インフィニット・ストラトス ~とある青年の夢~ 作:filidh
とりあえず温泉に入ると中はかなり広々としており、これを二人の貸切というのはかなり豪勢なものだった。
風情を感じる広々とした湯船に何よりも特徴的なのは海を見ながらゆっくりと入れるところだろう。
現在雲ひとつない星空とゆったりと波が押し寄せている海を見ながら入れる大浴場。
風呂にそれほど関心のある俺でなくてもテンションが上がるのだ。風呂好きの一夏からしてみれば天国…いや極楽みたいなものなんだろう。
先ほどまでの悩みなんて吹き飛んだように見える。
かなりうれしそうに湯船につかる。続くようにして俺も湯船につかる。
「~~ぁ…極楽…」
「お前本当に親父臭いな、むしろジジ臭いといったほうがいいのか?」
「あ~~今なら何言われても関係ないわ…好きに言ってくれ。」
「………シスコン一夏。」
「……まぁ許す。」
「おお!?意外!!」
「お前のことだから反応した時の対応既に考えてるんだろ?」
「…もうお前に教える事は何もない…免許皆伝だ。」
「なんのだよ。」
と言ってお互いにゆっくりと湯船につかる。
いやぁ…本当に気持ちがいいな。ぬるめの温度が体温に心地よく長く入っていられそうだ。
これは俺も風呂好きになりそうだな。
そんな感じでゆったりと風呂に入っていると一夏がふと何か聞いてくる。
「なぁ…奏。お前に聞きたいことあるんだけどいいか?」
「うん?スリーサイズ以外なら。」
「聞きたくもねぇよ。真面目な話し…なのかな?」
「……了解、千冬さんにも絶対に言わないから話してみろ。」
「いや、千冬姉のことでも無いんだ…でも誰にもこんな事聞いたって事も言わないでほしい。」
何?千冬さんの関係化と思ったが違ったか…
俺は真面目な顔をして話を聞く。
「解った、誰にも言わないから聞いてみろ、親友。」
「…いや、まずはじめにお前のことなんだけどさ、最近…って言うか初めと比べてお前とシャルロットって仲良くなってるよな?」
「ああ、もうシャルロットから一応告白まがいの事はされてる。」
「……そう…か?……え?……はぁああああああああああああ!?本当か!?」
叫びながら立ち上がる一夏。
俺は気にもせずそのまま話を続ける。
おおぴらにはっきりというのはこれが初めてになるのか。
「あ~…返事は待ってもらってるから付き合ってはいないけどな。」
「い、いや!?そっちじゃなくて!?いやそっちもだけどさ!?」
「落ち着け、時間はあるし俺もしっかりと答えるから。後この話しは広めるなよ?」
「え!?あ…おう。」
というとまた静かに湯船につかる。
いやぁ…一夏にすら勘付かれていたか…一応言い訳はいくつか考えていたがこいつから真面目に聞かれているのだ、はぐらかすような事はしたくない。
「落ち着いたか。」
「あ、ああ。……いつくらいから?」
「ラウラと戦った日の夕方辺りだな。」
「そんなに前なのか?……なんでお前はそう答えたんだ?」
「いろいろと理由はあったが…焦りたくなかったからかな?もっとアイツとは仲良くなってから俺は付き合いたかった。」
「……他の理由を聞いていいか?」
「…俺の身の上、現在の状況、さらに言うなら周りの目かな?だがそんなことよりもさっきの焦りたくないって感情が一番だな。」
「そうか……」
そう言って一夏は考える。
今度は俺が一夏にたずねてみる。
「突然そんなことを聞いてどうした。」
「い、いや……」
「…誰にも言わない約束が信じられないか?」
「違うんだ…自分でも良く解らないんだ…」
「口に適当に出してみろ。」
「……お前とシャルロットが元々仲がいい事は解ってた。最近よく一緒になって行動していることも知ってた。」
「おう。」
「それでお前にその事をどう思ってるのか聞いてみたかったんだ。」
「……俺がシャルロットのことをどう思って行動しているかか?」
「……ああ。」
「とりあえず悪くは思ってないな。自分にここまで純粋な好意を向けられれば悪い気はしないし。だからこそアイツへの答えはしっかりとしたものにしたい。」
「……それだけか?」
