東方幻創録―永人行雲譚   作:鳥語

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 長くなったので分割です。
 遅くて申し訳ありません。


竹虎落処

 

 

 古き場所。

 懐かしき場所。

 

「私のいない間に――ずいぶんとまあ、好きにされているみたいだねぇ」

 

 長らく留守としていた場所で、同胞から話を聞いた。

 知性をもっているとはいい難いそれらの言葉では、その全てを伺い知ることはできなかった。

 けれど。

 

――見ればわかる。

 

 私が知っていることと重ねれば、それが何であるのかを推理することができる――思い出すことができる。

 そう、これは昔と同じ。昔に巣喰ったものと、同じもの。

 

「――少し」

 

 ずっと昔、太古に終わり、過ぎたこと。

 閉じて、結して、終えたもの。

 

 もはや、そんなものに興味はない。

 そのはず――なのだけれど。

 

「……」

 

 それでも、ここまで近くにあるのなら、手の届く距離にあるならば、少し想うこともある。

 疼いて、擽るものも…確かにある。

 

 だから――

 

「かき回してやろうかな」

 

 思いつく。

 考え始める。

 

「これもまた、一種の意趣返しでもあるんだからさ」

 

 悪戯企みかき回し。

 因縁という皮をひっかぶせただけの、ただの気まぐれ嫌がらせ。 

 

「正義は我にあり、とね」

 

 思ってもいない心を描き、一つ二つと浮かべていく。

 

 疼く悪心。

怪我では懲りぬ己が性を――。

 

____________________________________

 

 

 

 黒の光沢に朱の懐中、鏡面に描かれた金糸の鳥はその美しき羽根を伸びやかに緩ませて、夜の色を飛ぶ。年月刻む歴から掘り起こされた形に、さらにと重ねられた伝えの色は、まさに材と技の融合点。複合としての究極の価値を示す。

 そして、その隣に並ぶのは、茶褐と赤黄の様。地の断面をそのままに削りだした荒々しさを秘めながら、腹底に引かれた灰の断線と、僅かに真円を外れて歪む口……それは、それが人の手によって造り上げられた業の物ということを知らしめる。さらなる高みとして、その存在は匠によって押し上げられているのだということを魅せつける。

 樹液と石粉。漆と釉。

 見るだけで満足し、その美しさに酔ってしまうほどの魅力。それぞれが十全と力を示し、万量を押し込めた存在感をそのままに表現した。至上の技によって作り上げられた品。

 量り切れぬ価値を持つ――食の器としての粋。

 

「……ふむ」

 

 それだけでも、八百万と修辞の辞を浮かべることができる。

けれど、理解しておかねばならぬのは、そこにはさらなる先があるということ、未だ未完成であるという事実があるということである。

その身そのままだけではまだ足りない、一点の空白として欠けた……欠けさせられた部分がる。わざと空いて造られた隙が残されている。

 それは――器としての本来の意味を果たすため。

 

――使われてこそ、価値を示す……汚されてこそ、芯から光を得る。

 

 漆器と陶磁。飾りではなく、食という日常に触れるからこそ、その価値は高められていく。文字通り、味という一体のものとなるのだ。

 

 つまり、その美麗な器たちも、その身に馳走を飾ってこそが、欠けることなき玉としての美しさを放つということである。

 だからこそ――

 

「ご馳走様……」

 

 今、この瞬間が、その最高点となったのだ。

 食を追え、役目を終えたその瞬間が趣と終演の美を飾る。

絵として終わり――儚き散り際を終え、また裸の枝へと戻ったこの瞬間の満足感。

 それが食事と言うものであり、食を愉しむということであり――今日も、器としてのお役目を立派につとめてくれたということでもある。まさに、最期を勤め上げたからこそ、それほどにその姿は美麗なものとなった。奉公を果たしきったのだ。

 

――そして……。

 

もし、それに礼として上げられる言葉があるのなら――労いのことばをかけるなら、それは二対ある。

 先ほどのものと、もう一つ。

 

「――お粗末様、です」

 

 そういう言葉であるのだと思う。

 どんな器であろうとも、使われてこそ……最後まで綺麗に食べ尽くされた後にその言葉をかけられる。それが一番の道具冥利なのだと、そう思う。

 これは、料理をした側()の贔屓目というものなのかもしれないが――そう、勝手に思う分には誰も損はしない。自己満足を味わえて、花を添えて終えられる。食事が愉しかったのだと終えられる。

 それが一番いいと――己が長い人生は、そう結論を出している。

 

 手を合わせての食終わり。

 満足の音を聞き届けて――それ(食事)を終える。

 毎度行う感謝の念。そういうものはやはり大事なのだと、爺臭く想う。

 

――だからこそ……。

 

己も、その後始末を快く行う気になれるというものなのだから。

 

「それじゃ――」

「では――片づけを」

 

