アンツィオ戦を終えた大洗学園は三回戦の相手であるプラウダ高校と戦うためにより厳しい練習を行っていた。
今まで空気だったみゃー先生も本格的に戦車道の指導をしてくれている。
アンツィオ戦で地味にすごい活躍をしていたアキラもサーヴァント相手では手も足も出ないのだが、それでも気力でくらいついていた。
そんな状態の大洗学園なのだが、そこには俺の姿はない。
何故かって?
ダー様からお茶の誘いがあったからだ。
場所はプラウダの学園艦。
俺はダー様の付き添いになる形でプラウダに乗り込むことができた。
「それにしても残念ね、カチューシャたちが去年勝った相手に負けるなんて」
「勝負は時の運といいますわ」
そうなのである。我らがダー様率いる聖グロは黒森峰と試合をし、敗北していた。
まぁ、その試合は俺も観戦していたのだが、やっぱりすごかったよまほちゃんは・・・
それでも、俺達は勝つんだけどな。
「どうぞ」
「ありがとう、ノンナ」
「サンキュー」
ガルパン内でも屈指の人気と胸部装甲を誇るおでこがエロいノンナさんが俺とダー様に紅茶を淹れてくれた。
ロシアンティーはジャムと共に飲むらしいのだが、カチューシャいわく、ジャムを舐めて飲むそうだ。
「ついてますよ」
ノンナさんがカチューシャにそういう。
「余計なこといわないでッ」
うん、見れば見るほどカチューシャって幼女に見える。
ノンナさんがお茶菓子をだしてくれたところで、本題に入る。
「それでダージリン、そこの男は一体誰なの?」
「私の彼氏ですわ」
「ブフッ、けほっ、けほっ、えっ?」
「どうも、ダージリンの彼氏である粗野で凶暴で快楽主義と三拍子そろった駄目人間 逆廻 十六夜だ。よろしくな地吹雪のカチューシャさん。ブリザードのノンナさん」
「それにしても、次は準決勝だというのに呑気ですわね」
ダージリンが余裕そうなカチューシャに問いかける。
「えぇ、準決勝といっても相手は名前もしらない弱小校じゃない」
「でも、隊長は家元の娘よ西住流の」
「えっ、ノンナ知ってたの?」
「えぇ」
ノンナさんは当然ですといいたげな顔で答える。
「ただし、妹の方だけど。黒森峰から転校してきて無名の学校をここまで引っ張ってきたの」
「なに、そんなことをいうために来たの?」
「まさか、美味しい紅茶をいただきにきただけですわ、それと私の彼氏を見せに来ましたの」
ダー様、完全にカチューシャをからかっている。ダー様の口から彼氏といわれるのに幸せと感じている俺もどうかと思うが・・・
「ヤハハ、それくらいにしておいてやれよ、なぁ、カチューシャさん。俺は大洗学園の逆廻 十六夜っていううんだ。ダージリンの彼氏っていうのは冗談だから」
「なッ、か、からかったわね、ダージリンッ」
「ウフフ、私としては十六夜さんが彼氏になってくださるのならこれ以上ないくらいに素敵な事だとおもうのですが、こんな言葉をしっているかしら『女は、人生で一度や二度は、悪い男を愛してしまうの。でもだからこそ、いい男に出会ったとき、感謝する気持ちになれるのよ』」
「アメリカの作家 マージョリー・キナン・ローリングスの著書の中での言葉だな」
「ええ、そうよ。生憎と私は淑女たるもの悪い男なんて興味ありませんが、十六夜さんは悪そうに見えながら優しく気高い殿方ですのよ」
うっとりとした表情で俺の方を見てくるダージリンを見ていると鼻血が出そうになる。というかエロい。
「なにいちゃついてんのよッ。というか大洗学園って次の対戦相手じゃないッ。なんでここにいるのよッ」
「なんでって、ダージリンに誘われたからだ。それに、俺個人としては高校戦車道においてサンダースのナオミ選手と同じく注目されているブリザードのノンナ選手と去年の優勝校の隊長を務めている地吹雪のカチューシャを見に来たんだが」
「な、なによ」
「いいや、やはりオーラが違うなと思ってな。おそらく、高校生戦車道において一番の身長の低さを誇るであろうカチューシャさんだが、纏っているオーラは強者のオーラそのものだ」
「ふ、ふぅ~ん、な、なかなか見る目あるじゃない。そうよッ、カチューシャはすごいのよ」
「カチューシャ」
絶壁に等しい胸を誇らしげに張るカチューシャの姿を見てノンナさんも笑顔になる。
「確かに、あんたはダージリンのいうように、見た目は不良だけど結構いい奴なのね。でもね、次の試合で勝つのはカチューシャよ」
「ヤハハ、俺達だって勝つさ。アイツらの為にもな」
「そう、手加減はしないわよ」
自身満々に話しながらカチューシャは紅茶を飲む。
「ふふ、十六夜さん。カチューシャとばかり話していないで私にも構ってくださいな」
「ちょ、ダ、ダージリンッ」
「いいじゃないですか、私と十六夜さんの仲ではありませんか」
「あ、あんたたちッ、い、イチャつくなら別の所でイチャついてよねッ」
「ダージリン様、これ以上はカチューシャの教育に影響がでますので、どうかご遠慮ください」
「ふふ、そうね、では、私達もそろそろ帰りますわ。なんでしたら十六夜さんは私達の学校に「いかないからな」あら、残念」
とまぁ、こんな感じでプラウダ高校との初邂逅を終えたわけだ。
次回から本格的なプラウダ編に入りたいと思います。