模型戦士ガンプラビルダーズI・B   作:コマネチ

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今回は諸事情により、番外編として県内大会中のお話……


番外編「スーパーガンプラ対戦OG(前編)」(ヒュッケバ……ビルドアカツキ登場)

とあるガンプラバトル機器設置店、宇宙空間の中で数機のガンプラが戦っていた。

白い一本角の機体、ユニコーンガンダム(ユニコーンモード)を改造したであろうガンプラが右手のビームマシンガンを相手に乱射する。

飛び交う敵機は三機のハンブラビ、『Zガンダム』に登場したエイの様な機体だ。直後ユニコーンのマシンガンの弾が切れた。

 

それを待っていたかのように三機は散会し、それぞれ一点目掛け、手に持ったテーザー銃の様な武器を撃つ、ワイヤーで先端部を撃ち出し、

絡まった対象に高圧電流で攻撃する『海ヘビ』だ。撃ち出した海ヘビはユニコーンのすぐ手前に収束、海ヘビはクモの巣状に展開されユニコーンを包む。

(名前もズバリ『クモの巣』)

流れた高圧電流がユニコーンを襲う。電流により輝くユニコーン。

 

「うわぁぁっ!!」

 

展開が終わると、その場にユニコーンはうなだれる。

 

「どうした!もう終わりか?!」

 

ハンブラビのビルダーがユニコーンのビルダーを挑発する。するとユニコーンのバイザーが鋭く輝いた。

まだ終わりじゃない。そうハンブラビのビルダー達が身構えるとユニコーンはマシンガンを捨て、左腕にマウントされていた剣を引き抜き

再び集ろうとしていたハンブラビ達に飛んでいく。

 

「見せてやる!コイツの本当の力を!!」

 

ユニコーンに乗ったビルダーが叫ぶと背中のビルドブースターが展開、ウイングが横倒しになった。

 

「ウィング展開!ブースター全開!」

 

そう叫ぶや否や、ユニコーンのスピードが急激に増した。凄まじい勢いでハンブラビ三体に迫るユニコーン。

長身の銃、フェダーインライフルを撃ちまくるハンブラビ達だが、捨て身同然のユニコーンにもかかわらず攻撃をことごとくかわしてくる。

 

「クッ!所詮ハッタリだ!」

 

「待て!」

 

リーダーらしき人物が止めようとするも、一機のハンブラビが果敢にユニコーンに挑む、ユニコーンが実体剣を構え、

ハンブラビがフェダーインライフルの柄の部分からビームサーベルを発生、すれ違う二機、直後、胴体を真っ二つにされたハンブラビの方が爆発した。

 

「リ・リーダー!うわぁぁ!!」

 

リーダーらしき人物がやられたハンブラビのビルダーの名前を叫ぶ、そうこうしてるうちにユニコーンはもう一機のハンブラビの眼前に迫っていた。

 

「は!早い!」

 

「クラッシャー!セットアップ!」

 

突如ユニコーンの右腕のシールドが開き、鋏状の武器になる。そのままハンブラビの腹を挟み、後方の小惑星に叩きつける。

そして小惑星の地面が続く限り、ブースターでハンブラビを無理やり引きずった。

 

「シールドニッパー・クラッシャー!!」

 

ユニコーンのビルダーが叫ぶと共に、グズグズになったハンブラビの腹部を両断、十秒程度で二機のハンブラビは破壊されたのだ。

「後一機!」とユニコーンのビルダーが叫ぶと後方から残りのハンブラビが斬りかかって来た。

すかさず剣で受け止める。ユニコーン。

 

「俺達のチームをここまで追いつめるとはな!一人でよくやる!」

 

「俺一人でも出来るんですよ!アイツがいなくても!俺は!」

 

「ハハハ!いいだろう!お前一人でどこまで出来るか試してやる!」

 

そして二機は飛び上がり、高速戦闘に入る。緑の光になるユニコーン、青い光のハンブラビ、お互いが離れては射撃による撃ち合い、

ぶつかり合いながらの一瞬の接近戦を繰り返していた。射撃はかわし、接近戦は一瞬の鍔迫り合いが繰り返され勝敗はつかない。

 

「ハハハ!やるじゃないか!パートナーがいてこそのお前だと思ったんだがな!」

 

「いつまでも!アイツに頼った俺じゃない!俺はアイツを!」

 

「だがそうカッカしては大事な物を見失うぞ」

 

相手の言葉に疑問を感じるユニコーンのビルダー、その時だった。急にユニコーンの動きが止まる。

 

「な!何?!エネルギー切れ?そんなぁぁ!!」

 

「詰めが甘かったなぁ!」

 

直後ハンブラビのビームサーベルを受け、ユニコーンは両断、ユニコーンの敗北となった。

 

「ど、どぼじてこうなるのぉぉっ?!!」

 

ユニコーン爆発音とビルダーの涙声が戦場に虚しく響いた。

 

 

「よぉカズ、惜しかったな」

 

バトルが終わった後、ハンブラビのビルダーがGポッドから出てきたユニコーンのビルダーに話しかける。

『トリヤマ・カズ』それがユニコーンのビルダーの名前だった。年齢は15歳くらいか。

 

「トホホ、もう少しで一人で決着つけられたんすけどね」

 

苦笑いしながらカズは答える。

 

「しかし、必死だな。一人で戦うことに」

 

急にカズの表情が真剣なものになる。

 

「……当然っすよ。今までの甘えた自分とは早くおさらばしたいんす」

 

「責任を自分で持とうというのはいい事かもしれんが、それでお前の明るさやいい所が無くなってしまったら意味なんてないだろう?