 などと。

 いつも通りにそんな四方山事に頭を巡らしながら、誰かが何かを話そうとしたことなど、全く気づかないままに、よいっと立ち上がった。

 

――さてさて……。

 

 疼く指をぱきぱきと鳴らしながら、標的に狙いを定める。

 前にあるのは、三つの膳とその前におわすこれまた美麗な形が二つ――この館の主である竹取りの姫とその従者である月の賢者殿。

十分以上とその器に似合いの大人(たいじん)が二人……己は、そのついでとばかりにおこぼれを預かり、こんなにも美麗な品を眼福に扱わせていただいたのだ。

 そして、その食事は終わった。ならば、己はその感謝として、完璧な仕事をこなさねばならない。まさに、玉と欠けさせることなく、それらを元の完成待ちの状態に。

 

「ちょっ……」

「よし。汚れがこびりつかないうちに、ちゃっちゃっとやっちまいましょう」

 

 聞こえない。見惚れるのは終わりとし、己が役目さねばならないのだ。

 洗い物、そこにある汚れものたちをちゃんときちんと清めてやることに全力を注がねばならないので、他のことは耳に入っていない。

 

「失礼しますよ」

「あ……ええ」

 

 そうかけ声を上げて、膳を引いていく。

 市場などには決して出回らぬだろう高級品。貴族の扱う引き手数多の品の、そのなかにでも最上級に値する美麗な品の数々――それを、ひょいと持ち上げて、ほかの分と一緒に上下に一つ二つと積んでいく。

 当たらぬ程度に重ねて、最後は膳自体を塔の形に。

 

「ととっ……」

 

 三人分。それほど量があるとはいえないが、品数が多かった分だけ据わりが悪い。持ち上げる瞬間に、少しぐらついて塔がぐらりと揺れる。

 

「――っ!」

 

 かちゃかちゃと軽く音がして――すぐにと落ち着いた。

 多少擦れたようだが、欠けても傷ついてもいない。大丈夫なようだ。

 

――危ない危ない。

 

 少し急ぎすぎたようである。

 その一つを僅かに欠けさせただけでも、とても償い切れないほどの負債を抱え込むことになるのだ。濯ぎ(・・)にきて置いて、さらにと汚れを残していくわけにはいかない。

 

 少し、落ち着かなければ――そう考えて。

 

「――何を、そんなに急いでいるのかしら?」

 

 その息のついた瞬間を狙うように、上座の方から声が響く。

 

「……」

 

 今度はちゃんと聴こえる状況に。

ならば、返さねばならない。

 

「……ちょっとね――お米がこびりついてしまうと面倒なので」

 急がないと。

 

 目をそらしながら、そんな逃げ口上。

 流れるように歩き出そうとして――

 

「――それじゃあ、手伝いましょうか?」

「ああ、いえ……」

 

 その先を塞ぐようにして、今度は従者殿が親切に笑う。

 それでは運びにくいだろうと、手を貸してくれようとする。

しかし、そういうわけに……。

 

「いえいえ、一人でも大丈夫。お二人は、ゆっくりとしていてくださいよ」

 

 そういって、片手で制した。

 余計に心配そう顔をされた。

 

「……」

「ええと……」

 

 怪訝な顔が二つ。

 その理由が一瞬わからず――その視線の先にあるものに気がついて「ああ」と膝を打つ。

 ついついと、やってしまった。

 

「これなら……心配ありませんよ。さっきはちょっと、油断しただけで」

 こほんと咳払い。そして、弁明。

 

 片手を軽く上下して、その安定を確認してもらう。 三つと重なった膳は、右手(・・)一つの上で、きちんと平行を保ったまま――決して、ぐらつくことはないと。

 

「昔、曲芸なんぞをかじったことがありましてね」

 軽業の真似事などはお手の物、と。

 

 そう説明を。

 ついでに、昔世話になった旅籠で数ヶ月ほど手伝いに勤しんだこともあり、前に料理屋で裏方を極めてみようとかなどと気まぐれを起こしたこともあり――その経験は今も残り、それなりの技術としては己に生きているのだと。

 だから、大丈夫だと。

 

「洗い物の早さにも、自信がありますので」

 

 そう自信を持って告げる。だから、早く洗い場に行かせてくれと胸を張る。

 の、だけれど――

 

「……」 

 

 返るのは微妙な反応。

 いったいこれは何なのだろう――といったような、珍獣でも見ているような奇異の視線が返る。妙な沈黙が落ちる。

 

――何か……おかしなことでもいったか?

