絶対転生特典間違えただろ   作:ナカタカナ

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 前回、ダー様に誘われてプラウダでお茶会をした十六夜。


プラウダ戦に向けて・・・のはずが

 ダージリンに誘われ、プラウダとお茶会を行った俺なのだが、大洗の学園艦へと帰ってきていた。

 

 車庫には自動車部が改造を果たし、砲身が長くなったⅣ号があった。

 

 「長砲身にしてみました」

 

 「F2っぽく見えますね」

 

 「そうでしょう」

 

 「ありがとうございました」

 

 そういって、このガルパン世界において戦車好きナンバーワンを誇ってもいい、優花里と、我らが自動車部の部長であるナカジマが話をしている。

 

 みほは強化された自身の乗る相棒を見つめ、自動車部へと礼を告げる。

 

 「大変だったけど、すごく、やりがいがありました」

 

 「いえいえ、うちの十六夜も世話になってますし」

 

 「余計なことはいうな」

 

 まるで俺の姉かのような返答をするナカジマの頭にチョップを喰らわす。

 

 「いてっ」

 

 「長砲身に、戦車が一輌追加か」

 

 「そこそこ戦力の補強はできたな」

 

 頭を抑えるナカジマに目向きもせずに、生徒会メンバーの二人は会話を続ける。

 

 そして、次の試合から参戦する戦車とはルノーB1bisである!!ということは、つまり~

 

 「今日から参加することになりました、園みどり子と風紀委員です」

 

 そう、カモさんチームこと風紀風紀員チームが参戦するのである。

 

 「略して、そど子だ」

 

 「略さないでくださいッ」

 

 「戦車の操縦は冷泉さんに聞いてください」

 

 「わ、私が冷泉さんに教わるの?」

 

 腹黒ツインテにからかわれるそど子だったが、それよりも、小山さんにいわれた「冷泉に教わる」ということの方が、ショック?衝撃?だったらしい。

 

 「任せろ」

 

 対する冷泉は短い言葉ながら、頼もしい返事を返してくれた。

 

 「ちゃんと分かりやすく説明しなさいよね」

 

 「はいはい」

 

 とまぁ、いつも通り仲良さげに会話する二人だった。

 

 「よし、次はいよいよ準決勝だ。みんな気合を入れろよ」

 

 桃ちゃん先輩の掛け声に戦車道チーム全員が返事をする。

 

 このあとの会話は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さて、俺達も準備しとくか」

 

 「はい」

 

 「勝たなきゃダメ・・・か」

 

 あのあと、桃ちゃん先輩がそういった。

 

 一年生チームたちが、「負けても次があるじゃないですか」といった言葉に対しての返答が「勝たなきゃダメ」だった。

 

 その意味を俺は理解してるし、サーヴァントのみんなも理解している。

 

 しかし、それ以外のみんなは理解していないのだ。

 

 「勝たねぇとな」

 

 小さく呟いた俺の声はサーヴァントとすぐさばにいた、アキラだけにしか聞こえなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 プラウダ戦に向けて準備を終えた俺達歩兵チームは作戦会議を行っていた。

 

 「次戦うプラウダ高校は去年の戦車道大会で優勝を果たしている強豪校だ」

 

 「黒森峰を倒したところですね」

 

 「そうだ。しかも、今度の試合会場は雪原だ。あいつらのホームといっても過言ではない」

 

 「厳しい戦いになりそうですね」

 

 「見た所、みんな浮かれているようですし」

 

 沖田さんとマシュが厳しい言葉を告げる。

 

 「カッカッカ、こんなんで勝てるのかえ?」

 

 「私が炎で雪を溶かします」

 

 お栄ちゃんにきよひーがそういった。

 

 「まぁ、どうなるかは分からない。でも、俺達がやることはいつもと変わらない。みほたちのサポートをする。それでなんだが、プラウダの特徴として、フラッグ車は後方で待機させておくというのが、基本の戦い方になっている」

 

 「つまり、沖田ちゃんたちが、そのフラッグ車を先に発見して、みほたちに連絡するということか?」

 

 「その通りだ」

 

 「それで、相手の歩兵はどの程度の練度なんだい?」

 

 「まぁ、手ごわいだろうが、アキラなら勝てるだろう。でも気を付けろよ。いかんせん、足場が悪い。普段雪原を歩いたことのない俺達だ。いつもより気を引き締めねぇとな」

 

 「任せろ奏者よ!」

 

 「ヤハハ、次の試合も勝つぜ!」

 

 

 

 

 

 

 こうして、ミーティングも無事に終えたため、俺は帰路に着いていた。

 

 自動車部の方はどうしたって?

