今回は自動車部のホシノさんのお話です。
若干キャラ崩壊していますが気にしたら負けです。
私・・・私達から見た逆廻十六夜という男の第一印象は問題児だった。
私の名前はホシノ、大洗学園の自動車部に所属している生徒である。
そんな私には意地悪で可愛くてカッコいい後輩がいる。
そいつの名前は逆廻十六夜といい、大洗一の問題児といわれている。
大洗一の問題児、確かにそうかもしれない。なんせ、遅刻・欠席などはしない。素行不良というわけでもない。
しかし、授業はサボるわ。常に女子生徒を周りに侍らせているはなんの・・・
まぁ、常に侍らせている女生徒は家族らしいが。
そんな十六夜だが、大洗が共学になってから初めての男子生徒だった。
そんな問題児が入学してくるんだったら共学なんかしない方が良かったのでは?という意見も出たらしいが
特にこれといって滅茶苦茶悪いことをしているわけではないので質が悪い。しかも成績は入試で二位だった以外はトップを維持しているらしい。
そして、私たち自動車部が初めて彼と接触したのは新入生が部活に入部してきた日だった。
新入生が部活にはいるとき基本、見学をしてから入るものである。
といって絶対にしないといけないってわけじゃないけどね。
ちなみにツチヤは見学も来ていた。
何故か毎年見学に来てくれる新入生は複数人いるのだが実際に入ってくれるのは一人いたらいいって部長が言っていた。私たちの代は私とナカジマとスズキの三人が居たから部長は大喜びしていた。
こうして、ツチヤとともに入ってきた十六夜だった。
入部するさいの自己紹介のことだった。
「逆廻十六夜です。先輩方これからよろしくお願いします」といかにも真面目な自己紹介で始まったのだが。
「では、君の好きな物はなんだい?」
「食べ物では父の料理です。他には本が好きですね」
「車は何が好きなんだい?」
「車というより戦車が好きです」
「ほう、男で戦車が好きなのか」
「はい、変わってますかね?」
「いや、そんな事は無いよ。では、次の質問だ。何故この部に入部してきたのかな?」
この質問に対してツチヤは車が好きだからと答えた。これはまぁ、普通の回答だ。
しかし、十六夜の回答は違った。
「美しい先輩方が多いからです」
「なっ、じょ、冗談はそこまでで本当はなんなんだい?」
「いや、確かに一割冗談ですけど」
「「「「「九割本気なのか(かい)」」」」」
「本音をいえば、この部にいれば面白いことに出会えそうだと思ったからです」
「ゴホン、ゴホン、そうかい。それで君は何かできることはあるかい?」
「できる事とはどういった事でしょうか?」
「車の整備とかだよ」
「車の整備は出来ませんが車体を持ち上げる位の筋力を持っています」
「その割には随分と細いのだな」
私達は十六夜の体を見る。
平均的な男子の体つくりであると思う。といっても昨年度までは女子高だったのであまり男子と関わったりすることは少なかったのでよくわからないが。
しかし、よく見るといかにも不良って服装だ。
制服の学ランの下には学校指定のカッターシャツではなく黄色いカラーシャツ。
金髪に染められた髪に、ヘッドホン。
「では実際にお見せしますね」
そういった十六夜はすぐそばにあった整備中の車を持ち上げる。
「「「「「えっ」」」」」
十六夜はどこかの野菜人のように車を軽々と持ち上げているのだ。
それを見た私達は驚いた。なんせ整備していた車の重量は約2はあるのだ。
つまり2000キログラムの重量を軽々と持ち上げているのだ。
「ということで力仕事はお任せくださいませお嬢様方」
ここまでが十六夜の自己紹介だった。
ちなみにだが最後のお嬢様呼びで少しキュンって思ったりしたのだがそれは自分の墓までもっていくことにしよう。
「よしッ気色悪い口調もここまでにして、改めて大洗一の問題児逆廻十六夜だ」
さきほどまでの丁寧な口調から一変して素の口調に戻った彼は部室から出て行った。
「「「「「・・・・・・」」」」」
「あれ、なんか帰っちゃったけどこれから部活なのに・・・」
「「「「あっ」」」」
その場にいた私達はただ茫然としていたのだが部長の一言で確かにと思った。
それからというもの色々あって十六夜は・・・
「あっ、十六夜その段ボールこっちに運んで」
「はいはい」
「十六夜君そこにある工具箱とって」
「はいよー」
「十六夜君ジュース買ってきて」