 

 やはりと、市井と天上では同じ生活にも差があるのかと――

 

「よくわからないけど……何だか、それもどうかっていう感じのことばかりね、あなた」

 

 疑問を持ったところに、やはりと呆れた息を吐くお姫様。

 その丸い瞳は胡乱に細められ、何だか面白いものでも眺めるようにこちらを俯瞰する……どうやら、何やら物珍しいものだとして己は映っているらしい。

 己は長く生きているだけで、そこまで人の能力を超えたものは持っているほどではないのだが……。

 

――まあ、地上にきたといっても箱入りだったのだろうし。

 

 そう思うのも無理はないのかもしれない。

 

「そうです、かね」

 まあ、ちゃらんぽらんな老人ですから。

 

 一応と、そう答えておく。

 己の技術――学んできた雑多な経験。

それは、この家の主人である彼女にとって何の自慢にもならないこと――どころか、そんなものを行う男など、下の下の見習い程度を僅かに視界に掠めさせる程度-。それほどにしか、関わったことはなかったのだろう。

 己は手を出したことすらない下賤の……知らないでもいい、不必要なもの。

 せかせかとした技術。急がねばならない環境。

 そういう物を捨ててこそ、あの場所はあったのだから――だからこそ、こんなちょっとした技術も奇異のものにと見えてしまう。そういうものだ。

 

「――このくらいなら、できる人はたくさんいますよ」

「そうなの?」

 

 地上の者はみんなそうやって暮らしている。

 身につけた技術を、様々にと生かして日常を行っているのだ。

 姫は、それを知らぬだけ。

 

「なんなら、少しやってみますか?」

 

今なら、伸ばせば届く。

 何の変化もない。何の変遷も辿らない――この停止した世界は、ほとんどあの世界と同じものだといってもいいけれど、それでも確かにここは地と続く場所。

 こちらの世界でお姫さまは退屈をしているのだ。ならば、何か新しいことを、こちらの世界でこそ触れられる物を始めるというのもまた、一興といえるかもしれない。

 

 そうやって借り(・・)を作ってしまえば――。

 

「それは困ります」

 

 けれど――そんな誘いはにべもない横やりによって断じられてしまう。

 声は先ほどの、「手伝おうか」といってくれた従者としての言葉。

 

「姫様にそんなことをさせては私の仕事がなくなってしまうわ――それは、勘弁してちょうだい」

 

 そういって、彼女はこちらへと。

 従者として、その世話を焼く立場である彼女にとっては、それは容認できないことなのだ。たとえ、ここにいるのがたった二人……それと時折訪れる飯炊き爺のみであろうとも、その辺りをきちんとしておく。

 お堅いともいえるが、それは立場を持った人物としては当たり前の心構えであり、上と下、やんごとなきと路傍との区分け。

 困るのは周りの者たちなのだから、それもまた当然のこととして教育をする。

 そういう立ち場を持つ彼女としては――当然のこと。

 

――、ああ……。

 

 こっちも本気でそんなことを思っていたわけではないのだが――それで済むなら楽であったのにという落胆を笑みで覆い隠す。

 

 互いに冗談として。口には笑いとそれを証拠として。

 

「洗い物ぐらいはさせてちょうだい――折角の仕事がなくなってしまうから」

 

 そういって、こちらに断りにくいような方向から手が伸ばされる。

己の仕事(逃げ場)を奪おうとする。

 

「いや、しかし……」

「大丈夫。残りは襖の外に置いておいてくれればいいから」

 後で持っていくわ。

 

 残りの仕事も全て。何やら、妙に手際よく、己の仕事が奪われる。

 

「……あ」

「そうね……」

 

 追いすがろうと伸ばした手。

 その先で絞る扉。

 

「それより、私の話し相手をしてくれないかしら」

 他にも見せ物をもっているんでしょう、と。

 

 そういって、何やら愉しそうに「ふふふ」と笑みが背中から。

 もしかしたら(……)、そうするように打ち合わせていたのではないか、なんて思ってしまうくらいの速さで決められる。

 

――まさか、そんなことは……。

 

 一抹の不安。けれど、既に逃げ場は塞がれてしまった。

 何だかんだと己に引け目を持っているだろう賢者殿は既に洗い物へと出掛けてしまった。先に持っていた分も併せて、しばらくは戻ってこないだろう。

 逃げだそうにも逃げ出せない。

 

 奇しくも、以前と同じ。絶世の美姫と二人きりという、身の丈に合わぬ状況で。

 

「さて――」

 

 取り残された己。

 にこにこと、美麗な笑みがこちらを見つめる。

 そちらに座りなさい、と促す細手が揺れる。

 

「はあ……」と応えて、いわれた通りに、その正面に置かれた座布団へと。

姿勢を正し――なんでもないという笑みを作って。

 

「何かご用でしょうかね」

 

 慣れた調子の面を被る。

 商売用――愛想の良い、嫌みのない笑い。

 

「……」

 

 何故か、胡散臭げな顔をされた。

 

「――今日は随分と豪勢だったわね。美味しくいただかせてもらったわ」

 