 

 「今日は帰って良いよ。明日試合なんでしょ?私達に任せときなって」

 

 「そうだぞ、それともなにか、十六夜は私達といたいのか?」

 

 「そうなの?ふふふ、可愛いところあるね」

 

 「やーい、十六夜のツンデレ」

 

 とまぁ、こんな感じに煽られたため、今日はありがたく帰らせてもらうことにしたのだが・・・

 

 「なんでこんなとこにいるんだよ」

 

 「おや、君は・・・逆廻十六夜君だったね」

 

 俺が発見した人物は継続高校の隊長であるミカだった。

 

 「そういうあんたは、継続高校の隊長をしているミカだろ」

 

 「私のことを知ってるのかい?これは予想外だな」

 

 「あれ、ミカ知り合い?」

 

 「そうなのか?」

 

 そういってミカが座っていた戦車から顔を出したのは同じく継続高校所属のアキとミッコだ。

 

 「それで、なんでこんなところにいるんだ?」

 

 「別に、風に吹かれるがままに来ただけさ」

 

 お馴染みのカンテレをボロロンと弾くとそういった。

 

 「そうなの?」

 

 「あれ、廃棄された戦車を探すっていってなかったか?」

 

 「ほう」

 

 「・・・・・・まぁ、そういうこともあるのさ」

 

 「そういやお前ら、プラウダのとこからも戦車盗んでたよな」

 

 仲間に裏切られたミカは冷汗をかきながらも、涼し気に応える。

 

 そして、俺がプラウダから掻っ攫った戦車のことを告げると更に顔が青くなる。

 

 「ミカッ!窃盗は駄目だよっていってるじゃん」

 

 「あれって盗んだ戦車だったのかッ!?」

 

 「ち、違うよ。快く譲ってくれたのさ」

 

 「はぁ、まぁいいや。でもまぁ、うちの学園艦から戦車を盗ませはしないからな」

 

 俺がそういうと、ミカは二ヤリと嗤う。

 

 「それはどうやって止めるんだい?」

 

 「一応、聞いといてやる。ここで素直に帰るというなら、今回のことはなかったことにしてやる」

 

 「帰らないというのなら?」

 

 「そうだな、地獄の果てまで追いかけて捕まる。ついでに、プラウダの連中にも連絡する」

 

 「ふっ、ミッコ」

 

 「はいよっ」

 

 俺が言葉を発し終わると同時に、ミカは鼻で笑い、ミッコに指示を飛ばす。

 

 戦車のモーターが動き出すと、すぐに戦車は走り出す。

 

 「おいおい街中だぞ。ったく」

 

 ダルいと思いながらも、俺はミカたちを追いかける。

 

 流石に街中を走るのはまずいと思ったのか、街中から森林へと逃げ込んだ。

 

 「ヤハハ、馬鹿め。森に入ったなら俺の勝ちだぜ」

 

 ミカからすると、森に入った方が身を隠しやすいと思ったのだろう。

 

 確かに、既に月が見えているこの時間帯の森に戦車が逃げ込めば、見失うことになるだろう。

 

 だがしかし、追いかけているのは俺だ。日ごろから姉達に鍛えられている俺からすれば、夜の森など、関係ない。むしろ俺のホームだ。さらに、戦車の音が聞こえる為、追跡するのは容易い。

 

 「ねぇ、ミカ」

 

 「どうしたんだい?彼はもう追いかけてきてないだろう」

 

 「い、いや、追いかけてきてるんだけど」

 

 「はあ!?こっちは戦車だぞ。人間が追いつけるかよ」

 

 「そうだよ、アキ。変な冗談は「よし、捕まえた」なッ」

 

 追いかけっこが始まって十五分ほど経過したころに、俺はミカたちの戦車を捕まえることができた。

 

 捕まえたあとは、ハッチを開いて中にいるミカを睨む。

 

 「ぼ、暴力ではなにも解決しないのさ」

 

 珍しく怯えた表情を見せるミカに俺は優しく微笑む。

 

 「あぁ、そうだな。でもな、盗人は別だよな」

 

 「「「ぎゃああああああああああああ」」」

 

 この日、大洗の学園艦の森で何か出たという噂が流れることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 「ふぅ~これで盗人たちの確保は完了だな」

 

 「ミカ、謝ろうよ」

 

