魔軍司令親衛隊隊長の恋愛!   作:ディア

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タイトル負けしてますね、今回は。
それにしても、なかなかお気に入り件数が増えない…orz



魔王軍、惨敗!

一人の魔族の女性と一人の大魔道士の男が互いに向かい合っていた。

方や魔族としては若い分類に当たるジゼル。

もう方や人間としては老人の分類に当たるマトリフ。

だが共通していることはこれから戦うということだ。

「覚悟はいいな…?」

マトリフがジゼルに戦闘の準備が出来たか尋ねる。

「どこからでもかかって来なさい。」

ジゼルは準備万端に整えていると答え、構えた。

 

「それじゃ…イオラ!」

マトリフはそう言ってイオラをジゼルに放つ。

「遅い!」

それをジゼルはギリギリの距離までいって避け、マトリフに詰め寄る。

「トベルーラ!」

マトリフはジゼルが詰め寄ったところで空を飛ぶ。

「バギマ!」

ジゼルはマトリフが飛んだのを見計らって風の魔法、バギマを唱える。

 

「ルーラ!」

マトリフはルーラで移動し、無表情で避ける。

「(チッ…!厄介な女だ。メドローアを使う暇もねえ!)」

だがマトリフは内心はかなり焦っており、ジゼルがこれ程の強敵だとは思ってもなかった。

「(想像以上ね…人間なのにここまでやるなんて。)」

一方、ジゼルもマトリフを評価し始めていた。しかし…マトリフとは逆に余裕だった。

「さて、小手調べはここまでにしましょう。」

「そうだな。(おいおい…今のが小手調べだと?更にレベルが上がるってことかよ…)」

マトリフがそう言うとジゼルの様子が変わった。

 

ジゼルの髪が逆立ち、ジゼルの周りから雷が出てきた。

「…(なんだあれは!)」

マトリフが口には出さなかったが表情が驚いていた。

「さあ、行くわよ。」

ジゼルが先ほどよりも速く間合いを詰めて、マトリフに攻撃をした。

「がはっ…!(あの雷は演出じゃなかったのか!?)」

マトリフは雷に打たれた感覚を覚え、演出じゃないと改めて認識する。

 

「(ん…?氷が動いている…まさか!?)」

 

マトリフは一つの結論に達する。

現代科学において雷は上空で氷と氷の摩擦によって生まれるものである。

ジゼルは簡易的だがそれを再現したのだ。ヒャド系魔法で氷を出し、バギ系魔法で氷を動かし、氷同士を摩擦させ雷を作ったという訳だ。

 

そして何故ジゼルは速くなったのかというとジゼルの祖父ボリクスの体質にある。ボリクスは雷が近くにあると吸収する体質であり、その吸収した雷で神経を動かしていた。

ジゼルもその血が働き、雷を吸収し神経を動かしていた。

 

「(理屈がわかったとはいえ、何か解決策は無いのか!?)」

マトリフはかなり焦った。何しろメドローアと始めとした魔法は当たらない、ルーラを応用した技でも無駄。マトリフの頭の中には倒すのには不可能なものばかりだ。

 

「(いや、一つだけあった…あの魔法にかけるしかねえ!)」

マトリフはジゼルを倒す方法が一つだけあったことを思い出す。その魔法とは…

 

「パルプンテ!」

パルプンテの効果には色々な効果がある。例えば敵味方関係なくHPやMPを全回復させたり、巨大な魔神を呼び出し敵を逃げさせたり、時を止めたり戻したり…とにかく一杯あるがその効果はランダムで決まる。今回のパルプンテの効果は…

 

上からまばゆいばかりの光がマトリフに襲い掛かってきた。

 

これにマトリフはかなりの重傷を負ったがなんとか生き延び、そして…光の竜へとなった。

 

「グオオォォ!」

マトリフ…いや光竜はジゼルを雄叫びだけで動きを止め、そして息を吸った。

「(マズイ!ルーラ!)」

ジゼルはそれを直感的に感じ、ルーラを唱えようとしても…唱えられなかった。

「(なんで!?どういうこと!?)」

ジゼルはマホトーン状態に陥り、言葉を喋れない。

「グオオォォーッ!!」

そしてジゼルは光輝く息を直撃した。

 

「あぁぁぁーっ!!」

ジゼルは悲鳴をあげて、ボロボロになった。

 

「(このままだと…死ぬ!)」

ジゼルがそんな事を思っていると、光竜がもう二回目の攻撃の体制に入り、後は光輝く息を吐くだけだ。

「(もう終わりなのかな…ハドラー様…ありがとうございました…ああ、走馬灯が見える…)」

ジゼルは走馬灯を見て、自分の人生が終わりかと思い、諦めた…しかし、ジゼルは途中で諦めるのを諦めた。

 

「(いや!まだ生きられる!)」

ジゼルはそう心の中で言うと、必死にポケットの中から何かを探した。

「(あった!お願い!)」

ジゼルが探していたのはキメラの翼であり、今は逃げることに専念した。そしてキメラの翼を使い、命からがら逃げ出した。

 

そして残されたのはマトリフだけだ。

「(逃げたか…それにしても危ない賭けだったぜ。)」

マトリフがそう思うのは無理はない。パルプンテはランダムで何か起こるが何も起きないこともある。何か起こっただけでもラッキーな方だ。

その上、伝承を含めてあの光輝く竜のブレスに耐え切れた者はいないからというのもある。

「それじゃパプニカの連中は助ける義理はないし、俺は帰るか…ルーラ!」

マトリフはそう言うとルーラで帰った。

 

