魔軍司令親衛隊隊長の恋愛!   作:ディア

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あけましておめでとうございます!更新遅れて申し訳ありませんでした!

今度からはスピード上げていきたいと思います!

Ⅴ空「みんなー!作者に感想を書いてくれー!そうすりゃ作者のモチベーションがあがっぞ!」


ifルート〜ダークドレアム召喚〜

 若き魔族の男が膝を着き、目の前の人物を睨む。

 

「どうした? バーンとやら……もう少し私を楽しませてくれると思ったが期待ハズレだな」

 

 ブーメランパンツを履いた筋骨隆々の男が若き魔族、バーンをつまらなさそうに見つめる。

 

「化け物め……! ならば余の魔法で仕留めるまでよ!」

 

 バーンは掌に魔力を込め、呪文を唱える。すると火の玉が現れ、徐々に不死鳥へとその姿を変えていく。

 

「カイザーフェニックス!」

 

 そして凄まじい轟音と共にバーンのメラゾーマが男に炸裂した。このメラゾーマが当たれば例え、はぐれメタルやメタルキングなどの呪文が効かないような者であっても一瞬で焼き尽くしてしまう。まさしく全てを滅ぼす不死鳥であると言えるメラゾーマ。そのメラゾーマがその褐色肌の男に直撃した。

 

「やったか!?」

 

 バーンとその男の対決を傍観していたギャラリー、もといポップがそう叫ぶ。ポップはバーンの魔力を嫌というほど理解しておりその威力も自分のメラゾーマがバーンのメラに打ち負けた、という形で体験済みだ。それ故にあの男は無事ではないと思ってしまった。

 

「化け物ではない。我が名はダークドレアム、全てを滅ぼす者也」

 

 だが褐色肌の男、ダークドレアムは全くの無傷。その事にバーン以外の人物が唖然としてしまった。

 

「嘘だろぉぉぉっ!?」

 

 ポップの叫びはこの場にいる全員の気持ちを代弁していた。

 

「ジゼル、何故お前はダークドレアムにその身魂を売ったのだ……!」

 

 ハドラーがそう呟くと拳を作り、地面を叩き、10分前の事を振り返った。

 

 

 

 〜10分前〜

 

 

 

 大魔王バーンの元へ辿り着いた四人。そのメンツは豪華なものだった。かつて魔王として君臨したハドラー、そのハドラーの妻であるジゼル、そして神からの使いの竜の騎士バランとその息子ダイ。いずれも人間ではないが各々の持つ打倒バーンの気持ちは人間達よりも強かった。

 

「よく生きていたな。ハドラー、ジゼル、バラン、ダイ。四人のうち黒の核晶で誰が死ぬと思っていたのだが……やはり貴様らは運に恵まれているようだな」

 

 バーンが心を完全に折られたポップやマァム、それにクロコダイン等多数から目を離し、四人に目を向ける。

 

「大魔王バーン……! よくも抜け抜けとそんな台詞が吐けたものね」

 

 バーンに対して構えを取るジゼルはハドラーを裏切ったことに対する怒りを解放させ、その様子はまるで暗黒闘気に取り憑かれたかのようなものだった。

 

「逃げろ、ジゼル……! バーンは俺達が戦っていい相手ではない……!」

 

 それを見たヒュンケルは逃げるように促すがジゼルは首を振った。

 

「ヒュンケル、確かにこのままじゃ勝てないわ。だけど私には一つだけ大魔王バーンを倒す手段がある」

 

 ジゼルは子供に言い聞かせるかのようにヒュンケルにそう語る。

 

「ジゴスパークか? 確かにかの冥竜王ヴェルザーを苦戦させた雷竜ボリクスの技ではあるが、余にそれは通じないぞ」

 

「ジゴスパークはあくまでこの状態での私の切り札。かの地獄の帝王エスタークにそれは通じなかった以上、大魔王バーンに通じる訳もない。今の私の切り札はジゴスパークとはまた別の技よ」

 

「よかろう……ならばそれを見せてみよ。それが余の首を取るに足りるのであれば取ってみよ」

 

『バーン様!』

 

「よい、ミスト。あの四人に対する黒の核晶から生き残った褒美だ」

 

「言質は取ったわよ……もう後悔しても知らないわ」

 

 ジゼルがそう告げ、壺を取り出す。その壺の蓋を開けるとギャラリーとなっていた全員が引いた。

 

「……何あれ?」

 

 それはダイが思わず毛嫌いしているはずのバランに尋ねてしまう程であった。

 

「……」

 

 だがバランは沈黙。その様子はまるで何かを見極めるようであり、ダイもそれを見て、壺の中身を再び見る。

 

「我が名はジゼル。魔神ダークドレアムよ、我が身魂を贄としその姿を現界に表し、大魔王バーンを滅ぼし給え!」

 

