◆刑事たちの会話
「……そんな馬鹿な!?」
「間違いありません。これが証拠の書類です」
「貸せ!!」
「え、ちょっと!?」
「本当かよ……マジかよ……」
「どうしました? 二階堂さん」
「……」
「二階堂さんってば!」
「やっぱりよ。さとっちゃんが新しい現場の様子を見に行ってくれ」
「はぁ……別に構いませんがいきなりですね。もしかして、その書類が何かのきっかけとなりましたか?」
「分からない。だが、これで犯人の特定はかなり絞られてくる」
「本当ですか!? 良かったじゃないですか! さっさと仕事を終わらせましょうよ! 今マラソンで注目が集まっているのに、自分たちはこんなところで仕事なんですから。全く、休みをくれってもんですよねー」
「…………」
「……何か、まずいことでもあったんですか?」
「さとっちゃん、この事件をそんな程度で捉えたらだめだ」
「え? そんなにでかい話になってるんですか?」
「こいつは意外にでかい山になるかもしれない、富士山級だ」
「そ、それはいくらなんでも盛りすぎじゃあ」
「嫌な予感がよく当たるのは俺の性分でな」
「……」
「お前、雛見沢大災害を知ってるか?」
「そりゃあもちろん。あのでかい問題は今も話題になってますし」
「今回はそれを調べる必要がありそうだ」
「えっと……関係が分かりません」
「しかし信じたくない! 何故そんなことをしなくてはいけないのだ!?」
「……二階堂さん、らしくないですって」
「…………。悪い。俺もよく分かってないまま感情的になってたな……謝る」
「別に構いませんよ。先輩は情に厚い男だって知ってますから、表情には出しませんけど」
「そんなにはっきり分かるか?」
「そりゃあもうはっきりと。でも珍しいですね」
「さとっちゃん。今回の事件は結構面倒になるぞ?」
「それは捜査でですか? それとも”そっち”という意味ですか?」
「…………どっちもだ」
「まぁ……そう言われるのは薄々わかってましたよ。富士山級ですし。じゃあ、俺はこれで」
「ちょっと待ってくれないか。さとっちゃん」
「どうしましたか?」
「お前に一つ。頼みがあるんだ―――――」
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◆研究者たちのログ
1984年 ◆×月 ◆×日
今回の試験にて、動物がCタイプへ暴走。ただちにこれを止めた限り。以下、今後の課題。
・脳の感染の疑いが大きい以上、これを抑制、管理出来るような薬品を考案する必要あり
・試験日はいつにするか、話し合いの余地あり。9月上旬が望ましい
・サンプルを採取したく、出てきた現場への調査をするべきか
・過去の研究を継続させるためにも、最深部へ入る必要あり
・……全てが完了した後の被験する場所についても話し合うべきである
××県山内研究所 開発総責任者
嘉山 仁
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◆北条という男
「くそ! また外れよって!」
ガシャン!
「いかさまちゃうんかぁ!? こうやれば直るんとちゃうんか!」
「お、お客様! 困ります! 当品での乱暴はお控えください」
「あぁ!? そりゃあお前さんらがわいを騙してお金を巻き上げようと目論んでいるからだろうが!」
「ご、誤解です! そんなこと一切しておりません!」
「じゃあ何で、このスロット外れてばっかりなんじゃい!」
「で、ですから!」
「さっきから適当なことばっか言いよって! もっとはっきり言えや、ボケ!」
「ですから!!」
「もうええわ! わしゃあ二度とこんな店来ることは無いからのう!」
「お、お客様!」
「あぁ! むしゃくしゃする! 金も無いし、一体どうしたもんかい……」
「…………そういや、ここの近くにあったなぁ」