魔軍司令親衛隊隊長の恋愛!   作:ディア

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注意! 今回からナンバーズシリーズ要素の増大化が進みます。それでも宜しいならどうぞ。


武道家、パワーアップ完了

勇者一行とハドラー達はアバンの使徒とそれ以外の二手に別れ──約一名、夫と義理の子供達と一緒になれたことに歓喜していたが夫と息子以外に無視され落ち込んでいた──別行動を取っていた。それというのも大魔王軍が更に再結成され、新たに任命された六軍団長も地上を攻めて来たからであった。

 

ダイ達アバンの使徒は六軍団長を相手にせず、バーンパレスへと向かいバーンの首を取りに向かう。その先にいたのは三人の獣人達であった。

 

「来たか勇者達よ!」

鉄球を持った猪の獣人が不適な笑みを浮かべ、大声を出す。

「誰だお前達は?」

「ほっほっほっ、その質問は私がお答えましょう。私は大魔王バーンによって復活した太古の帝国の三将軍のうちの一人、ゲルニック」

梟の獣人、ゲルニックがダイの質問に答え、自己紹介を済ませる。

「同じく将軍の一人! ゴレオン」

鉄球の猪男、ゴレオンもそれに続き、もう一人の豹の将軍も続いた。

「同じくギュメイだ」

 

「その三将軍が何故、ここに?」

「当然、貴様の首を貰う為だ。勇者達の首を取ればバーン様に認められ幹部に出世出来るのでなぁっ!」

「ゴレオン、それは貴様だけだ。少なくとも大魔王に協力したのはガナサダイ様を蘇らせる為だ。二君に仕える気はない」

「勇者達の存在はガナサダイ様が蘇ろうが蘇らまいがどちらにせよ、我々の邪魔になる。それを排除したい大魔王と利害が一致しただけのこと」

ゴレオンは出世、ゲルニックはダイの存在を消したいが故に、ギュメイはガナサダイを蘇らせる為。理由は違えど三人がダイ達に立ちふさがる。

「さて、話が長くなりましたね。そういう訳ですので貴方達には死んで貰います。何、大人しくしていれば痛みは感じませんよ」

ゴレオン、ゲルニック、ギュメイがダイ達を殲滅せんと動いた。

 

 

 

「俺の相手は貴様か」

ゴレオンが選んだ相手はマァムだ。マァムを選んだというよりも消去法でそうしざるを得なかっただけでゴレオンの意思によるものではない。本音を言えばギュメイやゲルニックに相手をして貰いたかったのだがギュメイは紳士であり女に傷をつけるのを拒む、ゲルニックは武道家のマァムとは相性が悪い。必然的にマァムと相性の良いゴレオンが相手をすることになった。

「力の将軍ゴレオンの恐ろしさ、目に焼き付けるが良い!」

ゴレオンは力を溜め、マァムに向けて鉄球を投げる。

マァムはそれを避け、冷静に力を溜め一撃に備える。

「ちょこざいな!」

ゴレオンとマァムの戦いのコングが鳴った。

 

「ぬぅんっ!」

ゴレオンが再び鉄球を振る。だが先ほどとは違い溜めなかったが故に素早く、そして重い鉄球がゴレオンを中心に周回する。だがマァムは鉄球の軌道を読み、ゴレオンの懐へと潜り込む。

「でりゃぁぁぁっ!」

手甲を着けたマァムがゴレオンの顎を力を溜めたアッパー気味に攻撃。拳闘術においてそこを攻撃することで最も相手を倒しやすい箇所、言うなれば急所のひとつが顎だ。顎を砕いた相手は倒れるだけでなく歯を食い縛る力が弱くなり、体全体の筋力も発揮しにくくなる。それだけ顎は致命的な弱点だ。

「それだけか?」

だがゴレオンは倒れない。マァムの渾身の攻撃が通じなかったのだ。

「あの攻撃を顎に貰ったらクロコダインでも狼狽えるはずなのになんてタフなの……!?」

「俺は力の将軍ゴレオン! この程度の攻撃に耐えねば他の将軍に笑われるわ!」

「なら、閃華烈光拳!」

ゴレオンがバカ笑いしたところにマァムが必殺技である閃華烈光拳を放つ。

 

