魔軍司令親衛隊隊長の恋愛!   作:ディア

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元親衛隊隊長、スカウトする

ジゼルはダイ達に合流するのを見たマックスは親衛騎団達を回復させ、万全の状態に戻した。

「厄介だな…」

それを見たクロコダインは眉を寄せた。何しろただでさえ傷をつけるのに手間がかかるオリハルコンを回復させられてしまったのだ。これで自分達が付けた傷はほとんどなくなったといっていい。

「この勝負、技を多数連発するよりも一撃にかけた方が良い。」

ジゼルはこのまま長期戦に持ち込まれたら自分はやられずとも必ずダイ達がやられると判断し、指摘した。

「なるほど…確かに最もだな。」

それをザムザは先日ジゼルと戦ったことを思い出し、頷いた。

「あの王は私がやるとして、後はどうする?」

「…ゼシカ殿、その王のことだが弱点がある。」

「…弱点?」

「そうだ。あの王…マックスは決まって重傷者、いや重傷部分には左手、軽傷部分には右手をつかっている。」

クロコダインはマックスがわざわざ右手と左手を使いわけて治療していることに気がついた。

「…それは本当かい?」

ジゼルはこれに気がつかなかったが決して洞察力が通常よりも劣っているわけではない。事実親衛騎団を含めクロコダイン以外は全員気づいていないのだ。それだけクロコダインの洞察力は異常であり、自分と同じパワータイプのブロックを打ち負かすまでに強くなった理由でもある。

「ああ、先ほど戦ったブロックだけがマックスの左手で治療されていた。おそらくなんらかの理由で使い分けなければならないのだろう。」

「なるほどね…ありがとう。」

「礼には及ばん…」

そして作戦は続き、勇者一行達は誰と戦うか決めた。

 

一方…

 

「さて、あのゼシカとかいう女だが…我輩が相手をする。」

マックスはジゼルにこだわり、相手にすることにしていた。

「…マックス、貴方が相手では厳しくありませんか?」

アルビナスはマックスとジゼルの相性は悪いのに何故戦うのか理由がわからずそれを尋ねた。

「確かにそうだ。あの女相手では相性が悪い…」

「では私が…」

「やめておけ。お前は確かに手足を解放すれば優勢に戦うことは出来るだろう…しかし奴の経験値は我輩達はおろかあのメンバーの中で飛び抜けている。圧倒的な経験の差で負けてしまうのがオチだ。自然治癒が出来、タフな我輩だからこそあの女を相手に勝つことは出来ずとも負けることはない。」

マックスの言ったことは半分は嘘だが半分は本当だ。マックスはアルビナスがジゼルに勝てるとは思えなかったがアルビナスが勝ったらおそらくハドラーを救うことはかなり難しくなる。幸いなことにザムザがいるが口下手な自分達では説得も難しいだろうと判断していた。

「わかりました。それでは…」

そして親衛騎団達も作戦を立てようとした。

 

「そこまでだ!」

突如現れたハドラーが戦闘を中断させ、全員がそちらに向いた。

「ハドラー様、随分と早くありませんか?」

マックスは予想以上にハドラーが中断しにきたことに驚いていた。

「うむ…悪魔の目玉を通してお前達の様子を見せてもらった。予想以上に強い奴がいたのでな…」

ハドラーは変装したジゼルを強者を見るような目で見た。

「そうですか。」

「ハドラー!これは何の真似だ!貴様は正々堂々と戦うのでなかったのか!?」

ヒュンケルが怒鳴り声を上げハドラーに聞く。

「俺のいる所は死の大地…その場で実力無きものが来られても大魔王様の御前を汚すだけ…言わばこれはふるいをかけたまでのことだ。」

「ふるいだと?」

「そうだ。この場に立っている者達だけが死の大地へと行く資格がある。」

そう言ってハドラーは順々にダイ達と目を合わせた(ノヴァはヒムに負けているので目を合わせなかったが)

「よもや俺の知る顔以外に残る奴がいるとは思わなかったが…楽しみに待っているぞ!」

ハドラーは消え、親衛騎団達もリリルーラでその場から立ち去った。

 

