Infinite possibility world ~ ver Highschool D×D   作:花極四季

8 / 46
ネタバレ:主人公とリアスしかいねぇ


第七話

修行の日々は、あっという間に終わりを告げた。

え、過程はどうしたって?

詳しく説明してたらいつまでも話が進まないだろうから、掻い摘んで話すよ。

 

まず、ペルソナの扱いに関しては、それなりに上達した。

具体的にどう、とは言えないけど、ウルスラグナで木場と互角に戦える程度には強くなったよ。

でも、それは僕を狙わないという前提で成り立っているから、ガチ戦闘だと話にもならないんだろうなぁ。

実際、あの速さは半端無い。格ゲーのスピードタイプレベルだわ。

因みに塔城さんとは戦っていない。理由としては、基本的に兵藤の訓練に掛かりっきりだったからである。

 

次に、僕自身の能力強化。

さっき言ったとおり、ペルソナがない僕は他の種族からすればお話にならない弱さだ。

だから、倒せとは言わなくても、ペルソナを発動できる隙を作ったり、敵の攻撃を捌けるようにならなければならない。

というわけで、木場と塔城さんにフルボッコされる毎日でした。

まぁ、佳境に入った頃には結構立ち回れるようになっていた。手加減されていたとはいえ、二人にペルソナなしで勝ったこともあるしね。

兵藤も同じように二人に挑んでいるけど、一回も勝ってなかった。

人間である僕が勝ってて悪魔である兵藤が一度も勝っていないからか、何か尊敬の眼差しで見られていた。

いや、僕は他の世界での経験もあるからなんとかなったのであって、明らかに身体裁きがなっていない兵藤と比べられても、ねぇ。

というか、兵藤は充分凄いよ。《赤龍帝の篭手》だっけ?あの《神器》、なんか攻撃力倍化出来るらしいじゃん?

十二回ぐらい倍化したら、山の一部を消し飛ばすレーザービーム出してたし。ぶっちゃけ勝てる気がしません。

ていうか、あれで上級悪魔レベルって、パワーインフレが酷すぎてやっていける気がしません。

 

その兵藤はといえば、アイツってスケベだったんだな。

こうして毎日顔を合わせ、行動を共にしている内にそういう側面を知ることが出来たのは、喜ぶべきなんだろうか。

でも、等身大の思春期の男らしいといえば、その通りなんだろう。

寧ろリアル友人に、お前は初すぎると突っ込まれたことがあるぐらいだから、僕の反応こそ異常なんだと思う。

まぁ、悪魔っていう欲望に忠実なイメージが強い種族に兵藤はぴったりなのは確かだ。

……そう考えると、リアスもそれに倣ってあんな発言をしたのだろうか。……いや、流石にないか。

ただし姫島、オメーは信用できん。

なんでアンタは別に怪我してもいないのに、夜寝ているときに部屋に来るんだ。

大抵はその奇行をミッテルトに察知され、事なきを得ているんだけど、気が気じゃなかったよ。

というか、ミッテルトも誘うな。アーシアと並ぶ僕の心の清涼剤なんだから、そういう道に染めないでくれ。

それさえなければ、献身的で良い奴なんだけどなぁ……。

あ、ミッテルトは同じ部屋で寝てます。当然、寝床は別だよ?

 

そのミッテルトだけど、最初は修行をすることを渋っていたけど、アーシアに絆されて結局参加してた。何でも、魔力のコントロールの練習だとか。

人間である僕は、あんな風に魔力を扱うことが出来ないから、ちょっといいなーとか思ったりもしたり。

その甲斐あってか、以前よりも槍の強度や作れる数が増えたと言っていた。思わずその喜びように頭を撫でてしまった。反省はしていない。

 

明日にはこの修行も終わる。

ちょっとした感慨深さを胸に、夜の森を歩く。

なんだかんだで、この修行は楽しかった。部活の合宿みたいな感じでさ。

 

「……零」

 

ふと、自分を呼ぶ声が聞こえたので、振り向く。

そこには、薄着で悠然と立つリアスの姿があった。

 

「……リアス、か。どうした」

 

「いえ、ちょっと気分転換に散歩をね」

 

