魔軍司令親衛隊隊長の恋愛!   作:ディア

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テンション獲得!?武道家と魔剣士のやり方。

フレイザードと親衛騎団の戦いも終わり、次に戦うのはアークデーモンAことアクデンとガーゴイルCのカラスのペアとポップ、マァム、ヒュンケルの3人組のペアだった。…なぜかジゼル陣営VSダイ&ハドラー陣営になっているのはベンがダイを打ち負かしたのとフレイザードが親衛騎団に勝ったことが原因だろう。

「あと一人足りないけど大丈夫なのかよ?」

ポップがそう指摘するとアクデンはニヤリと笑った。

「問題はない…それともダイを打ち負かすベンを連れてきてもいいのか?」

そう言ってベンを見るとベンはトライデントを手に持った。

「いやいや!流石にそれだと勝てねえからやめてくれ!」

ベンの強さを間近でみたポップはそれを恐れた。一瞬で負けが予想出来、成長もクソもあったものではない。今回はあくまでも力を見るものだ。

「じゃあヒュンケルが抜け」

ポップがそう言った途端、カラスが左手で首をガッチリと止め、剣でポップの頬をいつでも突けられるように準備をしていた。

「アホか。俺たちを舐めすぎだ。」

「速いっ!?」

ヒュンケルが声に出して驚くがベンやジゼル、アクデン以外の全員が驚いていた。特にバランは自分の部下であったラーハルトと同格ではないかと疑ったくらいだ。

「カラスは俺とベンとは違って使える呪文は補助呪文のみだがスピードは桁違いだ。」

「げっ!?マジかよ!?」

「…俺も参加しよう。」

流石に不利と悟ったのかザムザが参加を表明した。彼は前回のマックスと同様に観戦することに決めていたがあの動きを見てはこちら側が負けると判断したのだ。流石のザムザといえども自分の陣営ではなく、ジゼルの陣営ばかり勝ち続けると胸糞悪いというものだ。

「参加するのがクロコダインであればベンを加えるが…お前なら問題ないだろう。」

ポップ達にはその言葉は挑発ではないがザムザにとってはその言葉は挑発と同じである。

「…後悔しても知らんぞ?金魚の糞共…」

それ故にザムザは2人を怒りを抑える代わりに挑発してしまった。

「やれやれ、どうしようもない奴らだ。」

しかしその挑発には乗らず二人は落ち着いていた。

「金魚の糞か…まあそれは否めないがその糞がどれだけ強いかもわからない奴はただのバカだ。」

むしろ挑発仕返し、ザムザがキレ、戦闘が始まった。

 

ザクザクザクザク…!

 

「遅い!遅すぎる!」

ヒュンケルとザムザを翻弄し、次々と体にその跡を切り刻む。

「(ラーハルトはカウンターとしてのグランドクルスでどうにかなったが…カラスはジゼルの元についているだけあってそういったカウンターは無駄…となれば超魔生物のザムザに頼るか?いや…愚策だ。第一ザムザにもプライドというものがある。俺は…どうすれば勝てる?)」

ヒュンケルは悩み、防御を続ける。それしかカラスは許さない。

「おのれえっ!」

ザムザがタンを吐くとカラスは素早くそれを切り捨てた。

「げっ!?唾切っちまった!!」

などとカラスは間抜け面をしながらもザムザを標的に変えた。

 

「お前達の相手はこのアクデンだ。」

ドンっ!

アクデンはトライデントを地面に突き立て、仁王立ちをする。

「イオラ!」

ポップはすかさずイオラを放ち、アクデンに攻撃するが…

「無駄だ。俺のイオ系の耐性はハドラー様、ベンを凌ぐ…もっともそれだけではないぞ。」

アクデンはポップとマァムの目の前から消えると二人の後ろから攻撃していた。

「がっ…!?」

「ぐっ…!!」

ポップとマァムは一瞬意識を刈り取られたが流石はアバンの使徒というだけあり、気合で耐えた。

「…なんて奴だ。あの一瞬で俺達の後ろに回り込むなんて…」

「俺はベンと同じように二回行動が出来る。故に貴様ら如きの後ろを取ることは容易いことだ。」

「なっ…!!」

ポップが驚愕の事実に震え、アクデンに怯える。

「むしろ純粋なパワーで言えば俺はベンよりも上だ。」

更に絶望させる言葉が2人を襲った。しかしアクデンは何故そこまで自信が持てるのかと言うならば、ミストバーンの部下である怪しい影が影響している。怪しい影は怪しい影という種族ではなく多くの魔物がミストバーンの暗黒闘気によって姿を変えた魔物だ。中には怪しい影以上の魔物だったりするものいるし、はぐれメタルだったりもするパターンもある。ミストバーンは少しでも情報を得ようとし、強い魔物やはぐれメタルから出来た魔物を送ったが結果アクデンやカラス、そしてベンがそれらを倒し、その周りにいたフレイザード、ラーゼルの急成長にもつながった。

 

「じゃあ…貴方はベンよりも強いって言いたいの?」

マァムはそう尋ね、アクデンに問うがアクデンは首を横に振った。

「いや流石にベンよりかは弱い。だが…ベンが何故格上なのかわかるか?」

「え!?それじゃベンは手を見せていないってこと!?」

ポップとマァム、いやジゼル達4名を除いた全員が驚いていた。

「そうだ。マァム…お前も武道家の端くれならテンションという言葉を聞いたことはあるのではないか?」

「テンション…僅かに聞いたことはあるけどまだ速いって言われて…」

マァムはその時少し気を落としたが代わりに努力し、いつか教えてもらおうとしてきた。

「そうか…まあ仕方あるまい。では闘気くらいはわかるだろう?」

「ええ。」

「闘気をコントロールし、闘気を溜めると興奮作用があることから『テンションを上げる』と呼ばれ、それが出来る者はテンションを獲得した者として扱われる。ベンはそのテンションを獲得しているが…俺は獲得していない。それの差がどれだけの差かわかるか?」

