魔軍司令親衛隊隊長の恋愛!   作:ディア

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魔の森にて…

~魔の森~

クロコダインとダイが戦い、ダイは苦戦しながらも、少しずつ戦況を有利にし始め…そしてダイが飛び上がり…

「しまった!?朝日か!!」

ダイの後ろに日があり、それをクロコダインは直視した…そのため目が眩み、動けなくなった。

「でえええぇぇ!」

ダイの短剣がクロコダインを襲いかかり、誰もが目を潰すかと思われたその時…

 

ガシッ!

黒い影がダイの腕を掴み、そして…

「うわぁぁ!」

ダイの視点が回り、ついに…

「がはっ…!」

ダイは背中から地面へと投げられ、口から血を吐いた。

「「ダ、ダイ!!」」

 

そのダイを投げた犯人の正体は…ジゼルだった。

「ジゼル…なんの真似だ。加勢しに来たとでも言うつもりか?」

クロコダインは殺気を出し、ジゼルに構える。

「な、なんだ?あいつら仲間割れし始めだぞ?」

魔法使い風の少年ポップがそう言う…

 

「クロコダイン、あのままだと片目は潰れていた。戦士にとって独眼は致命的…それを救っただけ。」

「む…」

「それにこれ以上戦うのはナンセンスよ。退却しましょう…」

ジゼルがそう言うとダイが立ち上がり、身構えていた。

「……わかった。ダイ!この獣王クロコダインを怒らせたこと、ただでは済まさん!数日したらロモス城にて決戦だ!」

「ルーラ!」

ジゼルはルーラを唱え、クロコダインの洞窟へ移動した。

 

 

クロコダイン達がいなくなると、ポップは腰を抜かした…

「あ、危なかった…」

今のポップは文字通り顔面蒼白である。

「ええ…もしあの人と戦うなら今のクロコダインを軽々と倒せるだけの力が必要ね。」

ピンク髪の少女マァムがそう評価した。実際、ジゼルはクロコダインを一撃で吹き飛ばし怪我を負わせたほどだ。

 

「だけどスタイル抜群の姉ちゃんだったな…」

ポップはジゼルの身体を観察しており、女性だとわかった。ちなみにマァムの時は女性だとは気づかずに胸を触ってしまったため、よく観察した。

「それは私が男って言っているの!?」

マァムはポップの胸を掴み、怒る。当たり前だ。自分は男だと勘違いされ、あの魔王軍の女性に負けたと言われているようなものだ。

「んががが!そんなことは…!」

ポップはマァムに絞められ、失神した。

その後、ダイとポップはマァムが運び、ネイル村へと向かった。

 

 

~洞窟内~

 

「何故俺を止めた?」

クロコダインがジゼルにダイとの戦闘を止めたことを質問する。

「さっきも言ったでしょ?私は貴方が戦士として致命的な傷を残したくないって。」

あのままであればクロコダインは間違いなく独眼となっており、戦士として致命的な傷を残しただろう。

「では…ジゼル殿は何故あの場から撤収したのだ?ジゼル殿ほどの強者なら楽に殺せただろうに。」

確かにジゼルは今のダイ達を倒せる力を持っていた。だが…

「貴方を撤収させるのに私が必要だったから。それだけ。」

彼女はハドラーに公私混同問わずにいちゃつくことでプラスの面が隠れがちだが、仲間思いで、優しい性格だ。

「ふっ…変わっているな。」

クロコダインはそれを笑ったが悪い思いはしなかった。

 

「だけど、貴方は宣言をした以上はあの子達を必ず仕留めないと駄目よ?わかっている?」

ジゼルはクロコダインを油断しないように釘を刺す。

「それもそうだな…あの屈辱は忘れん。だがそれ以上にあいつらがどれくらい強くなり、どこまで俺を脅かすのか楽しみだ。」

それはクロコダインにしっかりと伝わったのか、クロコダインは笑いながら立ち上がり斧を持った。

 

「じゃあ、ハドラー様と私の期待を裏切らないで頑張ってね。」

そう言ってジゼルはルーラを唱え、鬼岩城へと戻った。

「さて…どのように攻めるか…」

クロコダインは部下を呼び寄せ、ロモスに攻める準備をした。

 