それだけ答え、僕の隣に立つ。

風が靡き、紅の髪から漂うシャンプーの香りが鼻孔を擽る。

 

「明日で修行は終わりだな」

 

「そうね」

 

「……君達の修行は、《レーティングゲーム》に勝つためのものだと言ったよな?」

 

「ええ、そうよ」

 

「その《レーティングゲーム》と、君が以前私の家に訪れた際の発言は、関連性があるのか?」

 

つい、聞いてみてしまった。

言及する気はない、と修行の前は思っていたのに。

質問するに到ったのは恐らく、リアス達の修行の様子が起因している。

鬼気迫る、というか。ただゲームに勝つ、という目的であそこまで必死になれるか、と疑問に感じたから。

 

「どうして、そう思うの?」

 

「一見関連性のない二つだが、あまりにも突拍子がなさ過ぎるせいで逆に違和感を覚えた。《レーティングゲーム》がどういうものなのかは、姫島から聞いている。それだけの規模の催しが、昨日今日で取り決められるとは考えにくい。もし私の家に訪れた段階で決まっていたのであれば、それよりも前に話があっても良かった筈だ。少なくとも、勿体ぶる意味は無い。故に、もしそのような状況が起こりえるのであれば、余程の事態が裏で巻き起こっていると考えるのが自然じゃないか?そして、その余程の事態が、私の家での発言に繋がると踏んだ訳だ」

 

「……流石ね、そこまで考えつくなんて」

 

リアスは関した様子で、そう呟く。

 

「考える時間だけはあったからな。特別なことじゃない」

 

「ええ、正解よ。そこまで推理されたなら、答えない訳にはいかないわね」

 

呆れたように肩をすくめ、リアスは話し始める。

こんなこと考えているなら、修行しろとでも思われたのかな。

 

「私は《レーティングゲーム》でどうしても勝たなければならない相手がいるの。名前はライザー・フェニックス。私の婚約者であり、グレモリー家の婿養子になろうとする男よ」

 

「フェニックス……不死鳥か」

 

恐らく、知らない人はいないであろう、というぐらいには有名な火の鳥。

不死の代名詞であり、その涙は万病と傷を癒し、血は不老不死の薬。

悪魔としてのフェニックスが相手だとすれば……強敵であることは間違いない。

でも、それだけがあの鬼気迫る様子に繋がっているようには思えなかった。

……やはり、ライザーという男が関係しているのか。

 

「ええ。純粋な悪魔の血を絶やさない為に、親が決めた政略結婚のようなものよ。だから、彼との間に愛なんてないし、彼との結婚を容認する気も更々ない」

 

「それで、《レーティングゲーム》で解決しようとした、と」

 

リアスは僕の言葉に静かに頷く。

 

「《レーティングゲーム》は、実力主義の冥界では我が儘を通す為に、ごく当たり前に行われている決闘なの。勝者は爵位や地位も思うがまま。《レーティングゲーム》によって死者は出ないとはいえ、勝者が得られる価値を考えれば、戦争をしているのと何ら変わらないわ。……そして、今回私は、その勝者となることで婚約をご破算にしようとしているの」

 

……うん、取り敢えず要約しよう。

取り敢えず分かったのは、リアスはリアルではだいぶやんごとなき家柄の人間だということ。

更に、その家柄はこのままでは血が絶えてしまうほどに、縮小しているということ。

そして、リアルでの婚約という事情を、この世界のゲームで解決しようとしているのだということ。

 

……正直、予想外に重い話で、何と返せばいいか分からない。

最早世界規模で当たり前に浸透している《Infinite possibility world 》というゲームは、事実上の第二の人生を謳歌できる場所として、その価値を拡げている。

だからこそ、現実とゲームの境界を見極められず、同一の物として扱い人間も出てくる。

今回のように、リアルの問題をゲームによって解決する、という事例は決して珍しいことではない。

それが悪いとは言わない。問題を解決するという意味では、充分に平和的解決と言えるだろう。

――でも、今回のように人生を左右する程の出来事さえも、ゲームで解決するのは間違っていると思う。

リアスもライザーとやらも、同意の上で《レーティングゲーム》を受けたのだ。それなのに部外者が騒ぎ立てたところで、何の解決にもなりはしない。

理屈では分かる。でも、それが納得に繋がるかと言えば、別だ。

 

