インフィニット・ストラトス ~とある青年の夢~   作:filidh

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大変お待たせしました。


第九十四話 学校祭準備

話しは飛んでシャルロットとのデートから数日後。

俺は自室で、一夏と共に学園祭の出し物である『ご奉仕喫茶』のメニューを考えていた。

一応デート中に見つけた篠ノ之博士製のプラネタリウムについては伝えてある。

が、楯無いわく確認済みで、数年前に設計図が学園宛に届けられ、それを学園の方というか、理事長の方で製作したものらしい。

後、シャルロットとのデートに関してだが…まあ、うん。

楽しく終われたという事だけは言っておく。

まあ過去はともかく、今はメニュー製作をしているのだ。

俺は一夏の目の前に広げられたお菓子を目の前に企画の説明をする。

 

「ーーーって感じで、作り置きがきくカップケーキやパウンドケーキ、あー…あとクレープとかをメインにおいて、あとは数量限定でデコレーションケーキとちょっとした焼き菓子を数種類用意するつもりだ」

「……おう」

「材料については食堂の方でひいきにしてる業者があるらしいからそこから卸すつもりだ。余った材料やデザートについてもーー」

「ちょっとストップ。奏、頼むから止まってくれ」

 

そう言って一夏は俺を制止しながら頭を抱えている。

いったいどうしたと言うのだろうか?

頭を抱えたまま一夏は俺に話しかける。

 

「えっと……今俺が聞いてるのはクラスの出し物についての話しだったよな?」

「ああ、そうだよ?」

「で、なんで売り上げの予想からその後の処置。挙げ句の果てにメニューの試食会まで行ってるんだよ!?お前、店でも開くつもりか!?」

 

そう言って一夏は目の前にあるお菓子の山を恨めしそうに睨みつける。

一応パターンのマイナーチェンジも含めると約80種類のお菓子が一夏の前に広がっている。

一夏には全て最低でも一口は食べる様に言ってある。

最初は嬉しそうにわざわざ全部食べていたのだが20を超えたあたりで勢いが落ちていき、現在40種類目で止まっている。

 

「って言われても……店を開く様な物だろ?」

「ちげぇよ……学園祭とか学校祭とかでここまでやるのは絶対間違ってるだろ……」

「まぁ、IS学園だからな。ありとあらゆることが規格外じゃないと」

「………絶対それは違うだろ……」

 

そう言って一夏はがっくりと項垂れる。

うーん、最低でも後40種類は一口は食べて評価して欲しいんだが……

そんなことを考えていると部屋のドアが鳴る。

この叩き方は恐らく鈴だろう。

 

「一夏ー、奏ー。入るわよ?」

「ああ、空いてるから勝手に入ってくれ」

 

俺がそう言い終わる前にドアが開く。

予想していたとおり、まず初めに鈴、続いて箒、セシリア、ラウラ、簪、シャルロットの順で部屋に入ってくる。

椅子はギリギリ足りてるな。

俺は椅子を適当に並べていると彼女たちの驚きの声が上がる。

 

「一夏、何して……何!?このお菓子」

「まぁ!?これは奏さんが?」

「うん、学園祭の試食」

「……凄いです」

「和菓子は無いのか?」

 

口々に言葉を発するが、目線はお菓子に向けられたままである。

まあ、1名ほど別の意味でお菓子を確認しているみたいだが。

安心しろ、シャルロット。

ここにあるお菓子類は全て一度お前と作ったものばかりだ。

しばらくお菓子に目を奪われていた6人だったがようやく意識が戻って来たみたいで俺たちに話しかけてくる。

 

「ソウ、これってご奉仕喫茶のメニュー?」

「の試食会みたいなものさ」

「ここにあるもの全部がか?」

「……いや、本当はもっと多い……20個位は全部食ったからな……」

 

目の前にあるドーナツを恨めしそうに突きながら一夏がつぶやく。

その言葉に少し引き気味に鈴が俺につぶやくように話す。

 

