Warcry boys―――われら、平穏なる夜明けを見んために 作:懲罰部隊員
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プロローグです。
プロローグ rebirth
夢を見ている。俺は雪の降る異世界にいた。
菓子がほしいばかりに血を分けた兄妹をも売り渡しかけた俺は、その汚名を晴らさんと戦った。
兄妹とともに異世界の王者となった俺は戦いに赴いていた。
目の前で繰り返される幾つもの死。己の手を血に染め、それでも俺はnoblesse oblige(高貴なるものの義務)を果たさんと剣を握り続け、死を拡大再生産していた。
異世界から戻った俺はその後も何度かかの世界に行き、冒険を繰り返した。
だが、血の呪縛は俺に容赦なく牙をむいた。
現実世界で言う1949年9月1日。ロンドン郊外の列車事故で俺は死んだ。
そして再びあの地、「ナルニア」へと俺は呼び戻された。だが、俺はもはやそこで生きることを望んでいなかった。
ファンタジーの世界にいられるような年ではなくなっていることぐらい、知っていた。
「エドマンドよ。ならば、もう一つの現実、その世界に赴くがいい。そして、そこで巡り合った者たちを守り抜け。正義王の名にかけて」
ナルニアの創造主であったライオン、アスランの声がしたような気がする。
そして…
pipipipi…
「エド、起きなさい!あんた今日入学式でしょうが!」
エドマンド・ペベンシーはクソッタレ、とつぶやきながら上体を起こした。壁にかかっている制服。それはかつての世界で着ていたものとは全く違う。いわゆる学ランだ。そう、ここは前世の彼の母国ではない。
「日本、Enpire of rising sunか。思えば遠くにきたもんだ」
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