IS‐護るべきモノ-   作:たつな

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「荷物の受け取り完了っと」

 

 

空港に無事到着した俺たちは、荷物の引き受け場にて機内に持ち込んだ荷物を回収している最中だった。荷物を預けた時に渡される券を元に、自分の荷物を探し出して回収する。

 

一週間分の衣類やら何やらを溜め込んでいるから総重量は中々のものがあるし、キャリーバッグの大きさもかなり大きい。衣類の中には私服もあるが、今回の依頼は標的に付き添うことになるということでスーツと複数枚のワイシャツも持って来ている。

 

無人機襲撃の際や前回の学園祭の時に着ている仕事服は完全な戦闘着であり、付き添いの護衛任務で着用する機会は決して多くはない。あれはあくまで最初から誰かとの戦闘を行う前提で着る服装だ、普段はスーツで仕事をする機会の方が多い。

 

それにあの服のまま人前を歩くのは気が引ける。好奇の視線に晒されるのは間違いない。

 

 

「大和、こっちも回収完了よ。この後ホテルに荷物を預けて身支度整えた後すぐに軍事基地に飛ぶけど、準備は良いかしら?」

 

「おう、大丈夫」

 

 

同じく荷物を回収し終えた千尋姉が声に返答をする。ガラガラと音を立てながら、あまり女性が引き摺らないような大きさのキャリーバッグを片手にこちらへと歩み寄って来た。

 

女性は男性に比べると持ち歩くアイテムが多い。化粧品はもちろんのこと、服一つにしても男性の比ではないくらいに。俺の荷物に比べてもその差は明らかだった。華奢な女性であれば引き摺るのも大変であろう大きさ、重さのキャリーバッグを片手に涼しい顔をしながら俺の近くへと立つ。

 

美女×大きなキャリーバッグ。

 

うん、アンバランスだけどこの組み合わせも悪くないかもしれない。

 

 

「どうしたの?」

 

「……いや、何でもないよ。さぁ、まずはホテルに向かうんだよな。待たせるのも良くないし、さっさと行こうか」

 

 

キョトンと首を傾げながら顔を覗き込む千尋姉が可愛かった、まる。

 

反応から察するにこちらの考えていることは悟られなかったようだが、あまり長く無反応でいたらバレていたことだろう。即座に思考を切り替えて、タクシー乗車場へと向かう。

 

俺の反応に対して些か違和感を覚えながらも後をついて来る。

 

っと、忘れてた。

 

先に進もうとする足を止め、再度千尋姉の方へと振り向く。

 

 

「大和?」

 

「悪い、気付いてなかった。千尋姉の荷物少し持つよ、重たいだろ?」

 

 

千尋姉の持つ荷物は俺なんかより遥かに多い。キャリーバッグ以外にも大きめのスポーツバッグを片手に握りしめており、両手が完全に塞がっていた。

 

一般的な女性どころか男性だったとしても歩きづらい重量になる。とはいえ俺たちが一般人と同じ身体の鍛え方をしてるわけではない。体の構造が全く違う故に、本来であれば歩きづらい重量だったとしても難なく持ち運ぶことが出来る。

 

決して千尋姉も重たいとは言わないし、重たいとも思っていないだろう。精々荷物が多いなと思うくらいだ。

 

ただ男性からしてみると女性に少しでも無理はさせたくないと思ってしまうもの。持っているスポーツバッグに手を伸ばすと、半ば強引に自分の元へと手繰り寄せた。

 

ぽかんとしながら素直に荷物を俺に手渡す千尋姉だが、やがて我に返るとそこまでしなくていいのにといった表情で言葉を続ける。

 

 

「あ、ありがとう。持ってくれるのはすごく助かるし、ありがたいけどこれくらいなら大丈夫よ? それに私が軽くなったところで大和が重たくなって歩き辛くなるんじゃ……」

 

「いや、大丈夫。いくら問題ないとは言っても、女の子に沢山の荷物を持たせたまま歩かせるなんて出来ないよ」

 

「え?」

 

 

一瞬何を言ったのか理解出来ずに首を傾げる千尋姉だったが、やがて俺の言葉の意味が分かるとかぁっと顔を赤くさせながら視線を逸らした。

 

 

「こ、こんなところで急に女の子扱いされても困るわよ。それにもう私は女の子って言うほど若いわけじゃないし」

 

 

赤面しながらモゴモゴと呟かれても説得力が無い。人差し指をくっつけてもじもじとさせる姿を、女の子では無いと言い切るには無理があった。

 

年齢的には大人の女性に差し掛かる領域に足を踏み入れているけど、それでも照れたり笑ったり怒ったり悲しんだりと、感受性豊かに忙しなくコロコロと切り替わる表情は年齢は相応に幼く見える。誰がどう見たところで年頃の女の子以外の何物でも無かった。

 

 

