インフィニット・ストラトス ~とある青年の夢~ 作:filidh
一夏を自分の部屋に送り出した後自分の机の上を見るとおそらく一夏がやってくれたのであろう、教科書のいたるところに用語が書いてある付箋が貼ってあるのを見かけた。
(あいつ多分、俺が箒と話してる間にこれやったんだろうなぁ…しかも送り出す時に俺に何も聞かないし。あいつこういうところは本当にイケメンだよな。)
と俺は一夏に感心しながらノートをまとめた。一夏のおかげかそれほど時間はかからず30分も経たない内にノートはまとめ終わった。
その後飯を食う気にもならなかったので俺はそのまま眠ることにした。
翌朝まだ朝日すら昇っていない時間に俺は目を覚ました。
欠伸をしながらも服をジャージに着替え部屋の外に行きランニングをしようとしてふと気が付く。
(この寮って朝は何時から外に出ていいんだ?)
時間を確認すると時刻はまだ午前4時にもなっていなかった。この時間に外にでて後に問題になったらそれはそれでいやだなぁ……
よし、今日は室内オンリーの静か目な奴でいこう。
そう考え俺はトレーニングを開始した。ゆっくりと柔軟をした後体中の筋肉を動かす。体に負荷をかけ続けるようにしっかりと動かし続けると時間は既に午前5時を回っていた。
(後1時間はアレをやってしめにしよう。初日からあんまり派手にやって問題おこしたくないし。)
そう考えながら俺は鞄から弾丸の入って無いリボルバーと財布から一枚のコインを取り出した。
リボルバーを片手でまっすぐ構えた後、先端にコインを置き目を閉じ集中する。
目を開けた瞬間、俺はリボルバーを腰の辺りまで下げ、すばやく元の位置まで構えなおした。当然コインは宙に浮くが、この動きをコインが下に動く前に終わらせる。これを1時間できる限りやり続けるのだ。
(っと…もうこんな時間か…前回に比べて+23回か……)
時計を見ると既に6時を過ぎていた。自身の今日の結果をふまえながら俺はとりあえずシャワーを浴びた。
身支度を整えいろいろと今日の準備をした後時計を確認すると6時45分ほど…少し早いが食堂に向かうかと考え部屋を出るのと同時に思いつく。
(どうせなら一夏たちも誘うか……食堂なら二人きりにはなれないから箒も許してくれるだろ、多分。)
思いついたら即実行。俺は一夏たちの部屋に向かった。
部屋の前に立つと昨日の事件の傷跡がくっきりと扉には残っていた。しかし一応修理はしたのか穴は内側から何かで覆われていた。
「一夏。いるか?僕だ、奏だ。」
「………」
「一夏?いないのか?」
「……ふぁ?」
「寝てるなら起きろ。もう少しで7時だぞ?」
「………おい!!箒!!起きろ!!」
「………どうしたんだ?一夏?」
「もう7時だ!!準備しないとやばいぞ!?」
「何!?ど、どうしよう?」
おお、あせっるな。
まぁ昨日いきなり知り合いとはいえ一緒の部屋に寝たんだ。緊張して眠れなかったって落ちだろう、きっと。
すこし声を笑せながら声をかける。
「一夏、箒。おはよう。扉越しじゃ何だから入っても良いか?」
「いいぞ!!ってか準備手伝ってくれ!?」
「一夏!?まずその……着替え終わるまで待ってて欲しい。」
「あ……奏ごめん!!ちょっと待って!!もう少し待ってくれ。」
俺はこらえくれず扉の前でクククッと笑っていた。
その後も室内から聞こえてくるいろいろな音と声を聞きながら俺は時間を潰した。
「あ~面白かった。」
「お前、他人事だから好き勝手言いやがって。」
何とか7時半には準備を終わらせた一夏たちは俺と共に食堂に向かっていた。
「おやおや?そんな事言ってもいいのかな?一夏君。今日僕が気まぐれで起こしに行かなければ今頃まだ寝てたんじゃないか?」
「くっ、そんな事は……」
「ほう、起きていたと?」
「…無理だな。ありがとう奏。」
「こういう時お前本当に素直だよな。まぁ気にするな。てか二人ともなんで寝坊なんて?」
「……一夏が帰ってきた後、ちょっと話して、その後部屋の片付けをやってたせいで遅くまで起きていたんだ。」
「そういうことか…」
そう語る箒の顔が少し微笑んでいたのを俺は見逃さずぼそぼそっと箒に話しかける。
「(何かいいことあったんだろ?)」
「(!!なぜそれを!?……お前の差し金か!!)」
「(何の事でしょう。でも良い目は見れたでしょ?それに笑いかけてあげた?)」
「(……ああ。)」
と言いながら赤くなる箒。こいつもこいつで一夏と違った意味でからかってて面白いな。やりすぎれば怒るとは思うけどな、そこら辺はさじ加減だ。
話していると一夏も気が付いたのかこちらに話しかけてきた。
「どうしたんだ?二人とも?」
「……なんでもない。」
「いや、ちょっと剣道について聞いてたんだ。」
「ふ~ん。そっか、箒はすごいからな。聞くだけでも何かつかめるかもしれないしな。」
おお、ほめられたのがうれしいのか箒がますます赤くなってる。
流石一夏さん!!こういうときのほめ方は一流だ!!
