Infinite possibility world ~ ver Highschool D×D   作:花極四季

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リカンツ=シーベリーは俺の嫁。
三峰真白は俺の嫁。
エドナ様に踏まれたい(ヴェネレイト・マイン
不知火に蔑まれたい(53cm艦首(酸素)魚雷
和泉森兼定は俺が嫁(目潰し


第二十九話

見知った青年、有斗零に導かれる形でひたすら荒野を駆け抜ける。

人間離れした身体能力は、恐らく彼の持つ力――ペルソナ能力に関与しているのだろう。

詳しいことは分からないが、敵である立場の自分が彼に手を取られ、逃避行をしていることだけは確かであり、それを振りほどくことなく受け入れている自分がいることもまた然り。

知人であると知っているからこそこうしていられる私だが、彼は果たして私があの黒猫だと知ってこのような行動を取っているのだろうか。

そうであるならば、何を考えてこのような行動を取ったのかを問いただしたいところだが、そうでないのならいらぬ情報を与えるだけに終わってしまう。

こんな出会いは予定にはない。そもそも、この姿で会うつもりなんてなかった。

あったとしても、せいぜい敵として立ちはだかるのが関の山だと踏んでいた。

だけど、現実はどうだ?

まるでこれでは、恋人同士の逢引のようではないか。

いや、実際には命懸けの逃走劇なのだが、あまりにも予想外なことが多すぎてシリアスになりきれていないといえばいいのだろうか。

……何を考えているんだ、私は。馬鹿馬鹿しい。

 

「……さて、ここらでいいか」

 

手頃な森林地帯に入り、身を隠すように隠れた私たちは、ようやく一息つく形となる。

 

「……ねぇ、いきなりこんな場所まで連れてきてどういうつもり?」

 

他人であることを前提にして話を切り出す。

零はそんな対応に、自然な態度で返してくる。

 

「差し迫った様子だったからな。無我夢中で走ってしまった」

 

「答えになってないんだけど」

 

「つまり、考えている暇なんかなかったということだ」

 

「無意識ってこと?」

 

「そうなるな」

 

本心なのか煙に巻いているのか、それさえもわからない。

そこにいるのに、まるで霧を掴むようにその存在は途方もなく感じる。

人間であり、悪魔や天使に限らず、白龍皇さえも退ける力を持つ青年。

時代が時代なら、英雄と呼ばれていたであろう。……その称号に取り憑かれている存在を知らない訳ではないが、それとは別の話。

 

「なにそれ、訳わかんない。私が危険人物かも、とか考えなかったの?」

 

「考える暇がなかったと言ったばかりだろうに」

 

「自分で間抜けを宣言しないでよ……。まぁいいわ。助けてくれたことには感謝してる、ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

それ以降、会話が途切れる。

詮索してくる様子はない。意図してのことか、興味がないのか。

どちらにしても、露骨すぎて気になって仕方がない。

 

「……で、貴方人間よね。こんな場所になんでいるの?」

 

これはさっきから抱いていた疑問だ。

事前の情報によれば、彼はリアス・グレモリー達とは今回行動を共にしておらず、ましてや冥界に行く手立ても伝手もない状態だったはず。

彼という存在は未だ未知数なので断定こそ出来ないが、少なくともこんな場所にたった一人で来る理由はないのではないだろうか。

 

「……さて、な。私自身、こんな場所に来る予定はなかった。強制的に連れられたんだ」

 

「なにそれ、そんな物好きがいるの?」

 

「今の私がいることが、何よりの証拠だ」

 

他人同士という前提での会話だからこそ、こんな言い方をしているが、事情を知る者からすれば決して考えられないことではない。

人間でありながら、悪魔、天使、堕天使を下す力を持つ彼は、知る者が知れば注目せずにはいられない存在だ。

そんな彼を一方的に転移させられるということは、その相手は途方もない強さを持つ存在ということになる。

そんな存在となれば、必然的に限られてくる。

 

「その連れてきた相手って、誰か知ってるの?」

 

「オーフィスと名乗っていたな」

 