「……ねぇ、零。好きな人と結ばれるってどう思う?」

 

「そうだな。それはとても素晴らしいことだと思う。生涯を共にする相手なんだ。それこそ至上の喜びと言ってもいいだろう」

 

リアスは、近くの木に寄りかかり、俯く。

表情は、暗くて伺えない。

 

「でも、私にはそんな権利はありはしなかった。唯一の手段は、《レーティングゲーム》による勝利のみ。……お父様もお母様も、お兄様も。私の幸せなんて何一つ考えていない。あるのは、血を絶やさないという、格式や伝統を重んじるという意思だけ。――私だって、それが間違っているなんて言わないわ。でも同時に、それを強制される謂われはないと思っている。私は道具じゃなくて、悪魔よ」

 

語るリアスの姿は、とても弱々しくて、いつもの毅然とした態度がまるで嘘のように感じられた。

そんな様子を、僕は見ていられなかった。

 

「……ねぇ、零。もし私が負けたら、貴方はどうする?」

 

「そんなことを言うものではない」

 

「お願い。聞かせて」

 

懇願するように、縋るように、声を絞り出す。

今のリアスは、不安定だ。

本当に、ライザーとの結婚が嫌なのだろう。

でも、僕には何も出来ない。

僕は、無力だ。

 

「……もし、君が負けるようなことがあるなら、私は君を連れて逃げだそう。それが所詮一時凌ぎでしかないとしても、私に出来ることはそれくらいしかないからな」

 

例えこの世界でリアスを護ったところで、現実が変わる訳ではない。

でも、例えこの世界だけの出来事だとしても、何もしないで終わらせるなんて、絶対にしたくない。

 

「――ありがとう。それが聞けただけでも、充分だわ」

 

リアスは、俯いた表情を起き上がらせる。

彼女は、誰もが見惚れるような笑顔を、僕に向けていた。

 

「もう戻りましょう。明日は早いわ」

 

「そうだな」

 

そうして、問題は解決しないまま、僕達は修行を終える。

ミッテルトに心配されるぐらい、《レーティングゲーム》が行われているであろう間の僕は、暗い雰囲気を撒き散らしていたことだろう。

自宅でリアス達の勝利を祈り、吉報を待ち続けた僕の前に現れたのは――敗北の事実を報せにきた、アーシア・アルジェントだった。

 

 

 

 

 

明日、一ヶ月に渡る修行は終わりを告げる。

出来る限りのことはした。後は、私自身と下僕の力を信じるだけ。

――それでも、不安は拭えない。

当たり前だ。相手は《レーティングゲーム》経験豊富かつ常勝を誇る強豪、ライザー・フェニックスだ。

刻まれた敗北の数は接待によるもので、実力による敗北は一切無い。

対して、私達は《レーティングゲーム》の完全な素人。アドバンテージの差は歴然。

更には駒の数も倍以上差がある。はっきり言って、有利な点は何一つ無いと言ってもいい。

戦いの要となるであろうイッセーも、まだまだ発展途上の《兵士》。その爆発力に賭けているといえば聞こえは良いが、確実性の無い戦略はあってないようなものだ。

……でも、やらなければ、私の未来は潰えてしまう。

 

不安ばかりが募って、まるで眠れる気がしなかった。

気を紛らわせる為に、夜風に当たりに近隣の森に足を運ぶと、そこには有斗零がいた。

 

「……零」

 

思わず、小さく呟く。

それは夜の静寂に良く響き、零の耳に届く。

 

「……リアス、か。どうした」

 

振り向いた彼の姿はいつもと変わらぬ様子で、逆にその自然体な感じが私の不安を一時的に和らげてくれる。

彼の隣に立ち、同じ世界を見る。

 

「明日で修行は終わりだな」

 

「そうね」

 

「……君達の修行は、《レーティングゲーム》に勝つためのものだと言ったよな?」

 

「ええ、そうよ」

 

「その《レーティングゲーム》と、君が以前私の家に訪れた際の発言は、関連性があるのか?」

 

徐に始まった会話は、私の沈黙を持って一度区切られる。

 

「どうして、そう思うの?」

 

