Infinite possibility world ~ ver Highschool D×D   作:花極四季

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ネタ集めという名目で、メガテン4買ってきた。後は分かるな?


第九話

ライザーとの結婚を祝う披露宴は、イッセーと零が文字通り嵐の如く場を掻き乱し、遂には私を浚っていき、終局を迎えた。

そんな私は、今イッセーと零の間に挟まれる形で、逃げた先にいたグリフォンの背に乗っている。

 

思えば、色々なことがありすぎた。

イッセーが代償を払い《禁手》に至ったこと。そしてその代償となった左手は、龍の姿から元に戻らないまま。

零が私達の知らない《神器》の力を発揮したこと。いや、元々存在していたけど、私達に見せていなかっただけなのかもしれない。

そのどれもが劇的な出来事過ぎて、こうして落ち着いた状況になって尚、混乱が収まることはない。

でも、唯一理解していることもある。

 

「部長、どうしたんですか?」

 

「いいえ、何でもないわ。イッセー。――それより、貴方その腕、大丈夫なの?」

 

「はい。別に見た目が違うだけで、痛みとかそういうのはないですよ。あ、でもこれじゃあ箸とか持てないな」

 

「……もう、そうじゃないでしょう?」

 

「ハハハ。――でも、いいんです。この程度の代償で部長を助けられたんだから。まぁ、俺だけの力じゃあ助けられなかったから、本当に感謝しています、先輩」

 

私の大切な《兵士》が、命賭けで私を救い出してくれたこと。

 

「別に感謝されるほどのことはしていない。私だって、君がいなければなぶり殺しにされていただろうから、お相子だよ」

 

「零。それでも、貴方のお陰でこうしてここにいられるのも事実。だから、ありがとう」

 

そして、人間である筈の零が、悪魔の根城に乗り込み、あの時の約束を果たしてくれたこと。

でも、その事実さえ理解出来ていれば、今は充分だ。

 

「部長、俺……《禁手》になっても俺一人じゃ結局助け出せることは出来ませんでした。零先輩がいたから、ライザーの野郎にも勝つことが出来た。でも、それじゃ駄目なんです」

 

イッセーは私に向き合い、決意を言葉にする。

 

「俺、強くなります。あの時宣言したように、最強のポーンになって、部長を護れるような男になります!今はまだ頼りないかもしれませんが、絶対になってやります!」

 

「……ええ。貴方なら出来るわ、イッセー」

 

《赤龍帝の篭手》の《禁手》の強さは、目を見張るものがあった。

でも、それ以上に。その力があるからその通りになると思ったのではなく、イッセーのそのひたむきで強い意志が、私にそう思わせたのだ。

彼なら、その有り余る《神器》の力に溺れることなく、正しい道を歩んでくれると私は確信している。

 

「零。貴方が助けてくれたこと、あの時の口約束を本気で護ってくれたこと、とても嬉しかったわ。、でも、これ以上悪魔の問題に、自分の意思で関わらない方が良いわ。貴方に修行の参加を促したのは、あくまで貴方の自衛手段を強化するという目的のため。決して、貴方を争いに巻き込みたいと思ったからじゃないの。だから――」

 

「悪いが、謹んで断らせてもらおう」

 

私の言葉を遮るように、零はそう答えた。

 

「関わりたくないのならば、最初からこんなことはしていない。悪魔だから、人間だから。そんな理由で距離を開けて、失って後悔するぐらいなら、この《神器》は何のためにある?」

 

零は、《神器》を潰すときと同じように、空を掴む。

 

「私はこの力を得た時、その力の振るい方、つまり目的を持っていなかった。自分のため、誰のため、そのどれもが不鮮明で色を持っていなかった。最初に助けたいと思ったのはミッテルトだったが、私に《神器》の――この力とどう向き合い、どう扱っていくべきなのかを教えてくれたのは、リアス。君だ」

 

零は、ただ何もない夜空を見上げ続ける。

私も、それに釣られる形で首を後ろに擡げる。

その構図はどこか、あの口約束が行われた夜と似ていた。

 

「私は、強欲だからな。救いたいと思った人は余すところ無く救いたいんだ。その中には当然、リアスだって――オカルト研究部のみんなだって入っている。一ヶ月もの修行を共にしたんだ、最早他人とは言わせん」

 