そうなったら何より悲しむのはたぶんアイツだ」

 

「でも先輩……」

 

「強情な奴だ。普段悩まない奴が悩むとここまでズルズルいくか」

 

「ひ!ひどいっす!その言い方!」

 

「案外似た境遇の奴と戦ってみるか?」

 

「似た境遇?誰すか?」

 

「ヤタテ・アイだ、コンドウ・ショウゴやサツマ・イモエを倒したって奴だ」

 

「あの人すか?噂には聞きましたけど、聞いた限り全然似た境遇じゃないじゃないすか」

 

「いや、その相方のハジメとか言う奴だ。奴も自分に悩んで相方と戦って答えを導き出し、サツマから眼をつけられるにいたったという話だからな」

 

「相方の人すか……」

 

……

 

それからしばらくして……いつもの山回町の模型店『ガリア大陸』にて

 

「やぁハジメさん、今日は一人かい?」

 

「あ、フクオウジさんにサブロウタさん、珍しい組み合わせね」

 

フクオウジ・マスミとツチヤ・サブロウタ、2人が店の二階で見かけたナナに声をかける。今日のナナは一人だ。

 

「さっきそこで会ってね。そういうハジメさんこそ一人とは珍しいね」

 

「アイだったらバイトだって、午後になったら来るみたいだけど」

 

「バイトかぁ、アイちゃんも忙しいんだなぁ」

 

「それよりさ、今日はちょっと皆に見てもらいたい新作があるんだけど」

 

「何か作ってきたのかい?」

 

「ビルドアカツキ作ってきたの」

 

二階の丸テーブルにて、箱からビルドアカツキを取り出し立たせようとするナナ、

ここで『ビルドアカツキ』について説明しておこう。『アカツキ』という機体がある。『ガンダムSEED DESTINY』にて登場したストライクの後継機だ。

このアカツキの最大の特徴は全身が金色であるという事、ガンプラでも全身金メッキという豪華仕様だ。

対照的にビルドアカツキの方は金色の部分が白一色だというのが特徴だ。(それと背中のビルドブースターと専用のライフル)

この白は塗装が前提となっている故の白だった。つまり各々がオリジナルカラーで仕上げる事がこのビルドアカツキの醍醐味といえるだろう。

 

「やはりオリジナルカラーで仕上げたのかい?」

 

「うん。勿論アイに協力してもらったけどね。半分ずつとはいえ全身塗装だから疲れちゃった」

 

「どんな色か楽しみだよ」とマスミ。以前ビルドアカツキの改造コンテストも公式であった為、ナナの作品もどんな感じか気になった。

 

「どんな色で塗ったの?」

 

「そんな大したもんじゃないわよサブロウタさん。ネットで見た別作品のガンダムの色で塗った位よ。はい」

 

そう言いながらナナは完成したビルドアカツキをテーブルに出す。

 

「へぇ、スカイブルーか」

 

【挿絵表示】

 

全身水色に塗られたアカツキだ。それは鮮やかな印象があった。背中もギラーガやレギルスの物に取り換えられ鋭角的な印象がある。

しかし……ツチヤの反応をよそにマスミは唖然としていた。

 

「ん?どうしたフクオウジ君?」

 

「ナ……ナナちゃん……君……これ」

 

「どしたの?なんか不味かった?」

 

「いや、そうじゃないけど……君、何のガンダムを参考に?」

 

「え?何だっけ……あー確か『ヒュッケバイン』」

 

ナナがその名前を口にした瞬間、マスミとツチヤの二人が凍りついた。

 

「でも珍しいわよね。どう見てもガンダムなのに名前にガンダムがついてないなんて。あ、そういえばライフルもシールドもな……」

 

『そ!それ以上言うなぁぁ!!!』

 

叫ぶマスミとツチヤ、ナナはただ「え?」と?マークを浮かべるしか出来なかった。

 

……

 

ヒュッケバイン……まず結論から言うとこれは「ガンダム」という作品カテゴリーではない。

別のゲーム作品「スーパーロボット大戦」に登場した主人公機、『パーソナルトルーパー(縮めてPT)』と呼ばれる機種だ。

そのあまりにもガンダムに似た外見からややゴタゴタが発生してるという噂がある。マスミ達が狼狽えたのもその所為だ。

しかしながらそのヒロイックかつスタリッシュなデザイン、異星人から利用したテクノロジー設定、ブラックホールや重力波を利用した武器等、

独自の魅力も非常に強く、ガンダムに負けない魅力を持ったロボットだ。

ちなみに前期カラーと後期カラーが存在し、ナナの持ってきたカラーは前期の方だ。後期しか知らないツチヤが最初解らなかったのはこの所為だ。

 