「なんでそんなに作ってるのよ……」

「え?普通店を開くならこれくらいやるでしょ?」

「ふむ…日本の学園祭なるものをなめていたな……」

「うん、学生のお祭りでもここまでやるんだね」

「これが普通…日本のサービス業の良さの根底が見えた気がしますわ」

「「「「いや、普通じゃないから」」」」

 

俺のボケを真に受けた欧州3人娘に冷静なツッコミを入れる四人。

え?といった風に俺を含めた四人で驚いて見せるとツッコミ組は盛大にため息をついた。

その後ラウラは何事もなかったかのように俺にたずねる。

 

「ーーで、これ食べていい物なのか?」

「あー…手が付いてるやつなら良いよ」

「本当ですの?」

「やった!!2組のみんなに自慢してやろ」

「あ、でも学園祭の出し物になるならあまりバレない方がいいのでは」

 

思いついた様につぶやく簪に、『あっ』と言った様に気がつく鈴。

そこまで気にする事ないのだがと笑いながら俺は即答する。

 

「問題ない、問題ない。実際に出すヤツはもう少し違う感じで出すし、逆に宣伝になっていいくらいさ」

「あ、そうなの。だったらいっぱい食べて宣伝してあげるわよ」

 

そう言って目の前のお菓子たちを楽しそうに品定めする女の子がた。

やはり女性にとってケーキというものは特別なものなのだろうか?

それを見た一夏がボソッとつぶやく。

 

「……こんだけ食べたら俺もふと」

 

言葉を言い切る前に全員がISを一瞬で部分展開する。

みんなさん見事な物で、正確にそれぞれの武器が一夏に向けられている。

 

「一夏さん?」

「は、はい」

「何か聞こえた気がするんだけど」

「えー、あー」

「嫁よ、言ったか?うん?」

「い、いや……」

 

一夏は助けを求めて俺を見るが俺は全力で首を横に振る。

いや、今回は無理。

絶対に無理。

下手に手を出したら俺に飛び火する。

っていうか下手をしなくても飛び火する。

笑顔のまま一夏に詰め寄る6人。

笑顔とは本来、攻撃的な意味を持つだかなんだか…

まあなんにしても目の前の笑顔が本来の喜びを感じ取れる人はいないだろう。

しばらく笑顔で詰め寄られ、ある程度経った。

一夏は顔から汗をダラダラと流している。

一方俺は目の前で十字を切った。

すると全員が元の場所に戻った。

安心して深くため息をつく一夏だが、それを見ずに箒がボソッとつぶやく。

 

「次は無いぞ」

「っ……はい」

「全く…第一、私たちはあんたの訓練に付き合ってるんだから、早々そういう風になるわけないでしょ!!」

「全くですわ!!むしろこれくらい食べて当たり前ですわ!!」

 

ここで改めてみんな怒りをあらわにする。

今回に限っては落ち着かせることができるのは、俺だけだ。

普段は抑えに回ってくれる簪とシャルロットは今回はかなり怒ってる。

簪は無表情というより、氷のような表情で一夏を見ており、シャルロットに至っては笑顔のまま、背後に仁王が見える。

俺は引きつった笑いを浮かべながらみんなを落ち着かせる。

 

「わかったからみんな、落ち着こう。まずは目の前のお菓子を楽しんでくれ」

「じゃあ……ソウ、それとって」

 

頬を膨らませた不機嫌なシャルロットはぶっきらぼうに俺にそういう。

だが俺にしてみればそっちの方がまだいい。

感情を押し殺したような作り笑いをさせるくらいならこういう風に感情を溢れ出すくらいが…………いや、正直勘弁だわ。

彼女を怒らせて喜ぶ趣味はないし。

しかし、この空気はどうしたものか……

考えがまとまらないままシャルロットが指差すケーキを手に取る。

オレンジピールやレモンピールといった柑橘類の皮をラム酒と一緒に砂糖漬けにしたものを細かく刻んでガトーショコラの生地に混ぜ、タルト型に入れて焼き上げたお菓子。

タルト生地のサクサク感とガトーショコラのしっとりとしたチョコレート。

そこにガトーショコラに混ぜ込んだ柑橘類のさっぱりとした風味とやわらかく焼き上げたガトーショコラの後味が合わさり後味の良い味に仕上がっている。

『ガトーショコラ・タルト』。

俺の作るお菓子の中でも上位に入る作品だ。

柑橘類のピールの配合、オープンの温度、使用する酒の種類。

様々なところにこだわった俺の自信作だ。

実際店売りにするなら少し材料を削るが、まぁ試作で作る分には問題無いだろう。

そのタルトの一切れをシャルロットに渡そうとして、ふといたずらを思い浮かべる。

手に持った皿のタルトにフォークを入れ、一口大にする。

そしてそれをシャルロットに突きつける。

 