「なーに言ってんだ、誰がどう見ても可愛い女の子だろ。こんな時くらいは俺にカッコいいところを見させてくれって」

 

 

男として女性の前ではいい姿を見せたくなる、自分が大切に思う人間の前であれば尚更。自分でも歯の浮くようなセリフを言っていることが分かるせいで、何言ってんだ俺みたいな小っ恥ずかしい心理状態になっていて、全力で走り去りたい気分だ。

 

ただどうやらそれ以上に千尋姉は恥ずかしかったようで。

 

 

「あぅっ……」

 

 

何とも可愛らしい声を上げた。

 

小動物のような可愛らしさを誇る我が姉、人目も憚らず全力で抱き締めたい気持ちに苛まれるものの、自分の煩悩をグッと堪えて平静を装う。

 

だ、ダメだ。ここは耐えるんだ霧夜大和。ここで抱き締めたら歯止めが効かなくなる。仕事初日から色々とやらかして変に目立つわけにはいかないし、一度頭を切り替えよう。

 

 

「と、とりあえず早く行こうか。えーっと、タクシー乗り場はっと」

 

 

気を紛らわせるように声を上げながらタクシー乗り場を探す。

 

ホテルに着くまでの間、俺たちの間には何とも言えない微妙な空気が流れていたのはまた別の話になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分と大きな屋敷だこと。今回の対象はここの?」

 

「そうそう。依頼者は屋敷の主人から……護衛対象は娘さんね。ただ今日は挨拶だけだから、本格的な仕事は明日以降になると思うわ」

 

 

ホテルへと到着して荷物を預け、手早く仕事用のスーツに着替えた俺たちは依頼者のいる屋敷に向かってタクシーを走らせていた。

 

タクシーの窓から見える住宅街の街並み、少し違うのは一つ一つの家の大きさが一般的な大きさとはかけ離れていること。建てられている住宅はどれもこれも一般的な住宅の二倍以上はある。加えて全てが高級住宅と呼べるレベルでの華やかさを誇っていた。

 

ここはとある高級住宅街の一角、その中でも一際大きな屋敷がフロントガラスの先に映っている。

 

一言で例えるのなら城と呼ぶに相応しい。

 

 

「それにしても()()()()の一等地に住む娘さん……ようはお嬢様ってことか。良くウチみたいなところに依頼して来たよな。その気になれば本国でボディガードなんていくらでも雇えそうだけど」

 

 

今回の任務地、アメリカ。

 

観光として来たことも無ければ仕事として来たこともない。来たことがないとは言っても、アメリカを知らない人間はほとんどいないはず。幸い他の国に行ったことはあるし、パスポートも有効期限内のものを持っている。

 

何故アメリカだけ行か無かったのか、と言われると純粋にプライベートでも仕事でも行く機会が無かった、それに尽きる。

 

 

「そうねー、何かのっぴきならない理由もありそうだけど。何でも今回の依頼者は完全にウチを指名で来たみたいよ。それも大和、アナタをね」

 

「俺を?」

 

 

千尋姉の言葉に対して思わず俺は考え込んだ。

 

別に指名されることが全く無いわけじゃない、以前仕事を請け負った人からリピート的な感じで仕事をお願いされることもある。ただ今まで自身が対応した仕事の中で、アメリカ国籍に関連している依頼人が居たかどうかと過去の記憶を思い返す。

 

当然思い返したところで自分が対応した仕事の中には居なかった。こう見えても比較的過去の依頼人の情報は覚えている方だ、ここ数年の記憶を引っ張り出しても心たりは無い。

 

もしくは仕事とは関係の無い何処かで別の場所で会ったことがある人間か。関わりがそこまであるわけじゃ無いし、プライベート関係で会ったことのあるアメリカ国籍の人間は多くはない。

 

ここ最近出会ったことのある人間をしらみ潰しに探っていけば自ずと見つかりそうだ。

 

えっと、ここ最近だと確か……。

 

 

「それにしても随分とスーツが似合う歳になったのね。昔のあどけない頃が凄く懐かしいわ」

 

「ん、あぁ。そりゃもう何だかんだで十六になるし、身長もそこそこ伸びたから多少はね」

 

 

千尋姉の一言に思考を止めて顔を向けた。

まぁどんな依頼人なのかは到着してからのお楽しみでも良いだろう。

 

この歳でビジネススーツを着る機会は決して多くない。IS学園に入学してから初めて着るわけだが、サイズ感は身体の成長に伴って以前よりもキツく感じる。

 

仕事として人に会うわけだから当然身だしなみには最新の注意を払っており、シワのないワイシャツに濃いブラウンのネクタイを装着し、スーツは紺を基調としたシルク素材の生地をオーダーメイドして作ってある。

 