 そして、こほんと息をつき、姫はそれらしい表情へと戻った。

 優美な笑みを浮かべ、まるで天上から見下ろすような――見透かしているぞ、とでもいうような表情が浮かべて、用意していたのだろう言葉を語る。

 

「いえいえ、久しぶりでしたから――ちょっとした詫びのようなものですし」

 

 その様子に、妙な違和感を持ちながらも、こちらも先に用意していおいた理由を語る。

 

「――それは何に対しての詫び、なのかしら?」

 

ますます鋭くつり上がった口端。

 ぱたりと、後ろで襖が鳴った。

 

「元々、その前提ありのお話でしょう……先に決めておいた手伝いに遅れてしまいましたし――まずはその謝罪を、とね」

 

 そういって、多少大仰なくらいの仕草で頭を下げる。

 下げた視線に映る畳の色と頭の天辺に感じる視線――加えて、後ろにあるもう一つ気配。

 

――ふむ……。

 

 どうやら、それは既に露見してしまっていたらしい。

 ここまでくれば、それは瞭然というものだろう。

 

――竹林の雰囲気も妙だったし。

 

 だからこそ、余計に警戒を強めていたというのに――うまくのせられ、はめられてしまった。張り切り準備し用意し料理したというのに、草臥れ儲けと働き損。

美味しいところを食らうだけ食らっておいて、そこまでさせておいてからの種ばらしなど、流石、月の賢者とその主である蓬莱姫というところか。

 

「……」

 

 さらに重くなってしまうだろうこと(罪業)をなるべく薄く濯いでしまってから明らかにする、そんな己の魂胆――それは、最初から透かされて、舞台裏では笑い話となっていた。

 それはどうにも、道化な話……お似合いといえばお似合いだが。

 

――しかし、まあ……。

 

 このような閉鎖された場所でいったいどうやってそれを知ったのか、という疑問はある――しかし、悪いのは己。

 ならば、できることは一つ。

 なるたけ被害を少なくするために、できることはたった一つ。

 

 姿勢をただし、両手を伸ばし――ぐっと見据えて。

 

「――すいませんでした」

 

 誠心誠意、部屋全体に聞こえるように声を上げて、地べたに頭を擦りつけること。情けなくも素早く慣れた姿勢になって、己の謝罪が本音であることを知らしめること。

 それが肝要だ。それ以外に策はない。 悪事や謀が発覚したなら、それはもう、逃げるか謝るかしかない。

それだけのことを――誤魔化そうとしていたのだから。

 

「……」

 

 すぐさまと切り替えた態度に、上席の姫は眉を顰めて――ふっと、つまらなさそうに息を吐いた。やれやれ、こんなものかと首を振り、こちらを見越すようにして、言葉を吐く。

 

「――軽い頭ねぇ」

 もう少し粘るかと思ったのに。

 

 残念そうに。

 茶番を続けられなかったと、あからさまにがっかりと――そして、その落胆に同調するようにしながら、もう一匹の声。

 

「まったくだねぇ、こんなに根性がないなんて」 

 

 呆れたような声が飛ぶ。

 ここにいるもう一人――とは違う。

 

 どうにも久しい、悪戯めいた響きが――閉じられたその場所へと響いた。

 

 

 

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「情けない――つまらない限りだよ、お兄さん」

 本当に面白くない。

もうちょっと粘って――ぼろ(・・)を出して欲しかった。

 

 そんな気持ちをにじませた感想の言葉。

 

「……」

 

 突然と現れた私の言葉に、男は小さく息を吐いた。

 背中を向けたまま、肩を落として、背中を丸めて――深く深く諦めの息を吐いてからゆっくりと振り向いた。

 

「そりゃあまあ……こっちは、誰かさんを楽しませるためにやってたってわけじゃないですからね」

 

 あの時(・・・)と同じ緩さを携えて。

 

「――いつかの兎さん」

 顔には、疲れたような笑み。

 それでも、やっと納得したという、敵を見据えた目をもって。

 

「ああ、お久しぶりだね。お兄さん」  

 元気にしてたかしら、と。

 

 私はそれを受け止めて、にっこりと笑んだ。

 

 どうやら、あの出来事は確かに男の記憶に残っているようだと確信し――私のことを、あんな昔のことでもある程度は覚えていられる相手なのだと判断する。

 随分な記憶力を持っている……というよりも、思い出し慣れている。長く生きる者として、それなりの勘を備えている相手なのだと理解する。

 

「ちゃんと覚えていてくれたのねぇ、私のこと」

 

 では、果たしてそれはどのくらいの精度なのか。

 それを探るために、さらにと重ねた言葉に。

 

「ぼんやりとですがね」と男は頭を掻いた。

  目を閉じて、それ(記憶)を眺めるように腕を組み。

 

「――あの時はお世話(・・・)になったということは、ちゃんと覚えています」

 

