模型戦士ガンプラビルダーズI・B   作:コマネチ

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今回は34話と35話から一週間後、選手権まで後一週間を切った所から始まる……。


第40話「山回高校、学校七不思議(前編)」(ベアッガイ・スケア登場)

 戦艦や人工衛生の残骸がまばらに浮かぶ宇宙空間。そこでいつもの様にガンプラバトルは行われていた。

目立つのはモノアイタイプのビギニングガンダム、量産型ビギニングガンダム。違法ビルダー達に売られる基本的な機体だ。

 

「行け!ドラグーン」

 

 量産型ビギニングガンダムに乗った違法ビルダーが叫ぶ。背中の太陽の様な形をした装備からコーン状の射撃武器がいくつも飛び出した。

これは『プロヴィデンスガンダム』という機体(ガンダムSEED登場)の『ドラグーン』という遠隔操作射撃武器だ。

 射出されたドラグーンは対戦相手に向かい。ビームを幾重にも連射する。対戦相手、ガンダムAGE-1はそれを器用にかわしドラグーンを撃ち落して行く。

ビギニングに攻撃はしてないが、AGE-1は追いつめられた様子はない。しかもその場からは移動せずに。だ。

 

「ドラグーンに気をとれらてるな!今がチャンス!」

 

 もう一機の量産型ビギニングが前面にビームの刃を形成。AGE-1に突撃する。

このビギニングの背中には『ハイペリオンガンダム』という機体の『アルミューレ・リュミエール』という装備がついていた。

これは機体を覆うバリアを展開、更に射撃や突撃武器にもなる優れものだ。AGE-1の目の前にビギニングが迫る。

 

「これで俺達の勝利だ!」

 

 違法ビルダーは叫ぶも、AGE-1は宇宙空間にも関わらず、ムーンサルトをする様な動きで上に回避、それだけではなく、回避動作のついでで、突っ込んできたビギニングを右手に持ったライフルで真っ二つに斬り裂いた。

これは『アストレイ・グリーンフレーム』という機体の装備していた『ツインソードライフル』という武器だ。銃身を変形させビームソードを発生させる複合武器だ。

 

「な!んだとぉ!」

 

 違法ビルダーが叫ぶもビギニングは爆発。驚愕するドラグーン持ちの違法ビルダー、と、AGE-1は背中の大型ビーム砲『グラエストロランチャー』を展開。こちらに向けて発射。

不意をつかれたビギニングはそのままビームを直撃、撃墜された。

 

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……

 

 バトルが終わり、AGE-1に乗っていたビルダー、アイがGポッドから出てくる。相手側の違法ビルダーもGポッドから出てきた。二人の少年だ。

 

「クソッ!新世代ビルダーにまでなったのに勝てないのか!」

 

「強すぎる!」

 

 違法ビルダーの二人はあっけなくやられた自分達を責める。

 

「……どうして違法ビルダーなんかに手を出したの?」

 

 普段通りのテンションでアイは問いかけた。少年達はアイを見ながら言った。

 

「……あんたみたいな人には解らないだろうな!俺達はガンプラ作りがうまくいかないから新世代ビルダーになった!うまくいかなければ楽しい物だって楽しくない!こいつだって!」

 

 違法ビルダーは横の少年を指さす。

 

「ガンプラバトルはやりたくてもガンプラを作る技術がない!それでもこの普通のガンダムゲーム以上に自由な世界を暴れたかった!

金の問題だってある!それでも指をくわえて見てるだけなんてのは出来なかったんだよ!」

 

「でも、私が強いっていうのは経験つんだからだよ。何だって努力しなきゃ実力だってつかないよ。だからさ……」

 

 アイは穏やかな顔で手を二人に差し伸べる。

 

「私で知ってる作り方とか技術だったらいくらでも教えるよ。うまくいかなければ楽しい物だって楽しくないっていうんだったらさ、楽しくなるまで付き合うよ」

 

 片方の少年はムッとした顔で答える。

 

「な!何を言うんだ!そんなの俺の新世代ビルダーとしてのプライドが……」

 

「じゃ、僕お姉さんに教わりたいです」

 

 反面もう一人の少年はすんなりアイの提案に飛びついた。

 

「なっ!」

 

「君はいいの?」

 

「うっ……俺もー!!」

 

 

 少年二人は店内奥の工作室でアイからガンプラ製作のレクチャーを受けていた。工作室はガラス張りなので店内からはよく見える。

そんな三人を店側から見守る人達がいた。アイのチームメイト達4人だ。

 

「ヤタテさん、違法ビルダーに教えてるんだな」

 

「2週間前のあれ以来、違法ビルダーとかに積極的に教えてるらしいッス。『ガンプラの面白さを少しでも』ってつもりらしいッスよ」

 

「前にマナー悪い奴いたぶって笑ってたとは到底思えないわね。ハハ」

 

ナナは以前のアイの豹変を思い出してギャップに苦笑する。

 

「しかし」

 

と、ヘタレオーラ満載の無精ひげと短髪の中年男性が話に入ってきた。模型店『ガリア大陸』のやとわれ店員『ハセベ・シロウ』だ。

 

「アイちゃんがAGE-1を作っていたとはね。初めて会った時には既にあれの後継機AGE-2に乗ってたのに。大会で使うつもりかな?」

 

「あ、ハセベさん。あのAGE-1スか?あれ確かヤタテさんが引っ越してくる前に使ってた機体ッスよ。大会で使うAGE-3は俺達総動員で作ってるッス」

 

そう。選手権の県内予選でアイ達はリーダー機にAGE-3を使うと皆に話していた。そしてその製作は全員で行っていた。

 

「そうなんだ。それはそうと、AGE-1にもスプリッター迷彩が施されてるんだね」とハセベ

 

「『スプリッター迷彩』?」聞き慣れない言葉にナナが首をかしげる。

 

「ハジメさん、ヤタテさんのAGE系に塗られてた色を分割する塗り方だよ。元々は航空機とかで使われた塗り方だね」

 

「へぇ、そういう塗り方かぁ。そういえば今作ってるAGE-3もそのスプリッター迷彩ってのが塗られてたわね。アイのこだわりかなぁ」

 

ナナが考えてると三人は工作室から出てくる。アイのレクチャーが終わった様だ。少年二人の元々持っていたガンプラは改修され見違えるようになっていた。

 

「恩を売ったつもりだろうけど!お前に懐いたりはしないぞ!これで今度はお前をやっつけてやる!」

 

片方の少年は素直に礼を言ったが、もう片方の少年はなおもアイにつっかかる。

 

「いつでもいいよ」

 

「ぐぬぬ……これで勝ったと思うなよー!」

 

そう言い少年二人は去っていった。教えたアイの顔は満足げだ。そんなアイにナナが話しかける。

 

「ヤッホー、アイ、いい顔してんじゃん」

 

「あ、ナナちゃん。教えたらどんどん吸収してくれたからね。真剣にやってくれて嬉しかったよ」

 

「でも向こうも事情があるとはいえ違法連中ッスよ。レクチャーするなんて変わってるッスよ」とソウイチ

 

「フーリガンじゃないんだからさ。私はガンプラ作る醍醐味を少しでも知ってもらいたいだけだよ。違法ビルダーとして敵対するにしてもそれは関係ないよ。余計な事しちゃった?ソウイチ君」

 