「了解、ほれ」

「え!?そ、ソウ!?」

 

突然の事態に焦るシャルロットと、呆然と驚く周り。

これだけでもいたずらは成功し、雰囲気は一気に入れ替わった。

俺はなんでも無いように笑顔を浮かべながらシャルロットに話しかける。

 

「うん?食べないのか?」

「ううん!!食べる!!」

 

と言いながら恐る恐る俺の差し出したタルトに口を近づける。そしてそのままタルトを口にし幸せそうな表情で口を動かす。

 

「うまいか?」

「うん……美味しい……」

 

いや、本当に幸せそうな顔だな。

さっきまで後ろにいた仁王もどこかに消えて、幸せそうな雰囲気が溢れ出てるわ。

そして周りもようやく意識を取り戻し、少し顔を赤くしながら俺をからかう。

 

「あーあ、見せつけてくれるわね」

「どう?羨ましい?」

「ハイハイ、ご馳走さまですわ。で、奏さん。本当に食べてよろしいので?」

「ああ、いいぞ」

 

と言い少し考えた後、ニヤリと邪悪な笑みを浮かべる。

これから起きるであろう事が俺の本当のいたずらだ。

一夏がうらめしそうにケーキを見ているのを横目に見つつ、これから起きるであろう騒ぎを思い浮かべて笑い出すのをこらえながら戦闘開始の合図を出す。

 

「一夏に最低でも一口食べさせてやってくれ。アーンとかやってもいいぞ?」

「「「「!?」」」」

 

この時四人に電流が走る。

一方、あまり関係のないシャルロットは俺のやろうとしていた事に気が付いたのか呆れているのかため息をつき、簪は苦笑いをしている。

そんなことは今の俺には気になりません。

既に四人は互いに牽制しあいながら一夏に詰め寄ろうとしている。

この部屋の中で現状がわからないのはこの超鈍感ぐらいだろう。

 

「奏……そんなことしてもらわなくてもちゃんと食べるよ」

「うん?そうか。それは悪かった」

 

そう言って俺は笑顔で一夏に謝る。

さて、ここからが本番だ。

先ほどの空気の読めない発言をしたおまえが悪いんだぞ、一夏。

そして俺と一夏が再び何か言う前に戦いは始まった。

 

「いえ、一夏さん?普段とは違う食べ方をすると沢山食べることができると聞きますわ」

 

始めに攻め込んできたのはセシリアか。

だが一夏にはその程度の押しは押してないのと同じだ。

 

「へーそうなんだ。でも俺はちゃんと全部たべ」

「私が聞いた話しだと食べる様に勧められるから、食べるスピードも変わるらしいわ」

 

案の定、かわされたと思ったがそこに鈴のインターセプトが入ったな。

一夏も状況がわかってきたのか顔が青い。

いや、多分その原因の理由については勘違いしたままだろうがな。

別にみんなお前が残すとは思ってないよ。

 

「いや、別に急いでいる訳じゃ……」

「一夏、時間は有限なんだ。こんな事は早く終わらせて別の事をするべきではないか?」

「うん?今日は訓練は休暇日だからゆっくりとしようと思って」

 

と言いながら三人で一夏に詰め寄る……?三人?