聞いた瞬間、思わず目眩に襲われそうになる。

オーフィスって、禍の団のトップでうちの上司じゃないか。いや、上司と言っても窓際係長みたいな感じだけど、実力は本物だ。

無限を司る龍であり、夢幻を司るグレートレッドと対を為す最強の龍の一角。

お飾りとして君臨しているとはいえ、そのネームバリューに偽りはない。

そして、彼女はあらゆる事象に無関心を貫いており、自分が利用されている事実にさえそうであったというのに、有斗零はその例外となった。

それがどれだけ異常なことで、どれだけ異質なことか。

もしかせずとも、近い未来オーフィスは行動を起こすかもしれない。

それがどのような結果をもたらすかは分からない、が――禍の団がこれまで通り機能するとは思えない。

そんな組織にいつまでも身を置いていたところで、ろくなことは起きないだろう。

元々隠れ蓑に利用していたに過ぎない場所だ。離れることに未練はない。

 

「まぁ、それはいいわ。それより、帰るアテはあるの?」

 

「ないな」

 

「そんなことだろうと思った」

 

口にはするが、果たしてそうなのか?と疑問を抱かずにはいられない。

そもそも、冥界にいるのに人間が平然としていられる時点でおかしい。ペルソナ能力が何かしらの加護の役割を担っているのだろうか。

 

「じゃあ、私が転移で送ってあげる。とは言っても、さっきのいざこざで魔力が足りないから、数日待ってもらうことになるけど」

 

それは、半分嘘だ。

魔力は足りないのは事実だが、彼を送り届けるぐらいなら一日待たずとも回復する量で賄える。

自分でも、何でこんな半端な提案をしたのかが分からない。

未練があるとでも言うのだろうか、彼と別れることに。

 

「別にいいさ。文句を言える立場ではないし、そもそも言う理由がない。ありがとう」

 

そう彼は優しく笑みを浮かべる。

笑みと言っても、ほんの些細な表情筋の変化でしかない。一般的には笑顔と呼べない代物。

しかし、彼を知っている者からすれば如何に貴重な変化か。

その予想外の反応に、顔が少しだけ熱くなってくる。

 

「じゃ、じゃあこれからのことを考えないとね。しばらくは根無し草の放浪の旅になるけど、いいよね?如何にも温室育ちって感じだけど、文句は受け付けないから」

 

「分かっているさ」

 

そうして、二人だけのサバイバル生活が始まった。

犯罪者の自分は大手を振って人のいるところを歩けない為、仕方ないことではあるが、本当に彼は文句ひとつ言うことなく従ってくれた。

それどころか、野営などは率先して行ってくれるなど、現代人とは思えない手際の良さで私を助けてくれた。

こうして知れば知るほど長所ばかり出てくる人間なんて、そうはいない。

故に、ふと不気味に思う時もある。

悪魔だって欠点のひとつやふたつある。ましてや無機物でさえ、その例に漏れない。

不完全だからこそ、その存在を満たす為に互いに補い合い、補完し合う。

だからこそ、目の前の完全が恐ろしく思えてきて仕方がない。

……何を恐れているんだ、私は。数日で全貌が見えるなんて、そんな簡単なことが当たり前にあるなんて甘い話だ。

知らない人を前にすれば、自分を良く見せようとするのは普通なこと。それが今の今まで保っているに過ぎない。

そう思わないと、目の前の優しい青年を否定してしまいそうになるから。

 

「さて……そろそろ頃合いかな」

 

それは、何を決意しての言葉だったのだろうか。

自分から引き延ばしていた癖に、いざ都合が悪くなれば自分勝手に切り離す自分に嫌気が差す。

だけど、そんな愚かさを露呈してでも、彼を嫌いになりたくはなかった。

彼の傍で得られた安息が、たったその程度の事実で消えてなくなるなんて、許容できる筈がなかった。

 

「もういいのか?」

 

「ええ、十分よ」

 

私達は今、切り立った崖の下にいる。

周囲には森。僻地も僻地の獣道。ここでなら、安全に転移が出来る筈だ。

 

「じゃあ、準備するから待っててね」

 