そこまで言って、私の方へと振り返る。

その時の表情は、奇跡とも言える光景だった。

笑っていたのだ。それも、照れたように。

彼を知らない第三者ならその機微に気づけない程度の、些細な変化。

でも、私にはしっかりと区別できた。

胸の奥が、優しく締め付けられる感覚が走る。

この感覚、前にもどこかで――

 

「なんて偉そうなことを言ったが、私自身はただの人間に過ぎないがな。こんな特殊な事情でもない限り、私の出る幕などないだろうさ」

 

「――私としても、貴方の力に頼らないように強くなるつもりではあるわ。でも、その気持ちは有り難く受け取っておくわ」

 

「先輩、俺も部長を護れるようになるように強くなりますから、安心して下さい!今度は、代償なんて必要ないぐらいに強くなってやりますから!」

 

「そうか。それなら安心だな」

 

そんな会話をしていると、緊張が抜けたせいか、思わずあくびが漏れてしまう。

 

「気疲れが祟ったのだろう。今は休め」

 

「そうね、そうさせてもらうわ」

 

零の提案に乗り、その肩に頭を傾ける。

イッセーが何やら零にズルイとか何とか言っているけど、そんな五月蠅さも私には心地よかった。

 

……強くなりたいな。

私の閉ざされた世界を解放してくれた恩人の為に、今度は私がその助けになりたい。いや、ならなければならない。

私も、欲張りになろう。

私が大切にする者達を余すことなく救える強さを、手に入れてみせる。

 

 

 

 

 

いやー、一件落着?でいいのかな?とにかく終わった終わった。

イッセーとのリアス奪還作戦は、何とか大団円になったんじゃないかと僕は思うね。

取り敢えずライザーには相応の報いを受けてもらったし、サーゼクス・ルシファーを名乗るリアスの兄ちゃんにも言質貰ったし、多分アイツがこれ以上この問題で突っかかってくることはないだろう。

 

それにしても、流石はフェニックス。強い強い。

イッセーがなんか凄いことになってたのに、それでも死なないんだもん。タフ過ぎるだろ常識的に考えて……。

なんか誰か来たなー、とか思って自宅の扉開いたら、ベルベットルームなんだもの。もう、フラグにしか感じないって。

ペルソナは、イゴール曰く僕が絆を育んだ相手に性質が依存するらしく、それを選ぶことは出来ないとのこと。

でも、それは最初だけで、僕の成長次第では新たな形に変化し、より強大になっていくとのこと。

ゲームとかだと自由に作ってるイメージがあったけど、冷静に考えれば雑魚敵との戦闘とか、そういう概念がないから稼ぎとか出来ないもんね。そりゃ無理だ。

 

そんなんで手に入れたのが、魔術師がオロバス、恋愛がティターニア、運命がラケシスだった。

性質が依存している、って話だけど、どう依存しているんだろう。

イッセーは……性欲が馬並みっぽいからか?

アーシアは、妖精みたいなイメージは確かにあるから、何となく納得できる。

じゃあ、ミッテルトは?ラケシスのことは詳しくないけど、それが関係しているとか?

まぁ、分かんないなら分かんないでもいいんだけどさ。

問題は、この新しいペルソナでこれから起こるであろう問題に対抗出来るのか、ってことだった。

最悪、フェニックスと戦うかもしれないから、火炎耐性のペルソナがある欲しかったけど、あるのはラケシスの赤の壁ぐらいだったから、ちょいと不安だったけど、結果的に何とかなったっぽいし、良かった。

 

ぽい、なんて曖昧なことを言ってるのは何でかって?

……正直に話すと、ぶっちゃけライザーの火炎攻撃を喰らった辺りで、記憶途切れてるんだよね。

いつの間にか勝ってて、完全に意識が戻った時にはグリフォンに乗っていた。

ただ、記憶という形では漠然と頭の中に残ってたんだよね。意味分からん。

なんかいつの間にかベルフェゴールが手持ちにいるし……しかもかなりつええ。

明らかに実力不相応です、本当にありがとうございました。

なんでいるのかは知らんけど、使わない方がいいだろうねしばらくは。

 

あ、そうそう。ペルソナといえば、グリフォンで帰還している途中、コミュがひとつ解放されたんだよ。

アルカナは《女帝》。これはほぼ間違いなく、リアスのだろう。

立場的にあんまり関係は良好とは言えなかったから不安だったけど、どうやらリアスも僕を認めてくれたってことかな。

そういう意図で彼女を助けた訳ではないとはいえ、なんか打算めいた感じが自分の中にある感じで、ちょっと複雑。

 