~鬼岩城~

 

「ジゼル…何故、クロコダインと共闘しなかった?」

ハドラーがジゼルに対し、質問をする。

「では、ハドラー様。ハドラー様がクロコダインを高く評価している理由は何でしょうか?」

ジゼルはハドラーがクロコダインに対し高い評価をしているのは知っている。六軍団長の3人がクロコダインを評価している。

「…クロコダインの性格だな。」

クロコダインは正々堂々と戦い、武人としての誇りが高い。ハドラー、ヒュンケル、バラン、そしてミストバーンも評価している。

「それに下手に卑怯な手段を使っても彼の実力を下げるだけです。」

その通り、戦略的には良いのだが、卑怯な手段を使って精神が安定しなければいざ追い詰められた時に心で負けてしまうからだ。

「確かに…」

「なら、クロコダインの満足の行くように戦わせた方がよほどいいでしょう。クロコダインは追い詰められる程強くなりますから。」

 

「それもそうだな。ジゼル、下がって良いぞ。」

「お断りします。」

「何?」

「私はハドラー様と一緒にいることが幸せですから!」

そう言ってジゼルがハドラーに抱きつき、キスを求める…

「離せ馬鹿!」

しかし、ハドラーも必死でジゼルの顔を押してキスしないようにしていた。

 

ガチャッ!

ミストバーンがハドラーに胃薬を渡しに来たが運悪く、ハドラーとジゼルがいちゃつくのを見てしまったのだ。

「「あ…」」

このことに2人は硬直。ミストバーンが珍しく発言をした言葉は…

『ごゆっくり…』

それだけだった。

「って、ちょっと待てぇ!」

ハドラーが動こうとするもジゼルに身体を抑えつけられ、動くことが出来ない。それにこのまま動いたら間違いなく誤解される。故に声だけしか出せなかった。

「ハドラー様、夜は長いですから、ゆっくりしましょうね?」

ジゼルが残酷な一言を放ったことで、ハドラーは一気に胃が荒れるのを感じた。

 

~洞窟内~

クロコダインはザボエラと話していた。と言っても一方的にザボエラが話しを持ちかけているだけの話しだ。

「どうじゃ?ワシの作戦は完璧じゃ。もし成功させたならバーン様やハドラー様にも更に認められるぞ?」

ザボエラはクロコダインに話したのは卑劣な策で人質を取ると言うものだった。

「ふっ…笑わせるなよ、ザボエラ。大方、俺を利用してお前は『ワシの考えた作戦のおかげで勝てた』と…言うつもりだろう?」

「クロコダインよ、もし二回もあのチビに負けて失敗したらお主はハドラー様はともかく他の六軍団長からどう評価を受けるかの~?」

「む…」

 

ここでクロコダインは考える。ただ馬鹿正直に戦い負けたら上司であるハドラーや同じ武人のバランに笑われるだろうか?

否!

その考え自体が間違いだ!他人に笑われること気にしていては武人の誇りをすでに捨てたことと一緒だ!武人の誇りは自分のためにあるのだ。それを他人に認めて貰うなど本末転倒。

 

故にクロコダインが取った行動は…

ドガッ!

斧をザボエラの前で振り下ろし、地面に叩きつけた。

「消えよ…!ザボエラ、俺にそのような策を持ってきたのは間違いだ。」

「待ってくれ!クロコダイン…もう少し考えても…!」

ザボエラは焦り、クロコダインに再び考えるように要求する。

「そうだな…」

そう言ってクロコダインは右手で斧を持ち上げる。

 

「そうそう…ワシの考えを…」

とザボエラが丁寧に説明しているにも拘らず、クロコダインは考える仕草をしておらずに、斧をゴルフクラブのように構え…

「お前をどの様にして追い出すか考えたぞ…」

そして斧はザボエラに向かって振り下ろし…

「ひっ…!」

ザボエラが弁解する余地もなく、クロコダインは刀で言う腹の部分で飛ばした。

「ぶっ飛べぇー!!」

「ぎょええええぇぇぇ!!!」

クロコダインはザボエラを飛ばし、ロモス城へと向かった。


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