一方、ダイ達はと言うと…

「ライデイン!」

ダイはライデインの呪文を唱え、ヒュンケルに対して百発百中にする練習をしていた。ポップはと言うと…サボっていた。

「甘いぞ、ダイ!俺が手伝っているんだから百発百中で当てろよ!そんなんでヒュンケルに勝てると思うのかよ!」

…などということはなく、厳しくダイを教育し、ポップ自身も天候呪文ラナリオンで手伝っていた。

「わかっているよ。だけど中々上手く行かないんだ。」

 

ダイがそう言うとポップはため息を吐き…

「おめー、マァムがどうなってもいいのか?」

マァムをダシにしてダイのやる気を出させた。

「それは嫌だ!」

「だろ?だから百発百中にしろよ。」

「うん!」

ダイはそう言ってライデインの修行を再開した。

 

~鬼岩城~

ルーラの光が鬼岩城へと向かってきた。

「誰かが、ルーラで戻って来たぞ?」

そのことに気づいたアークデーモンAがそう言うとある部屋に向かった。

「一体誰なんだ?」

ガーゴイルCが誰かと思い…その部屋へ覗くと…

「はぁ…はぁっ…!」

そこにはボロボロになっていたジゼルの姿が見えた。

 

「ジ、ジゼル様!」

ガーゴイルCは慌てて、ジゼルに駆け寄る。

「一体どうなさったので!?」

アークデーモンAもその姿に気づいたのか駆け寄る。

「少し戦闘した後よ。私は蘇生液につかるから何か用があったらそこに報告してね。」

「「…」」

二人はまだジゼルがボロボロになったのが信じられないのか唖然とする。

「返事は?」

「「はい!了解しました!」」

「じゃ…」

 

ジゼルが立ち去ると、ガーゴイルCとアークデーモンAが話し始める。

「信じられん…あのジゼル様が負けるとは…」

「今の人間って怖いな…ジゼル様をあんなにするなんて…」

「俺たちは改めて人間の恐ろしさを実感する必要があるな。」

「そうだな。」

アークデーモンAとガーゴイルCは人間に対する認識を改め、警戒した。

 

~地底魔城~

ジゼルが鬼岩城へと帰還してから数日がたった頃…地底魔城では…

「さて、もうこれまでだな。」

ヒュンケルはライデインこそくらったが、その後ダイを押して気絶させた。

そしてヒュンケルがダイにトドメを刺そうとした時…

 

「やめて!ヒュンケル!」

マァムがヒュンケルを止めた。いやヒュンケルは止めざるを得なかった。その理由はマァムの持っていた貝殻にあった。

「それは…魂の貝殻!?何故そんなものを持っている!?」

「あなたのお父さんのバルトスの遺言が入っているの!」

父の遺言と聞いてヒュンケルが取った行動は早かった。ダイが気絶しているとはいえ、戦いの最中に兜を脱ぎ、魂の貝殻を耳に当てた。

 

『我が最愛の息子ヒュンケルよ、お前に真実を伝えたいが為にここにワシの魂の声を残す。』

 

~数分後~

 

ヒュンケルはそれを聞いて何もかもが信じられなくなっておりダイを殺すことだけを考えた。

「ヒュンケル!やめて!」

「うるさい!俺はもう立ち止まれないのだ!俺は魔王軍の不死騎士団のヒュンケルだ!」

 

ダイは立ち上がり、そして何かを考えこんでいた。

「魔法と剣…魔法剣…?」

そうブツブツと言い、今のダイは不気味だった。

 

「大地斬!」

ヒュンケルが大地斬をダイに向けてやると…

「大地斬!」

ダイも同じく、大地斬をやった。

「なっ…!?俺の方が押されている!?」

ヒュンケルが焦りの声を出す。何しろヒュンケルはダイよりも剣に関しては上で大地斬も技量なら上である。しかし、現在はどうだ?押されている。そんなことがあるかと思いヒュンケルはダイを観察すると…

「(ば、馬鹿な!?剣が燃えている!?)」

そう、ダイの剣が燃えているのだ。

「これがお前を倒す魔法剣だ!」

「馬鹿な!いかなる賢者も剣士も魔法剣は出来ぬはず!」

魔法剣は出来ないのが常識だ。

人間でいうなら指が手にあるように、心臓が左胸の方にあるようになっている。

 

だが魔法剣は心臓が頭にあるような常識破りなことであり得ないのだ。

「火炎大地斬!」

ダイはもう一度火をまとった剣で大地斬を放つ。

「大地斬!」

ヒュンケルも負けじと大地斬を放つが…

「そんな…!馬鹿なことがあってたまるか!!」

しかしヒュンケルの大地斬はダイの火炎大地斬に押され、負けていた。

「闘魔傀儡掌!」

ヒュンケルは魔王軍としてなのかダイを殺すことに専念し、動きを封じた。

「ぐぅぅぅ…!」

「これで終わりだ!ブラッディースクライド!」

ヒュンケルの切り札が当たる直前にダイは闘魔傀儡掌を自力で破り、そして雷を呼んだ。

「ライデインストラッシュ!」

雷をまとった剣でヒュンケルを見事撃破した。




雷については殆どWikipediaを参照にしました。ペディア先生…ありがとうございます。
ボリクスの体質とかはオリジナルです。
マトリフがジゼルの攻撃を受けても生きられたのはまぐれです。つまり、マトリフはラッキーがなかったら勝ち目はなかったでしょう。そのラッキーの確率はドラクエ5で言うはぐれメタルを三体味方するよりも難しいですね。

その他にわからないところで質問があればどうぞ!

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