 

「えーじゃあこれガンダムじゃないんだ」

 

「さっきは驚いたけど君は一番あぶなっかしい物を持ってきたというわけだね。ハハハ」

 

マスミは軽快に笑う。色に驚いたからといって何か恐ろしい事が起きるわけでもない。

 

「さっきは驚いてたけど随分変わり身早いわねフクオウジさん」

 

「よくよく考えてみればオリジナルのガンプラで別作品からアイディアや外見を参考にするのはありふれたものだからね。古人曰く『上手な模倣は最も完全な独創である』だよ」

 

「はは、それもそうだ。これにいちいち驚いてたらSDガンダムとか見れないな」

 

「え?マスミさんの言う事は分かるからいいとして、ツチヤさんの方は意味がイマイチ解んないんだけど……」

 

と、ナナが言いかけたその時だった。

 

「お姉さん、ハジメ・ナナって人を知らないっすか?」

 

少年がナナに話しかけてきた。冒頭で出てきたトリヤマ・カズその人だ。

少年の顔を見るナナ

 

「ナナはアタシだけど……アンタ誰?」

 

「お姉さんが!あ、スンマセン!俺、トリヤマ・カズって言います。ハジメさんに挑戦したくてここに来たっす!」

 

トリヤマ・カズという名前にマスミとツチヤが反応する。

 

「トリヤマ・カズ?チーム『ツインバードストライク』の?」

 

「はい、あなたはフクオウジさんとツチヤさんすね。お会いできて光栄っす」

 

「?ツインバードストライクって?」

 

ナナの疑問にツチヤが答える。

 

「うん、彼のチームの名前だよ。二人一組のチームでね、抜群のコンビネーションで相手が三体いようとあっという間に倒せる実力者のチームなんだ」

 

「ん?二人一組って、今日は一人しかいないじゃない」

 

「今相方は留学中なんです。恥ずかしながら今までソイツに色々フォローしてもらってたみたいで……、今年は選手権にも辞退になって今じゃ苦労してます」

 

頭をかきながら笑ってごまかす少年。

 

「それで、そいつに頼らない自分になりたいんすけどね、どうも空回りしてるっぽくて、

ハジメさんも同じように相方と色々あって答えを見つけたって聞きましたんで、ハジメさんと戦えばなにかヒント得られるかなって思ってきたんす」

 

「そういう事、いいよ、アタシでよければ相手してあげる」

 

以前アイより自分を倒して点数を稼ごうというビルダーに狙われた経験がナナにはある。その事で少し警戒したが

カズにそれはないだろうと判断、ナナは挑戦に応じたのだった。

 

――勝てるかは解らないけどね……――

 

別の部分、バトルの実力差ではナナは警戒を解かなかったが、

 

 

 

そしてバトルが始まる。今回のバトルフィールドは『月面、フォンブラウン市付近』だ。

フォン・ブラウン市というのはガンダムのUC作品に登場する月赤道付近に建造された月面都市だ。

巨大なクレーター内部に作られておりその階層ごとに別れた都市には五千万人が暮らす巨大都市だ。

 

母艦から出撃するナナ、出撃して早々に見回す。山脈が多い為一度隠れて様子を見ようか。と考えるもそれは中断した。

なぜなら向こうから仕掛けて来たからだ。こちらに向かいながらビームマシンガンを撃ってくる。

 

「チッ!」

 

ナナも手に持ったライフル。ハイドラショットで応戦。一条のビームがカズの機体に向かう。

 

「ぅおっ!」

 

反射的にシールドを構えるも土壇場でうまく回避したようだ。シールドを構えたまま左腕のガトリングガンを向け発射する。

そうこうしてるうちに離れていたカズの機体が見えた。

 

「ツチヤさん……あれ……」

 

「ユニコーンガンダム4号機『ヒポグリフ』!!行きます!!」

 

【挿絵表示】

 

 

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「ビルトビルガーじゃないかぁぁっっ!!!お前もかぁぁっ!!」

 

――四号機って……ボクのデュラハンと被ってるよ……、でも言えない……あれガリルナガンをパクって作ったなんて……――

 

※後半に続く。




登場オリジナルガンプラ
ヒュッケバ……ビルドアカツキガンダム
使用ビルダー『ハジメ・ナナ』

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第四次ではいつもカラーリングは『カラー3』を選んでました。コマネチです。

諸事情により、いいタイミングではないかもしれませんが、二章の話で出しそびれた話をここで使う事にしました。
ネタとはいえスパロボオリジナルが好きな方には不快に感じるかもしれません。不快に感じた方、御免なさい。
出来る限り真面目にはやりました。
蹂躙クロスオーバーには見えないはず……きっと……絶対……

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