IS学園に入学する少し前にせっかく高校生になるんだから、少し良いオーダーメイドスーツくらい買いなさい……もとい買ってあげるわと千尋姉に言われて作ったわけだが、市販のスーツに比べると着やすさは歴然だった。

 

それぞれの体型に合わせた部分ごとのサイズ調整や好みに応じた細やかなデザインを全て一から作ることが出来る。常に動いている仕事をする以上スーツは消耗品になるとはいえ、より動きやすさを追求した作りに思わず感動した。

 

一般的なスーツとは違って生地が破れにくいコーティングを施している? とかで総合計でそこそこ値が張ってしまったとはいえ、これは作って正解だったと胸を張って言える。

 

 

服はもちろんのこと、髪もワックスを使ってセットしており前髪は邪魔にならないようにジェルを使って上げている。臨海学校の際に見るも無惨に前髪を切られてしまった訳だが、二ヶ月も経てば髪は自ずと生えてくるしそこそこの長さになっている。

 

そのままでは仕事の場、顔合わせの場には相応しくはないと判断して髪を上げることにした。

 

 

そんな俺の姿を見て千尋姉も色々と思うことがあったのか、我が弟の成長を喜んでいるように見える。少し前までは千尋姉の方が身長も高かったけど、いつの間にか身長も抜き去り俺が見下ろす立場になっていた。

 

ちなみに千尋姉も俺と同じようにスーツを身にまとっている。これほどスーツが似合う女性が他にいるのかと思うほどの着こなし方をしており、長髪を背後で束ねている姿を見るとどことなく千冬さんを彷彿とさる。

 

俗に言う出来る女性、バリバリのキャリアウーマンだ。ただ目尻がキリッとした凛とした雰囲気の千冬さんに対してやや垂れ目であるため、少し穏やかな雰囲気になる。

 

スタイルは全然穏やかじゃ無いけど、もはや周囲の男性の視線は釘付け間違いなしだ。

 

 

「アナタがそれだけ成長したんですもの。どーりで私も歳を感じるわけよ」

 

 

出会った時に比べると二人とも順調に歳を重ねている。

 

当時ガリガリだった弟は年相応の青年に。

 

学生だった姉は立派な大人の女性に。

 

時が経つのは本当に早い。

 

 

「お客さん、そろそろ目的地に着きますよ」

 

「ありがとう。さて、色々と情報を整理しなきゃね」

 

 

タクシーの運転手の声に自分たちの成長を振り返るのをやめ、改めて今回と仕事内容について簡単に整理する。

 

 

 

 

 

護衛対象はとある富豪の一人娘。ここ最近、彼女の近辺で色々バタバタがあり念には念をということで短期的にボディーガードをつけることにしたそうだ。期間が限定されているのは、純粋にその期間に彼女が人目の届かない場所へと行くかららしい。

 

話を聞く限り俺のことを知っているのは依頼者ではなく、護衛対象、つまり依頼者の娘さんだそうだ。そして本人の強い希望により俺を指名したと。

 

千尋姉に依頼者の名前を聞くも「着いてからのお楽しみ♪」ということで、依頼者の名前を聞けていない。というかその時の千尋姉が完全に何かを知っているような口振りだったことは間違いない。続け様にそろそろハーレム王国が作れるんじゃ無いと、クスクス笑われたところから察すると千尋姉も該当の人物のことを分かっているのだろう。

 

お楽しみ♪ なんてウィンクされたら俺もそれ以上聞くことは出来ず。いずれ顔を合わせば誰だか分かるし、深く聞く必要も無いだろうと追求することも無かった。

 

タクシーを降り、俺と千尋姉は大きな門がある前に待機する。如何にも豪邸と言わんばかりの雰囲気の建造物、相当な資産を持ち合わせているのだろう。一度上を見上げて目的地が間違っていないことを確認すると、門についている呼び鈴を鳴らした。

 

数秒ほどして、インターホンから声が返ってくる。

 

 

『はい、どちら様でしょう?』

 

「ご多忙の折恐れ入ります。私霧夜と申しますが……」

 

『あぁ、霧夜様でございますね? お話はお伺いしております。今門を開けますので少しお待ち下さい』

 

 

俺たちはいよいよ屋敷の中へと足を踏み入れることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ、すまないね。遠方はるばる来ていただいたというのに待たせてしまって申し訳ない」

 

「いえ、こちらこそ。こうしてお会いできることが出来て光栄です」

 

 

門をくぐった後、俺たち二人は来賓用の客室へと誘導されて待つこと十数分。家主の登場とともに腰を上げて深くお辞儀をするとともに挨拶をする。爽やかな優しい声色とともに入ってきたのは家主であり、護衛対象の父親でもある人物だった。年頃の一人娘を持つ父親としては些か若く見える。

 

声色に比例して浮かべる表情は穏やかなもので、まさに紳士を体現したかのような優男だった。年齢に関しては妙齢のため分からないが、整った顔立ちは少なくとも十分にイケメンにカテゴライズされる。俗に言うイケオジってやつだ。

