インフィニット・ストラトス ~とある青年の夢~   作:filidh

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第五十話 VTシステム

俺の言葉を聞いて4人は固まる。

当たり前だろう先ほどまで慎重に行こうと言っていた奴が突然自分たちだけで助けると言いはじめたのだ。

簪が言葉を発する。

 

「でも先生たちが動いてるってさっき放送で!?」

「ああ、『ラウラをたすけるため』じゃなくて『ラウラごとあれを破壊する』ためにな。」

「え!?」

「っ本当か!?奏。」

「ああ、ドイツ軍のほうからも依頼があり、教師陣も対策がない場合そうするらしい。」

 

俺が情報を話す。

急がなければすぐさま教員部隊が来るだろう、そうなれば俺が介入する前にラウラの身が危ない。

 

「いわばラウラはある意味もう助けられないと判断されたらしい。」

「でも…」

「俺は認めないがな。諦めるか、人の命って言うのはそう簡単に切っていいものじゃない……それだけは絶対に間違ってない……」

「……ソウはどうする気なの?」

「あいつは現在千冬さんのデータを利用している。そしてアレはあんな姿でもISだ。ならば一夏の雪片弐型の零落白夜ならシールドも関係無しに斬り裂けるだろう……一夏、あのラウラを被っているものだけ斬り裂く事はできるか?」

「……相手が動く場合かなり難しい…動かなければ多分…いや絶対に決める。」

「零落白夜発動分のエネルギーはあるか?」

「全力で行くのはきついな……」

「じゃあ僕の方から持っていけばいいよ。」

 

シャルロットからの一言。

聞くところによると自身のISからラインを引いて一夏の方へエネルギーを送ることができるらしい。

 

「シャルロット……頼めるか?」

「うん、任せて。」

「あ、あの。」

「簪、どうした。」

「私の弐式も多分エネルギーを渡す事ができると思います。」

「……頼む。」

「はい!!解りました。」

 

二人が同時に一夏の方に向かい作業を開始した。

一方箒は落ち着かない様子で俺に声をかける。

 

「私は何をすればいい。」

「箒、お前に頼みたいのは一夏の突っ込むタイミングの見極めと一夏の質問に答えてやってくれ。一夏、お前は斬り方とか踏み込むタイミングを悩んだらすぐさま箒に聞け。」

「お前はどうするんだ?」

「全力で動きを止める。」

 

こいつは武器や敵対行動するものに反応して動く。

ならば俺ができるだけこいつと戦い隙を作り一夏が突っ込んだ瞬間に弾丸で動きを止める。

簪とシャルロットが作業をしているところを見て俺はあのシステムの下に向う。

ISを右腕部位外解除しながらだ。

 

「お、おい、奏何してるんだ!?」

「安心しろ全力を出すだけだ。」

『風音くん!!何をするつもりですか!?』

「え~っと通信がきてるのはわかるんですけど、何言ってるか聞こえません。電波悪いみたいですね。」

 

山田先生から通信が入る。

俺がおどけた調子で返すと今度は千冬さんの声がした。

 

『ふざけるな。早くその場から避難しろ。』

「聞こえませんね…俺たちはラウラを助けます、諦めません。俺はまだあいつとの約束も千冬さんとの約束も守っていませんので。」

『……許可できんぞ。』

「勝手にやります。」

『聞こえてるではないか、チャンスは一度だけだぞ。』

「……了解しました。」

 

そう言ってVSシステムの前に立つ。

近くで見るとかなりでかいがそれだけだ。

俺は挑発するように声をかける。

 

「おい鉄屑……っていうか鉄かどうかもわからんか…まぁお前のことなどどうでもいい。クラスメイトを返してもらうぞ。」

 

当然反応はない。

だが俺は気にせずに声をかける。

 

「ラウラ、聞こえないと思うが言わせてもらう。確かにお前の言うとおり世界は汚い。平然と人を裏切る人間もいれば意味も無く誰かを傷つける人間も確かにいる。むしろそういう人間の方が多いだろう。」

 

俺はただ言いたい事を口にする。

周りが聞いてようがラウラの聞こえてなかろうが知った事ではない。

 

「だがそれがどうした(・・・・・・・)!!俺やお前みたいな奴もそうならなきゃいけないわけでもないし、何より誰かにそうやるのを見過ごして言い訳じゃない!!」

 

そうだ、ヴァッシュ(あの人)は誰かを助けるためにあそこまで傷ついた、あがいた、諦めなかった。

まだまだ未熟で背中すら見えないほど遠くにいるがが目指す事だけは諦めない、目指しちゃいけないわけじゃない!!