 そしてジゼルの身体が変化していく。肌が褐色になり、筋肉が肥大し服が破け、パンツ一丁の姿になる。だがそのパンツも緑のブーメランパンツへと変わった。

 

「いかん!」

 

 その変化の途中でバランはすぐさま真魔剛竜剣を抜き、ジゼルに斬りかかる。

 

 だが既に時遅し、それは叶わなかった。高い金属音が響き、バランの攻撃を軽々と凌いだ。

 

「我が名はダークドレアム。全てを滅ぼす者。邪魔をするのであれば容赦はせぬ」

 

 ジゼル、いや元ジゼルの現ダークドレアムの威圧感は想像を絶するものであった。ハドラー、バランは元より、あの大魔王バーンですら恐怖に震えた。

 

 

 

「余が恐怖に震えた……だと? そんなことはあり得ぬ!」

 

 そして一瞬でも恐怖させたことにダークドレアムに怒りを感じたバーンはイオナズンを放ち、持っていた杖でダークドレアムに攻撃する。

 

「に、二回行動だと!?」

 

 ハドラーはそれを見て驚愕していた。何故なら二回行動は魔物、それもベンのような特別な魔物の特権であると思い込んでいたからだ。しかしバーンは魔族でありそれに当てはまらない。例えるならば生身の人間がメタルスライムのように呪文が効かないのと言っているようなものだ。

 

「二回行動で何を驚いている?」

 

 ダークドレアムはそう言い、受け止めた真魔剛竜剣をバランごと投げ、イオナズンを回し蹴りで打ち消し、バーンの攻撃をカウンターを合わせ追撃、イオナズンとメラゾーマで止めを刺す。

 

「ば、バカな!? 三回行動どころか、四回も行動しただと!?」

 

 今度は鼻水を垂らしてしまうくらいに驚愕してしまうハドラー。三回行動はもはやおとぎ話に出てくる大魔王ゾーマくらいしかいない。それだけでも鼻水を垂らしてしまうくらいの出来事であり、それをダークドレアムは軽々と超えてしまったのだからハドラーは唖然としざるを得なかった。

 

「ミスト……」

 

『はっ!』

 

 バーンがそう呟き、ミストバーンに合図を送る。するとミストバーンの身体がなくなったがバーンは若き肉体を得た。

 

 

 

「許さぬ……! 余をここまでコケにしおって……!!」

 

 バーンは怒りのあまり、ダークドレアムに突撃する。普段の彼であればそんなことはしない。若い身体を戻したことで感情的になり、それをしてしまう程に怒り狂っていた。

 

「カラミティエンド!」

 

 暗黒闘気を収縮させた超全力チョップがダークドレアムに直撃する。その威力はオリハルコンですらも軽々と切り裂くほどの威力であり、生身の生き物が受けたならば無事ではいられない。

 

「それがどうした?」

 

 だがダークドレアムは無傷だった。それどころか笑っているほど余裕であり、それがバーンの怒りをさらに増長させた。

 

「(ふざけおって……余のカラミティエンドをわざと受けることで自分の力を誇示しているというのか!)」

 

 まるで自分が相手に今までしてきたような行動を取られ、怒りに震えるバーンは握り拳を作り、そこから魔族特有の青い血を流す。

 

「攻撃とはこうやるものだ」

 

 次の瞬間、バーンの視界からダークドレアムが消え、気がついたら宙を舞っていた。

 

「くっ……!」

 

 バーンは体勢を整える為に宙を回転し、着地する。

 

「なっ……!?」

 

 しかしそれも出来なかった。バーンが膝を着いた。ダークドレアムの攻撃によりバーンの頭は揺らされ、脳震盪を起こしていたのだ。むしろあの一瞬で気がついたバーンが異常だと言える。

 

 

 

 そして冒頭に戻る。

 

 

 

 〜〜

 

 

 

「さて大魔王バーン。お前に一つ聞こう。どんな滅ぼし方がいい?」

 

『バーン様は滅ぼされぬ! むしろ貴様が滅びよ!』

 

 ダークドレアムの後ろを付いていたミストバーン、もといミストがダークドレアムの中へと入る。

 

「くっ……動け!」

 

 ヒュンケルはミストの狙いがわかってしまった。ミストは元々暗黒闘気の塊であり、ダークドレアムのような輩であれば乗っ取るのは容易い。そう思い、ミストは身体の中へと侵入したのだ。

 

 もしミストがダークドレアムの身体を得た場合、もはや誰にも止められない。そう思い、ヒュンケルは身体を動かし、光の闘気を集めた。

 

『うぎゃぁぁぁぁーっ!!』

 

 だがミストが最後に見たものは光の闘気などではなく、自分よりも遥かに巨大な暗黒闘気。ダークドレアムの暗黒闘気を操って乗っ取るつもりが逆に吸収されてしまい、断末魔をあげて死んでしまった。

 

「バカな……」

 

 それを感じ取ったヒュンケルは唖然としていた。ヒュンケルはそれを知っていたからこそ光の闘気を集めミストを浄化させようとしていたからだ。

 