「…」

「おそらく今のベンはジゼル様やハドラー様、バラン達の領域に辿り着けるだろう。その一方で俺はせいぜいクロコダインが限界だろうな。」

「そんなに差があるの?」

「もちろんだ。テンションの段階が一つ違うだけでも大違いだ。お前がテンションを上げることが出来れば大幅な戦力アップとなるだろうな。そうだな…竜の紋章が出ている状態のダイを打ち負かす程度には強くなるだろう。」

「…それを今から獲得しろと?」

「そうだ。でなければ俺に勝てんのはわかっているだろう?」

「…そうね。」

「そういう訳だ。ポップ。マァムがテンションを獲得まで時間を稼いでみせろ。」

「けっ、言われなくともやってやるよ!」

アクデンとポップの戦いは続いた。

 

「(なるほど…テンションか。)」

それを聞いていたヒュンケルは早速テンションを上げようとするが…上げ方がわからない。それもそのはず…本来テンションを獲得するのは武道家であり、ヒュンケルのような戦士ではない。ベンのような特殊な魔物を除いてテンションを獲得出来るのは格闘を極めた者である。

「おらおらおら!何ぼさっとしてやがる!」

カラスの剣は止まらない。剣術で言えばヒュンケルの方が上だがそれを帳消しにするほどのカラスのスピードが速い。

「ええい!ヒュンケル、お前もお前で役に立たない奴だ!」

ザムザはそう言いながらもヒュンケルを庇い、守る。これはザムザがヒュンケルが何かするのを感じ取り、ヒュンケルに少しでもダメージを負わせないようにする処置だった。ザムザ自身も自動回復するのでカラスの剣とは相性がいい。

「なるほどな…ならばこれならどうだ?バイキルト」

カラスが呪文を唱えるとザムザに攻撃し、深い傷をつけた。

「がはっ…!?どういうことだ…!?」

「俺が使った呪文、バイキルトは攻撃力を2倍に上げる呪文…これまで無事だったお前の身体でもダメージはつくのは当たり前だ。」

「小賢しい奴だ!」

「ならばもう少しスピードを上げるか。ピオラ。」

カラスはラーハルトの速度に加え、更にスピードが速くなった。現在のカラスのスピードについてこれる者は皆無であろう…

「くそっ!!」

ザムザは自前のハサミを振り回し、まぐれでも当てようとするが無理だった。

「終わりだ!」

カラスは血を流し過ぎたザムザを蹴飛ばし、気絶させた。

 

「ウォォォオーッ!!」

その時、ヒュンケルは一気に何かがみなぎるパワーを感じ、それを身体全体に通した。すると身体がぐんと軽くなり、まるで身体が浮いているようだった。

「ヒュンケルの髪が変わった!?」

クロコダインが驚いたのはヒュンケルの髪が逆立ったことだ。一体どれほどの闘気を溜めればそうなるのか想像すらも出来なかった。

「そこだ!」

ヒュンケルは一瞬でカラスを捉え、殴り、カラスは戦闘不能となった。

「ぐっ…まさかテンションを獲得せずにテンションブーストを使うとはなんて奴だ…」

カラスは気絶し、ヒュンケルも気絶した。

 

ここで説明しよう。今ヒュンケルが使ったのはテンションブーストという必殺技で戦士と武闘家を極めたバトルマスターをさらに極めた者が会得する必殺技で彼ら自身ですらもこの必殺技を出せるのは稀なことである。その効果はテンションを過程を無視して一気に何段階も上げることが出来る技だ。

ただヒュンケルはバトルマスターではない。そのため無理にテンションブーストを使ったせいか気絶してしまったのだ。気絶する方だけまだ軽い方で下手すれば死んでいたかもしれない…何しろ闘気を放つグランドクルスとは対称的にテンションは闘気を溜めるが、闘気を溜めすぎるとその分無駄になる…早い話しが例えるとヒュンケルは風船の中に空気を過剰に送り込んでしまったと言っていいだろう。

 

「さすがはヒュンケル…あのアドバイスでカラスを引き分けるか。」

それを横目で見ていたアクデンはヒュンケルを評価し、見る。

「(まだか…くそ…!魔法使いたるものクールにしねえと…)」

ポップはマァムがテンションを獲得するのに時間がかかることにイラついてしまい、すぐに頭を冷やそうとする。

「これでどうよぉぉっ!!」

そしてマァムはテンションを上げることに成功した。

「よくやった…だがそれを打つのはお預けだ!」

アクデンはポップを転ばせ、トライデントの柄の部分で殴り、気絶させた瞬間にはマァムの後ろにいた。

「くっ…!はぁぁぁっ!!」

マァムはアクデンに正拳突きを放ち、それを当てた。

「がっ!?」

その威力はまるで今までの攻撃がいかに貧弱だったのかを証明し、アクデンはマァムの一撃に倒れた。

 

「これが…テンション…」

マァムはテンションが元に戻るのを感じ、元の場所に戻った。その後マァムはジゼル側に初めて勝利されたこともあってかもみくちゃにされた。




次回はジゼル達が戦います。お楽しみに!

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