ソウイチは卑怯な手を嫌うとはいえ、勝つ事に強い拘りがある。ソウイチにとっては不快かもしれないとアイは思った。

 

「いや、強者ならそれ位の余裕はあってもらわないと困るッスよ」

 

「おーおー可愛くないのー」とナナ、そして「余計なお世話ッス」と返すソウイチ。ふとナナは店内の時計を確認する。

 

「と、そろそろお昼ね。間に合ってよかったわ」

 

「あれ?ナナちゃん用事?」とアイ

 

「いや、アンタね。午後は夏休みの宿題片付けるってんで、今日はタカコの家でお泊り会って約束してたでしょ?」

 

呆れながら言うナナにアイは「あ」と声を出した。そう、今アイ達は夏休みに入っていた。宿題を効率よく消化すべく、休み中に昼からタカコの家で勉強会をする計画を立てていたのだ。今日は家に誰もいないという事で泊まりだ。

 

「いけない!教えるの夢中で忘れてたよ!」

 

「アンタねぇ……ま、いいわ。それじゃアタシらここらでおいとまします」

 

「あぁわかった。気をつけてね」

 

挨拶もそこそこにアイ達はタカコの家に向かった。

 

……

 

「へぇ、子供達にガンプラのレクチャーね……」

 

 アイ達はタカコの家に向かう途中、部活帰りのムツミと合流、アイ達が住んでるのとは別の住宅地を歩きながらムツミにさっきあった事を話す。夏の所為かムツミの肌は日焼けで黒くなっていた。

 

「なーんかどーでもいいって感じの台詞ね」

 

「うぅん、そんな事ないよ……。ギスギスしたまま終わったら悲しすぎるもの……。競技なんだからそういうのはやっぱり出来る限り無い方がいいよ……」

 

「ありがとうムツミちゃん」

 

「でもさ……」

 

何か言いたげなムツミ、アイ達は不思議に思う。

 

「アイちゃんて自覚ないだろうけどさ、フーリガン……態度の悪すぎる人達限定だけど、違法の人達相手にする時かなり怖いよ……。その子達怖がったりしなかったの……?」

 

「ぅ……それは……」

 

ムツミの発言に詰まるアイ、心当たりがあるらしい。

 

「あー聞いてよムツミ。三日前なんだけどアイったらね、普通の子をフーリガンと間違えちゃって泣かせちゃったのよ。それでアイの方も泣きながら謝る事態に」

 

「わーぉ……」

 

「うわーっ!!やめてやめて!!」

 

慌てながら話を遮ろうとするアイ、その件は自分の態度がいつもと違うと自覚せざるを得なかった。

 

「アハハ、ゴメンゴメン、でもいいじゃん。向こうも最終的に許してくれたんだし」

 

笑い話として成立する結果だからこそナナは話したわけだ。

 

「もう!それはそうと!!タカコちゃんの家に行くのって初めてだよ私、どんな感じなのかなぁ」

 

強引に話題を逸らそうとするアイ、とはいえこっちに引っ越して来て、アイは一度もタカコの家に行った事はない。友達の家がどんな感じなのか興味があったのは事実だ。

 

「フフ、アイ、タカコの性格解ってるでしょ?家自体はともかく部屋は散らかりっぱなしよ」

 

慌てふためくアイに笑みを浮かべながらナナは答えた。

 

「大丈夫だよ……タカコの部屋だったら先週ボクが(強制的に)タカコと協力して部屋の掃除したから……さすがに一週間じゃ元に戻らないよ……」

 

……

 

そして目的の一軒家に到着する。タカコの家だ。インターホンを押すが反応しない。暫くして勝手に入ろうとドアに手をかけるムツミだが、

 

「……閉まってる」

 

合鍵はムツミが持っていた為、開けて中に入る三人。玄関に入ると「ワン!」という鳴き声が三人を出迎えた。犬だ。色は全体的に茶色く、外見はほぼ柴犬だ。

 

「この子がアシュリーだね」

 

アイがその犬の名前を言った。タカコが『アシュリー』という名前の犬を飼ってるというのは話題に上がった事が何度かある。(※小説ではだしてません)実際アイは見たのは初めてだ。ちなみに雑種の雄だ。

 

「うん。こんにちはアシュリー……タカコは上……?」

 

ムツミがアシュリーを撫でながら問いかける。するとアシュリーは短く吠え、導くようにとてとてと階段を上がって行く。タカコの部屋につれていこうとしてるのだ。

 

「空気読むのだったらタカコよりうまいのかもね……」

 

ムツミは苦笑しながらアシュリーに付いて行った。

 

 

「一週間じゃ元に戻らない……ハズだったんだけど……」

 

到着したタカコの部屋の中、フローリングの床の上で三人は絶句していた。部屋の中は服やら雑誌やらが散乱。

部屋の中心に置かれたテーブルの上には、デジカメに繋がれた開きっぱなしのノートパソコン(棚の上のプリンタに繋がれている)、そして食べかけのお菓子。

床の上にはお菓子の食べかすが散乱、この散らかりっぷりがタカコの部屋の基本形だった。

 

「かー……。くかー……」

 

そしてベッドの上には薄着で、ヘソを出して寝てるタカコの姿があった。呑気そうな寝顔なのが彼女らしいというのが全員の感想だった。

アイ達の横でアシュリーが「クゥーン」と鳴きながらうなだれる。

 

「……」

 

ムツミは無言でタカコの前に出ると、両手を使い鼻と口を塞いだ。みるみる内にタカコの顔が青ざめ、震えてくる。

 

「……ぶはっ!!!!!!」

 

苦しさに飛び起きるタカコ、彼女が起きてすぐ見たのは渋い顔したムツミだった。

 

「な!何!?ぷちっことプールでハーレムしてたら水が溢れて!!」

 

「やぁタカコ……」

 

「あ、ムツミだ~おはよ~」

 

タカコはいつものマイペースさで返した。

 

「もう昼だよ!」

 

 

「う~しょうがないじゃ~ん。終業式用の新聞、新聞部一同で作ってたんだから。記事書くにも部屋が片づいてたら集中できなかったんだよ~」

 

「それで今日までに片付けようとしてこのままズルズルいったと……」

 

「一気にやろうとしたんだけどね~」

 

タカコが起きた後、まずはタカコの部屋の掃除に取り掛かる4人。

 

「駄目だよタカコちゃん、一気にやろうってのがそもそも間違いなんだよ。一日五分でもいいから習慣つけないと」

 

床に掃除機をかけながらアイが言う。

 

「あ、アイ、掃除機の前に棚の上の方から拭いとかないと、埃が落ちちゃう」

 

ベランダから布団を干してるナナが振り向きながら言った。

 

「大丈夫だよナナ……、アイちゃんあっという間に全部拭いちゃった……。手馴れてる……」

 

「早っ!」

 

「そんな事ないよ。先週掃除やったんだから拭く量自体は少ないんだし」

 

「そういえば、アイの部屋って何度か上がったけど、散らかってるって思った事はないわね」

 

ナナは思い出しながら言った。タカコもムツミもアイの部屋に上がった事はある。がいつも片づいてる印象があった。

特にナナはアイの隣人、割とよくアイの部屋に入るがいつも汚れてると思った事は一度もない。

 

「元々ガンプラよく作ってるから散らかしやすいからね。こういうのはマメにする様にしてるの」

 

「アイちゃん、しっかりした所あったんだね~」

 