「あれ?」

そして元の場所に戻るとマァムが異変に気付いた。

「どうした?マァム?」

ポップは声をかけ、マァムに話しかける。

「チウがいなくなちゃったのよ…」

マァムはゴミ箱の中も開けて探すがいなかった。

「そういえばゴメちゃんもいない!」

ダイも初めての親友がいなくなったことに気づき、探すがどこにもいなかった。

「…すまん多分俺のせいだ。」

いきなりクロコダインが謝り、頭を下げた。

「どうしたっていうんだ?」

「チウには俺の特訓の手伝いの報酬として獣王の笛というアイテムを渡してな…それを使ってモンスター達を連れて死の大地へと向かったのかもしれん。」

「チウのことだ無茶しかねえぞ…急ぐぞ!」

ポップはひとっ飛びして死の大地へと向かい、全員も死の大地へと向かった。

 

~死の大地~

「へっへっへっ…」

チウは得意げにモンスター達を使い、死の大地の情報を集めていた。

「これで全員帰って来たな。」

最後にホイミスライムが戻り、チウはその情報を聞き出した。その内容は海底に扉があったという報告だ。

「なるほど…どうやらそこにあるようだね。」

チウはそれまで空、陸を探しても見つからなかったことに納得し、チウが呼んだ中で一番の大物、火喰い鳥を残し他は収納して乗って帰ろうとした。

「何処に行くんだ?」

するとそこに現れたのは全身刃の駒フェンブレン…彼はハドラーの命令によってネズミを始末しろと言われていた。

「(まさか本当にネズミとはな…)」

フェンブレンは比喩表現ではなく本当にネズミであることに驚いていたがそんなことはどうでもいい。とにかくやるべきことをやるだけだ。

「へっ!お前の弱点なんぞわかっている!空を飛べないんだろ!ならこうすればいいだけのこと!!」

チウは火喰い鳥に空を飛ぶように命令して逃げようとしていた…

「バギマ!」

しかし親衛騎団はマックスを除いた全員がそれぞれの系統の攻撃呪文を唱えることが出来るということをチウは知らなかった。フェンブレンはその中でも空気を操るバギ系の呪文を得意としていた。

「うわぁぁぁぁっ!」

チウや火喰い鳥、ゴメちゃんはそれに巻き込まれ墜落した。

「さて…じっくりゆっくりといたぶってやろう。」

現在のハドラーから生まれたとは思えないセリフをフェンブレンは吐いた。これは魔王時代のハドラーの部下バルトスにも見られた傾向で禁呪法の中には生み出した者とは性格が違う例が出てしまう…フェンブレンもその例だった。

「くっ…こいつらに手出しをさせない!」

気絶した火喰い鳥やゴメちゃんを庇うようにチウは立ちはだかった。

「安心しろ、そいつらに手出しをせん…とハドラー様なら仰るだろうな。だがワシは残酷なのだ!先にこいつらからいたぶるとしよう。」

フェンブレンはチウを蹴り飛ばし火喰い鳥にフェンブレンの刃が突き刺さろうとした。

「やめろ~っ!!」

そしてチウは立ち上がり、突進する…

「うるさいわ!」

再び蹴り飛ばし、チウを気絶させた。

「ようやく邪魔が消えた…では早速…」

早速やろう。と言おうとした瞬間、フェンブレンは何者かに襲われた。

「ぎゃぁぁぁぁっ!?」

フェンブレンは目を潰されてしまい、まともに戦闘することなく帰還してしまった。

「(なんだ…?ポップか?マァムさんか?)」

チウはフェンブレンの声による叫び声で目が覚めたが誰がフェンブレンを傷つけたかわからない。ポップかマァムあたりが助けてくれたのだろうと思い再び気絶した。

 