 そう返した。

 開かれた片一方の目が細く尖って、何やら言いたげそうな笑みが、その口へと張り付いた。

 

――……。

 

 どうやら、いらぬことまで覚えているようだ。

 あの時の、ほんの些細な悪戯にちゃんと恨み辛みを残している――私と同じで、貸し借りに関しては絶対に忘れない類の人間であるらしい。それが利用価値が高そうなものなら、なおさらのこと――忘れていないぞ、と脅しとしてそれを匂わせる。

 

「そうだね……確か、道案内してあげたんだったっけ」

 

 気づいていない振り。

そうわかりやすく装って、わざとそちらに話題を振った。。

 男は五体満足――生きているのだから、きっとそれほどのことはなかったはずだ。

 だが、あの場所のことを私もはっきり知っていたわけじゃない。

男がどんな目にあったのか、それが問題で――どの、程度の根深さなのか。

 

「ちゃんと、綺麗なお花畑は見れたのかしら?」

 

 あわよくば、私はそれを知らなかっただけ。

 そういうことにしてしまおうと。

 

「ええ――それはもう」

 

 男は笑みを深くなった。

 あまり、いい兆候ではない。

 

「綺麗な綺麗な花畑が見れまして……こんな穴場があるのかと結構な驚きでした」

 

 嘘のない響き――けれど、どこかしらに含みもたせて。

 それをわざとに聴こえるように語る。

 

「そりゃあ、良かった」

 

 それに私は気づかない。

振りをして、良い部分だけを受け取る。

 私はただ、幸運を運ぶだけの兎――私はそれだけなのだと。

 

「今度はご一緒にどうですか。面白い縁にも出会いましてね――是非、紹介したい」

「いやいや、あたしゃ遠慮しておくよ。あの辺りは私みたいなのには明るすぎるから――何かに襲われるでもするんじゃないかって、兎の本能が騒いじゃってね」

 

 遠回し。回りくどく。

 わかりづらく。目を合わせず。

 互いに互い。

 

「ほう、あの辺りには何か猛獣でもいたんですかね……何か人を襲うようなものが」

「いやいや、私たち兎にとっちゃ、狐や狸だって十分な猛獣よ。だから、空けっぴろなお花畑なんて……とてもとても、近づけないわ」

 

 主導権。

相手をこちらの土俵に引き込んで、上手いこと利用してやろうと牽制しあう。

 引け目を感じた方が負けの、唯の精神論。

 つまりは、とても重要な局面だ。

 

「なるほど、確かにはらはらするものはありましたよ、あそこには」

「そうなの? 私も噂に聞いたことがあるだけで何があるのかまでは知らなかったからねぇ」

 

 永く生きる者にとってはとても大切な、精神的に優位に立ったものが後々有利にことを運べるという決め手。特に私のような妖怪にとっては、特に大事なものとなる。

 以前はある程度お人好しな様子にも見えたこの男も、流石に長生きしているだけのことはあるようだ。簡単には私に都合の良い流れには持っていかせてくれない。やはり、初見であった分、もう少しくらいは譲歩してくれたものだが……今度は、まけてはくれないようだ。

むしろ、借りがある分私の方が不利になる。踏み倒そうにも、そう簡単には行かせてくれない。

 

一進一退。五分と五分。

このままでは状況は動かない――と、そういうことになるところだが・

ただ、こちらにはだからこそ張っておいた罠が或る。

 

「あらあら」

 

 先に仕込んだ仕掛け。

 私には借りがなくても、それなら別の場所から持ってくればいい。

 

「――随分と楽しそうに話すのねぇ、あなたたち」

 

 響く声。

 勝手気ままと話していた私たちに注ぐ、冷や水の音。

 

「私も少し、混ぜてもらえないかしら」

 

 私を放っておいていい度胸だな、言外に含まれた想いはそんなものだろうか。

 どうやらやはりと、旨くいったらしい。これで、食事を我慢していた効もある。

 

「……ああ、いえ」

 

 男の表情が曇りへと移行した。

「……やってくれる」なんて、私に聞こえる程度にぼそりと呟いて、改めてそちらに向きなおった。そこあるのは、優美な姫の――別世界に住む者の、美しい笑み。

私は晴れ晴れと、己の手腕に笑み浮かべる。

 

「さて、私に対しても何か、お話することはないかしら?」

 

 笑む少女。口ごもる男。

 目を外らす私。

 

予期(・・)せぬ旧知との再会に……ついつい、夢中になってしまいました。すいませんでしたね」

「いえ、いいのよ――私もそれを知って(・・・)、驚いてもらおうかなと思って隠れていてもらったの」

 楽しんでもらえたかしら。

 

 お姫さまはにまにまと美しく笑みながら、そう話す――作戦通りに、男の優位を挫く。

 貸し借り合わせて男の不利に。勝ち負け譲り、男の負けに。

 

「いやいや、まったく」

 