「意外だと思った?」

 

「確かに動きに迷いがない……手際がいいよアイちゃん……」

 

ムツミはアイを見ながら感心していた。確かに先週掃除したから拭く量は少なめで十分なのかもしれないが、それにしたって早い。しかもいい加減にやってる様に見えない。

 

「そういえば、アイがどういう生活してたか、アタシ達まだ知らなかったな」

 

「アイちゃん……、あんまり話さないからね……」

 

 

瞬く間に日は暮れ、夕食の支度となる。メニューはカレー、

ダイニングキッチンに立っていたアイ、ナナ、タカコの三人はカレーを作るべくそれぞれの役割をこなす。

 

「……ねぇ、やっぱりボクも何か手伝おうか……?」

 

リビングのソファで座ってたムツミが申し訳なさそうに聞いてきた。彼女の横にはアシュリーが伏せている。

 

「大丈夫だって、ムツミはそこでテレビでも見てて~」

 

鍋で豚肉を炒めているタカコが言う。

 

「ムツミこういうの苦手だからね」

 

タカコの横で野菜を切るナナがタカコの言葉に続く。

 

「でも意外だよね。ムツミちゃんこういうの苦手って」

 

そしてナナの横、シンクでアイが野菜の皮を剥く。包丁を扱ってる為、喋ってはいても目の前の野菜の皮向きに集中していた。

 

「ムツミはね~勉強とかスポーツはかなりの物なんだけど、アドリブとか手先を使った細かい作業全然駄目なんだ~。

中学の時家庭科の授業で指切っちゃうとかしょっちゅうで、高校受験で山回高校選んだのも『家庭科がないから』って理由が大きかったんだよ~」

 

「よ!余計な事言わないでよ!」

 

顔を赤らめうろたえるムツミ、そして「へぇー」と答えながらアイはナナのまな板の横に、剥いたじゃがいもを置いた。ナナが切り終わる前に早いペースで皮むきを済ましてるのだ。

 

「いや、意外っつったらあんたも相当よアイ……、皮剥くペース早い上に皮がぜーんぶ繋がってるじゃない」

 

シンクの中の皮をつまむとタカコとムツミに見せるナナ、ニンジンとタマネギはともかく、ジャガイモは全部皮が繋がっていた。

ムツミも詰め寄って感心する。

 

「わ~凄い、ガンプラやってるからやっぱり器用なんだね~」

 

「タカコも料理は出来る方だけど、ここまでじゃないよ……羨ましい……」

 

「いやー皮が剥けるからって料理が出来るわけじゃないよ。それに、これでもブランクある方だよ私」

 

手を休め、照れつつもアイは答える。

 

「考えてみたら、アイが料理作った所って見た事ないなぁ。学校のお昼だってアンタいつも購買とかコンビニだし」

 

「自炊自体はしてたんだけどね、正直こっち引っ越して来てからやる気なくなっちゃって」

 

「やる気ね……もしかしてアイちゃん、彼氏とか前住んでた所でいた……?」

 

『彼氏』というワードにアイは「え?!!」と顔を真っ赤にする。

 

「い!いやいやいや!!いないよ!なんでそんな事いうの!!」

 

「だってアイちゃんが一番実力を発揮するのは、自分が興味を持った事に対してじゃない……。自分の為によりも誰かの為に作った方がアイちゃんらしいと思ったんだよ……」

 

自分の為だったら今でも自分で作り続けてるだろうし、とムツミは思いながら言う。

 

「あーそう言う事、彼氏だったらいないよ。ただ…作ってあげた幼馴染みだったらいたよ。女だけど」

 

「え?!」と答えるナナ達三人、

 

「昔住んでた所でね。私の親が共働きだった上に、家の近い友達の方も共働きだったんだ。

親は大抵遅くてさ、二人で色々協力してご飯作ったりとか家事分担してたんだけどね、やってくうちに慣れてきたってわけ」

 

「へぇ~昔住んでた所かぁ、あれ?そういえばアイちゃんが住んでた所ってどこだっけ」

 

「忘れたのタカコ、アイちゃんの出身『玄礼木市』(くろれきし)だよ……」

 

『玄礼木市』(くろれきし)アイ達の今住んでる『山回町』(さんかいちょう)とは同じ県内だがかなりの都会だ。

 

「あ~玄礼木ね~!ね~ね~アイちゃん!どんな人だったの?その幼馴染みって~」

 

「妹みたいな奴かな。口で説明するより、明日解ると思うよ。元々電話で連絡とかはちょくちょくしてたんだけど。実は明日の納涼祭で私の家に泊まりに来るって

そいつもガンプラもやってるからね。ガリア大陸のイベントにも出るってさ」

 

納涼祭、いつもアイ達が寄ってる山回商店街での催しだ。商店街の店一つ一つが祭りの店をやる事になっており、

それはアイ達の行きつけの模型店『ガリア大陸』でも例外ではなかった。

なんでもアイ達の学校、山回高校の体育館へ、ガリア大陸始め、周囲の店からGポッドを集め、ガンプラバトルを使ったお化け屋敷を企画してるとか。

今日の昼からもガリア大陸のGポッドは体育館へと運ばれていた。

 

「それ早く言ってよ!!」

 

「どんな人なんだろ。楽しみ~」

 

「妹みたいな幼馴染みか……。」

 

……

 

そして翌日午前10時30分、ナナ達は母校、『山回高校』に向かう。といってもアイは今いない。イベントの調整として先に高校に向かったのだ。

通り道となる商店街の中は人で一杯だ。

 

「ひゃー凄い活気だわ」

 

「ガリア大陸のイベントって何時からだっけ?」

 

「11時からだよ。30分あるから大丈夫だよ~」

 

「そっか。そん時にアイの昔の友達にも会えるわけね。やっぱりアイに似て穏やかな人なのかな?」

 

「もしかしてメイクゴテゴテのギャル系だったりして~」

 

冗談めかしたタカコの発言だがムツミには的を得ているかも思えた。

 

「そうかもね……なんか最近アイちゃんって意外な一面が次々とでてくるし……。案外そういう人かも……」

 

「そうね。半年以上アイと一緒にいるけど、アイには驚かされてばっかりだわ」

 

「そうだね……。普段は温厚で、ちょっと抜けてて、勉強も運動も苦手だけど好きな事には凄い力を発揮して……、それは相変わらずだけど、最近は逞しい所もよく見るよ……」

 

「ムツミ~なんかアイちゃんの悪い所ばかり言ってない~?」

 

「いや、そんなつもりは……」

 

ガンプラがうまいから始まり、加虐的な一面、昨日見せた家庭的な一面。そして今日、アイの幼馴染みと会える。また自分を驚かせるような事になるんだろうな。

ムツミの言葉に続き、なんとなくナナはそう思えた。……と、その時だった。

 

「だーかーら!コナミはわざと見てないって言ってるじゃん!!」

 

「あぁ?!わざとらしくアタシの後ろで見てた癖に何言ってんだよ!!」

 

聞き覚えのない声と、聞き覚えのある声が聞こえた。覚えのある方はかなり困惑気味に聞こえた。聞こえた方を見ると女同士が言い争ってるのが見えた。

 

「あれ?あいつ」

 

ナナは近寄って見る。髪型が違う上にしばらく会ってなかったが記憶に残る顔だった。

 