「一見関連性のない二つだが、あまりにも突拍子がなさ過ぎるせいで逆に違和感を覚えた。《レーティングゲーム》がどういうものなのかは、姫島から聞いている。それだけの規模の催しが、昨日今日で取り決められるとは考えにくい。もし私の家に訪れた段階で決まっていたのであれば、それよりも前に話があっても良かった筈だ。少なくとも、勿体ぶる意味は無い。故に、もしそのような状況が起こりえるのであれば、余程の事態が裏で巻き起こっていると考えるのが自然じゃないか?そして、その余程の事態が、私の家での発言に繋がると踏んだ訳だ」

 

……正直、驚いた。

矛盾も何もない、理に適った推理だというのもあるが、そんなことを考えていたという事実に、驚きを隠せなかった。

 

「……流石ね、そこまで考えつくなんて」

 

「考える時間だけはあったからな。特別なことじゃない」

 

本当に何でもないように、そう呟く。

 

正直、この修行を通して、彼のポテンシャルの高さには驚かされる日々だった。

ペルソナ――彼の《神器》の名称らしい――の戦闘能力は、駒の中で最速を誇る《騎士》の祐斗と互角に剣戟で渡り合うまでに成長。

零本人の戦闘能力にしたって、最初こそ祐斗や小猫に一方的にやられていたけど、回数を重ねるに連れて適切な対応を取るようになり、最終的には一本取ってしまったのだ。

昼による悪魔の弱体化に加え、そこに手加減が入っていたとはいえ、その事実は皆を驚愕させた。

下手をすれば、身体捌きだけならオカルト研究部の誰よりも優れているのではないか?と思いもした。

イッセーはその事実に悔しがると同時に、負けていられないとより奮起していたのは、嬉しい誤算といえた。

彼の潜在能力の高さは、これで良く分かった。

だからだろう。これぐらいの推理、彼にとっては本当に何でもないんだなと納得できてしまったのは。

 

「ええ、正解よ。そこまで推理されたなら、答えない訳にはいかないわね」

 

ここまでくれば、言い逃れは出来ない。

というよりも、言わずとも答えにさえ辿り着きかねないと思ったから、黙っている必要性がないと結論づけたのだ。

 

「私は《レーティングゲーム》でどうしても勝たなければならない相手がいるの。名前はライザー・フェニックス。私の婚約者であり、グレモリー家の婿養子になろうとする男よ」

 

「フェニックス……不死鳥か」

 

「ええ。純粋な悪魔の血を絶やさない為に、親が決めた政略結婚のようなものよ。だから、彼との間に愛なんてないし、彼との結婚を容認する気も更々ない」

 

「それで、《レーティングゲーム》で解決しようとした、と」

 

私は零の言葉に頷き返す。

 

「《レーティングゲーム》は、実力主義の冥界では我が儘を通す為に、ごく当たり前に行われている決闘なの。勝者は爵位や地位も思うがまま。《レーティングゲーム》によって死者は出ないとはいえ、勝者が得られる価値を考えれば、戦争をしているのと何ら変わらないわ。……そして、今回私は、その勝者となることで婚約をご破算にしようとしているの」

 

それきり、静かな空間が出来上がる。

彼は今、何を考えているのだろうか。

能面な表情からは、その心理を読み取れない。

 

「……ねぇ、零。好きな人と結ばれるってどう思う?」

 

この空気を壊すべく、再び私が口火を切る。

これは、イッセーにも問い掛けた疑問。

 

「そうだな。それはとても素晴らしいことだと思う。生涯を共にする相手なんだ。それこそ至上の喜びと言ってもいいだろう」

 

至極簡潔に、そう答える。

淡泊に聞こえるその言葉だけど、私には分かる。その言葉に、しっかりと存在する重みを。

柄にもなく感極まってきたこともあり、それを誤魔化すために近くの木に寄りかかり、顔を俯かせて表情を隠す。

 

「でも、私にはそんな権利はありはしなかった。唯一の手段は、《レーティングゲーム》による勝利のみ。……お父様もお母様も、お兄様も。私の幸せなんて何一つ考えていない。あるのは、血を絶やさないという、格式や伝統を重んじるという意思だけ。――私だって、それが間違っているなんて言わないわ。でも同時に、それを強制される謂われはないと思っている。私は道具じゃなくて、悪魔よ」