 

四十代、五十代によくあるだらし無い体付きではなく、日頃からキチンと節制しているようで、スーツを着たシルエットはとても中年の肉体とは思えないほど均一が取れている。

 

 

「ははは、そこまでかしこまる必要はないよ。立ち話もなんだ、遠慮なく腰掛けてくれ」

 

「はい、ありがとうございます」

 

 

依頼人に腰掛けるよう促されるとそれに倣って俺と千尋姉は再度ソファへと腰掛けた。このソファの触り心地が凄く良くて、全体重を預けて目を閉じれば一瞬の内に夢の世界に飛び立てる自信がある。

 

勿論今は業務中であり、依頼人の前で居眠りするだなんて非常識なことはしないが、もしこれが自分の部屋とかならソファの感触を存分に味わっているに違いない。

 

人をダメにするソファ、そんなネーミングがぴったりかもしれない。

 

 

「さて、まずは自己紹介から入ろうか。私が依頼人である『レオン・ファイルス』だ。今回はどうか一つ、よろしく頼むよ」

 

 

にこやかに自己紹介する依頼人……もとい、ファイルスさん。

 

ん、ファイルス?

 

あれ、何処かで聞いたことがある名前だぞ。

 

 

「こちらこそご依頼ありがとうございます。私は霧夜千尋、と申します。隣にいるのが現当主、弟の大和になります」

 

「霧夜大和です。今回はよろしくお願いします」

 

 

違和感を覚えつつも自己紹介をすると、隣にいる千尋姉の口元がほのかに笑みを浮かべる。

 

おい、まさかファイルスさんの娘さんの名前って……。

 

 

「おぉ……君が大和くんか。いやはや、娘の()()()()()から話は聞いているよ。想像していたよりも随分と大人びた雰囲気をしているんだな君は」

 

「勿体無いお言葉です。粗相を起こさぬよう、しっかりと今回の任務を遂行させていただきます」

 

 

平静を装いつつも、内心驚きを隠せない。

 

ファイルスさんの口から溢れる娘さんの名前、俺の聞き間違いで無ければ『ナターシャ』と言った。

 

間違いない。

 

俺がこれまで出会った人物の中で一人だけ、ナターシャと名乗る人物に心当たりがある。夏休み前の臨海学校の際、暴走した銀の福音に搭乗していた操縦者。そして帰りのバスの中で俺と一夏にその……キスをした張本人、ナターシャ・ファイルスさんだ。金色に輝く髪がよく似合う美人な方で、纏う雰囲気は大人の女性を醸し出していた。

 

最後の最後でど盛大な爆弾を仕掛けてくれたことで、バスの中は大混乱に包まれ、最終的には公開告白をクラス全員の前で見せつけることになってしまった。

 

あれ以来ナターシャさんとは一度も会っていないし、連絡も取っていない。そもそもの話連絡先も交換していない以上ナターシャさんから俺はもちろんのこと、俺からナターシャさんに対して連絡を取ることも出来なかった。

 

 

「そう畏まる必要はないよ。むしろ畏るべき必要があるのは私かな。あの娘(ナターシャ)を命がけで守ってくれたこと、この場を借りてお礼したい。本当にありがとう」

 

 

背筋をピンと正したかと思うと、深々と俺の向かってこうべを垂れるファイルスさん。銀の福音の暴走によって一時期生命の危機に瀕していたナターシャさんを俺を含めた専用機持ちたちで救った。

 

厳密に言えば福音を止めたのは一夏や箒であり、俺はISが強制的に解除されて宙に投げ出されたナターシャさんをタイミングよくキャッチしただけに過ぎない。しかもプライドとの戦いで単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)を使った後遺症で身体中を得体の知れない痛みに襲われて、最後はシャルロットと鈴に助けられる始末、正直格好がついたかと言われると、全くついていない。

 

自分が助けたと誇れるとも思っていないし、何とも言えない気持ちになる。幸いナターシャさんは大怪我をする事もなかったし、大事に至らなかったという点では喜ぶべき部分なのかもしれない。

 

 

「そんな、自分が守っただなんてとんでもない。俺じゃなくて、周囲の皆が力を合わせてくれたからです。兎にも角にもナターシャさんが無事で本当に何よりですよ」

 

 

自分の力ではなく、あの場にいた皆の力があったからこそ作戦を完遂することが出来た。決して俺一人では成功に導くことは出来なかっただろう。

 

改めてファイルスさんへと話を続けた。

 

 

「皆の力、か。そうだな、そうやって周囲を素直に褒め称えられる謙虚な姿勢も娘が惚れた一つの理由になるのかも知れないな」

 

 

俺の言ったことに満足そうな表情で腕を組みながら二度三度頷く。

 

ちょっと待て、惚れた理由?

