ひぐらしのなく頃に 決 【影差し編】   作:二流侍

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◆Tips【Ⅱ-Ⅳ】

◆研究者たちのログ

 

1984年 ◆×月 ◆×日

 

今回の試験にて、以下の要素が必要であるということが分かった。

 

 前回の記述によって脳への感染があることが分かり、具体的に感染方法も理解した。そしてこれからの研究にて把握したことをここに記述する。

・脳の感染が行われた場合に抑制するものであるが、それに対して感染者の症状するフェロモンの要素で抑制された例を示す。それを錠剤として投与することが出来れば、多くの発症、および調整を行う事が可能であると推測できる。

 細かい内容については別紙1にて記載してあるので、そちらも確認して欲しい。

 

××県山内研究所 開発総責任者

嘉山 仁

 

――――――――

 

◆被害者 解剖記録

 

川で遺体となって発見された被害者に対し、具体的な検視を行った結果をここに記す。

 

・腹部刺傷、及び内蔵の刺傷について

 刃渡り15センチの鋭利な包丁を用いて何度も刺された模様。数か所に渡って刺されており、この段階で既に死亡していたことが判明。被害者の抵抗がなく、他に刺傷がないことから抵抗する前に重傷を受けたか、拘束をされていたかの可能性が存在する。

 

・遺体の衰弱死の可能性について

 前述にて、死因は殺傷によるものであることが判明。このため被害者を遺棄する際には既に被害者は殺害されている。

 

なお、被害者の耳や顔の水による腐敗などが見られないため、遺棄されてから時間は経っていないと見られる。死亡推定時刻は殺傷の様子も合わせ、24時間以内であった模様。

 

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◆福祉児童課相談内容資料

 

対象:北条沙都子

 

家族構成:養父・養母・兄・本児

 

住所:鹿骨市雛見沢○○○番地

 

連絡:電話にて匿名のSOSコールを行う。何度も同じことを繰り返し、危機感を募らせていた。家族のことを喚く内容はいずれも恐怖心からの肥大妄想の可能性があることを留意されたし。

 

内容:家庭内で虐待・精神的苦痛を受けている模様。本児及び兄が対象であり、養母が陰湿な行為を行っている。親としての義務も放棄する場面も存在。

 

対応:通う学校にて事前調査。本児宅にて聞き込みを行い、傾向がみられるのであれば養夫婦に注意。虐待防止組合などに掛け合い、今後注視してもらうよう促す。

 

――――――――

 

◆北条さんのトラップは蜜の味

 

「をーほっほっほ! これは圭一さんの憐れな姿が目に浮かびますわー!」

「……これ毎朝やってるんだよねー」

「当然ですわ。恒例行事としてこれほど楽しい日々はありませんことよ?」

 

 だからといってサンドバッグを仕掛けるなんて。扉を開けたら前原君どんな顔するんだろう……。

 

「はぁ~。相変わらず沙都子のやることには付いていけないわ」

「……でも良かったのかな? 今日圭一くんを置いてきたんだよ?」

「たまにはお灸を据えるのも必要でしてよ! 最近は私たちのことを下に見ている傾向がありまして!」

「いやぁ。北条さんの方が前原君を下に見てるような気がするんだけど?」

「そうですわよ?」

「あ、それ納得しちゃうんだ……」

「……圭一を教育なのです。がおー!」

「あはは……まぁ、圭ちゃんはこういうことに慣れてるし」

「慣れたいと思ってるかが重要だよねー……」

「これで……よし、ですわ! 」

 

 針金がクモの糸のように張り巡らされている。これどういうギミックで取れるのかが気になる。

 

「今回は私の自信作ですわね。まずは画びょうの取っ手を見て、注意を逸らしつつ、圭一さんが扉を開けるとまずは挨拶代りのチョークを避けてもらいますわ」

「そこで避けられる前原君が凄いね……」

「でもそこで待ち受けるのは顔に向けて四方八方にやってくる黒板消しですわ」

「逃げ道を無くす辺りが容赦ない……」

「圭一さんはそれでも伏せてかわしますわね。そこにやってくるのが――――」

 

 このサンドバッグって訳ですか。サンドバッグって顔面直撃させるものでもないはずなのに……。

 

「相変わらず北条さんの罠には驚かされるよ」

「罠ではなくトラップですわ!」

「あ、そうだった。ごめんなさい」

「でも、本当に沙都子は仕掛けるのが好きだねぇ」

「うーん、やっぱりやってて気持ちがいいものなの?」

「それはもちろんですわ! 相手が掌で踊っている瞬間、そしてそれを理解もせずに自信顔でいた人を悔しさに顔をしかめる瞬間。あの瞬間がいいんですの!」

「うん。とりあえず北条さんがどSであることは間違いなさそうだ……」

「そんなことありませんわ。私だって、相手が苦痛に歪むような姿は見たくありませんもの」

「でも、前原君が苦痛に顔を歪めそうだけど……」

「私のは計算をし尽した内容でしてよ! どこで仕掛ければいいか、痛くないかなんて算段は既に頭の中で出来上がっておりますわ!」

「孝ちゃんには難しいかもしれないけど、考えさせられるような内容もあるんだよ」

「へぇ……また今度聞いてみようかな」

「いいですわ! 身体で教えて差し上げますわ!」

「あ、やっぱりいいや」

 

 身体に刻み込まれそうな気がするので、ここは素直に引いておこう。でも、本当に北条さんはトラップに関しては顔を輝かせて喋るよなぁ。彼女にとってやりがいのあるものなんだろう。

 

「魅音にレナ、孝介! 何で俺を置いていくんだぁああああああ!?」

 

 そして今日も前原君は平常運転のようです。トラップはかわせたか? まぁ、それは……その、身体に教えられたんじゃないですか?

 


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