「無駄だっ! どれだけやろうとも俺に効かぬ!」

「そ、そんな! 生物である以上閃華烈光拳は効くはず!」

「生物というちんけなものに俺を一くくりにするな。俺は力の将軍ゴレオンだ、それ以上でもそれ以下でもない!」

「もうめちゃくちゃ……」

マァムはゴレオンの理屈に呆れ呟きながら間合いを取る。

 

生物でないとするなら、フレイザードやハドラー親衛騎団達と同じような呪法生命体なのか、不死騎団のゾンビ系の魔物かどちらか。バーンに蘇らせて貰った等の発言から後者である確率が高い。閃華烈光拳でもパワーでも通じない敵にどう立ち向かうかそれが今回のマァムの課題だ。

 

これまで閃華烈光拳が通じない相手はパワーでねじ伏せて来た。しかしこのような敵は初めてであり、対処に戸惑ってしまう。ニフラムさえ使えればゾンビを浄化することも出来るのだが、マァムはそこまで器用ではない。一番効果的な攻撃といえば光の闘気でニフラムの代用をするしかない。だがゴレオン程の強敵となるとグランドクルス以上の闘気が必要でマァムには不可能だ。

 

そこまで考えた末にマァムは前に戦ったアクデンのことを思い出す。ベンとアクデンの差はテンションの有無の違いだと。しかしただテンションを上げるだけではゴレオンを倒せない。工夫が必要だ。カラスを撃沈させたヒュンケルのようにテンションを上げなければならない。だがゴレオンがそれをさせてくれるとも思えない。

「いや、あの人の真似をすれば……!」

味方でかつ最も自分に近い戦闘スタイルの持ち主を思い出し、それをイメージする。それはジゼルだった。ぶち切れた時のパワーとスピードは凄まじいものであり、まさしく野獣そのものだった。

だがそれだけでもまだゴレオンを倒すイメージが湧かない。ゴレオンの場合、肉体だけでなく、魂すらも破壊しなければならない。その考えはアバン流刀殺法の空烈斬とアバンストラッシュの考えそのものだった。

「はぁぁぁぁ……っ!!」

気を高め、テンションを上げる。それだけではなくゴレオンの魂を探りそれをロックオン。そしてマァムはジゼルになりきり……一気にその力を解放した。

 

その瞬間、暴風が吹き荒れる!

 

「これが私の最高の奥義よ!」

普段であれば言わないこともジゼルになりきっているせいかそう言いだし、ゴレオンの全てを破壊する。

「ぐわぁぁぁーっ!」

ゴレオンの断末魔の叫びがその場に響き、体を崩す。

「いやだ、グレイナルの時みたいに焼かれるのは嫌だ!」

幻覚を見ているゴレオンがのたうち回り、燃えていく。そしてある程度時間が経つとゴレオンは動きを止め、肉体が一気に崩れた。

 

「なんとか倒せたけど、この様じゃ問題ね……」

マァムは他の将軍もいるというのに腰を落とし、姿勢を楽にする。疲労を隠せず、顔に出てしまうがそれだけゴレオンが強敵であり放った一撃も負担の大きいものである証拠だ。

「(この問題を解決さえすれば、完全にこれは技になる……バーン戦の前には完成させないと)」

マァムはそう決意し、前へと向かう。




ABCD「モンスターABCDの後書きコーナー!」

A「いやー、驚いたな……」
B「何がだ?」
C「そりゃ俺たちだけじゃなくジゼル様の出番がほとんどなしで終わったからじゃないか?」
D「その出番も名前だけだったしな。この分だとあと二話はジゼル様の出番はないな」

A「それもあるが敵がⅨの三将軍だぜ。なんかフラグっぽいこともいっているし」
B「だけどまあいいじゃないか。三将軍の一人は片付けたんだし」
C「そうだな。俺たちの稽古が実を結んだと思うと感激だぜ……」
D「三人の成長も楽しみだ」

A「さて、時間が迫ってきたので恒例のアレを!」
B「この小説の感想は感想へ、誤字報告は誤字へよろしくお願いします」
C「それから作者にプライベートに関わらない程度で個人的な質問を聞きたいあるいは要望したければ作者のページのメッセージボックスに頼むぜぇぇぃ!」
D「それとお気に入り登録もよろしく頼む……」
ABCD「次回もお楽しみに!!」

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