アンツィオに潜入する前日のこと・・・
『明日、偵察に行くから』
『はっ!そんなこと私にいっていいのか?』
『別にいいんじゃね、どうせ行ったら俺のこと知ってる奴がいるだろうし』
『そういうもんか?変装でもすればいいじゃないか』
『面倒だ。あっ、前みたいに迎えとかいらないからな』
とまぁ、自分でも酷いと思うメールのやり取りだった。
「よし、行くか」
「はいッ、今回もコンビニ船を使わせてもらいます」
「余もいるぞ」
ということで俺と優花里は勿論、ネロも偵察に向かった。
「奏者よ、ほんとうにローマがあるのだな?」
「あぁ、それは俺が保証する。完全にローマってわけじゃないが、ローマはそこにある」
「楽しみだのう」
「ネロ殿はローマが好きなのですか?」
「勿論だッ。すべての道はローマに通ずというものだ」
うちのローマ皇帝は本当にローマのことが大好きなようだ。
「そういえばチョミちゃんと会うのも久しぶりだな」
「そうだな、俺は前に会ったがネロたちが最後に会ったのって九州にいたときだからな』
「あのチョミちゃんて?・・・」
「あぁ、アンツィオの隊長だな」
「偵察に行くっていっちゃって大丈夫なんですかッ」
「大丈夫じゃね?しらんけど」
「いや、そんな大阪のおばちゃんみたいなノリでいわれても」
「チョミちゃんなら歓迎してくれるだろう」
ネロもチョミとは仲が良いので大丈夫だといっている。まぁ、捕虜にされそうになったら自力で逃げればいいしな。
「ほう、ここがアンツィオの学園艦か・・・」
「確かにローマ感は出てますね、あっ、CV33が走ってますよ」
「流石にアンチョビも忙しいか「あっ、十六夜ぃ~」ペパロニか」
アンツィオに着いたのはいいのだがなんと、ペパロニが俺達を待っていた。
「おっ、そっちが姐さんのいってた大洗の偵察っすか?いやぁ、うちも偵察に来られるくらいの強豪になったんすね」
偵察に来られて捕まえるどころかウェルカムなペパロニを見ていると他の生徒もこの調子なのかと感じる。
「あの、捕まえたりしないんですか?」
「えっ?捕まえるってなんでっすか」
「いや、偵察に来られたら普通は捕まえて捕虜にするんじゃ・・・」
「そういうことっすか、姐さんがいるんだ、偵察されたくらいで負けないっす」
アンチョビを心の底から慕っているペパロニの表情には曇りがなく、キラキラと瞳が輝いている。
「す、すごい自身です」
「なかなかの美少女じゃないか、是非とも余のハーレムに加えたいの」
「美少女って、お客さんお世辞がうまいな」
「いや、ペパロニは十分美少女だろ」
「またまた、誉め言葉として貰っとくっす」
軽口を叩いてしばらくしたら俺達はペパロニに案内されて学園艦内を回った。
前回と同じコースだったため、俺は普通だったが優花里とネロは感動していた。
特にネロはすごかったな。
「素晴らしいッ、まるで本物のローマのようだ。余の黄金劇場も建てたい」
大絶賛だった。いつか、ローマに行こうなと約束していたもののそう易々と海外にはいけない。
「あっ、隊長の男の人じゃないですか」
「いや違うから」
「ほんとだッ」
「なんでも偵察に来たらしいぜ」
「偵察?捕まえなくていいの?」
「大丈夫だって姐さんがいるんだ。私達は勝つ」
「それもそっか、アハハ」
相変わらず賑やかでノリがいい。
こうしてペパロニが俺達をアンチョビたちの元へと連れて行ってくれた。
「あれはコロッセオではないかッ」
「そうすっよ、今の時間帯ならあの中で姐さんが戦車走らせてるっす」
「そういえば、新型の戦車が入ったらしいな」
「そうなんすよ、やっと金が溜まって重戦車を買ったんすよ」
「P40が新型か・・・ますます手ごわくなるな」
