インフィニット・ストラトス ~とある青年の夢~   作:filidh

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第三十一話 『再会』

意識が虚ろだ……

今俺はどこにいるんだ?

 

「~き~~~~ん嘘つ~~~~は~せん~~のー~す。~~~~た。」

 

ああ、なんだ。また夢をみているのか…

本当に久しぶりだなこの夢…

最初の約束はなんだったけ……

ああ、シャルロットとの再会だったな…

そういえばあいつはいま何をしているんだろう。全世界で俺結構有名になったけど……

あいつの耳には届いているのだろうか?

まぁいずれはいつか顔を出すつもりだ……その時に聞いてみよう。

 

「ねぇ……奏?も~一つ~束し~う?」

「うん?~?」

「あのね、次あった時~~~~~~~~~~」

 

 

夢が醒める、そういや何の約束したんだったけかな……

そう思いながら俺は目を覚ました。

 

 

 

 

時間は流れ朝食時、俺はみんなと飯を食いながら考えていた。

あの後シャルロットとした約束についてだ…何を言ったんだったけな?

出来ない約束はしない主義だから多分無茶はして無い……はず。

そう考えているとセシリアがこちらに話しかけてきた。

 

「奏さん、さっきから何をお考えで?」

「うん?ああ、たいしたことじゃないよ、ただ学年別トーナメント?だっけ、アレはどういうイベントなのかなぁ…って。」

「ああ、アレね確か専用機持ちも関係なしのトーナメント試合でしょ?何?あんたも出るの?」

 

と声をかけてくる鈴。

 

「まさか!?僕戦うのはイヤだっていってるでしょ?」

「あんたは本当によくわかんないわ……だったら何で訓練したりしてるのよ。」

「僕は落ちこぼれだからね、人の倍は練習しないと。」

 

と笑顔で返すと皆に白い目でみられた。解せぬ…

まぁ気にせずに今は飯を食べよう。

ただ箒が少し何か考えているな……ただ悪い事ではないようなので気に止めておくだけにしておこう。

しかし今日から専用機持ち以外は本格的にISに触れるわけか……

そこら辺は千冬さんも何か考えているだろう。俺が気にしても仕方が無い。

そして今日は何か原作でも大事なイベントがあったはずなんだが……なんだっただろうか…

やはりどんどん記憶に靄がかかってきているな、ただそのイベントに会えばそれは少しは晴れるんだが……そこら辺はやはり不便だな、何かしっかりと思い出す方法は無いのだろうか…

朝食を食べながら俺はそう考えていた。

 

 

 

 

 

 

鈴と別れみんなと教室の入るとクラスメイトたちが何か騒いでいた。

なんについてだか解らないがとりあえず挨拶だけはしておくか。

 

「やぁ、みんなおはよ。」

「おはよう、風音君。そういえば風音君のISスーツって見かけない型よね?どこの会社の奴?」

「あ~ごめん知らないんだ。これ研究者からもらった奴で僕のIS適正の低さを少しでも補うための奴らしいよ?」

「ふーん…ってことはやっぱりオーダーメイドなのか……あ、織斑君おはよう、ねぇねぇ織斑君のさ~」

 

話が一夏の方にずれた。

みんな今日のIS訓練が気になってしょうがないようだ。

みればISスーツのカタログをみて、かわいいだの性能的がいいだの高いだの安物だの話している。

そういや俺のISスーツはおっさんが『作ってみた』って言ってたけどまさか自作じゃ無いだろうな…

頭の中で針を持ちながらISスーツを縫い上げていくおっさんをイメージした。

実際はそうやって作るわけではないことは解っているがシュールな光景をイメージしてしまった。

しかし女子生徒たちの話が弾んでいるな…と思うといつの間にか山田先生が教卓に立ち話していた。

教室に入ってきたことにも気がつかないとは…今日はいろいろと調子が悪いのか?

