魔軍司令親衛隊隊長の恋愛!   作:ディア

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元親衛隊隊長、任務完了

「見事だが、少々威力が足りなかったようだな」

ハドラーはその威力のなさに落胆していたがジゼルの目的はそれではない。

「ようやく、ようやく出来た……」

ジゼルは涙を流し、氷漬けにした黒の核晶を取り出した。

「な、なんだこれはぁぁぁっ!?」

ハドラーは一回使うだけで魔法使いから異端扱いされる禁呪法をホイホイと使うがそれを見ただけでも震えた。その理由は黒の核晶というのは超強力な爆弾である。その威力はそこらの大地をペンペン草も生えないくらい真っ平らにしてしまう威力があるのだ。それが自分の身体の中に埋め込まれていたら? おそらく恐怖で震えるだろう。

「何故、俺の身体の中にこんなものがあるのだ!!」

「それはハナっから大魔王バーンが貴方を巻き添えにして地上を破壊しようとしたからですよ。ハドラー様」

ハドラーの疑問に答えたのはジゼルだった。元の口調に戻ったジゼルを見たハドラーはそれに驚いた。

「その声、まさか!!」

そしてジゼルはモシャスを解いた。

「お久しぶりです。ハドラー様」

その姿に誰もが驚いた。ダイもバランもそして悪魔の目玉で見ていた魔王軍の幹部たちも全員驚いていた。

「お前は、もしかしてそれに気づいていたからこんな技を……!?」

そこでハドラーは気付かされた。ジゼルが自分の為に動いていたのだと。

「そうです。始めにハドラー様に黒の核晶が埋め込まれていることに気付いたのはハドラー様と性行為をしたことです」

「あの時か……だが何故俺に報告しなかった!」

「報告すればミストバーンの耳に入り、バーンは即刻処刑すると判断しました」

「!」

「ですから私はハドラー様に報告するよりもハドラー様とあえて敵対し、無理やりこれを氷漬けにした方が良いと判断しました。ずっと黙っていて申し訳ありません」

ジゼルが謝罪するとミストバーンが現れた。

「ミストバーン! 俺に言ったことは嘘なのか!? そしてバーン様は俺に本当に爆弾を埋め込んだのか!?」

『ハドラー、お前の行動は尊敬に値する。だがバーン様の命令は全てに優先する!それが答えだ』

「!!」

『さらばだハドラー』

ミストバーンは隠し持っていた黒の核晶を取り出し、自分の姿を露わにした。

「それがお前の本当の姿!?」

ミストバーンはハドラーの疑問に答えることなく黒の核晶を起動させた。何故ハドラーの黒の核晶を爆発させないかというと黒の核晶は所詮機械、ジゼルによって氷漬けされた黒の核晶は爆発出来ない。それ故に新しい黒の核晶を用意しておいたのだ。

「なっ!」

バランとダイはそれに驚き、硬直し、ハドラーはショックで動けない。となれば動けるのはジゼルただ一人だ。

「脱出するよ! 皆!

リリルーラ!」

全員を引き連れジゼルはリリルーラで脱出した。

 

