絶対転生特典間違えただろ   作:ナカタカナ

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 書いてて思いました。なんだこの甘ったるい会話は・・・


病室内

 

 武部をからかったあと、いつもの雰囲気に戻ったのを確認して二人で話をしていた。

 

 「そうなんだぁ~そっか、だからあのとき地雷が爆発したんだね」

 

 「あぁ、まぁ、俺が用意した地雷はあまり活躍しなかったみたいだが」

 

 「でも、もし十六夜君たちが地雷を奪ってくれていなかったら私達の誰かが喰らってたかもしれないし」

 

 「それもそうだな」

 

 話の内容は今日の試合のことだ。

 

 「ねぇ、十六夜君」

 

 皆様はお気づきだろうか。武部の俺の呼び方が逆廻君から十六夜君に変わっていることに。

たいした理由はないが、名字呼びはどこかよそよそしいから名前呼びにするねといった感じだ。

ということで俺も武部のことを沙織と呼ぶようになった。

 

 「どうした?」

 

 「私ってみぽりんの役に立ってるかな?」

 

 「当たり前だろ。今日なんて大活躍だったじゃないか。あいての通信傍受機で限られた通信手段しか取れない状況で素早くみんなにメールを送って作戦を伝達してただろ」

 

 「でも、それだけだよ」

 

 「馬鹿、それだけじゃねぇよ。情報っていうのは重要だ。なんたって間違った情報が回ればそれで何もかも終わる。だから、みほの作戦を伝達している沙織はものすごくみんなの役に立ってる」

 

 「・・・うん、ありがとう」

 

 「ありがとうってなにも礼をいわれるようなことはしてねぇよ」

 

 「そういえば十六夜君は麻子と仲がいいよね」

 

 「まぁな」

 

 再びしょんぼりと暗い雰囲気になってしまったのを感じてか沙織は話題を変えてきた。

 

 「どうやって麻子と仲良くなったの?」

 

 「別に、遅刻しそうになってるところを見つけて運んだ。そしたらこんな感じだ」

 

 「あはは、麻子らしいね」

 

 「あとは、俺と似てるから・・・かな」

 

 「十六夜君と麻子が似てる?」

 

 「あぁ、家族という点がな」

 

 この世界での俺は、父と母が事故で亡くなり親戚に引き取られたということになっている。

事故で両親を亡くしてしまった冷泉と似ているのだ。まぁ、俺の場合は家族がいっぱいいるのだがな。

 

 「俺の両親も事故で死んだんだ」

 

 「あっ、ごめん・・・」

 

 「気にすんな。顔なんてほとんど覚えてないしな。それに、俺にはたくさんの家族がいるし、戦車道の仲間、自動車部のみんな、お前も冷泉もいるんだ。なに一つ寂しいことはねぇよ」

 

 「私も・・・」

 

 「あぁ、でも、冷泉はどう思ってるかだな。冷泉の家族はばあさんしかいないんだろ。独りは寂しいもんな」

 

 スヤスヤと眠っている冷泉の髪をそっと撫でてやる。

 

 「サラサラしてるな」

 

 撫で心地の良い髪をずっと撫でていたくなる衝動に襲われるがなんとかやめる。

 

 「十六夜君ってツンデレ?」

 

 「馬鹿ッ、男のツンデレなんて誰得だよ」

 

 「そっか、十六夜君はみんなのこと大好きなんだね」

 

 「まぁ、そうだな。もし、お前らになにかあったら音速を越えて光速で駆けつけるな」

 

 「おっ、カッコいい。ポイント高いね」

 

 「ヤハハ、お褒めにあずかり恐悦至極」

 

 「苦しゅうない、苦しゅうないってね」

 

 流石沙織、俺のノリに乗ってくれるあたり男心が良く分かっているといっていいだろう。

 

 時計を見て見ると時刻は九時四十分。空は辺り一面月明かりによって薄暗い。

明るい月光がこの病室へと注がれてなんていうかいい雰囲気の部屋となっている。いや、まぁだからといってなにかある訳じゃないんだがな。

 

 「よし、恋バナしない」

 

 綺麗な星空を眺めていると先ほどまでの暗い雰囲気はどこいったのか沙織がいきなりそんなことをいった。

 

 「恋バナって」

 

 「えぇ、いいじゃん。私ね一度男の子の話を聞いてみたかったの」

 

 「なんも面白い話はできないぞ」

 

 「それでもいいからッ「しぃ~、静かにな」う、うん、ごめん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 病室の端に移動して自販機で買ったコーヒーを持って丸椅子に座り沙織と恋バナを始めた。

