魔軍司令親衛隊隊長の恋愛!   作:ディア

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勇者一行、親衛騎団と対決す

「(…ジゼルだと?奴は確かにゼシカと名乗った筈…ならば!)」

マックスは動揺していた。その理由はゼシカと表示されるはずがジゼルと表示されていたという異常だからだ。本当にジゼルだとしたら何故自分達と敵対する理由がわからない…マックスのする事は決まった。

 

「スーパー・スキャン!!」

ジゼルを徹底的に解析することだ。マックスにはジゼルが何故ハドラーに所属している魔王軍に敵対するようなことをするのかわからなかった。本来この技は弱点を解析するのに使うのだが…過去を覗く事が出来るのでそれを使ってジゼルに何があったか調べた。

「(なんということだ…!!)」

そしてマックスが見たものはハドラーに黒の核晶…つまり爆弾が埋め込まれているという事実を知ったジゼルが魔王軍を裏切ってそれを阻止しようとベン達と話し合っている場面だ。

「(迂闊にハドラー様に報告すればハドラー様諸共全員死ぬ…ジゼルの行動は正しいかもしれん。ならば我輩達は如何する?)」

「よそ見は禁物だ。マックス。」

するとそのジゼルがマックスに迫り、腹の辺りに正拳突きを構えていた。

「ぬっ!?」

それをマックスはヒムに似た人形を腹の前に地面から生やして対処した。

「お、俺!?」

ヒムが驚くがマックスは無視して砕けた人形の破片をジゼルに投げた。

「!」

ジゼルはそれを避け、後ろに下がる…するとその場に兵士人形が現れ、避けていなければ間違いなくそのオリハルコンの拳を喰らっていただろう。

「(ハドラー様やミストバーン達にこのことを悟られる訳にはいかん。悟られたら我輩はおろか親衛騎団は全滅する。この場でやるべきことは決まっていると言うわけか…ジゼル。)」

マックスは壊れた人形の回復を見ながら考える。これはマックスの能力によるものだ。マックスは回復呪文を得意とし、オリジナルの特技もマスターしている。その特技の一つが現在つかっている技、アモールの劇によるものだ。この技はアモールの雨とリホイミを応用したもので完全に人形が粉々になっていなければ超魔生物のように回復できるという優れものだ。ちなみにマックスを除いた親衛騎団達は5系統の攻撃呪文を扱うことが出来る。

 

話は変わるがマキシアムの時はアホだったが現在のマックスの頭の回転は速い。それもそのはず…彼もハドラーの影響を受けていたのだ。

ハドラーはジゼルのせいでストレスこそ溜まっていたが大変有能であり、人間達から集めた金に物を言わせて武器回収をし、逆らおうとする人間達の強さを封じた。

 

ダイとクロコダイン以外の現在の装備は縛りプレイでもやっているのか?といわんばかりの弱さだ。ちなみにクロコダインの武器といえばバラン戦でぶっ壊れたが、ロン・ベルクがその強さを見込んで作り、ダイの剣を除けば勇者一行の中では一番強い。それ以外の武器でまともなのはヒュンケルの剣くらいのものだがオリハルコンでできている親衛騎団相手ではノヴァのように闘気を使って強化するしかないのだ。

 

話がそれたがハドラーは勇者一行はおろか魔王軍の敵となり得る人材も武器がなければ意味がないので力を封じたと言っていいのだ。これは脳筋のミストバーンやバラン、そして知略に長けているサボエラには決して真似できない…なぜならミストバーンやバランはそんなことをせずとも国を滅ぼすことが出来るので不必要だった。サボエラは頭は良いがバカであり、そう言った発想は無理だ。

 

「…アルビナス!!我輩のことは大丈夫だ!我輩はこの男女を止める!お前たちはダイ達を止めろ!」

マックスは冷静に判断し、ダイ達の足止めの指示をアルビナスに任せ自らはジゼルの足止めをした。

「わかりました。マックス。」

アルビナスは頭の切れるマックスが回復呪文しかつかえないマックスにとってかなり不利な相手をすることに疑問を持ったがマックスの考えていることはほぼ間違いなく、その間違いも恋愛的な意味でハドラーにどうやったら好まれるかという相談のみだった。アルビナスのそう言ったところはジゼルに似てしまったのだろう…

 

閑話休題…

 

そしてアルビナスは4人に指示した。

「では皆さん、各自作戦通りに別れなさい。」

アルビナスが指示したことにより、ヒムはダイとヒュンケル、シグマはポップ、フェンブレンはマァム、ブロックはクロコダイン、アルビナスはザムザとバラバラに別れた。

 

「オラオラどうした!?二人がかりでそれか!?」

ヒムはダイとヒュンケルを圧倒し、優勢になった…というのもダイは自慢の剣は使えずナイフで対処するしかなく、ヒュンケルも足手まといのダイをかばうのに精一杯だ。

「(くっ…あの女、どうやってこいつ相手に優勢になったんだ!?)」

苦戦するあまりヒュンケルはジゼルに向けてそう思わざるを得なかった。通常の敵ならダイをかばうまでもなくカタをつけることが出来るのだがそれを許さないのがヒムだ。ヒムは近接戦のみならば現在の超魔ハドラーに少し劣る程度である。それに比べヒュンケルはミストバーンに指摘されたように光と闇を彷徨っているせいか弱体化している。現在のヒュンケルがヒムに劣るのは無理なかった…

