ストライク・ザ・ブラッド~白き焔~   作:燕尾

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おはようございますこんにちはこんばんは! 燕尾です!
ストーリ内容は変えず若干の文の変更をしました!
気づかない人は気づかず、前とどう違うんだと思われると思いますが明言します。
"若干"変えました!

バイトのシフトがアレなせいで夏休みが夏休みでなくなっているので亀更新となりますがどうぞお付き合いの程お願いします。


聖者の右腕編
第一話


 

 

「あー、暇だ、退屈だ、なんか面白いことない? 古城」

 

 

何もすることがなく、暇をもてあましていた楠劉曹は目の前の友人に問いかけた。

 

 

「暇なら俺の追試の勉強を手伝ってくれよ。劉曹」

 

 

そんな劉曹を見て古城と呼ばれた少年は呆れたように返す。

しかし劉曹は溶けたアイスのようにだらんと机に伏して言った。

 

 

「えーなんか見返りがほしい」

 

 

「見返りってお前……」

 

 

そこで区切って古城は横目でテーブルに積み上げられた皿を見て怒鳴る。

 

 

「それだけ人の金で物食ってよくそんな事が言えるな!」

 

 

「冗談だ。だから基樹と浅葱が帰っても俺が残ってるだろ」

 

 

はぁ、と古城はため息をつく。

 

 

「なぁ、何で俺はこんなに大量の追試を受けてるんだろうな」

 

 

古城はわけがわからないという風にぼやいている。そんな古城に劉曹は呆れたようにため息をつく。

 

 

「そりゃ、毎日毎日授業サボって夏休み前のテストもサボってたんだ。自業自得だろ」

 

 

「わかって言ってるだろお前。吸血鬼が朝イチにテストなんて辛過ぎるんだっつーの。それなのにあの担任は……」

 

 

「那月ちゃんは感謝こそされ、恨まれる筋合いはねーだろ。お前の足りない出席日数もそれで補ってくれてんだからな」

 

 

まぁなと古城も同意する。

 

 

「それに――ってもうこんな時間か」

 

 

時計を見ると時刻は四時を少し回ったころ。十二時ぐらいに入ったからもうかれこれ四時間くらいファミレスにいることになる。

 

 

「古城、続きは図書館かお前の家でやらないか。これ以上居座っているわけにもいかないだろ」

 

 

「そうだな、それじゃ家でやるか」

 

 

そういって支払いを(古城が)済ませてファミレスを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

「暑い……焼ける……焦げる……灰になる……はぁ」

 

 

「古城うるせぇ。俺までだるくなるだろ」

 

 

強い日差しが二人の体力を奪う。

ここ絃神島は日本本土から約南方三百三十キロメートルの太平洋上にあり、魔族と人間が共に暮らす海上浮遊都市である。位置的に考えると季節は一年中夏なので吸血鬼である古城にとっては日中はやはりキツイようだ。

二人は海沿いのショッピングモールを歩いている。

普段はモノレールを使うのだが古城はさっきの支払いでお金がほとんどないのだ。よって徒歩で帰ることになった。なのだが……

 

 

「古城、気づいているか」

 

 

「やっぱりつけられてるよな。俺たち」

 

 

後方十五メートル位に劉曹たちの学校の中等部の制服を着てギターケースを持った少女がファミレスを出てから二人のあとをつけている。

 

 

「ああ、たちっていうより古城、お前だ。大方お前の正体を知ったどこぞの機関が送ってきたんだろう。とりあえずゲーセンにでもはいって様子を見てみようか」

 

 

「そうだな」

 

 

二人はゲームセンターにはいって少女の様子をうかがう。

少女は店前で足を止めて困ったようにオロオロしている。姿を見失うのは避けたいが、かといって店内に入ってしまえば二人とばったり顔を合わせる可能性が可能性が高くて、それも困る。そのような葛藤(かっとう)の板ばさみになっているのだろう。その様子を見て劉曹と古城は…

 

 

「なぁ古城。なんか俺凄い罪悪感に襲われているんだが」

 

 

「奇遇だな劉曹、俺もそんな感じだ。どうする? 話しかけてみるか?」

 