確認を取り、転移陣を展開する。

私は転移魔法が得意ではない。と言うよりも、自分の中で完結しない魔法は専門外だ。

逆に仙術のような自己強化に重きを置いた力などは、得意中の得意だ。

そんな理由で、魔力があるからと言ってパッと始めてパッと終わるなんてことにはならないのだ。

長丁場になることは覚悟の上。そんなことは重要ではない。

先程から私の中で燻る嫌な予感。このまま作業を始めたら不味いと、警鐘を鳴らしている。

だけど、今を逃せば今度はいつになるかわからない。

ただでさえ私は指名手配されているのだ。あのような出来事を起こしてしまった手前、時間を掛ければ掛けるほど状況は不利になる。

だから恐らく、今が最大のチャンス。

 

作業も佳境に差し掛かった所だろうか。肌に張り付く嫌な感じが四方から私を襲う。

零も同じなのか、壁にもたれかかっていた身体を揺り起こす。

 

「……ほんと、嫌な予感ばっかり当たって、嫌になる」

 

森の中から、崖の上から現れるは、悪魔の群れ。

その数、見える範囲すべてが悪魔に満たされる程度。最早数えるのさえ億劫になるレベル。

 

「君目当て、かな」

 

「そうでしょうね。私、指名手配犯だし」

 

どこで嗅ぎ付けたのだろうか、なんてことは最早重要じゃない。

徒党を組んでのものか、同じ目的で集まっただけの烏合の衆か。どちらにせよ、厄介なことに変わりはない。

 

「戦えるか?」

 

「無理。もう解除できる段階じゃない」

 

転移とは、空間を超越して別の場所に移動する手段。

そんな力を使おうとしている相手に下手な刺激を与えれば、どうなるか。

制御を失い、転移の対象に見境をなくすことは想像に難くない。最悪、転移空間の狭間に永遠に束縛されるかもしれない。

 

「背水の陣、か」

 

「ただの絶体絶命だよ、これは」

 

普段の私なら、これぐらいの逆境跳ね除けるのは訳ない。

だが、逃げるも攻めるもできないこの状況を、絶体絶命と言わずとして何という。

 

「……貴方一人なら、逃げるぐらいできるでしょ。私に構わず、とっとと――」

 

私が言い終えるより早く、彼は私の目の前に庇うように立つ。

 

「見捨てるなら最初からしている。それに女性を盾にして逃げるぐらいなら、死んだ方がましだ」

 

――不覚にも、その言葉に心が揺れた。

思えば、こんな優しい言葉を掛けられたのはいつ以来か。いや、果たしてそんな時期があったのかさえ思い出せない。

物心ついた頃には親なんて上等なものがいなかった私は、妹と生きる為に悪魔と契約して、妹を守るために主を裏切り、妹と袂を分かち外道の道に生きることになった。

浅く思い返すだけでも、碌でもない人生であるのが分かる。

少なくとも、優しさなんてものとは無縁であった。

生きる為に利用し、利用されの繰り返し。

そんな虚しいだけの繋がりを受け入れているのも、私の判断が結果的に妹を苦しませることになったからだ。

ああするしかなかった、なんて言い訳にもならない。

そんな世界にいたのだ。自然と相手の言葉や行動の裏に隠された真意や黒い感情などを見抜く能力も身についていった。

そうしなければ、自らの身を滅ぼすから、そうなるしか道はなかった。

だからこそ、分かってしまう。

彼の言葉は、打算や謀とは無縁の、本気で私を想ってのものだということが。

 

「もう……勝手にしたらいいニャ」

 

言ってから、しまった、と思った。

気の緩みから、ついいつもの口調になってしまった。

 

「それが、君の素か?」

 

「あ、いや……」

 

「いいんじゃないか?似合ってる」

 

なんて場違いな発言をするものだから、余計に変な気分になる。

 

「さて、こんな状況だからこそ聞きたいんだが――君は堅実と博打、どちらが好きだ?」

 

「は?何を一体」

 

「いいから」

 

「……堅実、かな。リターンが多い見込みがあるならその限りじゃないけど」

 

いきなり要領を得ない質問をされたことに疑問を抱きながらも、素直に答える。

 

「リターンとは、具体的にはどれぐらいのものだ?」

 

「そうね……目の前の悪魔達を一瞬で蹴散らせるぐらいのリターンかしら」

 

その答えを聞いた途端、零はおもむろに手のひらを空に掲げる。

あの構えを、私は知っている。

 

