ひぐらしのなく頃に 決 【影差し編】   作:二流侍

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◆Tips【Ⅱ-Ⅰ】

◆忘れられた日記(5)

 

5月18日

 

 何故か今日はおかしなことが起こった。別に何か大きなことがあったわけでもない日常の中、いきなり校内放送で自分の名前を呼ばれたのだ。クラス中の視線を感じる中、驚いてしまったのは他でもない自分。

 自分が呼ばれる理由なんてない。というより何もしていないのだから呼ばれる理由なんてないのだ。

 多分何かしらの勧誘か何か、そう思っていたのに、だ。

 行ってみたときに、そんな楽観的な考えはなくなっていた。というのも、険しい顔を一層険しくしたような面持ちの担当の教員が席に座っていたからで。

 そして向かっていった言葉がこうだ。

 

『お前、カンニングしただろ』と

 

 いきなりで笑いそうだ。だが、先生の瞳は至って真剣そのもので……何故というよりは一体全体何がどうしてそうなったのかが分からない。状況を知りたいのだ。

 そして先生が言うには誰かがカンニングペーパーを使って自分が見ていたということを教えたようで。それを確認するためにも、呼んだっというわけだ。

 俺はもちろん否定した。やってない、と。どう考えても根拠がないのだしそれが本当だとしたら監督者の責任もあるはずだ。やってないとはいえ。

 ……なのに俺の言葉をちっとも聞こうとしない。その反論なんてもうデータにて確認済みといった感じでスガスガしい態度をこちらに見せてきた。もとからこの先生は嫌味を吐くことであまり良く思ってなかった。その先生ということでもイラッとしたし、言っても壁に言っているような反応に怒りだけを感じていたような気がする。

 あの時は必死に自分を抑えていたし……誰かがお前の行動を見たんだ。そんな事言ってばかりで俺の意見よりも目撃者の話を優先していて。

 結局俺はその後一時間ほど尋問に近い形で自白を誘導されていた。他の先生も擁護して欲しいにも関わらず、誰もが遠巻きに見てるだけで何もしてくれそうにない。

 塗れ衣を着たくない俺も認める気はなくて。

 お互いの平行線はずっと平行のままであり、どちらかが折れる。なんて事は無かった。

 

 先生は最後に『お前はずっと無愛想だから何を考えてるか分からない腹黒だからな』と言われた。

 お前に言われたくないわっと言うツッコミをしたかったぞ。

 ……というより誰がそんなことを呟いたのだろうか。勘違いのせいでそんなことを言われた罪は重いぞ……。

 

 今日はそんな霧がかかった状況で帰ってきたのだ。

 何故だ。なんでそんな事が起こるのだろうか。

 分からない、理不尽に近い。

 イライラするのでもう寝よう。

 


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