「ってあぁ!ナナじゃない!!助けてーっ!!」

 

ナナが近づくや否や、ツーサイドアップの髪型を振り回しナナに抱きつく小柄な少女、

 

「なっ!どうしたんですかウミノ先輩!」

 

山回高校模型部部長『ウミノ・コナミ』だった。

 

「いいがかりつけてきたのよアイツ!勝手にパンツ見たって!!」

 

「こっちが屈んでた時に後ろから盛大に見てたじゃねぇか!!」

 

「たまたま目線が合っただけでしょ!!コナミがベンチで座ってた周りであんな無防備な姿でかがんでて!まぁたまたま見えちゃったのは事実だけど!」

 

「ちょっと待ってよ、アタシら的には全然話が見えないんだけど」

 

「あぁ?何だアンタら」

 

怪訝そうな顔でナナを見てくる相手の少女、ギザギザに生えた歯、ピンクに染めた長いツインテールとかなりエキセントリックな外見だ。

特に目は記憶に残りそうだ。長いまつ毛、妙に目力のある瞳、目の下に濃いクマ、一言で表すなら……。『怖い顔』だ。

かなり不機嫌らしく尚更凄みがある。しかし同時に首から下は綺麗なボディラインだった。胸の大きさや腰のくびれが服の上からでも分かる。

 

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「こいつの知り合いよ。まずは何があったか話してほしいわね」

 

「あ?部外者なら引っ込んでてくんない?こっちはイラついてる上に時間ねぇんだから」

 

「まぁまぁ…、脇目もふらずに屈んでたって事は何か探してたのかい……?」

 

ムツミがやんわりと聞こうとする。

 

「ブレスレットだ。左腕につける奴なんだけど……落とした」

 

「それで探してたってわけね。っつってもこの人だかりじゃ探すのも難しいんじゃない?」

 

「あ!?諦めろってか!!」

 

「あーもう!話は最後まで聞いてよ!これだけ人がいるんなら交番いけば落し物で届けられてるんじゃないの!」

 

少女の凄みは噛みついて来てもおかしくない物だった。うろたえながらも答えるナナ。しかし『交番』というワードに少女は萎縮する。

 

「ぅ……交番?そういうとこはちょっと……」

 

「?何うろたえてんのよ。なんか万引きでもして手に入れたブレスレットだった?」

 

「あ?!!ちげぇよ!アンタアタシを何だと思ってんだ!いいよ!行くよ!いきゃぁいいんだろ!」

 

「待って!方向反対!」

 

「ぅ……!わざとだよ!!」

 

 

5人は交番に行くと駐在警官に事情を説明する。ブレスレットはアッサリ見つかった。

 

「あった!これだ!」

 

「いやー、さっき落し物で届けられていたんだよ。こういう日は落し物も多いから皆も気をつけてね」

 

「はい。有難うございます」

 

「ところで君……」

 

警察官はブレスレットを落とした少女に声をかける。

 

「ぅ……なんスか?」

 

「君、ちょっと聞きたい事あるんだけどいいかな?お父さんとお母さんはどうしたんだい?」

 

 

暫く少女への質問が続いた後、少女含めナナ達は解放された。

 

「あんただけなんか質問責めにあったわね。まんま職務質問だったわ」

 

「うっさい。どいつもこいつも人相で人疑いやがって!」

 

苦虫を噛み潰した様な表情で少女は吐き捨てた。これが初めての経験というわけではないらしい。

 

「だから交番とか行きたくなかったわけだね~」

 

「ま、腹立ったけど、今回はこれが取り戻せたから許す。よかった……本当に……」

 

少女は左腕につけたブレスレットを愛おしそうに右手でつかんだ。先程の凶暴そうな印象が消える位、切なげな表情を浮かべて……。

 

「大事なんだ。そのブレスレット」

 

「まぁな。友達から誕生日プレゼントにもらった……もういない奴だからさ……」

 

『もういない』というワードにその友達がどうなったかは想像に難くない。タカコ含め、ナナ達はどう言葉をかけていいか解らなかった。

 

「ゴメン……嫌な事聞いたかも」

 

「いや、気にすんな。……そこのガキ」

 

「ガ!ガキってコナミの事?!」

 

『コナミは18歳だ』そう言おうとしたが、少女の言葉は続く。

 

「こっちも悪かった。どうしてもなくしたくなくて、頭に血が登っちゃってあんな態度をとっちゃって」

 

恭しく頭を下げる少女。その行動に全員が意外に思えた。

 

「と、時間は……。急がねぇと、ブレスレットありがとう!じゃあな!!」

 

スマホで時間を確認すると少女は軽快に走って行った。安心した彼女の表情はまだ怖いが爽やかな印象もあった。

 

「台風みたいな奴だったわね」

 

「部長さんも災難でしたね……。タイミング悪く絡まれちゃって……ところでどうしてあんな所で?ヤマモトとカワサキの二人は?いつも一緒でしょ」

 

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「コウヤとナガレの二人だったら、ガンプラバトルのイベントに出るって言うんでコナミだけこっちで待機してたのよ。とんだ災難だったわ」

 

不機嫌そうに答えるコナミ。

 

「ガリア大陸のイベントって言ったらガンプラバトルでお化け屋敷やるって聞いたけど」

 

「ふんだ!ガキの遊びだわ!コナミは大人の女だからそんな遊びには付き合ってられないってわけ!!」

 

「本当はお化けが怖いんじゃないですか?」

 

「ち!違うわよ!!」

 

ムキになりながら答えるコナミ、冗談で言ったが図星の様だ。

 

「解ったからそんなムキにならないで下さいよ。っとそういえば時間は…うわっ!結構もってかれたな」

 

ナナも時計を見ると11時まであと10分を切っていた。交番は商店街の出入り口にある。高校へはここから10分はかかる。

 

「急がないと……!」

 

ムツミがそういうと4人は全員ガリア大陸に向かった。

 

「コナミはここでお祭り楽しんでるわよ~」

 

コナミだけがそこに残り、ナナ達を見送った。

 

「全くガキね。イベントに一喜一憂しちゃって、イベントより男のナンパを待つのが大人の女ってもんじゃない?」

 

「ねぇ君」

 

「キターッ!!はいっ!なんですか!?」

 

「君迷子?こんな所でどうしたの?お父さんとお母さんは?」

 

「……」

 

ウミノ・コナミ、身長135㎝。

 

……

 

「あぁいたいた!皆~!遅いよ~!!」

 

「何やってんスか全く~」

 

「事故にでもあったかと心配したよ」

 

高校の体育館につくとアイが出迎えてくれた。ツチヤやソウイチ、ヒロも一緒だった。

 

「ゴメンねアイ、ちょっとトラブルがあって」

 

「トラブル?」

 

「変な奴に絡まれてね。で、受け付けの方は?」

 

「まだ大丈夫。早く名簿に書いて」

 

アイは参加者申請書をナナに手渡した。

体育館の中は午前中だというのに薄暗い、窓は黒カーテンで遮られていたからだ。とはいえクーラーはガンガンに効いてるため涼しいが、

講堂部分には大型スクリーンが備えられており、そこから選手の視界を通して、分割された画面がギャラリーに提供されるというわけだ。

そして講堂の下にはズラーッと近場の店から集められたGポッドが並んでる。今回はパイロットスーツは着ない。持ち込み、もしくは貸し出しのイヤホンで通信を行う事になっている。

