◆忘れられた日記(7)
//未記入//
最近では、自分が逃げる夢をよく見るようになった。クラスメートに追いかけられて、必死に逃げる夢。今までの友達から逃げているのだ。学校中を永遠に、ぐるぐると。
そういえば、また一人友達に体育館裏へ呼ばれた。
そして「お前とはもうごめんだ」って言われた。その言葉に悔しさはない。
それよりも、もう慣れてしまっている自分がとても悔しい。
どうやら、風の噂では俺の悪行はカンニングだけではなくなってきたらしい。盗撮やいたずら電話、他にもいろいろな悪事を働いてるとか言われるのだ。
すべて事実無根の内容なのに、周りはすでに俺=犯人と結び付けている。それを簡単に外すことなんて出来ない。
みんなは俺をやくびょう神か何かと思っている。
自分の何がいけなかったのか。自分はどうしてこんなことになったのか。今日はいつ寝ただろうか。そんなこともわかっていない。何もわからない。
眠れない夜が続くようになってきた。相談することもできない。
自分がこの日記を書いているのも、きっと別の誰かが見ればうそつき呼ばわりされるのだろうか。
怖い 目に見えないものに押しつぶされそうになる
俺は、何も悪くない。
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◆忘れられた日記(8)
9月11日
友達と呼べる人はもういないのではないのだろうか。そう思っていた。
もう教室で誰も味方がいない状況、誰も相手にしてくれず、まるでクラス全体の意思であるかのように、俺は隅においやられていた。もう自分は腫物扱い、それが最近の状態だった。
そんな中、あの寛二は俺に話しかけてきたのだった。こっそりとだけど、話しかけてくれた。周りの目を気にしているようだったけど、俺に話しかけてきて、心配するなと声を掛けてくれたのだ。
唐突で俺は何も答えることが出来なかった。もしかしたらあの時、声を掛けるべきだったのかもしれない。
とにかく明日、明日またあいつに聞いてみようと思う。聞いてみるしかない。
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◆事件レポート
今回の事件についてさらに判明した事実についてまとめる。
被害者の症状に依存症が考えられたことだ。
被害者には人間関係の依存症が考えられ、その理由として所持していた日記がある。その内容には先日の○×川事件の被害者との接点を記した内容が書かれており、事件の関連性があると思われる。
また、日記の内容には事件に繋がる興味深い話として、以前からいじめを受けていたことが判明した。同じ学校の生徒たちの証言では学校で被害者は色々な問題行動を起こしていたと言っており、事件の関連性がないか、ただいま調査中である。
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◆研究者たちのログ Ⅱ
1985年 ×月 ×◆日
成分を分析し、今回試薬の完成までこぎつけることが出来た。
雛見沢の悲惨な事件を巻き起こしたとされる今回の感染症を利用した新たな試薬は見事である。これを利用することで感情の抑制や行動の鎮静化に大きく貢献し、更に時間によって消滅するため、被験者への影響は少ないとされる。空気感染である部分は排除しつつ、適用範囲を直接打ち込む形まで影響力を抑えることにも成功。
今回の試薬を対象に動物実験を行った結果をここに記す。
・鎮静化、および感情の抑制が出来て、なおかつ消滅(67体)
・鎮静化は出来ずとも、影響なく、時間がたって消滅(20体)
・鎮静化、および感情の抑制が出来たが、消滅していない(13体)
・その他(3体)
結果としては有効性を示すことが出来ている。その他については別紙4を参照。
今後は人を対象に投与出来るように工夫を行っていく。
以上である。
××県山内研究所 開発総責任者
嘉山 仁