インフィニット・ストラトス ファントム   作:OLAP

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出すつもりはなかったんだけど、つい。

アーキタイプブレイカーってあれですね。
異星生命体で、アイドルが出て、ロボット…………マクロスができる!

というわけで誰か書いてくれませんかねぇ。


第121話

 

事件が起きる数ヶ月前、雪が溶け心地の良い春風が吹き始めた頃の事だ。

 

来年度の入学試験が終わり、学園は一段落を迎えていた。今年度のIS学園の受験者数の志願者倍率は例年以上のモノとなった。

 

理由は前年度入学者の織斑百春の存在、世界で唯一と呼ばれている男性IS操縦者の存在が各国の人間を駆り立てた。

 

今年度の入学者には新入生に加えて、世界各国から代表候補生たちが編入生としてIS学園に入学することになった。

 

去年一年の間に何人もの生徒が学園を去った為に、人数に空きがあるのだ。

 

そして今日はその編入生たちがIS学園にやってきている。

 

彼女たちを案内するのに、生徒会長である更識楯無に白羽の矢が立った。

 

一行は学園の建物全域を歩いて回った後、最後にこれからの学園生活でISの訓練を行うことになるアリーナにやってきた。

 

楯無と代表候補生達はアリーナの管制室でアリーナの内部の様子を観察している。

 

アリーナの中には二機のISがいる。

 

黒と白、対象的な色彩の二機のISが今にも戦いを始めようとしていた。

 

「……アレが、織斑百春の操る『白式』」

 

純白と黄金、そして背中にある巨大な一対のウイングスラスターが特徴的な全身装甲型のIS、白式。

 

IS学園に編入する代表候補生たちもソレの噂については聞いていた。

 

第二次移行から更なる進化を果たした世界で最初のIS。スペックだけを見れば現行のISの中でも一二を争うほどの超高性能。

 

第二次移行までは装着型のISだったのだが、今現在の白式は全身装甲型に変化している。

 

最初の頃は百春自身、全身装甲型のISの操縦には戸惑っていたが、今となっては完璧に乗りこなしている。

 

「もう一方は………」

 

「何処の国のISかしら、見た事がない」

 

相対する漆黒のIS、名は黒零。

 

進化した白式と同様に全身装甲型のIS。

 

性能は進化した白式には劣るが、それでも並のISと比較すれば性能はかなり高い。

 

コレの存在を編入してくる代表候補生たちはよく知らなかった。

 

「生徒会長、あのISは何なんですか?」

 

代表候補生のウチの一人が尋ねた。

 

「亡国のゼロ………とでもいえばわかってもらえるかしら?」

 

楯無の言葉に反応して各国の代表候補生たちは目を見開かせて反応した。

 

彼女達もその存在については聞いたことがあった。だが実際にいるとは思ってもいなかった。

 

表の世界で輝く自分達とは対象的な存在。アリーナにいる白式が表の存在であるならば、黒零は裏の存在。

 

陰陽、互いに強烈な存在感を放っている。

 

「アレが、裏の世界の二強。亡国の黒いIS」

 

「こうして合間見えることができるなんて思ってもいなかった………何故ここにいるんだ?」

 

「ん?それはね、傭兵として雇ったからよ」

 

楯無の口から簡単に嘘が紡がれていく。

 

「百春くんを強くする為には必要だったのよ。亡国のゼロの力が……そのお陰で百春くんの実力は遥かに高くなってる。私も今の百春くんに勝てるかは怪しい」

 

「国家代表でもか……実力が高いな……………そう言えば、あの噂は本当なのか?亡国のゼロの正体が男だというのは」

 

亡国のゼロには様々な噂が流れている。

 

曰く、実力は世界最強(ブリュンヒルデ)級。

 

曰く、戦場で出くわしたならば死を覚悟するしかない。

 

曰く、使用しているコアはオリジナルであるが、特殊なモノを使用してる。

 

 

曰く、男である。

 

 

「………どうかしら。後で確かめてみると良いわ」

 

楯無はアリーナの内部を見ながら、代表候補生に向けて問いかけた。

 

「ならばそうさせてもらう。今は試合を見学させてもらう」

 

アリーナの内部で動きがある。

 

沈黙を保ち、一切動いていなかった二人がほぼ同時に構えをとった。

 

「ッ!?」

 

二人が放った強烈な意識がアリーナを埋め尽くし、管制室にいる楯無達の元まで届いた。

 

代表候補生達の骨が震える。

 

自分たちに向けられているモノではないと十分に理解はしているのだが、それでも戦慄してしまう。

 