また完成品のガンプラのレンタルもされておりガンプラを作らない子も出られる仕様だ。

 

「今回はジャンケンで俺が勝ったので、俺が三人目になるッスよ」

 

「よろしくねアサダ。そういえば、アイ、アンタの昔の友達って来てるの?」

 

いるのかと辺りを見回すナナ。

 

「それがね、まだ来てないの。せっかくこっちで参加申請したってのに……何やってんだろ。ノドカ……」

 

モヤモヤはあるが、アイ、ナナ、ソウイチの三人はGポッドへと入り込む。それをギャラリーに紛れ遠巻きに見るツチヤとヒロ、タカコとムツミ。

 

「今回はヒロさん達二人は出なくていいんですか……?」

 

「大丈夫。今日は一回だけのイベントってわけじゃない。アイちゃん達の次に出ればいいだけの事だよ」

 

「しかしガンプラバトルでお化け屋敷ですか~、どんなのになるか楽しみですね」

 

「まぁそうなんだけどさ。正直ちょっと心配事はあるかな?ソウイチ関係で……」

 

「え?」

 

と二人が話し込んでる後ろ、受け付けの所で一人の少女が駆け込んだ。

 

「待って!!アタシも参加しまぁぁすっっ!!」

 

そしてイベントが開始する『ガンプラバトル学校七不思議』が……、

 

……

 

「ん……」

 

『フリーダムアルクス』に乗ったナナは目を開ける。まずアイ『AGE-1サムライリッパー』とソウイチ『ガンダムF91』を含めた自分達は夜の学校の教室の一つにいた。

明かりはないが外からの月明りで視界は良好だ。

 

【挿絵表示】

 

「これって……機体が人間サイズになってる?どこよここ」

 

今の搭乗機の大きさは人間の大きさ。もしくはそれより一回り小さいサイズに変えられていた。(元々のサイズは問わないらしい)

場所については学校内のマップと現在地は画面表示で確認できたが、廊下から頭を出したソウイチのF91は扉の上のプレートを確認する。

 

「『2-B』って書いてあるッス」

 

「って事はうちのクラスね」

 

 

そしてこちらは観戦してるムツミ達の視点だ。

 

「ガンプラに乗ってるのに教室が見えますよ……今日はどういうイベントなんでしょうか……?」

 

ギャラリーのムツミがパンフレットを持ったヒロに聞く。

 

「そうだね。えーと、なんでも学校内の七不思議をガンプラに乗って討伐するっていうルールらしい、開始地点はバラバラだけど、七不思議の名前と説明は画面に表示されている。

一番先に七不思議全部倒したチームが優勝だってさ。ちなみに学校と七不思議はこの山回高校のトレースだって。ちなみに初心者コースと上級者コースがあって今回は上級者コースだってさ」

 

「という事はイニシチアブはうちの生徒のナナが持ってますね……。しかしうちの学校で七不思議か……、2-B近場の七不思議といったら……」

 

「『校長室の呪いの人形』だね~」

 

 

そしてアイ達に視点を戻そう。アイ達は今校長室の前にいた。同じ校舎、同じ階とアイ達の教室に近い。

 

「この中に第一の七不思議があるんスね……。呪いの人形ってどんなのスか?」

 

「確か夜中に髪の伸びる日本人形がいて、見た者は髪で絞め殺される。だったかな?」

 

「限られたスペースで戦うことになるからね。気を引き締めていかないと…」

 

サムライリッパーの刀を構え校長室の扉を開けるアイ、三人は中に入る。中は普通の教室並の広さがあった。来客用のソファとテーブル、パソコンの置かれた豪華そうな机、その横に置かれた

本やトロフィーの詰め込まれた棚、そして……その横に置かれた問題の日本人形……ではなく!

 

「……ガンダムナドレ?」

 

アイが呟くと同時に全員が校長室に入る。と扉がバタンと勢いよく閉まった。そして目の前のガンダムナドレが浮かび上がり、髪の毛が、否、コードが動き出した。

ガンダムナドレ……『ガンダムOO』に登場したガンダムだ。ほぼ真っ白なカラーリング、スラッとした体系だが、

通常は全身追加装甲で覆われており、『ガンダムヴァーチェ』という白黒で大型の重武装の機体に偽装されている。

最大の特徴は頭部から生えた女性のロングヘアーの様な赤いコード(追加装甲との接続用)だ。これと細い体躯により女性型のガンダムに見える。

目の前のナドレは市松人形のように黒く塗装されていた。

 

話を戻そう。ナドレは伸びたコードを腕の様に振るい攻撃してくる。本編ではあり得ない使い方だ。そしてコードは抜き手の様に突き刺そうとしてくる。

 

「うわっと!」

 

ナナはコードを回避。

 

「ガンプラバトルだから七不思議もガンプラッスか!!聞いた通りッス!!」

 

ソウイチも同様に回避しながらビームライフルで撃ち返す。が、ナドレは余ったコードで射撃を防御、盾としても使えるコードだった。

 

「ネタに走ってる割には手ごわい?!」

 

「ならさ!!」とアイは叫ぶと果敢に接近を試みる。ナドレは接近に反応してコードを振るう。が、アイは日本刀を振り回しコードを切り裂いた。

 

「どうやら接近戦に弱いみたいだよ!」

 

「よしっ!!」とナナとソウイチは叫ぶとお互いのビームライフルでナドレを撃ち抜く。コードを切られた為防御ができなかった。そしてナドレは爆散。

アイ達の画面上の七不思議にチェックが入った。

 

「よしっ!これで一つ目クリア!」

 

「……情報通り。ガンプラならいくらやっても怖くないッスね。早いとこ別の七不思議も攻略しちゃいましょう。次は何階に行くんスか?」

 

「アンタだけ聞いてたわけ?ズルい。まぁそれはともかく後の七不思議は、別の校舎行かないといけないわね」

 

ナナは画面上のマップを目にする。山回高校は三つの校舎で成り立っている。今アイ達のいる校舎が南側『第三校舎』、一番新しい校舎で普通教室や職員室、保健室はもっぱらこちらにある。

そして東側の『第二校舎』、理科室や美術室等、特別教室はこちらに集中している。そして北側『第一校舎』コンクリート製の旧校舎で、もう使われてない教室等があり今では部室や倉庫に使われている。

上空から見ると『コ』の字状になるのが山回高校の特徴だ。

 

「つまり第三校舎じゃもう七不思議はないんスか」

 

「らしいよ。後は第二か第一で集中してるんだってさ」

 

「じゃあさっさと行きましょうよ。ガンプラバトルで肝試しなんて趣味が悪いッスから」

 

ソウイチは校長室のドアを開けて出ようとする。が、直後ソウイチのF91の鼻先を横からビームが掠める。

 

「ぅをっ!!」

 

すぐさま後退するソウイチのF91、開いたドアからは連続で撃たれ続けるビームが見えた。

 

「別のチームのガンプラッスね。大方こっちを先に倒そうって魂胆スかね」

 

「見た所左右から撃たれてるって事は2チームいるのかな。一気に倒さないと」

 

「なら俺が左のチームを」とソウイチ、「じゃあ私が右だね」とアイ、二機は武器を構えると校長室から出て、見えた敵のガンプラめがけて走り出した。

 

「あーちょっと!アタシは?!」ナナは一人残され困惑していた。

 

 