しかしこの後こうして立てたフラグを放置するのも一夏なのであった。
食堂に着くと俺たちは食券を買い注文をした。
箒と一夏は和食。俺も同じく和食にしたが食券3枚分である。
「……奏。お前はいつもこんなに食べるのか?」
「うん?ああ、成長期なんで。」
「箒、こいつはよく食うぞ。正直見てるだけで腹いっぱいになるくらい食う。」
「……そうなのか…」
箒は俺の食べる量に少し驚いていた。
一夏はいつもの事をわかっているのか気にせずに席を探していた。
俺も一緒に探してはいたがなかなか丁度良い席は見つからなかった。
「仕方ない散らばって食べよう。」
「そうだな。じゃあまた後で。」
「………」
箒は多分一夏と一緒に食べたかったのであろう、残念そうな顔をしていた。
こればっかりは俺もどうしようもないからなぁ、と考えていると俺と一夏に声がかかった。
「あ~~オリムーとカゼネだ~」
「うん?えっと……布仏さんだっけ?あと僕の名前はカザネだよ。」
「ってことは俺はオリムーか…て、どうしたの?」
「ううん。おはよ~って声かけただけ~」
うん、すっげえマイペース。
この子は布仏本音、同じクラスの女子生徒でキグルミ系マイペース女子、通称のほほんさん。今も狐みたいなキグルミを着ている。
おそらく一夏のどうしたの?はなぜキグルミを着ているかについても聞いているのだろうが、返答は帰ってこなかった。
そうだ、一応聞いてみよう。
「布仏さん、僕ら今、席探してるんだけどいいとこ知らない?」
「う~ん?じゃあ私たちと一緒に食べる?」
「いいのか?見つかったぞ箒!!」
「う、うん。」
喜んでるな、箒のやつ。わかりやすい性格してるな。
そしてそれに気が付かない一夏もよっぽどである。
そのまま俺たちがのほほんさんの後を付いて行くと端の方の席に二人の生徒が席を取っていた。
確かあの二人は……原作知識に該当はなし、昨日の自己紹介では『谷本癒子』と『夜竹さゆか』だったはず。
彼女たちは俺と一夏の姿を確認するとかなり驚いていた
「えぇ!?本音!!どうしたの!?」
「え、なんで織斑くんと風音くんが!?」
「え~、席を探してたから連れてきちゃった~、だめだった?」
「「むしろよくやった!!」」
一夏と箒はポカーンとしていたが俺は苦笑した。
とりあえず挨拶とかだけはやっておくか。
「え~っと谷本さんと夜竹さんであっていたかな?おはよう。突然押しかけてごめんね。僕たち席が見つからなくてさ。」
「いえいえいえ!!大丈夫!!」
「そうそう、ささ!!座って。」
「そっか。ありがとう。ほら一夏と箒も座りなよ。時間は過ぎていくぞ~」
「お、おう。」
「……わかった。」
そうやって俺たちは席に座り飯を食べ始めた。
「風音くんってたくさん食べるんだね。」
「私、見てるだけでお腹一杯なりそう。」
「あはは、成長期と言う事で見逃して頂戴。」
「オリムーはそんなに食べないんだね~。」
「そりゃ奏に比べりゃ食べない方さ。」
「へぇ~そういえば織斑くんと風音くんって中学時代からの友達なんだっけ。」
「ああ、奏とは中学三年からの付き合いでこっちの箒は幼馴染で小学4年生まで一緒だったんだ。」
「……そうだ。」
「通称『織斑夫婦』って呼ばれてたんだろ?」
「「「え!?」」」
俺が笑いながら一夏をからかうと、全員がびっくりし、その後一夏は顔を真っ赤にして否定してた。
「おい!!奏!!いきなりなんて事言いやがる!!っていうかお前そのころはいなかっただろうが!!」
「冗談だって、それにそんな事はなかったんだろ?」
「で、でだなその後箒が引っ越した後は連絡は取ってなくてここに来て再会したんだ。」
あ、こいつ逃げやがった。女子三人組もなんとなく察しているのかニヤニヤしている。
これはまた一夏をいじるネタが手に入ったかな?一応わかってはいるが箒の方をちらりと見る。
さっきまで一夏が女子と話していて面白くないような顔をしていたのに今はニコニコしている。
こいつは本当にわかりやすい奴だな……それでもわからない一夏はどれだけ鈍感というか唐変木というか、苦労するだろうなこいつを落とすのには。箒に少し同情するよ。
と考えながら飯を食べ終えた。
「ごちそうさんっと、じゃ皆さんまた教室で。」
「食べ終わるのもはやっ!?」
「もう食べたの!?」
「食べるのもはやいんだね~」
と驚く女子三人組。箒はもう少しで食べ終わりそうだけど一夏はまだまだだな。無駄だと思うけど注意はしておこう。
「みんなも早くしたほうがいいよ~後時間10分無いし。」
「「「「あ、…」」」」「ご馳走様」
「じゃ、じゃあ織斑君、また教室でね。」
「私たちもう食べ終わってるしね。じゃあね。」
「またね~オリムー。」
「ちょ、ちょっと。」
一夏に挨拶をしながら離れていく三人組。
「ほ、箒!?っていない!!」
「箒なら先に行ってるって言ってたぞ。」
「……奏、お前は置いていかないよな?」
「一夏……僕は織斑先生の指導(物理)はごめんだ。」
そう言って俺は一夏の願いを笑顔で切り捨てた。
後ろからいろいろと一夏の声が聞こえたが無視した。
結局一夏はホームルームにギリギリ遅刻し千冬さんに指導された。
あなたの友人があなたを裏切るようなことをしたからといって、
あなたは友人の悪口を人に語ってはならぬ。 長い間の友情がゼロになるから。
~ジョン・ミリントン・シング~
以上五話でした~
ここら辺でモブたちと絡み合わせないとこの後メインキャラしか絡まなくなってしまいそうなのでこうさせてもらいました。
しかしISのモブキャラの名前がほとんどわからんw
今回も読んでいただきありがとうございました~