今はISスーツの説明を終えたところだ、クラスメイトたちもへー、とうなずいている

 

「山ちゃん詳しい!」

「一応先生ですから。……って、や、山ちゃん?」

「山ぴー見直した!」

「今日が皆さんのスーツ申し込み開始日ですからね。ちゃんと予習してきてあるんです。えへん。……って、や、山ぴー?」

 

とニックネームで言われてえっ、と言った顔でおろおろしている。

確かもう既に7~8個はニックネームできてるんだっけ、山田先生。

しかし…山田先生もおろおろしてないでいやならやめてくれって言えば良いのに、ただ自身が生徒に慕われている感覚もするから強く言えないのだろう。

とりあえず山田先生に

『私にはちゃんと先生とつけてください。』

という言葉で一応落ち着いた。

先生、それだと『山ちゃん先生』とか『山ピー先生』になりません?

そんな事を考えていると千冬さんが教室に入ってきた。

 

「諸君、おはよう」

「「「「「おはようございます!」」」」」

 

とたんにクラス中が静かになる。

 

「今日からは本格的な実戦訓練を開始する。訓練機ではあるがISを使用しての授業になるので各人気を引き締めるように。各人のISスーツが届くまでは学校指定のものを使うので忘れないようにな。」

 

という千冬さんのお言葉。

最後の『忘れないようにな』が嫌に強調されていた。忘れたら一体どういうことになるのやら…

恐らくクラス中がそう思ったに違いない。

千冬さんもわざとそういう風に言ったんだろう。良し、と言った顔をして山田先生にバトンタッチした。

 

「では山田先生、ホームルームを。」

「は、はいっ、ええとですね、今日はなんと転校生を紹介します! しかも二名です!」

「「「「「「えええええっ!?」」」」」」

 

と声を上げるクラスメイト。

これがイベントか……二人の転校生、ここまで来て俺の頭の中にある記憶はいまだに霞がかかってままだ。

まぁ、顔でもみれば思い出すだろう。

しかしこちらの世界の俺の認識では来てもおかしくは無いと思っていたので叫ぶ事は無く、ただこれがどんなイベントになるかだけを考えていた。

すると居室のドアが開く音がして二人が入って来た。

まぁ顔をみれば思い出すだろうと思い、顔を二人に向けて……

 

 

 

 

……記憶を思い出すどころじゃ無くなった。

一人のちっこい方はいい、確かそいつは千冬さん関連というとこだけはすぐに思い出せた。

だがもう一人。男性生徒の制服を着ているがどっからどうみても顔がシャルロットにしか見えない…

え?何?俺とうとう変な病気になっちゃた?

それともまだ夢の中なの?

いや、もしかしたら他人の空似という可能性もある。

しかしその希望もすぐになくなる。

 

「はい。こちらに僕と同じ境遇の方々がいると聞いて本国より転入をしたシャルル・デュノア(・・・・)です。」

「き…」

「「「「「「キャァァァァァァァァァァァアアアアアア!!!」」」」」」

 

と叫ぶクラスメイト、一緒になって「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」と叫びたい衝動を何とか抑え考えた。

落ち着け、もしかしたら俺の記憶は既におかしくなっていて実は始めから『デュノアちゃん』は『デュノアくん』だったのかも……そんなはず無いだろ!?

シャルロット普通にスカートとかはいてたよな!?

え?何で?千歩譲ってお前がここに来るのは良い、百歩で男装で来るのも理由はなんとなくだがわからないでもない。

でもなんで偽名がそれ!?もっとがんばって考えて来いよ!?

『ル』と『ロット』の違いしかないじゃないか、それ!?

何、これ突っ込み待ちなの?実はドッキリでクラスメイト全員仕掛け人とかそういうのなの?

と思い疑心暗鬼に周りをみながら声を聞く。

 

「男子! 三人目の男子!」

「しかもうちのクラス!」

「美形! 守ってあげたくなる系の!」

「地球に生まれて良かった~~~!」

 

ああ、うん。相変わらずで逆に落ち着けたわ。

まぁ落ち着いたところで状況は変らないんだけどさ……

ああ、頭がイテェ……って言うかそうだ落ち着いて現世の記憶を思い出せ。

なんだったけ……えっと…シャルロットに関しては…落ち着いてから思い出そう。

今考えたらいろいろとツッコミどころが多過ぎて耐えられん。

俺は魂の抜けたような顔をしながらもう一人の少女の方を眺めた…

ああ、なんか自己紹介してるけど頭に入ってこないわ。

こいつの名前は『ラウラ・ボーデヴィッヒ』、ドイツのどっかの部隊の隊長さんで千冬さん関連。

もうそれで良いや、なんかもう思い出すのも煩わしい 。

もう俺に問題を持ち込まないでくれ。

そう思っているとそのラウラがこちらに来る。

 