アイのAGE-1サムライリッパー(以下サムライリッパー)は肩に取り付けてあった刀を両手に持ち、前方の敵機に突っ込む。

敵のガンプラは三機が固まって射撃体勢をとっていた。まっすぐ来るサムライリッパーを落とそうとビームライフルを連射、だがサムライリッパーの刀はビームを切る位訳ない。次々とビームをはじきながら三機に接近、瞬く間に敵機をまとめて切り裂いた。

 そしてこちらはソウイチの方。ソウイチは左腕のビームシールドを前面に展開しながら敵のビームを防御、そして右腕のビームライフルを撃ちながら確実に敵機を撃破していく。

 

「もらったぁ!!」

 

と、いきなり横の教室の扉から敵機がビームサーベルを構え襲ってきた。潜んでいたようだ。ソウイチは冷静にバックステップで回避、すぐさま背中に備え付けられていたビーム兵器『ヴェスバー』を展開、

最大出力で撃った。このヴェスバーは機体ジェネレーターに直結したF91の必殺武器だ。その威力はさっき襲ってきた敵も、その奥の敵も飲み込み爆散させた。爆風が廊下を覆う。

F91はビームシールドを構えたままその場に踏ん張った。

 

「くっ!エネルギー大食いするから使いたくなかったんスけどねぇ!!」

 

 

 

そして三人は第二校舎、理科室の前に来た。中では既に誰かがバトルをしてるらしい。爆発音らしき音が聞こえる。

 

「理科室スか。定番スね。大方人体模型が動くとかじゃないスか?」

 

「そ、七不思議のひとつ『徘徊する人体模型』ってね。ガンプラで人体模型ってどんなのになるやら」

 

そう言って中に入ると見知った機体が二体と、半分の内部機構が丸見えになったガンダムが戦っていた。

 

「!?援軍が来てくれたみたいだぞ!コウヤ!」

 

これまた聞き覚えのある声だ。

 

「?!その声と、あのレジェンドとハイゴッグ!模型部のコウヤ君とカワサキ君?!」

 

黒いハイゴッグと緑のアメイジングブースターを取り付けたレジェンドガンダム、乗ってたのは山回高校模型部の『カワサキ・ナガレ』(ハイゴッグ)と『ヤマモト・コウヤ』(レジェンド)

以前アイ達と対戦し、そして共闘した仲間だ。

 

「いいところに!ちょっと手伝ってくれ!!あいつ結構硬いんだ!うおっ!!」

 

敵の放ったビームを肩のアーマーで防ぐレジェンド、敵はこちらより二回りほど大きい。にも関わらず、狭い理科室の中を飛びながら正確にこっちを撃ってくる。その機体は……

 

「右半分の内部機構が露出してる?!メカニックモデルのガンダムだ!」

 

「何それ?!」とナナが聞く。

 

「見ての通り人体模型みたいに中のメカが露出してるモデルだよ!」とアイは答える。見ると腹部のコクピットブロックがすっぽり抜けていた。

 

迎撃すべく、ナナはフリーダムの火器を前面に展開、そして発射、フルバーストモードだ。メカニックモデルのガンダムはシールドで防御する。

が、高出力のビームによりガタガタとメカニックモデルは震える。続けてアイは別方向からサムライリッパーの刀から衝撃破を飛ばす。三日月状の衝撃波はメカニックモデルの背中に直撃、

可動箇所が少ないメカニックモデルは直立のまま倒れる。が、フワッとまた浮かぶように起き上がった。

 

「げ!効いてない!!」

 

さっきの攻撃を意にも介さずメカニックモデルはまた撃ってきた。理科室の中をそれぞれ走りながら避ける5人、

 

「どーすりゃいいのよ!!なんか弱点ないわけ?!」

 

「ちょっと待っててくれ!怪談の解説を読んでるから対策があるはずだ!」

 

カワサキがディスプレイの説明を見ながら答える。古来より怪談や都市伝説には対策という物がある。初心者がこのイベントをプレイする事もある程度考慮しての措置だった。

と、直後メカニックモデルはハイゴッグめがけてライフルを撃ってきた。「やられる!」と全員が思った。直後!

 

「何の!!」

 

ソウイチのF91がハイゴッグの前に出た。そしてビームシールドで相手のビームを防御、

 

「カワサキさん!早く!」

 

「ソウイチ君!あぁ!!……分かったぞ!隣の理科準備室だ!そこに奴の心臓部がある!それを壊せば!」

 

ならばと理科準備室に向かおうとするアイ達、(理科室と準備室は廊下に出ずとも直接つながってる)しかしメカニックモデルは行かすまいとライフルを向けた。が、

 

「させるか!!」

 

コウヤのアメイジングレジェンドが浮かんだメカニックモデルに体当たりを食らわした。コウヤのアメイジングレジェンドは直線的なスピードが非常に高い。

狭い理科室では活かす機会に恵まれないが、体当たりなら話は別だ。

 

「うんじょぁ!!」

 

衝撃に奇声をあげるコウヤ。ゴロゴロと音を立て転がる二機、その隙にアイとナナは理科準備室へと移動した。

 

「コウヤ!(ヤマモトさん!)」

 

「ぐぇぇ……頭にくるぜこいつは……」

 

目を回すコウヤのレジェンド、メカニックモデルは再び浮かび、無言で目の前のレジェンドにライフルを向けた。今のコウヤは上手く動けない。

させまいとソウイチとナガレの二人はメカニックモデルに飛びかかろうとする。が、直後メカニックモデルの黄色く光る眼は停止、向けていたライフルも、持ってた腕ごとだらんと下げると、床に落ちて砕け散った。

 

「間に合ったみたいだね」

 

四角いコクピットブロック『コアファイター』を刀に突き刺したアイのサムライリッパーとナナのフリーダムアルクスが理科準備室から戻ってきた。

安堵する三人、これで二つ目の七不思議はクリアだ。

 

 

 

「俺達は第一校舎から始めたんだがちょっとやり辛くて先に校長室に行くところだったんだ」

 

「第一校舎の方は今チーム同士の小競り合いが厳しいぜ。一応七不思議の一つはクリアしたんだが直後別チームに襲われて一人やられちまってな」

 

理科室から出るとコウヤ達は自分の事情を話す。

 

「なんでアタシ達みたいに協力して七不思議倒そうとしないんだか」

 

「それはねナナちゃん。倒した実績は居合わせた人達全員につくけどさ。最終的に倒した優先順位は倒したチームにつくからだよ」

 

「ってルールらしいな。まぁまだ不思議は五つあるんだ。まだまだ負けねぇぜ!」

 

そして五人は別れた。いよいよアイ達は第一校舎に向かう。

 

「次はどこいくんスか?」

 

「一番近いのは……おもちゃ研究部だわ……」

 

説明を読んでたナナは沈んだトーンで答えた。アイもそれを聞くと顔が強ばる。

 

「おもちゃ研究部ぅ?なおさら大した事なさそうッスねぇ」

 

……

『第一校舎三階』

 

「びぃぃぃぃゃぁぁあああぁあああ!!!!こっちくんなぁぁっっ!!!!!!」

 

ビームライフルを乱射しながらソウイチが絶叫した。目の前にはガンプラではなく、パワードアームズパワーダーを装備したぬいぐるみや球体関節人形(20㎝強、アイ達の機体はだいたい160㎝)がビットの様に飛び交い攻撃してくる。