そして数分後…ダイ達が駆けつけ、チウを発見した。

「チウ!」

マァムはそれを見てすぐにベホイミで回復させる…当たり前といえば当たり前だ。自分の弟弟子が傷つけられて冷静になれないのは無理もない。

「マァムさん…?助かったよ。」

チウはそれから自分が掴んだ情報、フェンブレンに傷つけたられた事を話して行った。

「なるほどね…おそらくそこにはハドラーがいると言っていいだろう。」

ジゼルはそれを聞き、ハドラーはそこにいると確信した。ジゼルがハドラーを呼び捨てなのは怪しまれない為で本心ではかなり謝っている。

「そうだね…でも俺達の傷を癒す為にも今回は帰ろう。」

全員の傷を癒す為には死の大地から離れる必要があった。それ故にダイは帰還するように促した。

「…悪いけど私は残るよ。」

「俺もだ。」

ジゼルとヒュンケルはそこに残り、クロコダインもついでに残った。

「そうか。でもちゃんと戻ってきてよ。」

ダイはそう言って他の全員を戻らせた。

 

「さてと…そろそろ出てきたらどうだ?」

ヒュンケルがそういうと1人の男が出てきた。

「やはりバレていたか。」

その男はバラン。元超竜軍団長にしてダイの父親である。

「バラン!?」

クロコダインだけが驚き、バランをまじまじと見ていた。

「…まだ他にもいるだろう。大人しく出てこい!」

今度はジゼルはそういうと誰1人出て来なかった。

「…」

ジゼルはナイフを取り出し、それを投げ、岩を粉々にするとそこにいたのはアルビナスとヒムだ。

「なっ…!?貴様らもいたのか!?」

二人がアルビナスとヒムがいたことに驚き、アルビナスとヒムも自分達がいた場所を嗅ぎ付けられたことに驚いていた。

「全く…貴女には全く叶いませんね…ですが私とヒムの二人がかりならばどうでしょうか?」

アルビナスは手足を解放し、ヒムと共にジゼルを襲ったがジゼルにとってはまだまだ赤ん坊、二人は瞬殺(もちろん生きている)され海に捨てられた。もちろん海に沈められた程度では死ぬことはないがそれでもえげつないことには変わりない

「これで話しが出来る。」

「酷いな…」

バランがポツリと一言呟いたがジゼルは無視した。

 

「さて…貴方が何者かはどうでもいい。私はハドラーをこの手で倒したい。貴方は大魔王バーンの首が欲しい。そこで協力しないか?」

ジゼルはバランに協力するように求めた。

「協力?何の協力だ?」

「貴方はおそらくハドラーと戦うことになる…その時私に譲って欲しい。それだけのこと。貴方からしてみればハドラーを気にせずバーンの首を取った方が都合がいい…違う?」

つまりジゼルはハドラーと戦うことなしにバランはバーンと戦うことが出来るように交渉したのだ。

「ハドラーなぞ私の敵ではない…不要だ。」

しかし、バランはなるべく1人でいることが良いと思っている…その方が行動しやすいと思ったからだ。

「勇者ダイがボロ負けしたと言ってもか?」

ここでジゼルはバランの息子の名前を出した。

「何だと?」

「今のハドラーはかつてのハドラーとは違う。別人だと思ってもいいくらいだ。」

ヒュンケルはそれに加勢してバランの説得を試みた。

「…ヒュンケル、クロコダイン、その男女にハドラーを倒せるだけの力はあるのか?」

「俺が苦戦した相手を瞬殺したくらいだ。何一つ問題ないだろう?」

「むしろハドラーが押される姿が目に浮かぶくらいだ。」

「そうか…」

それを聞いてバランはジゼルを思い出した。

「では翌日、ここで会おう。」

こうしてバランが味方となった。




ABC「モンスターABCの後書きコーナー!!」
A「はい、というわけで後書きコーナーです。今回はバランが味方になりましたね。」
B「しかしジゼル様は自重って言葉を覚えて欲しいよな…親衛騎団の二人を瞬殺なんてよ…」
C「あの二人はカウンセラーが必要になりますね。」

A「そういえばマックスの右手がどうこうってのはデスタムーアがモデルなんですよね。」
B「作者によると最初右手を倒して復活させられた時の絶望感は半端じゃなかったみたいですね。」
C「あれはどうしようもないですよ…」

A「後、あれだわ。作者の作品、タバサのTS物語がこの作品のお気に入り件数を超えたってやつ。」
B「まさかあそこに抜かされるとは思わなかった…特別ゲストとして出てみるか?」
C「それはそれで面白そうですね。俺達が変態になりそうだけど…おっと時間だ!」

ABC「次回もお楽しみに!」

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