いや、何が悲しくてクラスメートの女子と恋バナしねぇといけねぇんだよ。

 

 「じゃあ、最初は十六夜君の初恋っていつ?」

 

 「特にないな」

 

 「えぇッ、ないの」

 

 「あぁ、そりゃ身内があんな美人ばかりだからな」

 

 「で、でも、初恋はお姉ちゃんとかないの?」

 

 「ないわッ、お前は俺にどんな印象を持ってるんだ」

 

 「身体能力が超人的で、頭良くて、容姿もいい、超優良物件」

 

 「はいはい、そういう沙織はどうなんだよ」

 

 「私ッ、私はぁ~誰かに恋するよりも誰かに恋されるからぁ~」

 

 「ほう、例えば・・・」

 

 「商店街の魚屋のおじさんとか近所のおじさんとか、だって毎朝挨拶してくるんだよ。絶対、私のこと好きじゃん、あとは・・・」

 

 うん、わかってたよ。こいつの頭の中が一面ピンクってことは分かってたとも。

 

 「じゃあ、次の質問ね。どういう女の子がタイプ?」

 

 「これといってない。女の子は全員、一つは自分自身にしかない魅力を持っている。そこに惹かれる」

 

 「へぇ~結構真面目な回答がきて困ってるんだけど。てっきり胸が大きい子とかいうかと思った」

 

 なんともまぁ、失礼な奴だ。今ギクッてなった奴、手をあげろ。

 

 「じゃあ、私の魅力って何?」

 

 「本人がいるのにいうのか?」

 

 「そりゃ、男子の意見を聞いておきたいし」

 

 いや、そんなこといったら普通に告白しているのと同じじゃないか?

 

 「そうだな、やっぱり話やすいのが魅力だな。男子にとって女子と話すっていうのは難しい問題の一つだ。

まぁ、俺はそんなことねぇけど、普通の男子は女子と話すのは緊張するらしい」

 

 これは俺の前世を基に話している。

 

 普通に女子と話すのって緊張しない?えっ、しないだって。さいですか・・・

 

 「しかし、沙織の場合は沙織から話しかけてきてくれるから男子にとってはありがたい存在だと思うぜ」

 

 「えへへ、そっかぁ~」

 

 「あとは、家庭的なところとかだな。料理得意って聞いたし、小さい子の面倒見も良いんだろ。

そういうのって結構男子にとっては惹かれやすい魅力の一つだな」

 

 「そっかそっか、えへへ、なんか照れちゃうな」

 

 思考が完全に乙女モードへと切り替わり脳内で色々な妄想をしているであろう沙織を見て笑ってしまう。

 

 「どうしたの?笑ってるけど」

 

 「いや、なんでもない」

 

 「ふ~ん、ならいいけど、じゃあ、麻子の魅力は何?」

 

 「冷泉の魅力か・・・どこかほっとけないところだな」

 

 「あぁ、それわかる、麻子ってどこか危なっかしいのよね」

 

 どうやら沙織も同じらしい。

 

 「冷泉ってどこか構いたくなるっていうか、小動物みたいっていうか」

 

 「うんうん、分かるよ」

 

 「まぁ、そういうところだな。冷泉の魅了の一つは・・・」

 

 「一つはってことは他にあるの?」

 

 「一番の魅力は家族思いなところだな」

 

 「・・・・・・・・・」

 

 沙織は何か思うとこがあるらしく俺の言葉を真剣に聞いている。

 

 「きっと、冷泉と結婚した奴は大事にされるんだろうな。もし、そいつが冷泉のこと泣かしたら俺はすぐにそいつをしばきに行くかもな、ヤハハ」

 

 「十六夜君ってどこかお父さんみたいだね」

 

 『精神年齢は三十過ぎですから』なんて言えるはずもなく聞き流す。

 

 「沙織はお母さんみたいだな」

 

 「へっ・・・お母さんかぁ~、じゃあ十六夜君がお父さんで麻子が娘かな・・・」

 

 「はっ?」

 

 「えっ、あっ、な、何でもない。忘れてッ」

 

 「だから静かにしろッて・・・冷泉が起きちまう。ばあさんもいるんだ」

 

 「う、うん、ごめん」

 

 びっくりした。沙織の発言ってアレだよな・・・沙織と結婚・・・バカッ何考えてんだ俺は。

 

 「コ、コーヒー無くなったから買ってくる。何か飲み物いるか?」

 

 「だ、大丈夫」

 

 恥ずかしくなった俺はすぐに適当な理由を付けてこの病室から逃げ出す。

こういうところがヘタレっていわれるのだろうか・・・

 

 





 次回は麻子ちゃんsideを書いてから翌日のことを書きます。

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