今アイ達がいる教室は普通の教室の半分に満たない大きさだった。しかし全員が入った直後、いきなり空間が広がり、円柱状の黒い巨大な部屋となった。

空間の中央部には奇妙な魔法陣が描かれており。その前にはアイ達の機体と同サイズの球体関節人形がビーム兵器を撃ってくる。魔法陣を守るかの様に

 

「なんなんスかこいつらぁぁっ!!!どいつもこいつも気持ち悪いビジュアルでぇぇっ!!」

 

飛んでくる人形は全員ホラーかゾンビめいたアレンジがされており、血を流していたり白目をむいていたりで、グロテスクか怖いか気持ち悪いかといった印象しかなかった。

 

「『人形達のサバト』ウチのおもちゃ研ね。オカルト研との掛け持ちなのよ。その所為で扱う玩具もなんかおっかないのばっかりで、それで夜な夜な変な儀式やってるって言われてんのよ」

 

フルバーストで迎撃するナナが答える。アイもその横で刀で次々と人形を切り落としていた。余談だがおもちゃ研は模型部との親交もあり、自作のホラードールも模型部室で作る事もあるとか。

当然部長のコナミは嫌がってる。

 

「ナナちゃん……ゴメン私もちょっと見てて気持ち悪くなってきた……あんま可愛いとも思えないし」

 

「同感ね!じゃあさっさと片付けますか!!」

 

最大出力のフルバーストで人形たちを吹き飛ばすナナのフリーダム、

 

「アイ!あの魔法陣を消せば人形は全部止まるって書いてあった!」

 

「ナナちゃん!オッケー!」

 

フルバーストの射線上だったスペースをアイのサムライリッパーは大きくジャンプ、刀を大きく振るい四重の衝撃波を下に書いてある魔法陣に放った。

大型のドールがそれを相殺しようと撃とうとするも、それより先に衝撃波は地面に到達。魔法陣を打ち消し余波で球体関節人形も吹き飛びその場に倒れた。

 

そして空間は元の狭い部屋に戻る。窓は黒カーテンで閉め切られ。棚には棺桶の様なケースに入ったホラー系ドールやぬいぐるみ。綿でなくお米のつまったベアッガイⅢ、

部屋の奥に書かれた魔法陣と相変わらず気分のいい空間には感じられなかった。

 

「戻っても趣味の悪い部屋ッス。早く出ましょう」

 

アイとナナが先に出て、ソウイチが最後に部屋を出ようとする。が、

 

「ソウイチ君!後ろ!」

 

「っ?!」

 

ソウイチが振り返るとさっきの大型ドールがソウイチのF91に飛びかかろうとしてきた。とはいえ装備はもう使えない様だ。だがボロボロの所為か更にグロテスクだ。

ソウイチはたまらずビームライフルを向けて迎撃しようと引き金を引くも……

 

カチンッ

 

「弾切れっ?!!」

 

ライフルは空しく音を出すだけだった。もう目の前にドールはいた。ちょうど扉をF91が塞いでるためその後ろにいるナナ達はむやみに撃てない。

抱き着こうと飛びかかるドール。

 

「あ……びゃあああああああああああああっっっ!!!!!!」

 

絶叫するソウイチ。しかし人形はちょうど抱き着くタイミングで笑いながら煙の様に消えた。「フフフッ」という笑い声を残して……

 

「……どうやら演出だったらしいね。大丈夫?」

 

F91の肩に手を置くアイ、だがF91は置いた手の力でその場で倒れこんだ。

 

「……真っ白になって放心してるわ。「ぬ」と「ね」の区別がつかなそうな顔してまぁ……」

 

「あうあうあー」

 

【挿絵表示】

 

……

 

「全部ガンプラで済ますと思ったらガチなの用意してきたね……悪趣味だなぁ……」

 

観戦モニターで見てたムツミもあの演出は怖かったようだ。

 

「去年はさっきみたいなのがいるステージを攻略する脱出ゲームみたいなイベントだったからね。リアル過ぎて不評らしかったんだけど、一方で喜ぶ人もいたから残したって感じかな」

 

ツチヤが去年のこういったイベントを思い出しながら言った。

 

「その時もソウイチ君は?」

 

「うん、泣いてたよ。本人はそれで怖がってると思われたくないらしくて、意地はって積極的に出ようとするんだけど……」

 

「自分から地雷を踏みますか……難儀な……」

 

「『今年はガンプラに置き換える』って聞いてそれならと立候補したんだけどね」

 

「前に都市伝説言ってた時は平気だと思ったんだけどね~……ってあれ?」

 

「どうしたの?」と聞くヒロ達、タカコは別のビルダーのモニターを指さした。

 

指刺したモニターのビジョンは隠れてる二人のビルダーの物だ。二機とも量産型ビギニング、違法ビルダーだ。

ついでに乗っているのは前回アイが叩き潰したフーリガン(硬派ヲタク、以下テツ)と一週間前に叩き潰したヤスというフーリガンだった。

 

「違法ビルダーがどうかした……?」

 

「うぅん。そ~じゃなくてチェーンソー持った熊が……」

 

 

『第一校舎一階』

 

モニター先のビギニング達はある一つの教室に隠れていた。これまた倉庫に使われていた様な扉の一つしかない教室だった。

 

「な!なんだよ!あのバケモノは!!あんなアトラクションあったのか!!」

 

「し!知りませんよ!!テツさん」

 

怒鳴るテツにヤスは怯えながら答えた。三機目のビギニングはさっき出会ったガンプラにあっという間にやられてしまったのだ。チェーンソーで真っ二つだ。それはチェーンソーを持った熊だった。

 

「くそっ!奴は警戒すべきだがこのままではアトラクションでは勝てない!」

 

テツはこのままでは負けるという焦りからか教室を出ようとする。

 

「あ!テツさんどこへ!」

 

「こんな所にいられるか!俺は一人で行く!何!俺は一流の兵士だ。あいつとは出会わなければいいだけの話だ!」

 

そう言いながら教室の外へ出るテツ、廊下に出るとすぐ辺りを見回す。誰もいない……。ふと、背後で『カタッ』という物音がする。思わずライフルを構えながら振り向くテツ、しかし誰もいない。

 

「な……なんだ驚かせやがって……」

 

そう言ってテツは前に体勢を戻す。が、目の前にチェーンソーを持った熊がいた。次の瞬間テツの脳天にチェーンソーが!……失礼、テツの乗ったビギニングの脳天にチェーンソーが刺さる。

 

「ぎ!ぎゃあああああ!!!!!!!」

 

テツの絶叫!ヤスの目の前にテツのビギニングは真っ二つになっていった。

 

「テ!テツさん!!」

 

ヤスが叫ぶと真っ二つになったテツのビギニングは力なく倒れた。

 

「きひっ!きひひっ!!気づかないとでも思ったわけぇ?バッカだよねぇ袋小路みたいな教室に隠れるなんてさぁ!」

 

熊に乗ったビルダーの黄色い声が聞こえる。女だ。裂けたビギニングを蹴飛ばして熊が教室の中に入ってくる。影になって鮮明な姿は見えないがベアッガイの改造というのは分かった。左腕に搭載されたチェーンソーが轟音を上げる。

 

「く!熊が!!!熊がぁああああ!!!!」

 