 

「まぁ、このまま置いて帰ることが出来るほど俺は神経図太くないし。なんか見てて本当にかわいそうに思えてきたし」

 

 

二人はそう言って通路に出ようとする。だが、少女も同じことを考えていたのかばったり会ってしまった。

 

 

「だ……第四真祖!」

 

 

彼女は重心を落として身構え、そう叫んだ。なかになにが入っているのかはわからないが、ギターケースを抱え、いつでも中身を出す準備をしている。

 

 

「誰だ、お前?」

 

 

警戒心をあらわに少女をにらむ古城。

 

 

「わたしは獅子王機関の剣巫です。獅子王機関三聖の命により、第四真祖であるあなたの監視のために派遣されました」

 

 

少女の話を聞いて劉曹は古城に耳打ちした。

 

 

「やっぱりお前だったな古城。んじゃ俺はこれで失礼するよ」

 

 

そそくさと逃げようとする劉曹。だが古城は劉曹の腕を掴む。

 

 

「待てぇ! お前だけ逃がすわけないだろ」

 

 

「いやいや、わざわざ可愛い女の子からご指名されたんだ。俺がいるのは無粋というものですよ、暁古城君」

 

 

「いやいや、そんなことはないぞ。せっかくだしその可愛い女の子と一緒にお話しようじゃないか、楠劉曹君」

 

 

「あの、二人ともちょっと……?」

 

 

少女は戸惑ったようにヒソヒソ話をする二人に声をかける。

 

 

「ああ、わるいな。たぶんそれは人違いだからほかを当たってくれ」

 

 

「え? 人違い?」

 

 

「そ、人違い。俺たちは第四真祖とか伝説じみた存在とか、獅子王機関の剣巫とかまったく知らないから、それじゃ」

 

 

「えっ……え?」

 

 

劉曹の言葉をそのまま信じたみたいだった。なかなか素直な性格の少女なのかもしれない。

立ち去ろうとした二人を少女は慌てて呼び止める。

 

 

「待ってください! 本当は人違いじゃないですよね!?」

 

 

「いや、監視とか間に合ってるから。じゃあ、俺たち用事があって急いでいるんで」

 

 

古城にそう言われた少女は混乱した表情のまま、その場に呆然と立ち尽くしていた。その間に二人は歩き出す。

 

 

「まったく監視とか洒落にならんな。しかも一方的だったし」

 

 

「ま、政府機関なんて勝手なもんだ。自分の利益のためなら犯罪すら容認する。よくあるだろ? 裏でこそこそ指示して自分の手は汚さない汚いやつって。結構多いんだよああいうの。行方不明として扱えばそれで済むから邪魔であれば存在を消すことも厭わない」

 

 

「それは考えすぎなんじゃないか?」

 

 

「……ま、色々あるんだよ」

 

 

劉曹の雰囲気が変わった気がした古城は怪訝(けげん)そうにする。しかし劉曹は、なんでもない、と笑う。

 

 

「そういえばさっきの女の子ついてきてないみたい……って、おいおい」

 

 

劉曹はさっきの少女がついてきていないか確認するため振り返る。そこで目にした光景にぎょっと目をむいた。古城も劉曹後ろを向くとさっきの少女が明らかにチャラチャラしてる二人組みに付きまとわれていた。

 

 

「ねぇねぇ、そこの彼女。逆ナン失敗? だったら俺たちと遊ばないか?」

 

 

「そうそう、俺らいま給料入って金持ってるからさ」

 

 

距離が離れているので何言っているのか聞こえないが状況からしてナンパしようとしているのだろう。

少女は冷ややかな態度で男たちを追い払おうとしたが、そのせいか、少し険悪な雰囲気になっていた。男の一人が荒っぽい声で怒鳴り、少女が刺々しい表情で言い返している。

そして男の一人が少女の腕を掴みつれていこうとする。そしてもう一人が少女のスカートをめくろうとした瞬間----

 

 

「まてまて、なにやろうとしてんだ」

 

 

劉曹は男の手を掴んでいた。

 

 

「は? 何だてめぇ」

 

 

