゃ有事の際に、ユグドミレニアの召喚した英霊と一戦交える可能性があるとなればそうだろうよ。連中の粛清まで見据えりゃ、是が非でもサーヴァントは手に入れときたいに決まってる。召喚出来るサーヴァントの総数が決まってる以上、自陣営の強化と敵の弱体化を同時に図れるんだからな。おまけに勝ち抜けりゃ何でも願いが叶うと来たモンだ。腕に自信がある奴は乗るだろう」

「ですが、それをユグドミレニアが黙っている筈も無い。フリーランスの者ばかりを雇った事も裏目に出ている様です。連携が出来ていない。そんな状況だからか隠蔽工作も杜撰なもので、既に何件か殺人事件としてニュースになっていますね」

「碌な連携をしなくなるのは成果主義の弊害だな。ただ、協会の連中が各個撃破されてる状況なのは俺達御三家側にとっても余りよろしくないんじゃないか? 残る参加者の枠を埋めるのはユグドミレニアの魔術師じゃあ無い方が良い。協会の連中とならユグドミレニア打倒には協力出来そうだからな」

「ええ、そう考えた人間はあなただけではありません」

 

 綺礼はそこで言葉を区切ると、口の端に笑みを浮かべた。

 

「御三家の一角、アインツベルンが用意した聖杯戦争の参加者。『魔術師殺し』、衛宮切嗣も同じ様に考えた様です。彼は既にサーヴァントを召喚し、ブカレストでユグドミレニアの魔術師とホムンクルス達を狩っていました」

 

 




 色々片付いたので再開します。
 細かい事は活動報告にて。


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