 

 

「今回、君たちには娘の護衛をお願いするわけだが……どうかな? この仕事が終わった後も是非うちの娘と親睦を深めてはくれないか?」

 

「はい?」

 

 

想像よりも盛大に裏返った声を室内に響かせてしまう。

 

意味はどうとでも取ることは出来るが、言葉通りの意味で取るとしたらそのような意味になることは間違いない。

 

更にファイルスさんは言葉を続ける。

 

 

「あ、あの……それはどういう?」

 

「ふむ、ちょっと言葉足らずだったかな。君がもし望むのであればナターシャを()()()()迎え入れて欲しいって言った方が良かったか」

 

 

この人、見た目は普通にイケメンなのに、発想が中々にぶっとんでいる。いや、依頼者にそんなこと言ったらいけないことは分かるけど敢えて言わせてもらう、この人は変態かもしれない。

 

顔合わせで今後のことを話し合おうとしていたらまさかの護衛対象者の父親に娘の嫁入り宣言をされるの巻。それも相手が俺と来た。ナターシャさんがある程度話していると考えると、既に俺には相方が。つまりは恋人がいることをファイルスさんも知っていると思われる。

 

ナターシャさん自身が察しの良い人だ、バスの中で背後にいるナギを見て俺との関係の近さを悟っていたみたいだし、父親であるファイルスさんに伝えていたとしてもおかしくはない。

 

話を振り出しに戻すけど、何でナターシャさんが俺に惚れているのか理解が追い付いていない。大体臨海学校の時、俺はナターシャさんを救ったと言うより、襲い来るプライドと相対していた時間が長かったわけで、直接的に銀の福音と相対していたのは一夏と箒の二人だ。

 

一目惚れ、とでも言うのか。

 

もちろんプライドの撃退と共に操縦者であるナターシャさんの救出を忘れていた訳ではない。ただ関わりが少ないはずの自分にどうしてナターシャさんが好意を寄せているのか判断がつかなかった。

 

 

「よ、嫁ですか!? そ、それはいくらなんでも話が飛躍しすぎでは?」

 

「ははっ、そんなことはないよ。ここは自由の国アメリカ、恋愛はもちろんのこと、結婚もその限りでは無いさ。それに娘の恋は応援するのが父親の務めってものだろう?」

 

 

それに君が人柄的にも問題ないことは話してみて分かったからね、と楽しそうに話す。

 

いやいやいや、この際俺の性格とか人柄とかはとりあえず置いといて、何でいきなり娘の嫁入り話に飛躍しているのか。そしてどうしてそんなにノリノリなのか。

 

隣の千尋姉は俺とファイルスさんの一連のやり取りを楽しそうにニコニコと笑いながら静観しているし、止める気は更々無いのだろう、まるで楯無みたいだ。

 

兎にも角にも誰かこの人を止めてくれと淡い期待を抱いていると、不意に背後のドアがガチャリと開かれる。

 

助かった、これで一旦会話の流れが止まって一旦仕切り直しが出来る。

 

 

「もうパパ! 私も同席するって言ったじゃ無い! この日をどれだけ待ち望んだか……あら?」

 

「あっ」

 

 

ドアが開くと共に背後を振り向くと同時に、入室してきた人物と目が合う。二ヶ月ぶりの再会、見間違える訳がない。

 

前に会った時にはカジュアルスーツを着崩した姿で登場したが、今回は自分の実家ということもあるのかキャミソールにショートパンツと少し……いや何ともラフな私服姿だった。どうやら今日は完全なオフであることが伺え、見た目は変わらず美貌を保っている。

 

悲しいことに、男性という性別上目の前に露出度の高い服装をされた女性が現れれば目移りしてしまうわけで、大きく開いた胸元に一瞬視線が釘付けになりかけるも、煩悩を堪えて別の方向へと視線へと向ける。

 

露出度の高さが日本のそれとは違いすぎて驚くしかない、まさにアメリカンスタイルだった。

俺と視線を合わせたまま大きな瞳を何度も瞬きさせるものの、やがてその表情が満面の笑みへと変わる。会えたことが嬉しい、そうストレートに伝わってくる感情を爆発させて、俺の元へと駆け寄ってくる。

 

 

「やっと会えた! 大和く〜ん♪」

 

 

両手を広げながら軽やかな足取りで近寄ってきたかと思うと、ソファに座っている俺の背後から、ギュッと抱きしめられた。ソファから見えているのは俺の肩から上の部分だけだ、その状態で抱きついたことでナターシャさんの顔は俺の顔のすぐ隣にある。距離にしてほんの数センチ、パーソナルスペースなどガン無視の状態だ。

 