他になんていえばいいんだろうか…
まぁ正直に話したいし思っていることをそのまま話すか。
「う~ん…あとは『一緒にいたいから一緒にいる』じゃ駄目なのか?」
「でもそれは仲がいい友達と何が違うんだ?」
「他の奴にとられたくない。俺にとったらこれだけだな。」
「?女性しかいないIS学園なのにか。」
「そこじゃないんだ。俺の中の好きって言うのはそいつが他の奴と一緒になったらって考えた時、嫌になるかどうかだな。シャルロットの事は他の誰にも渡したくなかった、それだけだ。」
「………」
一夏は今一つ納得のいかない顔をしている。
しかしここまで突っ込んでくるという事は…
もしかしたらと思い一夏にいろいろと聞いてみることにした。
「お前もある程度気が付いてるんだろ?箒たちがお前に好意を持ってること。」
「……解らないんだ…どこからどこまでが好きなんだ?俺はお前のことも千冬姉のことも好きだしあいつらの事も好きだ。でもそれと何が違うんだ?」
「う~ん……具体的に何か違うか解らないなら、お前の頭の中ではまだ好きな人が居ないんじゃないか?多分本当に好きな相手ができればわかるものだと思うが…」
「でも!?あの四人は…」
「それはお前の感情とは何も関係ないだろ。お前があの四人の中で特別を作らないといけないわけじゃないんだ。」
「……」
「言っちゃえば街中で見かけた女性に特別な物を感じたらその人を好きになればいい。」
「……じゃあ四人はどうなるんだ?」
「それでおしまい、失恋だな。」
「……それでいいのか?」
「むしろそれ以外にどうするんだ?まさか重婚できる国にまで行ってお前のことを好きだって言う奴全員娶る気か?」
「………」
これに関しては皆笑顔って言うのは無理だ。
どこかで誰かが必ず泣かないといけない。
だが俺個人としては最後にみんなで笑いあえるようになりたいがな。
「よく恋は戦争とか言うけどある意味間違ってないと俺は思うぞ?どっちも負けられないし負けた後も続きはあるんだ、そこで終わりじゃないんだしな。」
「……」
「それに男は何も俺とお前だけじゃないんだ、それこそ女と同じ数ほどいる。」
「…それもそうだな…」
「まぁ…これは俺の恋愛観だ。お前にこうなれって言ってるわけじゃない。ただアドバイスを言うなら…」
「言うなら?」
「後悔しないようにしろ、すべてが終わった後ああしておけばよかったと後悔しないように自分で何をするか決めて動け。これくらいかな?」
「……」
「悩め青年。それがこの年代の特権だ!!」
そう言って思いっきり背中を押す。
思いっきり顔から温泉に突っ込む事になる一夏。
しばらく湯船に顔をつけた後ゆっくりと水面から顔を上げる一夏。
「……お前も同い年だろ。」
「設定上はね。」
「この年齢詐欺師が。」
「言ってろよ。」
と笑いながら話を終える。
『どこまでが恋愛の好きかがわからない』…か…
なんというか青臭いな~俺にもこんな時期が合ったんだろうか…
大切なのは相手の気持ちだけじゃなくて自分の気持ちだ。
相手のことが本当に好きかどうかも解らないのに受け入れるのはそれこそ最低な行いだ。
まぁ……本当は感情とまったく関係のないところでシャルロットとの告白から逃げた俺のほうが、人間として最悪だとは思うがな……
何を言おうと『俺はこの世界の住民ではない』し、この世界に来た原因もよく解らないんだ。
下手な話、いつここの世界に来たときのように、この世界から突然いなくなってもおかしくない…今夜、布団に入ったら気が付いたら元の世界に戻っているのでは?と最近は不安にもなる。
そんな状況で…俺が居なくなった世界はどうなるんだろう、もしこのまま俺がいた形跡が残りそのまま世界が動いていくのなら確実にシャルロットは俺の事を必死に探すだろう…立ち直るのに時間がとてつもなくかかるとは思う。
アイツの事を本当に考えるならあいつの想いには答えずに拒否するべきだったのだ。
だが俺にはそれができなかった、頭ではそう解っていても口に出す事はできなかった。
未熟というか…覚悟が決まりきっていないな…