 それでも、往生際悪くあがいていた男は――今度こそ諦めに首を振った。

 兎の微笑と姫の美笑。

その間に挟まれて、両手を上げた。

 

「降参です」

 

 疲れたように。肩を落として、どたりと座り込んだ。

 もう、言葉も必要ない。全て白状してお縄につく。

 

 そういう覚悟で――嘆息を吐き出した。

 

「あら、もう終わり?」

「まだまだ、私は話したりないんだけどなあ、わたし」

「……勘弁してくださいよ」

 

 脱力し、両手を後ろにして投げ出した格好で男はへたりこむ。

それを眺めながら、黒髪の美姫は楽しそうに微笑んだ。「いい見せ物だったのに」とくすくすと笑った。なかなかに、いい性格をしている。

やはりと、私の契約相手として十分な似合いの相手。

 

――よし、とね。

 

 もう勝敗は決した。隠す意味もない。

 私はそれを横目に見届けて――ぱちりと指を鳴らす。

 

「うん?」

 首を傾げる男。

 

 その後方で、ぱたんと襖が開いた。

 そこから、三匹の兎が飛び込んでくる。

 頭にはお盆と湯呑み。あの月の賢者様が用意した特製のお茶……らしきものを抱えて()の手下が現れる。

 銘々、部屋を駆け、それぞれを前まで来て頭を差し出す。

 

「ありがとう」

「――こりゃ、どうも」

 

 私と姫がゆうゆう、男は一瞬迷ってから――目を細め、それを受け取った。

 

 兎たちは頭の上のそれが軽くなったのを確認し、すっと縮めていた体を伸ばした。それから、耳を寝かせるように軽く動かして小さく一礼――した後に、「どうだった?」と伺うように、私に視線を送る。

 

「――うん、まあ……」

 

 少々こぼれて、三分の二ほどに目方の減った中身。

 一緒にあったはずの茶菓子は既に消えている。

 とても、及第には届かないといえる――けれど。

 

「まあ、最初はこんなもんでしょう。あんたたち、よくやったよ」

 軽く手を振って、「よし」と伝えた。

 そんなねぎらいの言葉に、こくりと嬉しそうに頷いて部屋の外へ去っていく兎たち。

 

――まだまだ、だけどね。

 

 その後ろ姿を見送りながら――やはり、あのままでは、この幻想郷という土地では生きていくのは難しかったろうと思い直す。

 未だ、知恵を身につけきれていない若い妖怪兎たち。

私の契約は、たぶん正解だったのだと。

 

「なるほどねぇ」

 

 男が呟いた。

 

「よくやったもんだね、因幡の兎さん」

 

 なるほど、と肯いて、こちらに視線を送る。

 多分、それが何を示すのかと理解したのだろう。

 

「何のことだい?」

 

 惚けて、私は返す。

 

「私はただ、自分を売り込んだだけだよ」

 

 使えるものだと、利用しがいのある力持ちに対して。

 今度は失敗しないと、そう決めて――経験どおりに行動しただけだと。

 

 

「私はみんなに幸運を運ぶのさ――もちろん、そこに私を含めて、ね」

 

 そういった。

 これもまた、生き延びるために最善だと――愉しく、生きていくための遊びだと。

 

 

「……そりゃ、そうだ」

 

 男はうんと肯いた。

 

「お陰で、ひどい目にあうことになったみたいですがね」

 ぼやくようにそういった。

 

 先にあるのは、笑う私と――月の姫君。

 同盟結んだ利害関係。

 

「それじゃ、話しの続きといきましょうか」

 

 勝負は決し、私たちの完全勝利。

 後は戦勝利益の分配である。

 

 

 

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「本当に……一体どこで知り合ったんですかね、この兎さんと」

「迷い込んできたのよ。どうやって(・・・・・)か、私たちの結界を抜けて」

 

 どうやって、という部分に力を込めて――反応を探る。

 もしかしたら、この男の妙な力が関係しているのではないかと、そう考えて。

 

「ふむ……どうやったんです?」

「さて、ね」

 

 けれど、男はそれに何の反応を示さなかった。

 逆に、そのことについて当の本人にそれを尋ねようとする。

その様子に、裏で糸を引いていた、といった印象は見られない。

 

――関係がない……?

