インフィニット・ストラトス ファントム   作:OLAP

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鉄血のオルフェンズ、個人的には面白かった。
遊戯王と合わせて五時から六時までのアニメが楽しみだよ。



第二回モンド・グロッソ 3

 

白と黒、相対する色の刃の剣戟が行われる。

 

二つの刃は共に一撃必殺の劔、まともに食らってしまったのであれば死から逃げる事などはできない。

 

(オレ)たちは既に数十を超える打ち合いをしている。

 

暮桜の両肩の非固定ユニットは既に破壊されているが、(オレ)には特記すべきほどの損傷はない。

 

先ほどとは格が違う。一撃でもまともに喰らえば敗北、だがまともに当てれば此方の勝利。

 

僅かだが、奴の太刀筋を俺が読める。そして躱すのはオレが行う。未だ未熟な俺を補う戦い方。

 

体がISの反応速度についていけず、鎧の内側から俺の肉体をズタズタに壊して行く。

 

だがこれは些か疲労感が溜まる。俺の体に無理をかけながらISを動かし続けるのだ。耐久戦はない、はなから短期決戦。

 

それは相手も同じ、アレを発動させている間は常にシールドエネルギーが減り続けるはずだ。此方もか。

 

時間はない。だが勝つのだ。勝利には俺の方が飢えている。

 

勝ってみせる。俺が進むために、あんた達と決別するために勝つんだよ。もっと力を。

 

負けるわけにはいかない。No.005(カクシタ)相手には、オレの目の前で紛い物振るう見苦しい奴には。

 

「ラアアアアアアア!!」

 

今の俺はあんたを越えられない。

 

けど。

 

(オレ)ならば超えてみせる。

 

零落白夜に変化が現れた。零落極夜と何度も何度もぶつかり、その美しい刃が壊れ始めてきたのだ。

 

「なっ?」

 

驚愕の表情をする織斑千冬、だが止まれない、引くわけにもいかない。

 

だが更に攻撃を重ねていくうちに形がゆらいでいく。壊れるまで秒読み、お終い。

 

もう終わらせてくれ、あんたとはこれ以上戦いたくはない。

 

失せろ、贋作。

 

そして対に織斑千冬の力の象徴ともいえる零落白夜は消え去った。

 

雪片を破壊した。

 

打ち勝った。

 

これでとどめだ。

 

振り下ろすのは破壊の象徴。避けられない。このまま真っ二つに…………ダメだ。

 

僅かに切るのが遅れた。それだけであいつは避ける事ができる。とはいっても絶対防御を掠め、そのエネルギーの残りを零にした。

 

ISの重さに耐えきれず、更に疲労感が溜まり織斑千冬は地面に倒れ伏した。

 

勝ったのか?

 

俺の方も体が限界を迎えているな、ISが無理に動きすぎて下手したら骨がいかれているかもしれない。

 

闘いが終わり、アタマに登っていた血がおりていく。ゆっくりとゆっくりと冷静になれていく。

 

俺はやっぱり切れなかった……捨てられないのか?俺は、俺はあいつをまだ家族と認識しているのか?

 

違う違う違う違う。

 

「はははははははは」

 

笑えてしまう。こんな馬鹿な自分に。なにも得る事のできない勝利に。

 

「はははははっ………!」

 

俺は目の前の光景を疑いそうになる。

 

「私は……勝たなければならないんだ。私が殺したようなモノだから、百春を救わなければ、一夏を救えなかったから、その贖罪のために私は貴様らに負けるわけがいかないのだ!」

 

己の力だけで鈍重なISを持ち上げて織斑千冬が立ち上がった。その手には折れた雪片、目は完全に意識を失っている。もはや意地、本能、己の使命が立ち上がらせる。

 

一歩一歩、此方に近づいてくる。

 

「やめろ……」

 

だが止まらない。 

 

「やめてくれ……」

 

止まれ、俺はもうあんたに剣はふれないんだよ。

 

「もう、止まれ!!」

 

あんたの気持ちはわかった。だから、やめてくれ。

 

動きが止まった。今度は完全に気絶したみたいだ。だが倒れはしない。屈強な意思が篭った瞳は俺からそれる事はない。

 

「もう、わかったよ。千冬姉……だから……」

 

目の前の視界が暗くなっていく。

 

ああ、そうか。俺も大分無理をしたもんな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に目を覚ましたのはホテルの一室だった。

 

あれから何があったのか全く記憶がない。多分ゼロが機体を操作して、スコールさんが運んできたのだろう。

 

「お目覚め?気分はどう?」

 

すぐ近くにスコールさんが座っていた。俺のことを心配していたのか、俺が目覚めるのを見ると安堵の表情を浮かべた。

 

「良いと思いますか?」

 

腕が上手く上がらないし、頭もガンガンと痛い。

 

「そう、軽口が言えるなら大丈夫よ。それと織斑千冬が引退したわよ」

 

何気なく語られた重大な事実、そうか引退したのか。

 

理由はなんだろうか、前回や今回の事を含め百春に危険がいくのを恐れたためか、それとも他の理由があるのか、よくわからないし、わかろうとも思わない。

 

「驚かないの?」

 

無反応すぎた俺にスコールさんは疑問を感じたみたいだ。

 

「何となく今回の事件があった時から、引退するんだろうと考えていたんですよ。あれの思考ならね」

 

「悔いはないの?あの場所で貴方は素顔をさらして、ここから抜けても良かったのよ」

 

確かにスコールさんの言葉は正しいのかもしれない。闘いが始まる前に素顔を晒せば良かったのかもしれない。

 

けどしなかった。  

 

「俺にもわかりませんよ。ただあの時は殺意が湧いたから殺そうとしたんですよ。それに俺は今の在り方に悔いはありません、これが運命なのだと理解してますから。だから俺はこの道を進みます」

 

「そう、でも無理はしないでね。貴方はまだ幼いのだから」

 

スコールさんは立ち上がって 俺を優しく抱きしめてくれた。いつ以来だろうか、確か俺が亡国機業に保護された時以来だと思う。

 

優しさに包まれて泣きそうになってしまう。でもなくわけにはいかない。弱さを見せてしまってはいけない。

 

抱きしめられる事十数秒、スコールさんは俺から離れた。

 

「明日本部に帰る事になってるから、今日はゆっくり休みなさい」

 

それだけを伝え、部屋の電気を消してスコールさんが部屋から出て行った。残されたのは俺一人。

 

他に誰もいない部屋で俺は虚空に話しかける。

 

「俺は弱いのか。彼奴を殺せなかったのは弱さか、それとも情を持っていたのか。見捨てられようと家族としての情があったのか?捨てろよ、これ以上は悲しくなるから」

 

静かに泣いた。




自分の文章力の無さが最近は特に酷い。一人称も三人称も書けない。


次回か次々回予告、一夏、大人になる。


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