インフィニット・ストラトス ファントム   作:OLAP

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気づいたらリメイク前の話数も文字の量も超えていました。

これからも頑張っていきますので応援よろしくお願いします。


市街地戦 2

 左手に大剣、右手にIS用ハンドガンを構えて敵と対峙する。

 

 鋭く突き出されるランスを剣の腹で受け止め、右手のハンドガンを敵の顔に突きつける。敵は顔を動かすが、銃は囮。右足にローキック、僅かに体制が崩れた所を後ろ回し蹴りで吹き飛ばす。

 

 センサーが上空より飛来する機体を確認、味方機、首を少しだけ上に動かして味方機を確認する。

 

 そしてまた首を元に戻し、敵に接近。今度はハンドガンを収縮する。素早く懐に潜り込み、大剣を下から振り上げる。振り上げられた大剣は敵に掠りはするが直撃はしない。

 

 下から上に振り上げる最中に大剣を手から離して上空に放り投げる。僅かだが敵の意識が剣に向かれた。そこで腹に一撃、しかしそれを防がれる。

 

「ナイスだ、ゼロ」

 

 上空からシルヴィアさんが落下してきた。俺と同じくウルテナに乗ってはいるが装着しているアームズが異なる。確かシルヴィアさんのは近接特化の俺とは違う、平均的に優れているバランスアームズ。

 

 シルヴィアさんは俺が投げ渡した大剣を振るう。背中を切り裂き、敵の推進機を破壊する。

 

 翼は捥いだ。シルヴィアさんは大剣を地面に突き刺し、俺と同じく拳を構える。

 

 挟み撃ち状態でのインファイト、俺の攻撃をかわせば背後からシルヴィアさんの攻撃を喰らい、背後からの攻撃をよければ俺に殴られる。

 

 サンドバッグになった敵は目に見えて動きが鈍くなってくる。攻撃を裁こうとしていた手もだらんと下がっている。

 

「ゼロ、行くぞッ!」

 

 シルヴィアさんが敵の背後から臍の辺りを両腕でホールドする。放つのはジャーマンスープレックス、しかし俺に合図を出したと言うことはツープラトンを仕掛けるのだろう。

 

 しゃがみ込んで、スラスターを噴射準備、シルヴィアさんが持ち上げると同時に点火。敵の脇を両足で蹴る。加えて敵の両足を掴む。それと同時にシルヴィアさんが敵を持ち上げる。

 

 半円を描き、敵が地面に叩きつけられた。スラスターを利用した高速ジャーマンスープレックス、その威力は伊達ではなかったみたいだ。

 

 互いに敵から離れる。

 

「ゼロ、今ので何機倒した?」

 

「四機です。数が多っすね、今までで最大の数ですね」

 

「ああ、どうやらネオも相当な数導入してるらしいな」

 

「俺はまた別の地点に向かい------」

 

 交戦状況を確認、脳に電流が奔る。それからの行動は素早い、近くに刺さってある大剣を抜き取り、肩に装着。ランドホイールを展開し、ホイールを回転させる。

 

「別の場所に向かいます!」

 

 スラスターを噴射して初速度をあげる。ランドホイールでアスファルトを駆け抜ける。選択するのは最短径路、一秒の無駄も許されない。

 

 交戦中の機体を確認、ライダⅡとガスマスク。ライフルを持ったライダがガスマスクに押されている。

 

 青竜蝦を両手に展開、瞬時加速を使用して両者に割って入る。

 

「どけえええッ!エームッ!」

 

 エム、マドカが俺の声に反応し、敵との距離を離す。敵も此方に気づいたが関係ない。

 

 突き刺しにくるランスを拳で上に弾き、もう一方の腕で敵の顔に一撃。

 

 流れるようにリバーブロー、ガゼルパンチのコンビネーション。

 

    体で無限を描く。体の動きと青竜蝦のスラスターにより加速された拳で殴打の往復。

 