だからこそ俺は一度もシャルロットに面と向かって好意をはっきりと向けられない。
好意を口に出す事ではなくその後が怖いのだ。シャルロットをより傷つける事になるのでは?と考えてしまう。
確証のないことで弱気になる自分を情けなく思いながら、一夏と二人悩みながら海を眺めゆっくりと湯船につかるのだった。
一方その頃私、シャルロットは箒たち四人と一緒に織斑先生と話しをしていた。
織斑先生は2本目の缶ビールを空けたところだ。
「しかしお前ら…奏にいい様に遊ばれてるみたいだな。」
「ち、織斑先生今回だけですよ!?」
「という事は普段はあまりいじられていないようだな。あと箒と凰、お前たちは私の名前の方が呼びやすいだろう。今だけは許してやる。」
という箒の反論を聞いた千冬さんは面白そうに笑いながらもう一度缶ビールを飲む。
その姿は普段の織斑先生ではなく一人の女性と言った感じだった。
………できればこうはなりたくない…
「デュノア、あとオルコット。お前たち今失礼な事考えなかったか?」
「「い、イエ!?」」
「まぁいいだろう。ではそろそろ本題に入るか……」
「本題とは一体なんでしょうか?」
ラウラが疑問を口に出す。
私たち全員訳がわからないといった顔をしている。
「ああ、単刀直入に聞こう。デュノアを除いたお前達、一夏のどこがいいんだ?」
「「「「なっ!!!!」」」」
「確かにあいつは役に立つ。家事は万能だしマッサージも上手いからな。」
顔が赤くなる四人とそれを面白そうに見ている織斑先生。
いつかソウが言っていたが織斑先生と一夏は根元のところですごい似てるらしい。
一夏は表に出すようにして織斑先生を誇っている。
織斑先生はあまり表には出さないけど心底一夏のことを自慢の弟だと思っていると言っていた。
確かに今の光景を見ると織斑先生は一夏のことを自慢したいのだろう。
私はその光景をみながら笑っている。
「どうだ欲しいか?」
「「「「くれるんですか!?」」」」
「誰がやるか。」
「「「「えぇ……」」」」
そう言って落ち込む4人を見て楽しそうに缶ビールを飲む。
なんというか本当においしそうに飲むなぁ…
「欲しいなら、奪ってみろ思春期。それぞれなんで一夏のことが好きか私に言えるか?」
「「「そ、それは…」」」
「教官!!私は嫁にしっかりと絶対に守ってくれると嘘もなく初めて言ってくれました!!それに私も嫁のことを考えるととても心がいっぱいになります!!」
「「「なっ!?」」」
とはっきりと織斑先生に向けて口にするラウラ。
周りの三人は唖然としている。それを見た織斑先生は悪い顔をしている。
「ほぅ…しっかりと言う事ができるのはボーデヴィッヒだけか。これは早くも決まったかもしれないな…」
「ほ、ほんとうですか!?教官!!」
「「「ちょ、ちょっと待ってください!!」」」
焦る三人。しかし織斑先生もひどい人だ。
別に織斑先生は一度も『しっかりといえたら一夏をやる』とは言っていないのだ。
今の『決まったかもしれない』という言葉も『何が』決まったかも言っていない。
一言言おうかと思ったが織斑先生は私のことをちらりと見て何か言いたそうにしている…たぶん言うなという事なんだろう。
私はとりあえずこくんとうなずいておく。
織斑先生が何か言う前にセシリアが話す。
「わたくしは一夏さんの強さと優しさに惹かれました!!普通無理だと思うところに全力で取り組む姿勢とあんな事を言った私のことを許すどころか、わ、わたくしを守るとも言ってくださいました!!こんな事を言ってくださったのは一夏さんが初めてでしたわ!!」
「次、凰。」
「わ、私!?私は…一夏の優しさと…あと…ううん!!全部!!」
「ぜ、全部って…ずるいですわよ!?それならわたくしだって――」
「そ、そうだ!!ずるいぞ!!」
と叫ぶセシリアとラウラ。
織斑先生はその姿を見ながら笑っている。
なんというか…普段の印象がガラッと変った。
一方鈴は顔を真っ赤にしながら反論している。
「本当なんだから仕方ないでしょ!?私は一夏の全部が好き!!鈍感なところも、優しいところも、強くあろうとする姿勢もぜぇぇぇんぶ好き!!」