 「そ、それに、俺達はまだ何も盗んでないし」

 

 「ボロロン、確かにそうだね。私たちは結果的に何も盗んでいない。つまり、私達は盗人ではない」

 

 「でも、プラウダの戦車は盗んだだろ」

 

 「「「・・・・・・・」」」

 

 俺の言葉に三人は自分たちが着ているパンツァージャケットよりも顔を青くさせる。

 

 「ふぅ、お仕置きしないとなぁ」

 

 自分でも分かる。これ以上ないくらい凶悪な顔をしていると・・・

 

 ギュルルルル~

 

 そのとき、誰かの腹の音がなった、

 

 「にしても腹減ったなぁ」

 

 「もう三日も何も食べてないもんね」

 

 「優しい誰かがきっと、何かを恵んでくれるさ」

 

 三人はチラチラと俺の方を見ながら、そんなことをいう。

 

 「はぁ~全く。そんな腹の音聞いたらお仕置きするにもできねぇよ」

 

 そして俺は三人を縛っていた縄を解く。

 

 「ついて来い。腹、減ってんだろ?」

 

 「いいのかい?」

 

 「わ、私達戦車を盗もうと」

 

 「おめぇって案外優しいんだな」

 

 さっきとは違い、驚愕した表情で俺の方を見る三人。

 

 「うるせぇ、ついて来ないのか?なら、俺は帰るぞ」

 

 「「「ついていきます」」」

 

 

 

 

 

 

 

 腹ペコ三人衆を率いて、俺がやってきたのは勿論、我が家だ。

 

 今日は珍しく戦車道メンバーは来ていない。

 

 「たでーま」

 

 「あらあらまぁまぁ、お帰りなさい。あら、そちらの三人方は?」

 

 「あぁ、腹ペコ三人衆だ。三日も何も喰ってないらしい」

 

 「それは、大変です。すぐに料理の準備をします」

 

 「悪いな母さん」

 

 そして俺は三人を空いている席に座らせる。

 

 「うわぁ~美味しそうな匂いがあちこちからするね」

 

 「すげぇ~」

 

 「ここは君の家なのかい?」

 

 「あぁ、それと、金は今度でいいから、ちゃんと払ってもらうからな」

 

 「「「・・・はい」」」

 

 俺がそう告げると三人はがっくりと項垂れる。

 

 ここまでは良かった。そう、ここまではだ。

 

 「十六夜、あんたまた女の子連れ込んでるの?」

 

 「これはお仕置きが必要なようだな」

 

 「十六夜、これは浮気」

 

 「主は浮気をお認めにならないですよ。弟君」

 

 ここで現れたのは優しい優しいお姉さまたちだ。

 

 「ヤ、ヤハハ、ちょ、ちょっと話を」

 

 そして、地獄が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なんだ、そんなことならもっと早くいいなさいよ」

 

 邪ンヌが髪の毛の毛先をいじりながら、つぶやく。

 

 「いや、話そうとしたよね?してたよね」

 

 「お姉ちゃんてっきり、浮気かと」

 

 「浮気って何?俺、彼女いないんだけど」

 

 「十六夜は私たちのモノ」

 

 「ヤ、ヤハハ」

 

 俺と姉たちのやり取りを目の前で見ていた三人は笑っていた。

 

 「十六夜さんってお姉さんたちと仲いいんですね」

 

 「最初は怖い奴かと思ったけど、そんなことなかったな」

 

 「ふふふ、家族で仲がいいことは尊いことだよ」

 

 こんなことをいってやがる。

 

 「お待たせした」

 

 すると、エミヤが完成した料理を持ってやってきてくれた。

 

 「うわぁ~とっても美味しそう」

 

 「なんだこれ、滅茶苦茶うまそう」

 

 「どうだいアキ、ミッコ、風の吹くままに生きていてもなんとかなるだろう」

 

 アキとミッコはエミヤの料理を見て、涎を垂らしているが、ミカは涼し気に話す。しかし、ミカよ。お前も料理に目を輝かせているのは分かっている。

 

 「冷めないうちに食べてくれ」

 

 「「「いただきます」」」

 

 三人は一斉にエミヤの料理を口にする。

 

 「「「お、美味しいッ」」」

 

 

 

 

 

 

 





 なんと、継続さんがここで参上したあああああ。

 キリがいいので、今回はここで区切らせてもらいます。

 次回はプラウダ戦に入りたいな・・・入りたいな・・・

 誤字報告ありがとうございます。

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