あれ、ラウラが攻めないって……

と思ってラウラの方を見るとうーんと唸りながらケーキを見定めていた。

しばらくしてロールケーキの皿を片手に持ち一口大に切り取ると、なんとそれを一夏に突きつけた。

 

「ほら、嫁。アーン」

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

ラウラ、まさかの抜け駆けである。

いや、一夏に対しては行動で素直に攻めるのが一番、このやり方が正解だ。

周りを気にせずにラウラはさらにケーキを一夏に押し付けていく。

 

「ちょっ!?ラウラ、食べるから押し付けるなよ!!」

「ほら、アーン」

 

そう言いながらラウラはフォークに刺さった一口大に切ったロールケーキを一夏に突き出す。

一夏は少し顔を赤くしながらケーキを食べる。

食べた瞬間三人はあっ、と言った顔をし、ラウラは満足気に頷いている。

 

「どうだ?うまいか?」

「うん、美味しいけどこれよりさっき食べたやつのほうが俺は良いかな?」

「うん?どれだ」

「えっと……その黒いやつ」

 

ふむ、チョコチップロールケーキは微妙だったかな?

俺が真面目にケーキについて考えている間にも4人はヒートアップしていく。

 

「一夏!!次はこれよ!!」

「いえ!!こちらの方が美味しいですわ!!」

「いや、これの方がいいはずだ!!」

「嫁、次はこっちを食べろ」

「ちょっと!?そ、奏!?」

 

一夏は4人にお菓子を突きつけられタジタジになり俺に助けを求める。

だが俺は自分から馬に蹴られる趣味はない。

シャルロットと簪、二人とゆっくりさせてもらおう。

 

「シャルロット、簪ちゃん。コレがアマレッティって言ってイタリアのメレンゲクッキーみたいなもの」

「へー…サクフワって感じで美味しい」

「こっちはなんなんですか?」

「ギモーヴって言うマシュマロみたいなお菓子さ。えーと……フランスの菓子でいいんだっけ?」

「うん、そうだよ」

「奏、お願いだ、無視しないでくれ!!」

 

お菓子を口元に押し付けられながら助けを求める一夏を横目に俺はシャルロットと簪と笑い会うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「ということでこれが学園祭のご奉仕喫茶のメニューです」

「ほう……手作りでいくのか?」

「はい。材料とか原価計算とか余った物のその後の処理とかは最後の資料にーーー」

 

というふうに俺はみんなと別れ現在職員室で千冬さんに余ったお菓子を食べてもらいながらご奉仕喫茶の現在状況の説明をしている。

本当は一夏も連れてくる予定だったのだが、現在ヤツは食い過ぎでダウンしている。

全種類を一口食べて評価をもらったのだが、その後も一夏は開放してもらえずずっとケーキを食べさせられ続けたのだ。

……俺のせいな気もしなくもないが、根本的な原因は一夏のせいだから俺に責任は無いと思う。

数分後、俺は一通り千冬さんに内容を説明し終えた。

 

「ーーーといった感じですかね。一応織斑先生の方でも材料費とかの確認をお願いします。あと内装に関してはセシリアと鷹月さんが主になってやってるんで、そっちの方は鷹月さんに確認を」

「ふむ……そっちの方もおまえに任せてもいいか、風音」

「えっ!?イヤー ボク ダト フアンヨウソ ガー」

 

と片言の日本語で逃げようとする。

正直面倒臭いので逃げれるものなら逃げたいのだ。

だが千冬さんには見抜かれていたようだ。

 

「おまえ面倒臭いと思っているだけだろう」

「はい」

 

少し睨むような目でピシャリといわれたので、俺も即答する。

千冬さんはため息をついた後に話しを続ける。

 

「わからんでも無いが、おまえは一応総括の担当者だろう。後、飾り付けの必要なものに関してもおまえの方が詳しいだろう」

「まぁ、そりゃズブの素人よりかは…」

「別におまえ一人に任せきりにするわけではない。ただある程度話しをまとめて私か山田先生に話してほしいというだけだ」

 

そう言う千冬さんの顔には疲れが見える。

何かあったのか?少し生意気かもしれ無いが踏み込んでみるか。

 

「了解です。後何かあったんですか?お疲れのようですけど」

「……まぁ、これは独り言だ」

 

そう言って千冬さんは目を閉じて話し続ける。

一体何があったというのだろうか……

 

「我が学園の、とある男子生徒と女子生徒が逢引をしてな」

「………………はい?」

 

いや、それって俺とシャルロット以外にいないだろ。

あの一夏(鈍感)が誰かとデートするとかありえないし。

だがこれは楯無さんから許可を得ていたから問題はなかったはず…一体何が問題だったんだ?

