インフィニット・ストラトス ~とある青年の夢~   作:filidh

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第十四話 クラス代表

クラス代表決定試合の翌日、俺は死んだような顔をしながら朝の時間を過していた。

近寄りがたい雰囲気が出ているのか一夏すら話しかけてこない。

何が有ったのかというと、あの試合の後寮の自室に戻り夕飯を食ってさて何をやろうかと考えている時に千冬(おに)が襲来したのである。

何かと思うと説教の続きが始まった。

逃げる事も出来ず俺は結局午前2時ほどまで説教を受けた。だが最後らへんは最早俺に対する愚痴のようになっていたが……まぁ気にしないで置こう。

これだけなら別にこんな風にはなりやしない、問題はその後である。反省文を朝のS.H.R(ショートホームルーム)までに2000文字×20枚。適当な事を書こう物なら確実にまた説教をされるだろう。

そう考え俺は睡眠時間も関係無しにペンをはしらせた。反省文を何とか書き上げた頃には既に6時半、つまり徹夜したのである。

ああ、もうこの文のなかに何度『生まれてきてごめんなさい』とか『息を吸ってスイマセン』とか『ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ』と永遠に書きたくなったことか。

いろいろと終えた俺は静かに自分の席に座りながら燃え尽きていたのだった。するとS.H.Rがそろそろ始まるのか先生がたが教室に入って来た。

千冬さんは俺を見るとふっと笑いながら話しかけてきた。

 

「風音、反省文の調子はどうだ?」

「自信作ですよ、多分ご満足いただけるものが書けたと思います、ゴメンナサイ。」

「そうか、それは楽しみだ。ちなみに一つ言っておこう。」

「なんでしょうか織斑先生、スイマセン。」

「お前の書いた反省文の内、私が気に入らなかった所のある紙はカウントされない。もちろん書き直しだ。」

「了解しました。許してください。」

「ええい、めんどくさいから話すときの最後に一々謝罪を入れるな!!」

「解りました……」

 

やっぱこの人ドSだ、絶対俺のことをいじめて楽しんでやがる。

そう考え俺は机にガクッと顔をつける。

一夏そんなかわいそうなものを見る目でこっちを見るなよ、本当に泣きたくなってくる。

そして山田先生が教壇に立つとS.H.Rが始まった。

 

「皆さんおはようございます。では、まずはじめの連絡として一年一組代表は織斑一夏くんに決定です。あ、一繋がりでいい感じですね!」

 

クラス内の女子生徒たちが騒ぎ出す。ああ、頭に響く。

隣を見ると一夏がきょとんとした顔をしている。そしてはっとしたような顔をして挙手をした。

 

「先生、質問です!!」

「はい、織斑くん。」

「なんで俺がクラス代表に選ばれたんですか!?勝ったのはセシリアですし、それに奏だって!?」

「それは――」

「わたくしが辞退したからですわ。」

 

と言いセシリアは席から立ち上がって教壇の近くに行きクラス全体を見るようにして話し始めた。

 

「わたくしはあの戦いで確かに勝つことが出来ましたわ、でも一夏さんはわずか一週間であそこまでわたくしに対し互角以上に戦う事ができましたわ。それにわたくしは頭に血が上っていたとはいえクラスメイトに対して言ってはいけないことを言ってしまいましたわ。今謝っても遅いかもしれませんが皆さんすみませんでした。」

 

そう言ってセシリアは深々と頭を下げてクラス全員に謝罪した。

 

「そんなことをした私がクラスの代表になる事などできませんわ。」

「セシリア……お前がそういうならわかったよ。みんなも許してあげてくれないか?俺からも頼む。」

「そういうことなら僕からもお願いするよ。」

 

そう言って俺たち二人も立ち上がり後ろを向き頭を下げた。

喧嘩をしていた当人たちがこうすれば回りも強くはいえないだろう。

一夏はそんなこと考えずに、ただ一緒に謝っただけだと思うけど。

クラスメートの反応も悪くないようだしこの問題はこれで大丈夫かな?

 

「ということでクラス代表は一夏で決定だね。良かったね。」

「いや、奏。なんでお前は入ってないんだよ。」

「僕のIS、改造機で現在も安定して無いから何時今回の試合と同じことになるか解らないからね。仕方ないでしょ。」

「畜生、お前狙ってやったわけじゃないよな?」

「そんなわけ無いだろ!?まぁがんばれよ。よっ!!クラス代表。」

 

一夏は心底うんざりした顔をしている。

ははは、どうだ途中いろいろと面倒な事になったが結果的には原作よりいい結果に終わったんじゃないか?だったらいいじゃないか一夏君。

俺がそう考えてニヤニヤしていると一夏もはっとした顔をした後、顔をにやっとさせた。こいつ何を考えやがった?

 

「先生、クラス代表に補佐をつける事は可能でしょうか?」

「ハイ、可能ですよ。ね、織斑先生。」

「ああ、前例が無いわけじゃないしな。」

「………おい、一夏さん?」

「風音 奏。クラス代表権限でお前をクラス代表補佐にする。」

「はぁ!?そんなことお前の勝手でできるはず無いだろ!?」

「いいえ、皆さんも問題ありませんよね?」

「セシリアさん!?」

「賛成!!」「そういえば二人の喧嘩を止めようとしてたしぴったりかも」「いいと思いますよ。」

「皆さ~ん!?」

 

クソ!!セシリアもニヤニヤしてやがるし他のクラスメイトもすごく乗り気だ。って言うか千冬さん俺のこと笑ってますよね?絶対。

そうだ!山田先生なら……ああ、あの顔はいい案だって顔だわ。

俺は一夏をにらむと今度は一夏が俺のことを見ながらニヤニヤしている。お前俺に面倒な事は押し付ける気満々だろ。

クラス全体が落ち着き始めると一夏はボソっと話し始めた

 

「しかしクラス代表戦か……」

「あ、それと一夏さん」

「はい?」

 

セシリアに声をかけられ気の抜けた返事をする一夏。

 

「一夏さんのIS訓練お手伝いさせてください。そうすればみるみるうちに成長を遂げ――」

<―バンッ―>

 

という机を叩く音がする見ると箒が机を叩いて立ち上がっていた。

箒はセシリアをにらみつけるように見つめセシリアもそれを余裕の態度で見つめている。

おお、女の戦いが勃発か!?