 

 その相手――ここへと侵入した『因幡てゐ』と名乗る兎がここにいることも、先ほど彼女が姿を現すまでまったく知らないようだった。

 まったくの偶然だというのだろうか。

 

「私も、なんとなくここに入り込めたってだけだから」

 

 てゐは私たちに話したものと同じ理由を語る。

 そこに嘘がない――とは言い切れないが、確かに頭の回る妖怪兎なのだとしても、それが私の……ましてや、月の賢者の一人と数えられる永琳の結界に何かをすることができるなどとは、とても思えない。勿論、その嘘を見抜けない、ということもが

 

――まあ、そう考えてしまえば……。

 

この『男』にしてもそういえるのだが――

 

「運が良かった、っていうことですかね……偶然、その綻びに入り込んだとか」

 口元に手を当て、それを考える。

 このわけのわからない男。

そういう何かをしでかしてもおかしくない。そんなおかしな可能性を持つ男だからこそ――疑いは拭いさることができないのだ。

 

――それに……。

 

 加えて、まだ、聞いていないことがある。

 その返答の如何様によれば、この男は除いておかねばならない存在となるという、とても大事な案件が残っているのだ。

たとえそのために、貴重は外からの情報源を失うことになろうとも――その情報源自体が、獅子身中の虫であるというのなら、そこに価値はない。今のうちに始末をつけてしまうべきだ。

 そのための、先ほどの様子見。

 

「――まあ、その偶然から」

 

 私の視線に気づいたのか、男はこちらに振り返った。

 片手で頭を抱え、若干気まずいような表情を作り――

 

「姫さんたちは外の情報を得た、と」

 

 そういった。

 

「――ええ、そういうことよ」

 

 言いながら、男は「余計なことを」なんて意志が篭もっていそうな笑みで、横目に隣の兎を眺め――因幡は「私は事実を伝えただけ。何も悪いことなんてしちゃいないよ」なんて感じの笑みで応える……それはなんだか、似た性質をした笑みに見えた。

 性格の悪い。素直ではない。

 面倒くさそうな笑み。

 もしかしたら、地上に長くいると、誰でもそんな性質を帯びていってしまうのだろうか、なんて恐ろしげな予感がよぎるが――すぐに振り払う。

 

――こんなのがたくさんいるなんて……。

 

 それこそ、ぞっとしない。

 そんなことがあるはずがない。

 

「外で何があったのか……断片的だけど、その子に聞いたわ」

 

 浮かび上がった妙な妄想を振り払いながら、話を続ける。

 男がしばらくと訪れなかった間に届けられた外の情報――いの一番に私たちに届けなければならないものなのに、何故か切り出されなかったこと。

 

「――妖怪たちが、月の都ともめ事を起こしたらしいわね」

 

 私たちに関わる一大事。

 報告すべきなのに、秘められていた。

 

――なぜ、隠していたのか。

 

 それを問う。

 

「――ふむ」

 

 男は曖昧な相槌を打つことで答えた。

 僅かに視線を下げ、ゆるりとした仕草で片手を口元まで、その内にある湯呑みをずずっと一口呑み込む――それから、こちらを見つめる。

 

――……。

 

 緩い姿に軽い調子。

 私たちにちゃらんぽらんな姿を見せていなかった男の、その本性が――そろそろ(・・・・)、見えてもいい頃だろう。

私の知らぬ秘奥にあるもの。私の大事な人(永琳)と、この男が共有している未知の部分。はるか過去にあったのだろう何かについて、その一端を覗ける。

 それはどんな宝よりも貴重で、私が欲しいと望むもので。

知りたいと願う。

 

 だから、必要以上に私は――

 

「どう切り出そうかと迷ってましたが……手間が省けましたね」

 

 男が口を開いた。

 

 そして、少しの間沈黙し、何かを考えこむように腕を組んで目を瞑る。それから、うんと頷くように首を上下して、隣に座っていた因幡へと呼びかけた。

 

「……うん?」

「ちょっと」

 

 首を傾げた因幡に、男は口を寄せ、私に聞こえない程度の声量で何かしらを囁く。因幡はそれに何度か「うんうん」相槌を打ち……にやりと意味ありげな笑みを浮かべ、「わかった」と頷いた。

 

――何……?

 

 もしや、裏切るつもりなのか。

 こみ上げる疑念。疑いに尖る私の視線に気づいてか、その二人はにこりと笑い――何でもないというように手を振った。

 あからさまに、怪しい。すごい胡散臭い。

 

「――すいません、ちょっと頼みごとをね」

「そうそう、何でもないことですよ……ってことで」

 

 全く信用できない返しをして。

 私が止める間もなく「ちょっくら失礼」と乱暴に襖を開けて、因幡は部屋の外へと出ていってしまう。外に控えていた何匹かの兎がびくりと跳ね上がっていた。

 

「……」

 

 その足音が遠ざかっていった。

 そして残されるのは、私と男の二人のみ。

 今度こそ、横やりなしの一対一。

 

「……それで、人払いをしてまで私に伝えたいことは何かしら?」

 

 一体、何を企んでいるのか。

 この状況を作った男――未だ語ろうとしていない。

私一人ならどうにかなると思っているなら……大間違いだ、とそういう意志を瞳に込めて、そのうさん臭い笑みを浮かべた顔を睨みつける。

 

「……まあ、確かにこういう姿を見られるのはなるべく少ない方がいいですね」

 