 

「その行為事態は問題無いのだがな、一部の馬鹿共がちょっかいを出してきてだな」

「ちょっかい?」

「週刊誌に載せようとしたり、相手の女の身元調査をしようとしたり、取材をしたいと私に許可を求めてきたりな」

「……えぇぇ……」

 

げんなりとした顔で俺は唖然とする。

正直そっちの方は想像してなかった。

いや、クラスメイトとか楯無さんのストーキングは予想してたよ?

でも週刊誌とか……っていうか俺と一夏に対してのそういった行為って禁止されてなかったけ?

俺は独り言だというのに疑問を口にしてしまう。

 

「でも俺に対しては…」

「そのとある男子生徒は取材禁止となっているがな、女子生徒のほうは違う」

「……ああ、なるほど」

「その女子生徒もとある事情で本国からの支援はあまり期待できん。いや、むしろ取材を受けたいと考えている節もある」

 

ああ、俺との関係を表にして、無国籍の俺を彼女と同じ国籍にしてあげようって感じで世論を動かそうってか?

んで、その守ってもらえない女子生徒(シャルロット)を取材から守ってるのが千冬さんってわけか。

……うわぁ…あたまが下がるな。

しかし、楯無さんがこの程度のこと想定して無いわけがないと思うんだが…

そんな考えも見抜かれていたらしいくため息をついた後に千冬さんは話しを続ける。

 

「その事を想定して動いてたヤツの本来の目的はスパイやルールを守ろうとしないものたちなどの『炙り出し』だ」

「……あのOSA…」

「喜べ風音。なかなかの大漁だったらしいぞ」

「それはようございました。で、大丈夫なんですか?その女子生徒は」

「ああ、安心しろ。とりあえずしつこいのは全員私が対応して切り捨てている」

 

鋭い目でそう言い捨てる千冬さん。

この人の威圧で切り捨てられたら再び取材をしたいと考える人はいないだろ。

だが一時期世間を騒がせたISの男性操縦者を別の方向から取材ができそうなのだ。

もし成功したらそれなりに収入は見込めるであろう。

フリーから大御所までいたるところからきてるんだろうな…後でなんか差入れを持ってくる事を心に決めた。

 

「そいつは一安心……後でなんか差入れします」

「……それなら教員分で頼む。今は落ち着いたが、特に山田先生など狙い目と思われているのか、一時期集中砲火を食らってる」

「了解です」

「……風音」

 

そう言って俺は職員室室を後にしようと席を立とうとすると千冬さんに声をかけられる。

表情は先ほどとは打って変わり、何か聞きたそうな顔だ。

 

「話しは変わるが、お前、あのプラネタリウムを見たらしいな」

「はい」

「変な事を聞くが……あれを見てどう思った?率直な感想が聞きたい」

「あれこれ篠ノ之博士の最高傑作ですね。多分あらゆる意味でISコアの正しい使い方だと思いました。もう、大興奮ですよ、本当に。あれ見た後しばらくシャルロットと二人でそれの話題しか出てきませんでしたし」

「……そうか。引き止めて悪かったな。もう行ってもいいぞ」

 

そう言うと千冬さんは柔らかい笑みを浮かべた。

千冬さんに別れを告げ職員室を出て考えながら歩く。

もしかしたらあれの発明に千冬さんも関わっていたのだろうか?

時期的にも問題はないし……

まあ、考えても答えは出てこないし、とりあえず鷹月と連絡をとって、装飾の方はどんな感じになっているか聞いてみるとするか。

俺は携帯を手に取り電話をしようと携帯を取り出す。

映った待ち受け画面には星空の中でシャルロットと二人で撮った写真が映っていた。

 

 

 

 

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ。

〜『星の王子さま』より〜




遅くなってすいませんでした!!
次の話も出来るだけ早くあげます。

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