少しでも息を吐けば甘い吐息が顔に吹き掛けられる、というか現在進行形で吹き掛けられている。女性特有の甘い香りが鼻腔を刺激すると共に、腕を首に回してベッタリとくっ付いているせいで背中、特に肩近辺に柔らかい何かが潰れて断続的に押し当てられていた。

 

人前、しかも家族の前でやっているのに恥じらいはないらしい。むしろ会えたことがそれ程にも嬉しいのだと思えば、一つの感情表現としてはありなのかもしれない。

 

とはいえ、だ。

 

いくらなんでも過激すぎやしませんかね。

 

 

「おぉ、ナターシャ。すまないね、お前があんなに嬉しそうに話をしていたからどんな殿方なのかと思ってね。先に会っていたんだ」

 

「それならそれで先に言ってくれれば良いのに。置いていかれたと思って慌ててこんな服で来ちゃったわ」

 

 

ナターシャさんは俺に引っ付いたままぷーっと頬を膨らませる。年は俺より上なんだろうけど、子供っぽい仕草が可愛らしい。

 

っと、その前に。

 

 

「ナターシャさん、お久しぶりですね。お会いするのは臨海学校の時以来ですか、お元気そうで何よりです」

 

 

どんな理由であれ、二ヶ月振りの再会は素直に嬉しい。ナターシャさんはアメリカのテストパイロットで、おいそれと国外に出ることは出来ないし、会う機会も限られてくる。日本とアメリカ、飛行機で行き来するにしても十数時間掛かる。

 

ISを使えばもっと早く着くんだろうけど、許可された以外での使用は固く禁じられている。そう考えると学園祭の時に襲来した亡国機業の人間って捕まったらどうなるんだろうな。

 

許可された区域外での無断でのIS展開に当たるだろうし完全な違反行為だし、下手すりゃ刑務所行き。それにテロ紛いの行為を繰り返している訳だから何年捕らえられるかなんて想像も付かない。

 

改めて挨拶を交わすと嬉々とした表情のまま、ナターシャさんは口を開いた。

 

 

「えぇ、この日をどれだけ心待ちにしていたか。大和くんとは連絡が取れないし、連絡先を聞こうにも個人情報だからって教えてくれないし……」

 

 

いや、そりゃそうだろと突っ込みたくなる。どこの学校に個人情報を無断で教える様な学校があるのか。もしこれで勝手に垂れ流していたとしたら大問題になる、それはIS学園とて例外ではない。

 

ただナターシャさんとしては、そこまでしてでも俺と連絡を取りたかったということになる。まぁもし許すのであれば連絡先くらいは伝えるとしよう、ナターシャさんのことだから悪用はしないだろうし。

 

 

「はははっ……いくらIS学園とはいえ個人情報にもなればお伝えは出来ないですよ。でもよく分かりましたね、まさか霧夜家を特定して依頼を掛けてくるだなんて」

 

「色々とツテを使って調べていたらとある人間から情報を入手出来てね。最初は半信半疑だったけど、大和くんが護衛一家の人間だなんてびっくりだわ」

 

 

とある人間が誰なのかは気になるところだが、確かに調べようと思えば霧夜家の存在くらいならすぐに調べることは出来る。それでもただ依頼をしただけでは俺が出動しない可能性もある、だからあえて俺の名前を指名で出したんだろう。

 

当然別の仕事のスケジュールと重複しない限りは指名を断ることは無い。俺自身、今は学業に重きを置いているために指名の依頼以外は受けない様にしているため、逆に指名をしてくれればすぐに動くことが可能だった。

 

 

「基本的には自分も一端の学生として通ってるんで、特定出来たのは凄いですよ。それと、引き受けた依頼に関してもちゃんと対応させて貰います」

 

「あら、頼もしい。なら期待しているわね♪」

 

 

そういうとナターシャさんは俺から離れてイタズラな笑みを浮かべたかと思うと、耳元に俺にしか聞こえない様な小さな声でボソボソと何かを呟く。

 

 

「……本当はこのままお持ち帰りしたいところだけど、今日はこれくらいにしておくわ。隣の彼女が嫉妬しそうだしね」

 

「え?」

 

 

ふと気付く。

 

ナターシャさんの登場から今まで、すぐ隣にいるはずの千尋姉の存在感が完全に消えていることを。それほどまでにナターシャさんの存在感が大きかったと言えばそれまでだが、完全な空気と化してしまっている。

 

何気なく視線を横に向けると。

 

 

「……♪」

 

 

笑顔だ。

 

ものの見事な満面の笑みだ。

 

 

「うふふ、()()()()()()()()()()()……」

 

 

表面上は。

 

ニコニコと満面の笑みを浮かべる裏に潜むダークなオーラ。人前、かつ依頼者の前だからこそ素の表情を出さないように笑顔を心掛けているんだろうけど、纏う雰囲気が笑顔とはかけ離れた氷の世界の様に冷たかった。

 

そして怖い。表情をガッツリと変えて怒られることも怖いけど、表情一つ変えずにニコニコと笑いながら怒るその姿に仕事なんかを忘れて逃げ出したくなる。

 

え、あんた当主だろって?