 

「がんばってもなんともならない事があるなら一人で抱えるな!!せめて誰かに相談しろ、俺でもいい!!俺ができなくてもそこからまた誰かを頼ってでも必ず助けてやる!!」

 

ここにいる全員がお前を助ける事に文句を言わずに協力してくれた。

ここにいるやつらはお前の見た汚い人間じゃない。しっかりとお前を一人の人間としてみてくれる。

 

「だからそんな歪な力にしがみつかれてとりつかれるな!!離れられないなら今すぐそんな鉄屑ぶっ壊して引っ張り出してやるからよ!!」

 

そう言って俺は自身の銃を展開して鉄屑(VTシステム)に向ける。

途端に鉄屑(VTシステム)は俺に反応し、千冬さんの雪片によく似たブレードを振り下ろす。

 

「奏!!危ない!!」

「ソウ!!」

遅せぇよ(・・・・)。」

 

俺は焦ることなく銃を撃つ。

雪片の柄の同じ部分を正確に撃ち抜き、まるで見えない何かにはじかれたように雪片ははじけ飛ぶ。

俺は一切その場から動かずに再び鉄屑(VTシステム)の頭の部分に銃を向ける。

 

「どうした鉄屑。その程度で千冬さんのコピーを名乗るわけじゃないよな。」

 

聞こえているはずが無いのだが次の瞬間鉄屑(VTシステム)の連撃が始まる。

だがそのすべてが先ほどと同じように見えない何かにはじかれたようになる。

それどころかだんだん俺の撃ちだす弾丸が鉄屑(VTシステム)の胴体を除いたいたるところにも当たり始める。腕部や脚部に撃ちこんでみるが貫通とまではいかないがめり込んでいる…

俺の低威力の銃ですらこれなんだ…四十口径くらいで貫通できそうだな…

しかも胴体以外に弾が当たっても反応はなしか……

俺はそのまま動くことなく相手の斬撃を銃弾で防ぎつつ後ろにいる一夏たちに話しかける。

 

「箒!!胸の辺りにラウラの頭があると思うがどうだ!?」

「え?」

「ラウラがどこにいるかだよ!?俺は大体そこら辺だと思うんだが他の誰か正確に把握できないか!?」

「え……ああ。私も大体そこら辺だとおもうぞ…」

「そうか。一夏!!準備は終わったか!?」

「お、おう。」

「タイミングはそっちに任せる!!後は俺のことを気にせずに斬れ。」

「お前はどうするんだ?」

「安心しろ、かわす。」

 

そう言いながら斬撃を防ぎ続ける。

システムだからだろうかひたすらに千冬さんもどきの斬撃を繰り返す。

それはまるで通用していないのが認められずただただ暴れながら繰り返しているように感じられた。

 

「ラウラ、お前の力はこの程度じゃないだろ?正直さっきまでのお前の方が強かったぞ?」

 

恐らく俺の声は聞こえていないだろう。

それでも、もしかしたらという希望を持って話しかける。

 

「お前の尊敬する千冬さんの剣はな…誰かを守ろうという意思があるから重く、鋭いんだ。こんな鉄屑が再現したようなものじゃ足元にも及ばないぞ?」

 

実際にそうだろう。

あの時戦った全力じゃない千冬さんですらこの程度ではなかった。

確かに斬撃の速さも力強さもこっちの方が上だろう。

だが気圧されるあの迫力も無く、ただ単に何の意思も無くふるわれる斬撃なんて何も怖くない。

それよりだったらまだただの銃弾の方が早く力強い。

 