それがヤスの断末魔となった。ついでに二人揃ってこの光景は度々夢に出る光景となり、ベアッガイ系が怖く感じる様になるがそれはまた別のお話。

 

 

『第一校舎二階東側、女子トイレ前』

 

「ん?なんか絶叫が聞こえたわね」

 

「何だろ?っとソウイチ君、大丈夫?」

 

「ありがとうございます……。俺とした事が……油断したッス。もう大丈夫ッスから……」

 

サムライリッパーに肩を貸してもらった体勢だったF91は自分の足で立った。ビームライフルはもう使えないから捨てたが、

 

「クソッ……情けないなぁ……次はどうにかして挽回しないと……」

 

「で、次がこの女子トイレ『少女の住むトイレ』よ。ちょっとここは複雑っぽいわね」

 

画面の説明を見ながらナナが呟く。

 

「どういう事スか」

 

「学校じゃ二通りあんのよここの噂、一つは『女子の怨霊がこもった鏡が見た人を鏡の中に引きずり込む』もう一つは『四番目の個室に住んでる女子の幽霊が、その個室に入った女子を鋏持って切り殺しに来る』ってのよ。

このイベントでもその二つの説明でどっちがあるかはわからないの。ちなみに弱点は『恐れないで女子を倒せ!』だってさ」

 

アイは説明を聞きながら女子トイレの中をのぞく。奥まった空間だが横スペースはほとんどない。

 

「この狭さじゃ自由に動けないね。とりあえず私一人入ってみるよ」

 

アイはサムライリッパーの両腰のビームサーベルを取り出し。ダガー程の長さにビームを発生、狭すぎるためここでは長い刀は使えない。

 

「何かあったらすぐ呼んでくださいよ!」

 

「うん。お願いねソウイチ君」

 

そう言ってアイはトイレの中に入る。

 

「さて、どうしたもんかな……」

 

少し進んで右側に備え付けてあった鏡を見る。その瞬間アイは「あっ!」と叫ぶ。映ってたのは自分の機体ではなかった!直後サムライリッパーはその鏡の中に吸い込まれた!

 

「あっ!アイ!(ヤタテさん!!)」

 

ナナとソウイチが叫ぶ。

 

 

アイが鏡に吸い込まれた直後、画面が切り替わる。さっきのおもちゃ研のステージによく似た円柱状の巨大な部屋だ。違いは敵が一体だけ部屋の中央にいた事。

 

「ノーベルガンダムだ……お化けみたいなアレンジになってるけど……」

 

ノーベルガンダム……Gガンダムに登場した女性型ガンダムだ。細長い体躯でセーラー服を着たロングヘアーの少女の様な姿をしており、新体操の様なスタイルで戦う軽量機だ。

しかし目の前のノーベルはそんな印象は全然ない。肌に相当する部分の白いボディは幽霊の様に青白く、セーラー服状の部分はボロボロに汚しが入れてある。目は真っ赤で両手には

『ハイパーガンプラバトルウェポンズ』という商品の『シザーソード』という剣を二刀流で持っていた。これは支点の部分を組み合わせる事によってハサミ状に出来る武器だ。怪談に合わせたアレンジをしたノーベルガンダムだった。

 

そして鏡に映ってたのもこのガンダムだ。ノーベルガンダムはゆらっ……とした動きを見せると一転、素早い動きで切りかかってくる。

 

「怪談混ぜたってわけ!たかが怪奇にっ!!」

 

負けじとアイはビームサーベルの長さをロングにし、肩アーマーの刀を展開、ノーベルガンダムに立ち向かった。

 

 

そしてトイレの外では……

 

「やばいよ!アイが吸い込まれた!」

 

「急いで後追わなきゃ!……っ?!ハジメさん!伏せて!!」

 

ふと、ソウイチはナナのフリーダムにけた繰りをかます。その場に倒れるナナのフリーダム。

 

「うわっ!何よ!」

 

すぐさまソウイチはナナの前に躍り出る、そして屈みながらビームシールドを全開。直後、大型のビームが廊下を襲った。

 

「っ!!!!」

 

驚愕するナナ、どうにかビームは防ぎ切った様だ。ビームが止むと東側階段付近に……チェーンソーを持った熊……否、ウイニングガンダムのパーツを両腕に付けた。ピンクと赤に塗られたベアッガイがこちらに走ってくるのが見えた。

さっきの熊、チェーンソーの正体はウイニングガンダムのシールドだった。

 

【挿絵表示】

 

「な!!何あれ!!」

 

ナナもこれには驚愕する。あんな七不思議はない。しかしそんなナナを尻目にソウイチはベアッガイに立ち向かおうとする。

 

「アサダ!まさかあいつに立ち向かおうっての?!無理よ!」

 

「無理でもやるんス!今俺達が引いたらアイツは女子トイレの中のヤタテさんを襲うかもしれない!」

 

あいつは只者じゃない。そんな気がしたから、

 

「倒せないにしても俺達で時間を稼がないと!!」

 

「……アサダ、アンタらしくないね。そこは『絶対勝つ』ってのがアンタらしいと思うけど」

 

「あ……」

 

「ま、いいわ。アタシも負けるのはゴメンだからね!行くわよ!!」

 

「はい!!」

 

――それにしても…縫い目っぽく見えるけど、……赤いスプリッター?――

 

そうナナは思いながら、ソウイチと共にベアッガイに立ち向かっていく。反面ベアッガイに乗ったビルダー、ナナ達の助けたブレスレットの少女は余裕の態度を崩さなかった。

 

「きひひっ!フリーダムとF91か。結構作りこんでるけど……アタシの敵じゃねぇんだよ!!アイに!アタシがどんだけ腕上げたかの証明の為に!やられちまいなぁ!!」

 

闘争心をむき出しにする少女。……少女のツインテールの右結び目では、アイと同じデザインのヘアゴムが揺れていた……。

 

【挿絵表示】

 

※後半に続く




遅れてすいません。コマネチです。同じ職場の先輩が手術入院と、妹の出産予定日が近い為、それの帰郷と家の整理と大掃除でゴタゴタしていた為、なかなか書くことができませんでした。
今回からアイの過去を徐々に明かすつもりです。それでキャラ要素も追加していくつもりです。しかし…アイが「コレジャナイ」という状況になってないか不安です。

※前回の話を読んで頂いた皆様へ。

 前回の話に関して、硬派厨やらフーリガンやらでやり過ぎてしまったと思い、謝りたくてこの文を書きます。
文章の中に自分のネガティブな感情や、キャラに自分の考えを言わせてしまいました。
この原因に関しては、日頃ガンダム関係の掲示板や動画で、自分はコメントを見ない様にしてたのですが、

「女はいらない。萎えるからオルフェンズ見るのやめる」
「女キャラ死なねーかな」
「ボトムズの声優が亡くなった。最近の声優ならいくらでも替えが聞くからそっちが死ねばよかった」

そんな漏れたコメントが見えてしまい、悪質なガノタやヲタクに対して、日頃から鬱憤がありましたが、特に三番目の言葉で頭に来たのが原因です。
しかし話の中で書いたという事は、書き込みをした本人に言うのでなく、読んで頂いた皆様に八つ当たりをしてしまった事と同じでした。
節度を守ってるガンダムとボトムズのファンの皆様。そして読んで頂いた皆様に不快な想いと、失礼な行為をしてしまった事を深くお詫び申し上げます。本当にすいませんでした。

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