 

バカいえ、当主だろうが何だろうが怖いもんはこえーっつーの。普段ニコニコしている人間ほど怒らせるとヤバいっていうだろ、前にも言ったけど本当に千尋姉が不機嫌になったり怒ったらヤバいんだって。

 

冷や汗ダラダラな俺の心中を察してからごめんね、少しベタつきすぎちゃったかもと付け足してペロリと舌を出すあたり、ナターシャさんは多少の自覚があるらしい。

 

ちょっと待ってくれ、この後始末をするのって俺なんだが……。

 

 

「おやおや、大和くんは随分と年上の女性に人気があるんだね」

 

「何か大和くんを見てるとこう、母性本能を燻られるのよね。何か不意に抱き締めたくなるっていうのかな。でも不意に見せるどこか年上染みた一とかのギャップも堪らないというか……」

 

 

後ろで両頬に手を当てながらクネクネと身体を捩らせているナターシャさんと今の一連のやり取りを見て、俺と千尋姉の関係を何となく察したファイルスさん。

 

これはもうアレだ、どう転んだところで収集がつかないやつだ。

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ」

 

 

このカオスな状況に、ただ溜息を吐くことしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、いい加減機嫌直せって」

 

「……」

 

「悪かったって。でもアレは不可抗力だし、流石に依頼者の前で下手なことも出来ないんだから少しは分かってくれよ」

 

「つーん」

 

「うわ、自分でつーんとか言っちゃったよこの人」

 

 

ファイルス家での顔合わせと打ち合わせを終えた俺と千尋姉はホテルの一室へと戻って来ていた。

 

打ち合わせ自体も数日間の流れの確認、問題が起きた際の対処法の共有くらいで特にピリついた雰囲気も無く淡々と終わった。話したいことは会ってから十数分の間で話し尽くしたのだろう、なんせ最初の十数分が一番密度の濃い時間だったから。

 

また明日と、笑顔に手を振るナターシャさんと別れを告げ、タクシーに乗るまでは良い。

 

問題なのは不機嫌オーラ満開のウチの姉について、だ。

 

 

ファイルス家にいる時は一時的に黒いオーラを出してしまうものの、タクシーに乗るまでは特に不機嫌な感情を表に出すことはなかった。

 

タクシーに乗った瞬間、雰囲気は一変。

 

人の顔を見て頬を膨らませたかと思うと、ぷいと明後日の方向に視線を向けたまま一切会話をしてくれず。こちらから複数回にわたってアプローチをするも完全に無視か、ダンマリを決め込む始末。

 

取りつく島もないとはまさにこのことを指すに違いない。

 

アメリカンスタイルだからなのか確かにナターシャさんのアプローチは積極的で少し過激なものだったことは認める。二回目の邂逅だというのに出会い頭に人に抱き付くなんてことは基本的には無い。

 

どこのハーレム主人公か。

 

当然、近くで見ている千尋姉から見れば面白くは無いのは明白、とはいえここには遊びに来たわけではなく仕事として来た身。

 

私的な感情は押し殺して話を進めようと思ったものの、予想以上に俺とナターシャさんの距離が近すぎることもあってか、若干プツンと行きかけてしまった。

 

 

「千尋姉ってば」

 

「うー……本当に悪いって思ってるの?」

 

「仕事そっちのけで話が明後日の方向に逸れちゃったのは本当に悪かったって思ってるよ」

 

 

とはいえ、仕事としてここに来ているのは俺も同じ。

 

依頼者である実の父親のいる前で護衛対象の娘をぞんざいに扱うことは出来ない。仕事とは関係ないプライベートな時間であれば引っ付いたナターシャさんを引き剥がすことは出来ただろうけど……。

 

残念ながらあの場でそんな勇気は俺には無いし、もう少し良いやり方があったのかもしれないけど、思い付くことも無かった。弟と姉の一線を越えた関係、側から見たら異様な関係に見えるはずだ。

 

そんなこんなでホテルに戻って来て数十分ほど時間が経つわけだが、千尋姉の機嫌は治らず。

 

 

「……」

 

 

とはいえ多少のアイスブレイクは成功したようで、不貞腐れながら俺の方へとチラチラと視線を向けてくる。

 

その表情はほのかに赤みを帯びていた。

 

 

「ねぇ」

 

「うん?」

 

「な、何でもない」

 

 

じっと俺のことを見つめたまま話しかけて来た思うと、またそっぽを向いてしまう。同じことの繰り返し、音楽プレイヤーのリプレイ機能を使っている様な気分になる、

 