そんな感じで謎は残ったものの、それ以外は別段問題もなく、リアスを助けられたという次第だ。

僕達は駒王学園のグラウンドにグリフォンを降ろし、そのまま別れた。

あのグリフォンどうするんだろう、とか思ったりもしたけど、考えても詮無きことだと忘れることにした。悪魔なら何とでも出来るべさ。

 

そうしてもう夜明け近い時間に自宅へと帰還する。

こんな時間に帰ってくるなんてこの世界じゃなかったし、新鮮だなぁ。

そんなことを考えながらドアを開けると――ミッテルトがそれを押し退けるように現れ、僕に抱きついてきた。

 

「ミッテルトか」

 

「ミッテルトか、じゃないッスよ!こんなボロボロになって、何本当に無茶してるッスか!」

 

涙目でそんなことを言ってくるもんだから、罪悪感により僕の寿命がストレスでマッハなんだが……。

 

「自分の信念を貫いた結果だ。悔いはない」

 

「それでレイが死んだら意味ないじゃないッスか!馬鹿、馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!」

 

ちょっ、痛い。堕天使のパワーで胸をポカポカしないでください。烈海王のグルグルパンチぐらいは強いと思うから。

 

「や、やめてくれ。痛い、痛いから」

 

「じゃあ――もう、無茶なんてしないでよ。お願い」

 

涙目の上目遣い、だと――!!

貴様、天然か知らぬが、何という一撃を放ちおる。

 

「……っ、善処しよう」

 

「それ、半ば破る前提の文句じゃないッスか!」

 

と、言われましても……はい、なんて口が裂けても言えないんだもん。

 

「――分かったッス。なら、こっちにも考えがあるッスよ」

 

そう呟きながら、僕の胸の中から離れるミッテルト。

なんか嫌な予感するけど、取り敢えずなるようにしかならない、よね?

 

 

 

 

 

「と、言うわけでウチとレイはこれからオカルト研究部の幽霊部員として参加するから、よっろしくぅ」

 

「……は?」

 

翌日。ミッテルトがオカルト研究部に用があるとのことだったので、放課後に連れて行ったら、開口一番リアスにそんなことを言い出したのだ。

因みにこの、は?は自分とリアスのものだったりする。

イッセーはマジで?みたいな顔で見てくるし、アーシアはすっごい嬉しそうにしているし、姫島はニコニコしてるし、木場は予想外だと言わんばかりに驚いてるし、小猫ちゃんは相変わらず無表情だし。

 

「待て、ミッテルト。それはどういう――」

 

「ウチだって悪魔の手なんか本当は借りたくないのが本音ッスけど、どうせレイはアンタ達の問題に首を突っ込んでいくのは明白だし、だったらいっそ半端な距離で面倒な手間かけるより、こうした方がレイの安全確保兼無茶しないための監視がしやすいと思ったからね」

 

「私としては、それは問題なんだけど……ミッテルト、貴方は本当にそれでいいのかしら?」

 

「そういう返しやめてくれないッスか?断腸の思いで決断したのに、決意が揺らぐ――」

 

そんな刺々しい言葉を遮るように、アーシアがミッテルトに抱きついた。

 

「嬉しいです!これでもっと一緒にいられますね!」

 

「ちょ――やめ、恥ずかしいったら!」

 

ぐいぐいと引きはがそうとするミッテルトの表情は、言葉とは裏腹に嬉しそうだった。

その様子を見て、微笑ましそうに笑みを浮かべるリアス。

 

「零、貴方はどうなの?話の流れとしては、完全に彼女の独断のように聞こえたんだけど」

 

「……そもそも、ただの人間が悪魔の集いに籍を置いていていいものなのか?」

 

「別にそんな堅苦しく考えなくていいのよ。確かに人間でいることに固執している貴方には、この場所は相応しくないなんて思いがあっても不思議ではないけれど、それ以前に私達は駒王学園の学生であり、同じクラスの仲間なのよ。そして、このオカルト研究部は駒王学園の部活動の一環なのよ?貴方が入って何か問題でも?」

 

何その理屈。そんなんでいいのか、おい。

 