 

血を絶やさないことの重要性は分かる。

元とはいえ、72柱に属するグレモリーの家が積み重ねた血族としての価値は、それこそ個人の意思ひとつで動かして良い物ではないことも重々承知している。

グレモリーとしての誇りは持っているし、相応の努力もしてきた。

でも、こればかりは別。

グレモリーとして生きることも、その為の努力も、全部自分にとっての幸福に繋がると信じていたからこそ頑張れたし、励みにもなった。

だけど、この結婚は私が積み重ねてきた幸福理論をすべからく崩壊させる、最悪の手だ。

《王》として積み重ねてきた何もかもを、私は失ってしまう。好きでも何でもない男に人生を捧げるのと同時に。

納得できる訳がない。納得なんてしたくない。

 

「……ねぇ、零。もし私が負けたら、貴方はどうする?」

 

「そんなことを言うものではない」

 

「お願い。聞かせて」

 

彼の忠告を振り切り、再び問う。

どうしても、聞きたかった。

自分でも分かるぐらい、今の私はリアス・グレモリーらしくない。

だからこそ、この弱い状態だからこそ、こんな情けない質問が出来る。

……いや、違う。そうじゃないんだ。

本当のリアス・グレモリーはこっちで、普段の毅然とした自分こそ、仮面を被った姿なんだ。

これが、本来の私なんだ。

《王》として相応しい自分でいることに疲れてしまい、こうして駄目な私に戻っているだけ。

でも、眷属にはこんな姿は見せられない。

だけど、彼なら――有斗零というどこにも属さない人間相手なら、弱音も吐き出せる。

無理矢理な理屈だって分かっている。

でも、一度瓦解した堤防を直す間にも、水は溢れ出ていく。その間、せき止める為の土嚢は必要になる。

そして、その崩壊した堤防は私で、土嚢は彼。変な例えだが、関係を説明する分には適切と言えなくもない筈だ。

 

「……もし、君が負けるようなことがあるなら、私は君を連れて逃げだそう。それが所詮一時凌ぎでしかないとしても、私に出来ることはそれくらいしかないからな」

 

静かにそう語る零を、顔を上げて見据える。

いつもと変わらない表情に隠れた瞳の奥には、偽りのない本心が焼き付いていた。

その姿に、イッセーの姿が重なった。

地位とかそういうのを抜きにして、私を好きだと言ってくれた、大事な《兵士》を、彼に投影していた。

容姿も性格も何もかも違うのに、何でだろう。

 

「――ありがとう。それが聞けただけでも、充分だわ」

 

弱い自分は、もうここにはいない。

たったそれだけの言葉だけど。私を《王》として立ち上がらせるには、充分な言葉だった。

 

「もう戻りましょう。明日は早いわ」

 

「そうだな」

 

もう、迷いはない。

真っ向から向かって、全力を尽くす。最初からそうするしかないのだから、うじうじしていても仕方がない。

 

――――そんな決意を嘲笑うかのように、運命は残酷に廻る。

しかし、その残酷な運命は、新たな始まりとなる。

悪魔にも、天使にも、堕天使にも――果ては神にもなれる可能性を秘めた人間を中心に、世界は動くことになる。

 




Q:主人公悪魔に勝ってるけどいいの?
A:別の世界(オンゲー)で戦い方を把握しているから、単純な技量だけで言えばオカ研メンバーの誰よりも高い(という設定)。だから相手のパターンを把握出来たら先読みで勝てるって感じ。50回に1回勝てればいい方。カジャ系使えばだいぶ勝率上がるだろうけど。

Q:シリアスですね。主人公の視点も。
A:彼なりにこの世界に真面目に向き合っているという証拠でもあります。何せ経験豊富ですからね(意味深)

Q:あれ、これリアス主人公に靡く?
A:知らんな。

Q:作者はアトラスの悪魔シリーズどこまでやってるの?
A:ペルソナは全作品プレイ済。メガテンは初代女神転生、ストレンジジャーニー、デビチル黒の書、アバドン王、オーバークロックぐらいかな。マニアクスとかやってないんだぜ……実は。
思えば、私のメガテンの始まりは、黒の書だったなぁ。懐かしい。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。