さてはてどうしたものか。仕事中に私情を挟むことは無いだろうけど、平常時までこの感じだと俺が中々につらい。とはいっても俺が出来ることはせいぜい謝り倒すことくらいしか出来ないわけで、それに誠心誠意謝ったところで千尋姉が許してくれなければ意味がないわけで。

 

あれ、これもしかして詰んでね。

 

 

「うー、ダメ。もう我慢出来ない!」

 

「はっ……うわぁ!」

 

 

意を決したかの様に明日から立ち上がりズカズカと俺の正面まで近付いて来たかと思うと、力一杯抱きしめられる。突然のことで反応が出来ずにその豊満な胸に顔を埋めると、着ている服の胸部にシワが寄った。

 

そのままベッドに腰掛ける俺の太ももに全体重を預ける様に座ると、頭をコツンと俺のオデコに合わせる。さらさらとした前髪が鼻に当たってくすぐったい。顔を真っ赤にしながらも、互いに視線を逸らせなくなっていた。

 

 

「あの、千尋姉。これは一体どういう……?」

 

「や、大和が悪いんだからね」

 

 

むすっと頬を膨らませたままながらも目はとろんと潤み、口からはほのかに吐息が溢れて俺の顔に当たる。恋人が拗ねている様な感覚。否、間違いなく拗ねているんだろう。

 

 

「私たちがいるのに……他の女の子にまで手を出して」

 

 

私たちというのは自身とナギのことを指しているのか。

 

 

「ち、ちょっと待て。その言い方だと語弊があるからな? 大体そんなつもりは毛頭無かったって言うかその……」

 

 

気付いたらこんなことになっていた。

 

ドラマとかで良く見る展開だよな、うん。

泥沼の三角関係に巻き込まれて最終的に後ろから刃物で刺されるってオチ。生憎後ろから刺される趣味は無いし、そんな泥沼エンドを迎えることは全力で回避したい。

 

 

「誰彼構わず手を出す子じゃ無いのは知ってるわ。でもやっぱり認知していない女の人とベタベタするのは……」

 

 

見ていて面白くない。

 

言葉には出さないものの複雑そうな表情が暗に訴えていた。

 

 

「それだけ大和が魅力的な男性ってことよね。気付いていた? あなた自身、年上に凄く好かれる傾向にあるの」

 

「へ? あ、いや……」

 

 

自覚があったかどうかと言われたら全く無かった訳では無い。一学年上の楯無や目の前にいる千尋姉、そして今回のナターシャさんと、自身を取り巻く環境に年上の女性が多いことには薄々勘付いていた。

 

もちろん全員が全員そういうわけではなく、彼女であるナギや兄と慕ってくれるラウラは俺と同い年になる。ただ比率だけで言えば年上の女性が多いのは間違いない。

 

 

「大和が私たちのことを大切にしてくれてるのは分かるけど、目の前でのつつき合いを大人しく見てるのは私の性分じゃないの。だからちゃーんと上書きしなきゃね?」

 

「う、上書き?」

 

「そりゃもう大和の《自主規制》をナニしたり、私にどっぷりと浸かってくれるまで《自主規制》してもらって「やめんか!」あいたっ! 何するのよ!」

 

 

公に出来ないようなど直球な下ネタを突っ込む暴走した姉を静止すべく、おでこに軽くデコピンを食らわす。

 

力は抑えつつも、パチンと肉体と指が勢いよく接触する音からそこそこ威力はあったようで、攻撃された本人は額を抑えながら涙目で訴えてくる。

 

 

「会話が生々し過ぎるわ! もっとオブラートに包めよ!」

 

 

こんな白昼堂々話すような内容ではない。忘れてもらっては困るがまだ昼過ぎであって夜のアダルトな雰囲気は一切無い。

 

先程までのどこか大人びた甘い雰囲気は完全に吹き飛ばされてしまった。元を正せば何の話をしていたんだっけか、思い出そうにも思い出せなくなってしまうあたり、いかにこの姉の会話の内容が強烈だったのかが分かる。

 

さて、このまま放置して拗ねられても困るし多少の飴は与えるとしよう。

 

何、別に変なことじゃ無い。

 

 

「まぁ、ともかくだ。仕事は明日からだし今日くらい羽を伸ばしてもバチは当たらないだろ。それに折角外は良い天気なんだし室内に居たら勿体ない。着替えたらちょっと出掛けようぜ」

 

「ふぇっ?」

 

 

これからすぐ仕事に入るわけでは無い。

 

学生としての身分を優先するのなら授業を受けろという話にもなるけど、俺が今どこで何をしているのかなどIS学園にいる人間は把握しようが無い。

 

専用機を見に纏っていれば位置を特定することくらいは出来るだろうけど、残念ながら丸腰状態で特定する術はない。

 

それに普段は中々会えないんだ。

 

この時間を利用して()()()()()()()()()を敢行してもバチは当たらないだろう。


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