「なんというか凰らしい答え方だな。では最後、箒。」
「わ、私は……一夏は私を私としてみてくれるからです。篠ノ之でもなく、ただの幼馴染の私という存在をしっかりとまっすぐ見てくれるからです。……いつか絶対『ただの幼馴染』をはずしてやります。」
「なるほど……これで全員か…」
としみじみとしながら3本目の缶ビールを開ける織斑先生。
一方四人はこれで一夏について進展があるのではと期待のまなざしを向けている。
それに気が付いた織斑先生はにやりと笑いながらとぼけたように話す。
「どうした?四人とも。お預けをくらった犬みたいな顔してるぞ?」
「い、いえ…」
「きょ教官…」
「さきほどの…」
「話は…」
「あん?……デュノア以外気が付かなかったようだな。デュノア教えてやれ。」
「え~っとね…皆。織斑先生は一度も言ったら一夏をあげるなんて言ってないよ?」
「「「「え?」」」」
「確かに一夏がほしければ奪ってみろとは言ったけど、その話はそこでおしまい。織斑先生はその後ただ一夏のどこが好きかしか聞いて無いんだよ?」
「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」」」
「はっ。騙される方が悪い。」
織斑先生はそう言いながらまたおいしそうに缶ビールを飲む。
四人は恨めしそうな顔で織斑先生をじぃっと見た後私に声をかける。
「シャルロット…気が付いてたなら教えなさいよ!!」
「だって織斑先生こっちを見てたんだもん…」
「さて何の事だ?」
「あ!!先生ひどい!!」
今度は私まで巻き込まれそうだ。
必死に逃げようとする私を見て織斑先生は笑う。
「奏に鍛えられているかと思ったがデュノアもまだまだだな。」
「奏さんにですか?」
「ああ、アイツははじめから私のことすら茶化してきたような奴だからな。」
「「「「「織斑先生(教官)を!?」」」」」
「ああ、初めの頃は私はただ馬鹿なことをするなと切って捨てていたんだがな、あんまりにもしつこくやってくるから切り返しの仕方も身についた。」
「だから千冬さん、一年前と比べてよく笑うようになったんだ…」
「確かに私も千冬さんがやわらかくなった気がしていたが…」
と感心したように驚く鈴と箒。
織斑先生は苦笑するようにして笑っている。
「確かにあまりにもバカらしくて笑う機会が増えたせいか自然と笑えるようになってきたな。あいつは一夏も巻き込んで私にいろいろやって来てな、いい加減懲りろと一度本気で注意した事もある。」
「……ソウはどうしたんですか?」
「困ったような顔をしながら拒否したよ。『せっかく一緒に暮してるんだから互いに笑ったほうが良いに決まってるじゃないですか。』だと。」
「なんというか……」
「奏兄らしいな…」
「しかもしっかりと『それにそんなにしかめっ面ばかりしてたら顔にしわが…一夏も本気で心配してるんですよ!?』などと真面目な顔で言ってオチをつけるバカだからな、アイツは。」
織斑先生は笑いながら言っているが私たちは固まる。
まさか……いくらソウでもそんな事をこの織斑先生に…
焦ったように聞く箒とあきれて口から言葉が漏れる鈴。
「ち、千冬さんにそれを言ったんですか!?」
「……アイツ何考えてるの?」
「ああ、思いっきり頭を殴ってやったよ。そしてあまりにもさっきまでの考えがくだらなくてしまって笑ってしまった。」
「そ、そうなんですか…」
「しかも次の日お詫びと言って顔パック用のシートマスクを私に頭を下げながら渡してきたからな。笑いながら殴り飛ばしてやったよ。」
「「「「「……」」」」」
千冬さんは笑いながら思い出すように話す。
私たちは完全に顔が引きつっていた。
まさか天下のブリュンヒルデの顔のしわを指摘して怒られ、さらにお詫びと言ってこんなふざけた事をするなんて恐らく今後ソウ以外には誰も現れないだろう。