~某所~

「わっ!? ジゼル様、それにハドラー様にダイとバラン!?」

ジゼルがフレイザードの元に合流するとアクデン、ベン、カラスの三頭が駆け寄った。

「3人ともご苦労様、もうハドラー様の件は終わりよ」

「ということは成功したんですか?」

「ええ。ただね……」

「ただ?」

「ダイ君の仲間達と親衛騎団の皆を救ってあげられなかったことが残念よ。まさかミストバーンがあんなことをするとは思わなかったのよ」

「そ、そんな……」

「いや、その心配はなさそうだ……見ろ」

ハドラーが向いた方向に全員が向くとそこにはマックスとブロック、城兵の駒が全員を抱えていた。ただし全員気絶しており眠っていた。

「なっ、どうやってあそこから脱出したんだ!?」

ダイがそう聞くとマックスはドヤ顔になった。

「簡単なことだ。我輩はずっとゼシカ、いやジゼル殿の監視をしていた」

マックスが抱えているクロコダイン、ザムザ、ヒュンケルなど下ろすとそれに続いてブロック、マックスが操っていた城兵の駒も下ろした。

「何故?」

ジゼルはそれがわからなかった。何故自分を観察するようなことをするのか理解出来なかった。ただ単純に目立ちすぎたというのもあるがそれだけだったら理由としては弱い。

「我輩がスキャンをした時にゼシカがジゼル殿であったこと、そして裏切った理由を含め全て調べさせて貰った」

ジゼルが少し変装を見破られていたことに落ち込んだがハドラーのスルースキルは伊達ではない。

「それでは初めから気づいていたのか? マックス」

ハドラーはマックスに確認をし、ジゼルを見る…

「ええ、万一ジゼル殿の策が上手くいかなかった場合も想定し、我輩とブロックにリザオリクを唱え、駒は自動回復するようにして全員を守るようにしました」

「リザオリク?」

ジゼル達はその呪文に首を傾げた。その呪文は聞いたこともないからだ。

「その対象者が死んだ時に発動する呪文です。その効果は蘇生、つまり死んだら一度だけ生き返るという呪文です」

「なっ、そんな切り札があったのか?!」

「もっとも魔力を相当使いますから休ませて貰います。最後に、フェンブレンは無事です。失礼……!」

ドシンッ!

マックスは倒れ、眠りについた。

「よくやってくれた。ジゼル、マックス。お前達は俺に過ぎた部下だ。これからも俺に従ってくれるか?ジゼル?」

 

「ハドラー様、その前に紹介したい子がいます」

「ん?」

「フレイザード、ラーゼル出て来なさい!」

そして建物内から現れたのは魔族の子を連れたフレイザードだった。

「よう!久しぶりだな。ハドラー様に、お袋」

「そうだな」

ハドラーはフレイザードを懐かしく思い、あの時の自分とフレイザードを思いだしていた。あの時はジゼルを利用することしか考えず、フレイザードも目的と手段が逆になって暴走していた。だが二人はもうそうならないと感じていた。

「もう!久しぶりはないでしょ!」

ジゼルが少し子守を頼んだ程度でフレイザードがそんな皮肉を言うとは思わずぷりぷりと怒った。

「全くお袋、少し女らしくなったか?」

「ハドラー様、フレちゃんがイジメる~!」

ジゼルは嘘泣きでハドラーに抱きつき、ハドラーは無言で撫でる。

「へえ、ハドラー様も変わったねぇ。昔なら嫌がっていたのにね」

「ジゼルへの褒美だ。今回は許す」

「それよりもこいつを紹介するぜ。こいつは俺の妹にしてハドラー様とお袋の娘。ラーゼルだ!」

「はじめまして! お父様! お母様!」

「はじめまして? おい、まさかジゼル。フレイザードに任せきりにしたままじゃあるまいな?」

ジゼルがギクッと動き、硬直した。

「え~とそれはですね」

「俺に尽くしたことは褒めてやるがフレイザードに任せきりとは何事だ!」

ハドラーはじゃれ合う程度の強さでジゼルを梅干しの刑にした。

「ひゃぁぁぁっ!? なんか強くなってる〜っ!!」

ハドラーによるお仕置きが終わった後、ジゼルは目を回し、しばらくするとラーゼルに近づいた。

「はじめまして、っていうのは私にとって不自然だから久しぶりね。ラーゼル」

「うん!お母様久しぶり〜っ!」

ラーゼルは笑顔でそう言ってジゼルに抱きついた。

「あらあら。抱きつく癖は私に似たのね」

「えへへ〜っ♡」

 

ジゼルとラーゼルがひっついている間、ハドラーとバランは話あっていた。

「バラン、もしもダイが息子でなく娘だったらダイの母親はああなっていたのか?」

ハドラーはそう言ってキス魔となったジゼルを指差した。

「……ならんだろう」

バランはしばらくの間が空き、そう答えた。ソアラも大概親バカであり、息子であるディーノに対してキス魔となっていた。それをダイが知ったらどうなるだろうか?

「……」

二人は無言となった。




ABC「モンスターABCの後書きコーナー!!」

A「はい、という訳でハドラー様を救出して、俺たちの出番もあった…」
B「それはお前だけだろうが!イオナズン!」
C「げふっ!?何故俺まで…」

A「ひでえ目にあった…でもバーンとの負け試合に参加出来ませんでしたね。」
B「それは仕方ないだろうが。ジゼル様にハドラー様、バランもいるんだぞ…老人形態なら間違いなく仕留めてしまう…」
C「ありそうで怖いですね…おっと時間だ!」
ABC「感想は感想へ、要望はメッセージボックスへ…次回もお楽しみに!!」

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