「なら、期待に応えねばなるまいな。――トライアングル・スプレッド。ペルソナ!!」

 

三枚のタロットカードが零の眼前に集ったかと思うと、それをひとつに纏め、握りつぶした。

瞬間、膨大な力が彼の中心から溢れ出る。

その力の波のせいで、転移が中断されてしまうかと思ったほどだ。

そして彼の背後に現れたのは、白いコートと剣を携えた男の姿をしたペルソナだった。

 

「クルースニク、マハンマオン!」

 

クルースニクと呼ばれたペルソナは、地面に剣を突き立てる。

その瞬間、悪魔達の足元から光の柱が登り、身体に札らしきものが張り付いてく。

直感的に理解する。あれは――悪魔にとって良くないものだ。

光の柱に飲まれた悪魔達は、例外なく苦しみもがきだす。

その姿を見ているだけの私さえも、見ているだけで怖気を通り越して吐き気を催すレベルの不快感。

それなら、あの光を浴びた悪魔達の苦痛たるや、如何ほどのものか。

そうして間もなく、悪魔達は消滅した。文字通り、まるで最初からいなかったかのように消えたのだ。

 

「今のは、何?あいつらはどこにいったの?」

 

「死んだよ」

 

あまりもあっさりと。私の疑問は解決された。

 

「死んだ?あんな数の敵が、一瞬で?」

 

「先程の光は、破魔の力を宿しているんだ。相手を傷つけるのではなく、滅するのみの力だ。効果がなければ傷ひとつすらつけられない、使い時が限られるスキルなんだが……今回のような状況なら、殲滅効果が高く見込める。とはいえ、ここまであっさり終わるとは予想外だったがな」

 

何でもないように言う零の様子は、悪魔とはいえ幾多もの命を奪ったとは思えないほど淡々としており、再び彼に対しての恐怖が募り始めた――かと思いきや、何故か頼もしさが勝っていたのか、非常に落ち着いていた。

だけど、こんな力さえ所有していたなんて、情報にはなかった。

これで、下級悪魔程度なら徒党を組んで掛かったところで彼には絶対に敵わないことが証明された。

 

「ち、因みに今みたいな下級悪魔じゃなかったら、効果あるの?」

 

「分からない。弱点なら例え何者であろうと効果は見込める筈だが、その弱点を把握する術を私は持たないからな」

 

「そう……。後、あの破魔の力って、やっぱり天使とかには効かないのかな?如何にも神聖な力って感じがしたし」

 

「私はそう考えている。だが、この様子なら天使の類には呪殺が効くだろうから、別に問題はない」

 

呪殺、なんて物騒な言葉を聞く限り、あの光の柱の真逆の属性で同じ効果の魔法?もあるのだろう。

末恐ろしい、としか言えない。

そりゃあ、悪魔も天使も恐れないのも納得だ。

 

「はぁ、聞きたいことは沢山あるけど、転移の準備終わったよ。とっとと用意しなさい」

 

「そうか、ありがとう」

 

「お礼はいいから、とっとと始めるわよ。今の馬鹿みたいな光の柱のせいで、間違いなく様子見で誰かがこっちに来るから急がないといけないわ」

 

こちらの言い分に納得したのか、展開された魔法陣に乗る。

 

「じゃあね。願わくば、もう二度と会うことがないように祈るわ」

 

もし、出会うとすれば次は間違いなく敵同士になる。

こうして会話をして情が出来てしまった今では、そんな関係で相対するなんて無理だ。

それ以前に、あんな力を持っていると分かった以上、戦いたいと思うこと自体あり得ない。

 

「……またな」

 

そんな気持ちを知ってか知らずか、彼は転移の間際にそう言い残し、消えていった。

私は再び、一人になった。

だけど、何故だろうか。前のような心の中に吹きすさぶ冷たい風は感じられない。

むしろ、どこか暖かな春風のようなものを感じる。

 

「……さて、行かないと」

 

胸に去来する謎の感情を振りほどき、この場を離れた。

それでも、零のことが頭から離れることだけはなかった。

 

 

 

 

 

次に瞼を開いた時には、家の前にいた。

転移がどこに飛ばされるのかとか、そういった重要なことを聞かないまま転移しちゃったもんだから、どうなるか不安だったけど良かった。

ていうか、転移するときにここをイメージしたものだから、それが反映されたってことなのかな。

 