 それに大した反応も見せず、男は私の視線を因幡が飛び出していった襖の方に視線を向けることで流した――そちらは、外にいた兎がきちんと閉じている。

 

「さて……」

 それを確認し、男はゆっくりとこちらを見た。

 真っ直ぐと姿勢を正し、両足揃え、両手を前に、僅かに身体を前傾に傾けて――私へと向く。その目はこれまでよりもずっと真剣なもの。 

 

「ちょいと、面倒ごとに巻き込まれましてね――一応、こちらに類は及ばないように始末はつけてきたはずなんですが、完全とはいえないかもしれません」

 

 己はそれに関わっていたのだと、明かし――それについてを、報告する。

 やっとのことで、それを明かす。

 

 そして――

 

「すいませんでした」

 

 そういって、盛大に頭を下げた。

 それこそ、貴族に遜るそこらの民草と同じようにべたりと平伏し、本当に申し訳なさそうに。先ほどのものよりも丁寧で、より正式な姿勢で――謝罪の念を。

 

「……」

 

 何の悪意も見せず、それを表した。

 本当に『謝るしかない』とでも思っているように。

 

一瞬言葉に詰まり――

 

「……そんな言葉は」

「ええ、さっきも宣いました――が、何に対して謝るのかをはっきりさせていなかったので」

 もう一度と。

 

 返す私に、そういってから顔を上げる。

 姿勢を崩し「はい、おしまい」と、これ以上できることはないとでも言うように、頬をゆるませて。

 

「何を……」

「――これで」

 

 何をいっているのか。

 そう返そうとした私を制するように片手を上げて、男はその言葉の先をさらにと続ける――畳み込むように、口を回す。

 

「これで詫びになるとも思ってませんし、言葉だけで通じるとは思っていない――それでも」

 

 そう(・・)してもらっても構わない。

 後で責めたてられても仕方がない――そんな、諦観の覚悟を滲ませて、己の腕をまるで「持っていってもいい」というような形に差し出すようにしながら――それを語る。

 

「せめて、礼を尽くさせてからに」

「……」

 

 ぐっと握られた拳。伏せられた目。

 真剣な声を響かせて、真っ直ぐとこちらを見つめて――随分と真摯な様子に、私は。

 

「――ってことで、お願いします」

 

 何かを思い――かけたところに、その閉じられた拳がぱちんっと弾けた。

指と指、手のひらと指先が打ち合わされて音を鳴った。

 

 まるで、何かの合図のように。 

 

「あいよー」

 

 気の抜けた声と共に、ぱたんと襖が開いた。

 乱暴に蹴り開けられた空間から何かが飛んだ。

細長い楕円上の塊――男が持ってきた荷袋がそこから。

 

「――どうも」

 

 受け取って、ばさりと音がなる。ら流れるような仕草でその袋が剥がれる。

 

「……」

 

 先ほどと似たような軽業めいた動き。

 露わになるのは、その袋の同じ形の楕円と……細長く伸びた口の部分。どしりと床板に重さを響かせて置かれた胴体には、『酒』と荒々しい書体がその姿をそのままと現すように描かれている。

 古臭い器と、不器用な筆致。

 

「天と地の差を味わうには、絶好の品――まさしく、地の底から生まれた一品」

 

 あまりに単純に、乱暴に示される意志。

 優雅や優美といった概念はなく、ただ「呑め」という意味だけしかくみ取れない一品――洗練されたあの場所(月の都)とは、また違った意味で研ぎすまされている。

そう感じさせる一品を前に。

 

「……え、と」

 

 私は首を傾げた。

 どういうことかと、意味かわからなくなった。

 ぽかんとした私に、男はにっこりと笑う、襖の外を指指して――そこには、人数分の酒杯を持った兎が一匹。後ろに立つのは、勝手所に向かったはずの私の従者。

 

「向こうに置いてあったわよ――干菓子に塩魚」

 お酒のつまみにはぴったりね。

 

 そういって笑う私の教育係。

 

「……出禁を食らってからじゃ、こいつも開けられなくなってしまいますからね」

 どうせなら、これを楽しく味わってから。

 

のんぼりと平和な表情で。

男はそんなことを宣って――

 

「飲み干してからの判決を」

 

 どこまでも胡乱な表情で、私にそれを差し出した。

 何の解決にもならない解決策を愉しそうに受け渡した。

 

「あ……」

 

 ぷんと、荒々しい源酒の香り。

 何だか、それだけ酔っ払ってしまいそうな匂いが、そこから聞こえた。

 

 

 

 

 






 これで最後かもしれないけど、最後まで愉しく終えよう――そんな感じで誤魔化しているような気もしますが。まあ、いつも通りと。

 一話の予定でしたが、長くなってしまったので分割……冗長なのやもしれませんね。

 後半はなるべくはやく明日明後日中に――

 読了ありがとうございました。

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