「おまえ、さっきの二人組みの高校生か」

 

 

「いい歳こいて中学生をナンパすんなよ、おっさん共。あれか? ロリコンなのか?」

 

 

「ふざけてんのかてめえは!!」

 

 

劉曹の物言いに腹を立てた短髪の男が劉曹に殴りかかろうとする。だが…

 

 

「ぐはぁ!」

 

 

男は一瞬にして吹っ飛び、看板のポールに激突していた。

 

 

「「なっ----」」

 

 

もう一人の男と少女は唖然としていた。劉曹は手をぶらぶらと振っている。おそらく殴り飛ばしたのだろう。

 

 

「先に手出したのはそっちだ、正当防衛正当防衛。それに魔族ならそんくらい大丈夫だろ」

 

 

「えっ!?」

 

 

劉曹のひとことに少女は目を剥く、なぜわかったんだろう、と。

 

 

「てめぇ、ただじゃおかねぇぞ。来い灼蹄(シャクテイ)!」

 

 

しかし、先に我に返った男が恐怖と怒りに顔を歪ませ魔族としての本性をあらわにする。真紅の瞳と牙、そして眷獣(けんじゅう)

 

 

「あれは、D種----!」

 

 

少女が表情を険しくしてうめいた。色々な吸血鬼の中でも特に欧州に多く見られる"忘却の戦王(ロストウォーロード)"を真祖とする者たちを指す。

眷獣の魔力を検知した街の警報器が鳴り響く。周りはパニックになり逃げ惑っていた。

劉曹は呆れたように言い放つ。

 

 

「おいおい、街中で不用意に眷獣を出すもんじゃないぞ」

 

 

「うるせぇ! 行け灼蹄、やっちまえ!」

 

 

灼蹄と呼ばれる灼熱の妖馬は一直線に劉曹に襲い掛かる。このまま当たれば劉曹は業火に包まれて焼け死ぬだろう。

だが、妖馬の眷獣は途中で消え去ってしまった。

 

 

「なんだと!? 俺の眷獣が消えた……!?」

 

 

劉曹は吸血鬼の男に歩み寄る。何が起こったかわからず男は怯えたように後ずさる。

 

 

「今回、俺に向かって眷獣ぶっ放したのは見逃してやるよ。あの眷獣のようになりたくなかったら仲間連れてさっさと行け。もう中学生をナンパするのはやめろよ」

 

 

「わ、わかった……」

 

 

消え入りそうな声で頷き、吹っ飛ばされて気絶した仲間を担いで去っていった。

あー疲れた、と劉曹が肩をもみほぐしているとゴスッと鈍い音がした。いつの間にか来ていた古城が劉曹の頭を殴っていたのだ。

 

 

「痛っ! 何すんだ古城!」

 

 

「お前が何してんだよ! こんなところで」

 

 

言い合ってる二人をよそに少女は呆然と立ち尽くしていた。やがて我に返り……

 

 

「あ、あの!」

 

 

少女は劉曹に呼びかける。

 

 

「? どうした」

 

 

「あなたは何者ですか。一体どうやって眷獣を……」

 

 

「俺は楠劉曹、人間だ。んで、こっちが暁古城。第四真祖だ」

 

 

いきなり少女に正体を言われた古城はびっくりする。

 

 

「お、おい!」

 

 

「いいだろ、別に。お前の監視のためにこっちに来たんなら、お前の正体ももう知られているだろ」

 

 

「いや、そうだが…」

 

 

「ところで、君の名前は?」

 

 

劉曹は少女に質問する。

 

 

「えっ? あ、わたしは姫柊雪菜(ひめらぎゆきな)といいます」

 

 

「いったんここを離れるぞ、姫柊、古城。そろそろ特区警備隊(アイランド・ガード)が来るからな。事情聴取とかは御免だ。あの人にばれたらなにされるかわかったもんじゃない」

 

 

わかりました、わかった、と同意して三人はその場から離れるのだった。

 

 




改めて、お久しぶりです。
何度もいいますがあまり変わっていません!
もしかしなくても駄文のままかもしれないですががんばりますのでよろしくお願いします。

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