「ただい――ごっ!」

 

玄関のドアを開けた途端、腹部に走る衝撃。

その勢いで吹き飛んだ身体は、背後にあった塀の壁に激突する。

肺の空気を1CC残らず搾り取られた気分だ。今なら波紋も使えそう。

そんな危機感ゼロの思考をしながら顔を上げると、そこにはミッテルトが立っていた。

家の光を背にしているせいで、表情に影が差しており、顔色を窺うことは出来ない。

だが、その身体から発せられる殺意の波動のようなものが、彼女の怒りを体現していた。

 

「こん……の、ドあほぉ!!!どこ行ってたぁ!!!」

 

彼女から、今まで聞いたことないような怒号が発せられる。

 

「ミッテルト、近所、めいわ」

 

「黙れ」

 

今まで見たことないほどの鋭い眼光が突き刺さる。

一歩、一歩としっかりと地面を踏みしめてこちらに歩み寄ってくる。

また殴られるのか――そう覚悟を決めて目を閉じる。

だが、数秒待てど痛みは来ず。

その代わりに、顔面を覆う暖かな感触。

頭上から聞こえる、啜るような音と押し殺すような声。

 

「――ほんどに、じんばいじだんだがらぁ……!!ばがぁ!!」

 

今まで溜めてきた感情が爆発したのだろう。まるで子供のようにミッテルトは大声を上げて泣き始めた。

ここまでくれば、馬鹿でも分かる。彼女がこんな風になっているのは、自分のせいだと。

当たり前だ。毎日会っている相手が、何の前触れもなくいなくなったとなれば、心配もする。

それでも二日ならまだ、突然リアルが忙しくなって~っていうケースを考えるのが普通だけど、女神の如き優しさを持つ彼女のことだ。自分が事故にでもあったものだと気が気でなかったのだろう。

 

「さて――女性をここまで心配させて泣かせた最低君?何か申し開きはあるかな」

 

「……ゼノヴィアか。いいや、ないよ」

 

「潔くてよろしい。ミッテルトは一睡もせず、君を待っていたんだ。それを理解した上で、後は貴方次第だとだけ言っておく」

 

それだけ言い残し、後は僕達二人の問題だと言わんばかりに、ゼノヴィアは閉口した。

とはいえ、自分には正直どうすればいいか分からず、ただミッテルトが泣き止むのを待つことしか出来ないでいた。

 

「……二日よ。いきなり何の音沙汰もなくなって、リアス達は冥界にいるからソーナ達にも頼んで探してもらったけど一向に見つからなくて。もうどうすればいいか分かんなかった」

 

「…………」

 

「帰ってきたと思ったら平然としてたし、何食わぬ顔だったから、ムカついた。こっちがこんなに心配してたっていうのに、そんなだったらこっちだって怒りたくもなるわよ」

 

「……済まなかった」

 

「いいや、許さない。――絶対に、(はな)してやるもんか」

 

余計に抱き着く力が強くなる。

冷静になった今、自分の置かれた状況が如何に恥ずかしいかを嫌でも理解してしまう。

しかし、こうなったらミッテルトは梃子でも動かないのは、過去の経験で実感済みだ。

ゼノヴィアは間違いなく助けてくれないだろうし、僕は彼女が満足するまで、この恥辱に耐え続けるしかなかった。

……あれ、そういえばオーフィスって名前、どっかで聞いたような気がしたけど、どこだっけなぁ。

 





Q.さて――読者をここまで放置して豪遊に浸っていた最低君?何か申し開きはあるかな。
A.ないです。(開き直り)

Q.また合体ペルソナか(既存のペルソナの出番が)壊れるなぁ。
A.割とマジでただの合体素材でしかなくなってきた低レベルペルソナ達。インフレは零の役目、細かいペルソナはミッテルトの役目ってことで。

Q.なんで今更再開したの?
A.たまには自分の作品を読み返してみよう→あれ、意外と面白い……誰が書いてるんだろう→俺だった→なんかムカついたから投稿した。何が原動力になるかわからないね。

Q.待たせておいてこのクオリティか。
A.スランプだったのはマジだったので、勘弁してください。

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