「どうした!!お前の尊敬する、目指す織斑千冬はこの程度なのか!?」

 

俺の叫びがラウラに届いたのか、それとも自身にプログラムがまったく予想もされない方法で防がれている事に対処できなかった鉄屑(VTシステム)のせいかは解らないが、確かに鉄屑(VTシステム)の動きが悪くなる。

 

「一夏!!今だ!!」

「おう!!」

 

箒のその声と同時に一夏が動く。

 

「零落白夜発動!!行くぞ!!奏。」

「解った一夏!!」

 

さて俺もこの一瞬で全力(・・)を出そう。

左手の腕部装甲も展開し一斉に銃弾を撃ち出す。

両腕から火花が散り、まさに壁のように銃弾が飛ぶ。

あの無人ISの時よりもさらに多くの弾丸が鉄屑(VTシステム)を襲う。

鉄屑(VTシステム)は雪片をはじかれ大の字のようになりただ胸を突き出していた。

 

「はぁぁぁぁああああああ!!」

 

かけ声と共に一夏の雪片弐型の一閃がはしる。

ラウラのいると言った辺りを正確に斬り裂いた。

次の瞬間、鉄屑(VTシステム)はまたもや稲妻を出しながらドロのようになっていく。

そして斬り裂かれた場所からこぼれ落ちるように倒れるラウラ…

しかしまだシステムは完全に死んでいるわけではないようで、またもやラウラを取り込もうと気を失っているラウラの体にまとわりつく。

 

「一夏!!引き出せ!!」

「ああ!!」

 

と言いラウラを引き出そうとする一夏。

だが鉄屑(VTシステム)は一夏ごとラウラを取り込もうとするように一夏にまとわりつく。

何か方法はないか!?と思い二人に接近するとラウラの後ろ辺りにISコアが見える…

一か八か、俺はそのままISコアを右手で握り思いっきり引き抜こうとする。

とたんに今まで一夏とラウラにまとわりついていた泥が俺の腕にまとわりつく。

おかげでラウラのことを助ける事は出来たが今度はこっちが危険だ。

元々さっきの無茶でもう俺のISは限界だ、稲妻をはしらせながら俺に抵抗する鉄屑(VTシステム)。そのまま鉄屑(VTシステム)は俺を飲み込んでいく。

ならば…

俺は一旦抵抗をやめ中に取り込まれていく。

 

「ソウ!!」

「奏さん!!」

「おい!!奏!!何やってる!!」

 

と声がするが俺は体のすべてを鉄屑(VTシステム)に取り込ませる。

 

「いい加減にしやがれ!!しつこいんだよ、鉄屑が!!」

 

次の瞬間内部でISを展開、はじけ飛ぶように鉄屑(VTシステム)のドロが散る。

その隙を逃さないようにコアをドロから引きちぎり自身にまだまとわりついている泥をブーストを使い無理やり引きちぎりながら飛び立つ。

機体のいたるところから火花が散り特に右腕なんてかろうじて動いているようなものだ。

だが残されたドロのようなパーツは核を失いそのまま地面に熔けるように崩れていった。

それを確認した後俺は地面に着地する。

ラウラのほうを確認すると一夏に抱きかかえられるようにしてしっかりと受け止められている。

これで一件落着かなぁ…とも思ったが、この後の千冬さんからの説教だな……

俺のISは全身から煙を噴き出し火花を散らしているどっからどうみても無茶しました!!って感じだし、千冬さんは最低でも命令違反をしたことの反省文を書かせるはずだ……また今日は徹夜かなぁ……控えめだといいなぁ…

とくだらない事を考えながらラウラ救出作戦はこうして幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事の結末って言うか俺のおこなった結果。

まずラウラの様態は怪我は一切無く体に別状は無いらしい。

極端に疲労したいたために一日のみ医務室で様子を見るのみに終わった。

 

さらに俺のIS、打鉄改―赤銅―は廃棄が決定した。

正確には廃棄ではなくそのISコアを今作っている俺の専用機に使うらしい。

その間俺は他の生徒と同じ扱いになるらしい。

まぁ愛着があった機体ではあるが、お世辞にもいい機体であるとは言えなかった…

が最後に俺の全力に答えて無茶をさせてしまった機体だ。

これからも俺と一緒に戦ってくれるのならばそれはそれで力強い。

 