「ふふふ、これで大洗にも負けない、いや勝つって姐さんが喜んでましたもん」
ニコニコしながら話を続けるペパロニを見ているとこちらまで嬉しくなってくる。
こういう奴がいれば周りにいる奴も自然と明るくなってくる。そういう才能を持つ人材は貴重である。
「そういえばなんで俺達がコンビニの輸送船で来るって分かったんだ?」
「姐さんがどうせあいつのことだ、コンビニの輸送船に紛れてやってくるんだろう。明日はコンビニ船以外はこの学園艦に来ない日だしなって」
「流石チョミちゃんだな。なかなかの軍師だ」
「ということで着きましたよ」
案内された俺達がコロッセオ内で見たものはドドーンと構えるイタリアの重戦車P40に上に乗っかり鞭とツインテールを振り回しているアンチョビの姿だった。
P40を囲むように他の生徒も写メを撮っている。
「「「「「ドゥーチェ!ドゥーチェ!ドゥーチェ!」」」」」」
出たよドゥーチェ!(ちなみに十六夜もさり気なく参加しています)
「姐さんッ十六夜を連れて来たっす」
「「「「「ドゥーチェ!ドゥーチェ!ドゥーチェ!」」」」」」
ペパロニがアンチョビに俺達のことを知らせるがドゥーチェ!コールにかき消されてしまう。
「あちゃ、聞こえてないっすっていうか十六夜もさり気なく混じってる」
「おおッ、あれがチョミちゃんかかなりの美少女になっておるではないか。やはり余のハーレムに・・・」
「それにしても皆さん楽しそうですね」
「ドゥーチェ!ドゥーチェ!えっ、あぁ、そうだな。それだけアンチョビが慕われてる証だろう」
優花里の呟きにドゥーチェ!コールを一度やめて返事を返す。
「さて、俺達も下に降りるか」
「そうだな、しかし、普通に登場しても面白みに欠ける。ここはかっこよく登場してチョミちゃんを驚かせてやろう」
「それもそうだな。よし、飛び降りるか」
「ではいくぞ奏者よ」
俺とネロはコロッセオの観覧席から少し助走を付けてP40の近く目掛けて降り立った。
アンチョビside
昨夜のことだった、十六夜が明日アンツィオに来るといった。
しかも偵察にだ。私達の学校も偵察に来られるくらいに有名になったのかと嬉しくなった。さらに十六夜に会えるのだ。嬉しさは倍増どころか天元突破?という奴だ。
どうせあいつのことだ、明日アンツィオに来る船といえばコンビニの輸送船くらいだ。
その船に乗り込みやってくるのであろう。
本来ならば私自身で迎えに行ってやりたいのだが私も隊長という立場上、色々と忙しいのだ。
そのため、明日はペパロニに迎えに行ってもらおう。カルパッチョでもいいのだが、あいつはなにかヤバそうだ。
自分の部下に対してヤバいとか思うのもどうだと思うが、本能が告げているのだ。カルパッチョは色々とヤバいと。
翌日になり、私はコロッセオ内で新しく購入したP40を走らせていた。
ほんと大変だった。三時のおやつを我慢させたりその他にも・・・
しかし、こうしてP40を入手できたのだ。これで大洗にも負けない。じゃなかった勝つッ。
そんなときだった、突然コロッセオ内、私が乗っかっているP40の近くに二つの影が落ちてきた。
「な、なんだ?」
突然のことに私以外の生徒も戸惑っている。
「ようアンチョビ」
「久しぶりだのチョミちゃんよ。余が来てやったぞ」
二つの影の正体は十六夜とネロだった。
「ど、どこから出てきたんだッ」
「どこって、あそこだ」
十六夜が指さす方を見ると見知らぬ生徒(優花里)とペパロニがいた。
「あそこって何十メートル離れてるんだ」
「まぁ、まぁにしてもでけぇな」
「これがP40か・・・余の時代にもコレがあれば戦は楽だったのだろうな」
短かったですね。
次回は一度自動車部の話をいれます。
では、次回もお会いしましょう
せーのっ!パンツァーフォー