「貴様が織斑一夏か?」

「……はい?」

 

いや一夏はあっちだろ?顔、結構千冬さんと似てるところあるし間違える事は無いだろ。

と思って教えようとした瞬間、突然のラウラのビンタ、俺は混乱していたためかかわす事すらせずヒット。

ビンタの勢いで椅子から落ちる。

 

「ぶべら!?」

「織斑一夏……私は認めない。貴様があの人の弟であるなど、認めるものか!!」

 

そう俺を見下しながら声をかけてくる……

クラスが微妙な空気に包まれた……

『ちょっと~叩く人、間違ってますよ~…やべ…なんて突っ込もう…って言うかそんな雰囲気じゃない…』

といった笑えば良いのか、それとも教えてあげれば良いのかわからない状態だ。

山田先生はおろおろしてるし千冬さんにいたっては頭を抱えながらもあきれている。

そんな中俺に声をかける奴が居た。

 

「大丈夫!?奏!!」

「え?あ、ハイ。」

 

と言って手を貸すデュノア。

お前ここで俺の名前言って良いの?

一応俺たち初対面じゃない?

しかしそのデュノアはそのままラウラに噛み付く。

 

「ボーデヴィッヒさん、なぜこんな事を。」

「貴様には関係ない、下がっていろデュノア。」

 

と険悪ムード。

とりあえずここは雰囲気をぶっ壊して終わらせよう。

そう思い俺はデュノアの手を借りて立ち上がり声をかける。

 

「ボーデヴィッヒさん、いろいろ言いたい事あるけど…とりあえず一言良いかい?」

「なんだ?」

「……一夏はそっち。」

 

そう言って俺は隣の席の一夏を指差す。

一夏はビビリながらも一応『どうも…』と言った感じだ。

クラスメイト&山田先生はこの後どうなる!?と言った感じだ。

一方ラウラは俺の顔をみた後一夏の顔をみてもう一度俺に声をかける。

 

「貴様……先ほど私が聞いたときはそうだといったではないか!?」

「い、いや。アレは君の突然の質問で聞き返す意味で言ったんだけど…勘違いさせちゃってごめんね?」

「っち、紛らわしい。」

 

そう言ってラウラは一夏の方に近づこうとする。

おい、まさかテイク2行く気か!?ライブでそれはアカンぞ。ネタもすべるし何より醒める。

 

「ちょ、ちょっと!?一夏を叩くのはなしで頼むよ。」

「邪魔だ、どけ。貴様には関係ないことだ。」

「いや、もう僕の事一回叩いたじゃないか、それで勘弁してよ。」

「邪魔だ、二度は言わない。」

 

もう二回目じゃね?と言った疑問は口にしない。

さてここで俺のカンが正しければ……

 

「ボーデヴィッヒ、いい加減にしろ。私の管理下で勝手をするとはどういうつもりだ。」

「………すいません、教官。」

「教官ではないと先ほど言ったはずだが?良いから席に着け。」

「はっ、了解しました。」

 

やはり千冬さんの止めが入った。

千冬さんの方をみると頭を抱えていた……

アレは問題生が入ってきたからあんな顔をしているわけじゃなさそうだな…

顔をみただけじゃ詳しくはわからないが……タイミングをみて聞いてみるか。

そう真面目な顔で話しているとデュノアくんがこちらに話しかけてくる。

 

「大丈夫かい?奏…君。」

「ええっと…デュノア…くんで良いのかな?さっきはありがとう。」

「どうって事無いよ。」

 

お前さっき呼び捨てにしてなかった?

まぁいいや、もういろいろあって俺は何も考えない事にした。

このまま流れに身を任せよう。

そう疲れ果ていろいろと諦める俺だった……

 

 

 

 

 

女は大きな危害は許すが、小さい侮辱は決して忘れない。

                                 ~T・ハリバートン~




ということでようやくメインヒロイン登場です!!
いやぁ~長かった……本当に。
ということでこれから物語が少しずつですが原作から離れ始めます。
では次の投稿まで~
読んでいただきありがとうございます。

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