鉄屑(VTシステム)については俺が一夏たちには伝えなかったためあいつらには口外しないようにという連絡のみで済んだ。

が俺は千冬さんにそれを知っていると言い、さらに緊急事態だったとはいえ『後で説明する』とまで言ったのだ。結局説明させられた後にこってりしぼられた。

まぁそれでもある程度は千冬さんも察してくれたらしく反省文は前回より少ない10枚で済んだ。

ドイツから詳しい説明は受けていないが恐らくラウラのISにおこなわれた鉄屑(VTシステム)の搭載処置はかなり短期間におこなわれたものなのではないだろうか?

元々実働部隊のISをいじって実験するなんてほとんど難しいだろう。

それをばれないようにおこなった結果、普段よりもゆるい設定になり、さらに設定も正確におこなえなかったためこのような結果になったのではないのだろうか…

ただこの事は聞くことはできない上に忘れなければいけないことだ…

またこんな事が無ければ(・・・・・・・・・・・)俺も関わるつもりは無い。

 

さらにこの大会はこのまま続けるのは中止になり一回戦のみおこなう事になったらしい。

その報告を聞いたときの一年部の風景は説明する必要も無いだろう。

 

話しは変るが俺の専用機の開発はある程度目処が立ったらしい。

どんな機体か聞いてみたが完成してからのお楽しみといわれた。

まぁ最低限全力で動けて銃が撃てれば何でも良いよ。

 

そしてもう一つの大切な問題がこれで解決した。

シャルロットについてだ。

現在開発されている俺の専用機はそれなりに強力なものになったらしく一応フランス政府側からはデュノア社の存続が許されたらしい。

ここで俺と契約を結んだデュノア社長の手腕も評価されたのではないかとも思う。

そこは正直どうでもいいのだがデュノア社長は早速反社長派を削っていっているらしい。

このまま行けば経営再建とまでは言わないが社内のすべてをデュノア社長が掌握できるのではないだろうか。

 

そうなると最早シャルロットの問題は無くなった。このまま狸理事長の許可をもらえればと思い行ってみるとすぐさま許可が下りた。

なんというか拍子抜けだったがそっちの方の処理は理事長がやってくれるらしい。

どういう風にけりをつけるかは解らないがシャルロットはある意味いろいろな秘密を知りすぎている。下手な扱いはされないだろう。

 

そんなことを考えている俺は今現在大浴場に入っている。

山田先生から許可をもらい一時間だけ自由に入れるのだ。

ただ一夏は俺より先に入った後先に上がって行った。

まぁ……それでも軽く50分近く入ってるんだけどなあいつ。

俺は残り5分の時間ギリギリまでゆっくり入ることにしていた。

俺は広い浴室の端でもたれかかるようにして上を向きながら顔にタオルを乗せ広々と湯船につかっていた。

 

「あ~久々の風呂はやっぱ良いわ……」

 

誰に言うわけでも無くつぶやく。

その瞬間浴室のドアが開く音がする。

だれかわからないが確実にヤバイ。

俺はそのままの姿勢で声を上げる。

 

「ちょっと、入ってますよ!?今は男子のみの時間だよ!?」

 

そう言っても浴室を歩く音は止まらない。

一夏か!?いやあいつの足音はもっと違ったはず。

それにここまで黙って入ってくる理由がない。

とうとう謎の人物が湯船につかる。

ここまで来ると最早あいつしかいないだろう。

 

「お前……何してるんだ、シャルロット。」

「っ!?…ぼ、僕もお風呂に入りたいなぁ~って。」

「いや、なら言えよ。俺上がるからさ。」

「い、いいよ。ソウに悪いしさ……」

「いや、そういう問題じゃないから。」

 

俺は一切動かずに声をかける。

この状況いろいろまずい。

まず俺はこの状況どうしようもない。あいつが動かない限り俺はここを出れない。

さらに俺が顔にタオルをかけているから見えないが向こうはある意味見たい放題だ。

まぁ湯船は入浴剤か何かで緑色で見えないんだけど……

あいつは何を考えて何を狙ってるんだ……

 