    デンプシーロール

 

    激しい連激は敵を休む事なく追い詰めていく。

 

「終わりだッ!」

 

    右の一撃をわざと空振りにさせて一回転、そして遠心力を利用したストレート。胸を抉る一撃、そのまま敵を地面に叩きつける。

 

「ガッ!」

 

    敵の胸部装甲に罅が入る。敵が動かなくなる。俺の兵装の中でもトップクラスの破壊力を誇る青竜蝦による殴打は敵を簡単に倒した。青竜蝦を解除してエムに近づく。

 

「ごめん、ゼロ。気づいたら敵に近づかれてた」

 

    申し訳なさそうに話すエム。

 

「気にするな、近くにシルヴィアさんがいるから合流しろ。俺は別の場所に向かう」

 

「……わかった」

 

    少しだけ不満そうにエムが返事した。

 

    後方より敵機の反応。上空からこちらを狙っている。振り向いて敵を確認。

 

    その位置は不味いぞ。

 

     敵機が爆発した。正確に言うと飛来し、直撃した砲弾が爆発したのだがな。敵も手負いだったのだろう。普通ならあんな砲弾をかわせて当然だ。

 

    跳躍してアッパーを爆発の影響でふらつく敵に一撃、さらに両脚を掴む。そしてそのままリバースパワー・ボムでさっきの敵の上に叩きつける。

 

「良いアシストだったでしょー」

 

    無線でティファが話しかけてきた。そして俺の真横に着地。ライダⅡを身に纏い、背中に自分の身長並みの砲撃用の火器を背負っている。

 

「ああ、助かった」

 

「ふふん、もっと褒めなさい」

 

    腰に手を当てて胸をはるティファ。俺はティファの頭に軽くチョップする。

 

「あまり浮かれるな。それよりティファ、エムを連れてシルヴィアさんと合流しろ」

 

「了解、ほらエム行こう」

 

    ティファはエムの手を掴んで走り出そうとするが、エムが俺の方を向いたまま止まっている。

 

「頑張って、お兄…………ゼロ」

 

    それだけ言って二人は立ち去った。

 

「ふぅ……ふぅ」

 

    肩で息をしながらゆっくりと呼吸を整えていく。

 

    被弾数はほぼ無い。近接格闘を主体にした戦闘のために弾薬の消費は少ない。エネルギーもまだ十分にある。戦闘続行だ。

 

    敵を探すためにセンサーを使用する。敵はすぐ近くにいた。近くの建物の天井。

 

    上を確認しようとしたその時、俺の近くに何かが激しい音を立てながら落下してきた。

 

    首を動かして落下物を確認する。それはライダだった。無惨なスクラップになったそれは内側から赤い液体が流れ出ている。外観からでもわかるほどの破損、中にいた人間は既に死んでいるのだろう。

 

    そしてもう一度落下音、今度はスクラップではない。

 

    見たことの無いIS、敵の新型だろう。禍々しい色彩。細身の全身装甲。ガスマスクとは異なる形状の顔、そこにつけられている二つの黄色い目が俺を見つめる。両肩には可動式のシールドバインダー、右手には黒と赤色のレイピアを持っている。

 

    レイピアを此方に向けてくる。成る程、敵は強さに自身があるのだろう。

 

「挑発行為ありがとう。なら乗らせて貰おうか」

 

    こちらも長剣を展開、白と赤色の長剣。

 

「スコールさん、新型を発見、交戦は避けられません」

 

    秘匿回線でスコールさんに話しかける。

 

『わかったわ。誰かを援護に行かせたいんだけど、私も含めて全員交戦中なの。できるだけ早く、誰かを向かわせるわ。それまで一人でやれる?」

 

「大丈夫です」

 

    回線を切断する。

 

    仲間は来ない、敵の実力も装備も未知数。

 

    けれど一人で奴を倒してやる。


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