「私としても、貴方達が入ってくれるのはとても嬉しいわ。それに、みんなだって歓迎してくれるわ、違う?」

 

リアスはオカ研メンバー全員を一瞥し、問いかける。

 

「俺は、断然歓迎しますよ!」

 

イッセーは力強く宣言する。

 

「私も、零先輩とミッテルトさんを拒む理由なんて何一つありません」

 

ミッテルトが諦めたことで、抱きつくことで全身で喜びを伝えているアーシア。

 

「私は、最初からこうなると予測していましたわ」

 

お前はどのポジションを狙っているんだ?と思いたくなるコメントありがとう、姫島。

 

「僕としましては、命を賭けて部長を助けてくれた先輩の入部を断る理由はありませんし、その先輩が命を賭けて救ったミッテルトさんにも同じことが言えます」

 

優等生丸出しな回答をする木場。

 

「別に異論はありません」

 

こんなときぐらいお菓子食べるの止めようね、小猫ちゃん。

 

「だ、そうよ?後は、貴方次第ね」

 

逃げることは出来ないわよ?とでも言わんばかりの笑顔で、そうリアスは答える。

 

「――そんな言い方されては、断れないではないか」

 

「じゃあ――いいのね?」

 

「別に、嫌がらせがしたいが為に関係を結ぶことを渋っている訳ではない。君達がいいというのであれば、拒否する理由はない」

 

そう答えると、何故かリアスは小さく笑う。

 

「コホン。――改めてようこそ、オカルト研究部へ。歓迎するわ、今度は仲間として、ね」

 

「ああ。今後ともよろしく、みんな」

 

悪魔の翼の代わりに、今度は笑顔で初めての出逢いを再現する。

こうして僕はオカルト研究部の一員になった。

 

 

我は汝……汝は我……

汝、新たなる絆を見出したり……

 

絆は即ち、まことを知る一歩なり。

 

汝、《愚者》のペルソナを生み出せし時、

我ら、更なる力の祝福を与えん……

 

 

頭の中に響く声に、驚愕する。

まさか、オカルト研究部に入ることがフラグだったとは。

でも、冷静に考えれば《愚者》は総じて仲間との絆の象徴だったね。

ということは、これって悪魔に限らず、どこかの勢力に属しないと《愚者》は手に入らなかったってこと?巫山戯るんじゃあない!

などと怒ったところで、もう《愚者》は手に入っているんだから、別に怒る必要はないんだけどさ。

というか、こっちで勝手にペルソナ使えるように設定しただけなのに、その他の要素に不満言うとか流石にないわー自分。

まぁ、そんな感じで僕達はオカルト研究部に入った訳だけど……これからどうなるんだろう。割とマジで。

 




リアス・グレモリー

アルカナ:女帝

自らの定められた運命を破壊した者がいた。
一人は、神さえ滅ぼす龍を宿した己が《兵士》。
一人は、人間であり、悪魔さえ震え上がらせる力を持ち、そしてどこまでも心優しき青年。
無意識の内に、彼女は二人に同じ感情を抱いていた。
その感情の色は透明なまま、気付く兆候はない。
天秤は揺れる。自らの心の内は、とても身近であるようで、遠い。
それでも、その感情の中に、確かな絆は存在していた。


オカルト研究部

アルカナ:愚者

最初の出逢いは、不審と嫌疑に溢れていた。
彼らにとって謎深き青年は、時に無謀とも思える行動で誰かを救い、時に言葉で彼らの不審を払拭していく。
種族の違いによる垣根を否定するように、堕天使、悪魔とも分け隔て無く青年の生き様に、彼らはいつしか惹かれていく。
そして遂に、自分達では断ち切れなかった無慈悲な運命を、青年が破壊してくれたことで、絆が明確な形となる。
最早、始めに抱いていた負の感情はどこにもなかった。



Q:何で途中で意識なくなってんの?
A:主人公は何故かテンションがフルマックスになったり、死にかけると意識が朦朧とし、イケメン化に拍車が掛かります。
基本的に理性がないようなものだから、何をするにしても凄いことになります。

Q:ミッテルトはどんなキャラを目指しているの?
A:次かその次あたりで判明するかと。

Q:アーシア×ミッテルトか……薄い本が厚くなるな。
A:是非書いて下さい!何でもしますから!

Q:何でもしますから!って言い過ぎじゃね?
A:許して下さい!何でも(ry

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