「シャルロット……」

「ど、どうしたのソウ…」

「……一体要求はなんだ?」

「どうしたの突然!?」

「それはこっちの台詞だ!!突然何考えてやがる!?」

「た、ただお風呂に入りたかっただけだよ。」

「クソ!!お前俺が言いたい事わかってそう言ってるだろ!?」

「ソウはどうして僕…ううん、私がこうしたか……わかる?」

 

お前……今それを言うのかよ…

ちょっといくらなんでもずるくないか?

だがお前がこういう行動をするのなら俺にだって考えはある。

 

「……大体はな。」

「っ……どうしてだと思った?」

「俺だって馬鹿じゃない。お前の考えていることだって解るつもりだ。」

「そっか……ねぇ…ソウから言ってくれる?」

「ああ……」

「……」

 

シャルロットお前は多分この後俺からの告白があると思っているのだろう。

だが俺はそんなことするつもりはない。

 

「そんなに俺の裸が見たかったのか……」

「………え?」

「いや、ここまでしてみたいんだったら言ってくれれば上半身くらいなら見せるぞ?」

「………」

「まぁ…お前がそういうスケベなのはなんとなく解っていた。ただ誰かを困らせてまでやるのはちょっとほめられないぞ?」

「……ソ…カ……」

「うん?どうした?」

「ソウのバカァァァアアアア!!」

 

その叫びの後桶がこちらに飛んできて綺麗に顎にヒットする。

結構痛いけどまぁ…これくらいは仕方ない。

俺は顔にタオルが落ちない様に押さえながら話をする。

 

「人に風呂桶を投げるものじゃないぞ~。」

「うるさいバカ!!」

「バカとはひどいな。お前がこんな事をする理由なんて他に――」

「もう!!ちょっとでも期待した自分が恥ずかしい。」

「何?ボディビルダーみたいな事すればよかった?」

「そこから離れてよ!!」

「……え?じゃあ何で入ってきたの!?」

「ちょっと!?私のことなんだと思ってたのソウ!!」

「男装してまで男の裸を見に来た女。」

「流石にひどいよそれ!!」

 

と一通り漫才をするように話した後同時に吹き出す。

一通り笑った後俺はシャルロットに話しかける。

 

「まぁ…真面目に言うとあまり焦るな。今はこれだけで勘弁してくれ。」

「……うん、解った、我慢する。……後もう一つ言いたい事があったんだ。」

「なんだ?」

「ソウ、私を助けるって言ってがんばったなって言ってくれた時、本当にうれしかった。最後までどんな時でも味方でいてくれるって言ってくれて本当に心強かった。」

「そっか……」

「助けてくれてありがとう。」

「…お前は助けられてくれたか……」

「うん……」

 

今度は気持ちいい沈黙だけが場を支配していた。

そうか、俺にも誰かをしっかりと助ける事ができたか。

そう考えれば今回の行動は無駄じゃなかったな…。

さて余韻に浸るのはここら辺にしておこう。

 

「シャルロット、すまんがそろそろ俺も上がりたいから出て行ってくれるか?」

「え?あ、うん!!ちょっと待って!?」

「急げよ?」

「解ったからちょっとせかさないで!?あ、イタっ!」

 

という言葉と滑ってしまったのかこけたような音がする。

危ないな…

 

「こけてるじゃないか……相変わらずそういうところはかわらずか?」

「もう、うるさいな!!」

 

結局時間ギリギリまで俺は湯船につかり着替え終わった頃には時間をオーバーしていた。

まぁその時誰も近くにいなかったから良しとしよう。

俺たち二人は湯船から上がった後ゆっくりと話しながら自身の部屋へと向った。

 

 

 

 

 

 

「今が最悪の状態」と言える間は、まだ最悪の状態ではない。

                              ~シェークスピア~




ということでVTシステムとの戦いはこれで終わりです。
もう少しで二巻終了になりますがもう少しお待ちください。
ではwww

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