 

 

「(流石にこれはまずいねぇ……)」

 

 この場においてミストバーンよりも沈黙していたキルバーンがこの状況を見て人形だけを置いて撤退しようとしていた。

 

「その人形を置いてどこへ行くのだ?」

 

 だがそれは叶わなかった。魔神からは逃げられない。そんなことをキルバーンが考えているとダークドレアムがキルバーンの頭をわしづかみにして持ち上げる。

 

「ただ逃げるのであれば逃げればいい。しかし何度でもいう。私の邪魔をするものは容赦はせぬ」

 

 キルバーン、いやキルバーンの人形を氷漬けにし、本当のキルバーン……ピロロを片手で握りつぶす。

 

 

 

「あのミストバーンとキルバーンが一瞬で殺られるとは……あの程度の苦戦で済んでいるバーンはどれだけ強いのだ?」

 

 クロコダインは改めて驚愕する。キルバーンはともかく、ミストバーンの強さは底知れないものがあった。ミストは暗黒闘気であるが故に光の闘気を浴びさせれば楽勝、などという話ではない。むしろダークドレアムは全てを滅ぼすなどの発言から決して善良な存在ではなく、暗黒闘気を使う立場であることがうかがえる。だがダークドレアムは光の闘気を扱えないというハンデすらも物ともせず、まるで蚊を殺すかの如くミストを一瞬で殺した。 そんなダークドレアム相手にバーンは苦戦だけで済んでいる……それがどれだけバーンが自分とかけ離れた存在かが理解してしまう。まさしく桁が違うのだ。

 

「お、おのれ……!」

 

 バーンは第三の眼を潰し、身体を変化させていく。その姿をダイ達、特に元魔王軍の軍団長達は見覚えがあった。

 

「あ、あれは……鬼岩城!?」

 

「鬼岩城は元々余のこの形態を現したものよ。この形態になると二度とあの身体になることはない……だがそれでも勝たねばならん!」

 

 バーンはダークドレアムを握り、締め付ける。その事に機嫌を良くしたバーンは高笑いを上げた。

 

「フハハハハ! 流石に魔神と言えど……」

 

「ふんぬ!」

 

 ダークドレアムはバーンの手を破壊し、拘束から逃れた。

 

「なっ……!!」

 

「さてお遊びはここまでだ。そろそろ滅ぼさせて貰おう」

 

「な、何っ!?」

 

 この場にいたダークドレアムを除いた全員がバーンと同様に驚愕する。

 

「ば、バカな……! 4回行動ですら本気でなかったというのか!?」

 

「私の最大行動回数は20だ」

 

 最早、ハドラーは思考することを放棄した。ポップの視点で言うとポップのメラゾーマがバーンのメラに打ち負けたということよりも絶望することである。

 

「だが、かつてバーン同様に大魔王と呼ばれた者でも6回しか私の攻撃を耐え切れなかったものでな……その点期待しているぞ」

 

 ダークドレアムが両手を広げ、呪文を唱える。

 

 

 

「イオナズン!」

 

 凄まじい轟音が鳴り響き、バーンの左半身が崩れていく。

 

「マヒャド!」

 

 今度はマヒャドでバーンの巨大を凍らせていく。もしかしてバーンを凍らせて嬲るつもりなのだろうか? 

 

「ベギラゴン!」

 

 かと思えばベギラゴンで頭を狙い撃ち、バーンの周りにあった氷を溶かし、バーンの身体もマグマのように溶かしていく。

 

「ギガデイン!」

 

 ダークドレアムのギガデインが頭から炸裂すると、バーンは遂に身体の動きを止めてしまい、その場に伏せる。

 

「ビッグバン!」

 

「グランドクロス!」

 

「ジゴスパーク!」

 

 三つの心臓を狙い撃ちするかのようにダークドレアムは追撃する。

 

「……」

 

 断末魔すらもあげられずバーンは死に砂埃が立ち、しばらくするとそこにはバーンの巨体はなく、代わりにバーンの巨体サイズの灰がそこにあった。

 

「7回か……少しは楽しめた」

 

 ダークドレアムはダイ達の方へ振り向き、不気味な笑みを浮かべた。

 

「次は貴様らの番だな」

 

 そしてダイ達がダークドレアムに殺されるとダークドレアムは地上、魔界、ありとあらゆる全てのものを破壊し、それが終わると、その場から去っていった。

 

 

 

 ーifルート完ー




≫「私の最大行動回数は20だ。」
≫最早、ハドラーは思考することを放棄した。ポップの視点で言うとポップのメラゾーマがバーンのメラに打ち負けたということよりも絶望することである。
・ちなみにこれの他に、【某宇宙の帝王が戦闘力53万と告げたり、某波動球の使い手が「ワシの波動球は108式まであるぞ」と告げるのと同じである。】という文章をいれようとしましたがカットしました。

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