「はいはいってそれくらい自分で行けよっ」
「十六夜君足元気を付けてね」
「了解」
軽く私達のパシリにされていた。
最初は普通に段ボールとか運んでもらっていたのだが途中から部品を運んでもらったりした。
そして、ある日ナカジマが冗談でいったジュース買ってきてが始まりだった。
最初は十六夜君も
「はっ、自分でいけよ」といっていたのだが、五分後に彼が戻ってくると私達五人分のジュースを両手に抱えていた。
「ほら、ご注文いただきましたジュースでございますよッ」
「あ、ありがとう」
まさか本当に買ってきてくれるとは思っていなかったナカジマはキョトンとしている。
「あの、お金は「別にいいそれくらい」そ、そう」
お金も彼が払ってくれた。
なんだかんだいって面倒見のいい後輩のようだ。
少し素直ではないがそこが逆に可愛いと思ってしまう。
私に弟がいればこんな感じなのかなとか思ったりもした。
以下ホシノの脳内
「あれ十六夜それどうしたの?」
「どうしたって今日は姉ちゃんの誕生日だろ。そ、そのなんだ、誕生日おめでとう」
「ありがと十六夜」
別の日には
「きろ・・・きろって・・・起きろッ」
「うぅ~もう朝ぁ~」
「いつまで寝てんだよったく、早くしないと朝食冷めちまうぜ」
「ありがと十六夜」
「はいはいうちのお姉さまはだらしがないんだから弟である俺は困ってるんだよ」
とか若干ヤバい妄想をしていたかもしれないと今では自覚している。
しかし、考えてみろ。私達はJKである。普通なら恋をする年頃なのだが昨年は女子高ということで出会いがなかったのだが、十六夜という男子生徒がはいってきたのだ。少しくらいこういう風になるのも仕方ない。
そんなある日事件は起きた。
その日は部費で購入した車の部品が大量に届き部室ないが段ボールのタワーでいっぱいだった。
運が悪かったのだろう。突然、私の方へ段ボールが倒れてきたのだ。
段ボール一個あたりだいたい40キログラムほどあるだろう。
そんな段ボールが六つほど落ちてきたのだ。そのときの私は「あっ、死んだわ」と思った。
しかし、ドドドドドと段ボールが落ちる音がするのに私はなにもなかった。
不思議に思い目を開けて見ると・・・
「なにやってんだよ。今の絶対死んでたぞ」
十六夜が私をお姫様抱っこして倒れてきた段ボールの横に立っていたのだ。
「い、十六夜」
「はいはい、十六夜ですよ。ヤハハ怖かったか?手が震えてるぞ」
私はその言葉を聞いて自身の手を見ると確かに震えていた。
「助けてくれてありがとう」
「おう」
「でもね、この手を退かしてくれないかな」
「えっ・・・」
実は十六夜、私の胸を触っていたのだ。そのときの私の服装はいつものツナギにタンクトップだった。
「・・・す、すみませんでした」
自分が何をしているか理解した彼は顔を真っ赤にして私を下すと土下座しだした。
その反応を見て少しだけからかいたくなった私は先ほどまで死ぬかもしれなかったのを忘れて十六夜をいじった。
「あらあらどうしよう、胸をあんな風に触られたらもうお嫁にいけないわ」
「マジすんませんでした」
「これは十六夜に責任を取ってもらわないといけないかもね」
「・・・なんでもいうこと聞くんで家族にいうのは勘弁」
「だから責任とってほしいなぁ」
「ど、どんな方法で?」
「それは決まってるでしょ。結婚よ」
「・・・あのぉ、それは・・・」
うつむいてうじうじしている彼を見て更に火が付く。
「私じゃ嫌なの?」
「なわけないだろ」
「じゃあ、なんで嫌なの?」
「き、きっと俺よりいい人がいるはずだ」
「でも胸触ったよね」
「あれは「触ったよね」はい」
「ふふふ、からかうのもここまでにするか・・・いいよ気にしてないから」
「はい、すみませんで「それと結婚の件は考えててね」冗談じゃなかったのかッ」
この日以来、私は十六夜を可愛い後輩から異性として認識し始めた。
私も思う、単純だなって。
ということで今日も十六夜に抱き着く。
「ちょ、離れろって」
「いいじゃんいいじゃん」
「相変わらずホシノは十六夜大好きっ子だね」
私の名前はホシノ。大洗一速い女であり逆廻十六夜に恋する乙女。
次回はアンツィオの話に戻ります。
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では、次回もお会いしましょう
せーのっ!パンツァーフォー