 

「あいにくだが、一夏の教官は足りている。私が、直接頼まれたからな。」

「あら、あなたはISランクCの篠ノ之さん。Aのわたくしに何かご用かしら?」

「ら、ランクは関係ない! 頼まれたのは私だ。い、一夏がどうしてもと助けてくれと懇願するからだ」

「え、箒ってランクCなのか……?」

「一夏、俺はDランクだぜ。」

「「「「「「「………え?」」」」」」」

「座れ、馬鹿ども。」

 

二人の女の戦いは俺のDランク発言によるクラス中の注目を集めた発言と千冬さんの出席簿アタックにより痛み分けで終了した。痛そうだな……

 

「お前たちのランクなどゴミだ。私からしたらどれも平等にひよっこだ。まだ殻も破れていない段階で優劣を付けようとするな。」

 

なんと千冬さんらしい情け容赦ないお言葉で。セシリアは何か言いたそうだが千冬さん相手じゃ何もいえないだろう。

 

「それに篠ノ之が言うようにランクなど強さ、優秀さとは関係が無い。今言ったようにオルコットをあそこまで追い詰めた風音はランクDだ。」

「どうも、このクラス一番の落ちこぼれです。」

「ふざけるな馬鹿者め。昨日のこいつの試合を見た者なら私の言っている事がわかるだろう。どんなにランクが高かろうと低かろうと大切なのは自身の戦い方とどれほど自身のことを理解しているかだ。だが馬鹿な無茶をしようものなら現在の風音のようになるぞ。」

「昨日から一切眠らず朝まで反省文書いてました。眠くて仕方がありません。」

「代表候補生でも一から勉強してもらうと前に言っただろう。くだらん揉め事は十代の特権だが、あいにく今は私の管轄時間だ。自重しろ。後風音、私の発言に補佐をしようとしているのか、それとも茶々を入れているのかどちらだ。」

「もちろん前者ですよ。」

「………まぁいいだろう。」

 

あぶねぇ、頭を無心にしてからかうのも楽じゃない。って言うかなんで俺こんなにがんばって茶々入れてるんだ?まぁいいか。

千冬さんはS.H.Rを終わらせるためか教壇の前に立った。

 

「クラス代表は織斑一夏。そしてその補佐に風音奏。全員異存はないな。」

 

はーいと言うクラス中からの返事で朝のS.H.Rは終了した。

 

 

 

 

S.H.R終了後俺は席に座りながら一夏と話していると、箒、セシリアに机を叩かれた。

一体どうしたと言うんだ?

 

「ど、どうしました?お二人とも。」

「どうしましたもこうしましたもありませんよ!!」

「奏、お前一体なんなんだ!?」

「箒もセシリアもおちついて?一夏なんだと思う?」

「いや、箒はお前の実力が良く解らなくてセシリアはお前が本当にランクDなのかの確認。」

「箒、僕の実力なんてただ逃げ回ることを目的に鍛えてるだけだ。」

 

と俺が言うとセシリアが口を出した。

 

「それにしては異常じゃありませんこと!?100m先の的でワンホールショットするような実力で何から逃げるつもりですの!?」

「奏~ワンホールショットって何だ?」

「弾丸で穴をあけた後その穴狙って弾を通す技の事。」

「………でたらめだな。」

 

箒は唖然として俺の見る。

 

「それにセシリアも俺がランクDなのかは本当。昨日の試合も不意打ちに機体性能で自分のフィールドで戦ったから勝てただけでまた戦ったらどうなるか解らないぞ?」

 

その俺の発言に今度は箒が反応した。

 

「……山田先生から聞いたのだがお前のISは、昨日始めからハイパーセンサーが働いていない上に普通ならまともに戦えない状況だったらしいじゃないか。」

「本当ですの!?」

「いや、途中からだって。それに山田先生も大げさに言ってるだけだって!!」

「ははは、奏は大変そうだな。」

「「一夏(さん)も何か言ってくれ(ください)!!」」

「………二人に一つだけ言うと、こいつのでたらめは今に始まった事じゃないんだ。つまり……」

「「つまり?」」

「諦めろ。」

「一夏、それじゃあ僕がでたらめみたいじゃないか。」

「「「お前(あなた)はでたらめだ(ですわ)、自覚しろ(しなさい)!!」」」

「……解せぬ。」

 

その後すぐに次の授業の先生が来て一日が始まった。

しかし何とか今回の事件は丸く収められた。原作だとここらへんどうまとめてたっけ…

まぁ俺が介入しているせいでもう普通には進まないんだ、静かに隠れてればいいんだろうけどそれは性に合わないからな。思い出せて何とかできれば介入しよう。静かに今後の予定を考えながら授業を受けた。

 

 

 

 

 

昨日より今日、今日より明日、明日より明後日、日々変わり続ける事が大切です。

                                  ~パスカル・バルボ~




ということでクラス代表決定試合はこれで終了とさせていただきます。
次からはセカンド幼馴染登場!!とさせたいのですが数話はさんでからになります。
では今回も読んでいただきありがとうございましたwww

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