余波でこれなのだから、直接当てられたらどうなるのか。マトモに立ち向かえるのか、代表候補生達に嫌な汗が流れる。

 

「……始まる」

 

楯無がその言葉を呟いた直後、アリーナにいる黒と白は戦いを始めた。

 

初動、白式が世界から消えた。

 

「何が起きた!?」

 

事態を上手く認識できていない代表候補生達は思わず食い入るように管制室に備え付けられてあるモニターを見た。

 

そして次の瞬間、ゼロの背後に空間を引き裂いて百春が現れた。

 

背後を完全に取った。百春は手に持っている真花でゼロを背後から切りかかる。

 

『甘い!』

 

ゼロは全身のスラスターを駆使して背後を振り返りながら、硬く握りしめた右拳を振った。

 

『だよね!』

 

百春は剣撃を中断させ、体を四分の一回転させて足の裏で拳を受け止めるとその反動を利用して後ろに飛んだ。

 

『流石に今のは予測されるか……』

 

『お前は同じ手を何度も使い過ぎてる』

 

一瞬の攻防、それでも実力の高さを代表候補生達は感じ取った。

 

「……瞬間移動」

 

「それに反応してのカウンター……そしてソレを防ぐ技術。無茶苦茶だな」

 

代表候補生達は感心しているがコレはまだ始まりに過ぎない。

 

『なら、次は!』

 

白式の左手と同化している武装『真雪』が唸りをあげる。

 

指を綺麗に合わせて黒零に向けて突きつける。

 

指先からエネルギーが放たれる。一切の無駄のない圧縮されたエネルギーの閃光がゼロに襲いかかる。

 

『ったく……チャクラ』

 

ゼロが左手を前に突き出し、目の前に不可視の壁を作り上げてエネルギーを受け止める。

 

そして後方にエネルギーを受け流した。

 

「なんだ今の?」

 

チャクラの存在を知らない代表候補生達はゼロが何をしたのかわからない。

 

『行くぞ』

 

『さあ、来い!』

 

今度は小細工なしの真っ向勝負による接近戦。互いに距離を詰めて殴り合いを始める。

 

ゼロは休むことなく握りしめた両手や両脚、さらに全身を武器にしながら百春を攻め立てる。

 

殴打や蹴りだけでなく、所々混ぜられるプロレスや柔道の技の数々に百春は手を焼かれる。

 

百春はソレらを左手と同化している真雪の盾で巧みに防ぎ続ける。

 

受け止められる攻撃は受け止め、受け止めきれない攻撃は流し、または盾を使って攻撃自体を行う前に防ぐ。

 

数ヶ月前の百春では止めることのできなかった攻撃も、この数ヶ月のゼロによるスパルタ訓練のお陰で止めることができるようになった。

 

「凄い、美しい蹴り」

 

編入生のウチの一人、タイの代表候補生であるヴィシュヌ・イサ・ギャラクシーはゼロが繰り出す蹴りの練度の高さに思わず褒めてしまった。

 

「確かに、一発一発の完成度が高い………本当に訓練なのか?互いに殺す気で戦っている気がするぞ」

 

「あの二人はそうなのよ。殺す気じゃないと訓練にならないからって」

 

二人の戦いは次の段階に移行している。

 

夫々両手に得物を持って、超高速戦闘を行う。

 

百春が瞬間移動で撹乱を行うがゼロはそれに惑わされる様子はない。

 

冷静に冷淡に、攻撃を見極める。

 

背後から攻撃してこようが反応して、カウンターで返す。

 

互いに決定的な一打がでないまま訓練は続く。

 

ゼロも百春も既に並の領域にはいない。夫々が既に己の武の道を突き進んでいる。

 

織斑千冬という憧れから乖離した二人は既に羽ばたいている。

 

『『零落──』』

 

白式からは黄金の光が、黒零からは漆黒の闇が溢れ出る。

 

『極夜』

 

『白夜』

 

単一能力による最強の一撃。

 

防御を破壊する必殺の一撃を容赦なく相手に向けて振り下ろす。

 

……その刃は二人の寸前で止められた。光と闇が収まり、二人は武器を収めた。

 

闘志を収めて二人は空中でユックリと距離を取りながら地面に降りた。

 

一定の距離を保ったまま礼を行う。

 

「終わったみたいね………会いに行ってみる?」

 

楯無の提案に代表候補生達は無言で頷いた。

 

 

 

戦争が始まるまで後何ヶ月。

 




この作品が終わったら原作ヒロインとアーキタイプブレイカーヒロイン入れ替えの作品かきたいな。あっちの方がキャラ好みだし。

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