「お前らはさっき一夏の事をいろいろ言っていたが奏は一夏以上の大馬鹿で、一夏以上に優しく誰にでも気を使い、そして誰よりも強いぞ。力だけでなく心もな。むしろ心の強さのほうが異常だ、私はアイツが弱音を吐いたのを見た事は一度しかない。アレだけいろいろ背負う奴なのにな…だからこそアイツの事を好きになるのは難しいんだろうよ。あまりにも距離が遠すぎる。」
「確かに…わたくしもどちらかと言えば奏さんの事は尊敬していると言ったほうが正しいですわね。あの考え方と強さはすごいと思っていますわ。」
「…私もはじめ奏にいろいろやっちゃったけど、全部笑ってたいした事ないって言うような奴だからね…あの瞬間、正直勝てないって思ったわ。」
「心の…強さか…」
としみじみと語るセシリアと鈴。そして何か考えている箒。
ラウラはなぜか自慢げな顔をしている。
それを見て私は少し笑ってしまった。これでは本当の兄妹みたいではないか。
ラウラだけでなく織斑先生のほうもだ。
お酒を片手に楽しそうに話す織斑先生を見ていると本当の姉妹のように仲がよさそうだ。
織斑先生は私のほうを見て話す。
「デュノアはアイツの事が好きらしいな。」
「はい…」
「苦労するぞ。これだけは確実にいえる。」
「……覚悟の上です。」
「そうか。まぁアイツは一夏と違い女心も多少はわかる。付き合う事さえ出来ればそこまで苦労しないだろう。」
「あ~……もういっちゃいました。」
「……はぁ?」
「いえ、ソウにはもう一応言葉で伝えて――」
「!?」
織斑先生はビールを飲んだ状態でむせる。
かろうじて噴き出さなかったが苦しそうにしている。
そしてしばらく咳き込んだかと思うと驚いた顔でこちらを向く。
「ほ、本当にか!?」
「え、は、ハイ……」
「それでアイツは何ていったんだ!?」
「…からかわれたあと『焦るな』とだけ…」
「お前はそこでなんと言った!?」
「わ、解ったとだけ言いました。」
「チィ!?ヘタレが!!そこはもっと押せば…いやこの場合ヘタレは奏の方か。アイツは一体何を考えているんだ!?」
「お、織斑先生!?」
と凄まじい剣幕で話を聞く織斑先生。
それに触発されるように周りの四人も納得がいかない顔をしている。
「本当です、千冬さん。男たるものしっかりと思いを告げられたら答えるべきだと!!」
「そうですわ!!話しに聞いたときには奏さんに一言言ってやろうかと思いましたわ!!」
「これに関しては奏兄が悪い。告白されたらしっかりと答えるのが礼儀だというのに…」
「アイツ多分こういうところはヘタレなんだわ。」
「まさか…一夏と同じような奴だとは思わなかったが…」
当の本人をおいて周りがヒートアップする。
止めようにも完全に私は蚊帳の外だ。
「奏さんは
「何!?奏の奴そんな事を言っていたのか!?」
「しかし奏兄が何も考えずにそんな答えをするだろうか…」
「もしかして本命が別に…」
……鈴の言葉であの時のブロンドの女性を思い出す。
確かにソウがあの時言った事は事実なんだろう…だが意図的に隠しているところもあるやも知れないのだ……現にソウは話しの内容やどのように話しているかは一切教えてくれなかった。
そう考えるとまたもや黒いものがおなかの辺りにたまってくる。
「ご、ごめんシャルロット!!冗談だからその顔はやめて!!」
「お、落ち着けシャルロット!!」
「なんだ?何があったか言ってみろボーデヴィッヒ。」
「はっ、了解しました教官。実は―――」
「ラウラさん、了解しないでください!!その話はシャルロットさんが!!」
こんな具合でハチャメチャな会話はソウと一夏が戻ってくるまで続いたのであった。
もしも人から、なぜ彼を愛したのかと問い詰められたら、「それは彼が彼であったから、私が私であったから」と答える以外には、何とも言いようがないように思う。
~モンテーニュ~
ちょっと真面目に自身の事を考える一夏と奏。
そして姦しい女性陣でしたwww
知らないうちに勝手に付き合ってる友人とか高校時代に実際いましたね。
しかも指摘すると恥ずかしげもなく
「ああ、付き合ってるよ?あれ?言ってなかったけ?」
とかほざきます。死ねばいいのに。
そいつのバレンタインデーに友人と一緒にロッカーの中をうまい棒だらけにしたのは良い思い出です。