Warcry boys―――われら、平穏なる夜明けを見んために   作:懲罰部隊員

1 / 8
プロローグです。



プロローグ rebirth

 夢を見ている。俺は雪の降る異世界にいた。

 菓子がほしいばかりに血を分けた兄妹をも売り渡しかけた俺は、その汚名を晴らさんと戦った。

 

 兄妹とともに異世界の王者となった俺は戦いに赴いていた。

 目の前で繰り返される幾つもの死。己の手を血に染め、それでも俺はnoblesse oblige(高貴なるものの義務)を果たさんと剣を握り続け、死を拡大再生産していた。

 

 異世界から戻った俺はその後も何度かかの世界に行き、冒険を繰り返した。

 だが、血の呪縛は俺に容赦なく牙をむいた。

 現実世界で言う1949年9月1日。ロンドン郊外の列車事故で俺は死んだ。

 

 そして再びあの地、「ナルニア」へと俺は呼び戻された。だが、俺はもはやそこで生きることを望んでいなかった。

 ファンタジーの世界にいられるような年ではなくなっていることぐらい、知っていた。

 

 

 「エドマンドよ。ならば、もう一つの現実、その世界に赴くがいい。そして、そこで巡り合った者たちを守り抜け。正義王の名にかけて」

 

 ナルニアの創造主であったライオン、アスランの声がしたような気がする。

 そして…

 

 pipipipi…

 「エド、起きなさい!あんた今日入学式でしょうが!」

 エドマンド・ペベンシーはクソッタレ、とつぶやきながら上体を起こした。壁にかかっている制服。それはかつての世界で着ていたものとは全く違う。いわゆる学ランだ。そう、ここは前世の彼の母国ではない。

 「日本、Enpire of rising sunか。思えば遠くにきたもんだ」

 




ご質問、ご感想等お待ちしております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。