「おっと危ねえ危ねえ。」

ヒムは、無言で放ったダイの空烈斬を避けカウンターを入れた。

「がはっ!?」

ダイは地面に倒れ、ヒムは追い討ちをかけるかのように殴りに言った。

「させん!!」

それをヒュンケルは妨害し、追い討ちを防いだ。

「勇者よりもてめえの方が厄介だな。」

ヒムは不敵に笑い、自らの得意とするメラ系呪文を応用した技の準備をし、ヒュンケルも構えた。

「ヒートナックルゥゥゥ!!」

「ブラッディースクライド!」

そして二人の技がぶつかった。

 

「(強え…こいつ。)」

一方、ポップはシグマを相手に苦戦していた。シグマはこれまで戦ってきた相手でも最も厄介だった。確かに純粋な強さで言えばハドラーやバランの方が上だ。しかしこれまで戦ってきた相手は少なくとも油断やそこから生まれる隙などがあった。だがこの敵には全くと言っていいほどない!それ故に息がつまる戦いだ。

「流石だ…君は。」

それ故にポップは一手一手とこの馬顔に対処され続けた。シグマはギラ系の次に強力なイオ系呪文を得意とし、その威力はハドラーのイオ系呪文と変わらないくらいの威力だった。

「(ダイの親父さん相手に使ったあれじゃ返ってやられるのがオチ…)」

ポップはシグマに対して油断という文字が見当たらないので以前使った作戦を放棄することに決めた。

「(と普通は思うだろうな。)」

しかしポップはそれを放棄せず片手にメラ系最強の呪文、メラゾーマを放った。

「(そう来たか。だが私には呪文は通用せん…それはヒムを通してわかっているはずだ。彼は目くらましが目的と捉えるのが妥当…だがハドラー様が認めた魔法使いだ。決してそんなことではあるまい。)」

シグマはポップに対して警戒を解かず、自らが持っていたシャハルの鏡でポップのメラゾーマを跳ね返した。

「マヒャド!」

間髪いれずにポップがマヒャドを入れたことにシグマはとあることに気づく。

「(なるほど金属疲労が目的か…金属疲労をすれば彼の腕力でも私にダメージを与えるのには十分。そうとなればこれ以上は危険だ…)」

シグマは隙を見て左手でポップの腕を掴み、右手首の内部にたまったイオ系エネルギーをゼロ距離で一気に解き放つ!

「ライトニングバスター!!」

その威力はイオナズン級で呪文に耐性のある服を着ているポップと言えどもただでは済まない。

 

「さて小娘、クイズだ。ワシの身体の内、刃は何%で出来ている?」

フェンブレンがマァムにそう尋ねるがマァムはそれを無視した。それに答えても勝手に話すと理解していたからだ。

「90%だ。」

シャキン!

予想通り、フェンブレンはそのことを話し、腕の刃をマァムに向け突いた。

「くっ…!」

それに対してマァムは全く手が出せない。下手に手を出したら逆にこちらが傷がつく。ましてや敵はハドラーの部下だ。刃の腹に攻撃しても捻って刃を向けられるのがオチだと考えた。

「(さあ逃げ回るがいい…)」

フェンブレンはドSであり、その様子を楽しむ。もっともそれは仲間の前では隠すので誰にも気付かれない。

「(私にも遠距離の技があれば…!)」

マァムは自分に遠距離の技がないことに嘆いた。クロコダインの獣王会心撃のような技は使えない。まさしく相性は最悪だった。

 

「貴方も超魔生物のようですが所詮貴方はハドラー様のように魔族の身体を捨てなかった欠陥生物…そんな身体で私に勝てるとでも?」

アルビナスはザムザを圧倒していた。アルビナスのスピードは速く、巨体のザムザではスピードが出ない。

「黙れ!貴様に俺の何がわかる!」

ザムザはその挑発にのり、攻撃が単調になる。

「だから貴方は欠陥生物なんですよ。」

そしてニードルサウザンドがザムザに向けて放たれた。

「ぐおっ!?」

ザムザは多少驚くがそれをものともしないのが超魔生物だ。ジゼルのように余程パワーがない限りザムザに実質ダメージを与えることは不可能である。

「(む…!?)」

そしてアルビナスはある異変に気づき、クロコダインに向けて毒針を放つがそれもザムザによって防がれた。

「あいにくだが俺の身体の内部で毒を調合することが出来てな…それ故にこんなショボい毒は屁でもない!」

ザムザはそう言い放つと毒針を抜いて自らの身体に入った毒を解毒した。

 

「まさかその程度ではあるまい!」

クロコダインは他の勇者勢達とは違い善戦をしていた。それもそのはず、クロコダインはさらなる修行によりバラン戦よりもパワーアップしパワーも自然とついていた。クロコダインは自身を苦しめたベンが麻痺に弱くなければ死んでいたと思っていた。まだジゼル達のレベルにすら到達していないベンを相手に苦戦しているようでは間違いなくバーンを相手にしたら負ける…はっきりいってそう言える自信があった。ギガブレイクをほぼ無傷で耐えられるといっても所詮それはデイン系の呪文に耐性ができただけの話だ。クロコダインが修行に励むのは無理なかった…

「ブローム!」

ブロックはクロコダインを押し返し、抵抗するが…クロコダインは咄嗟に離れ、右腕に闘気を溜めた。

「受けてみよ!獣王会心撃!」

そしてクロコダインの必殺技がブロックに直撃した。

「ブローム!」

しかしこの程度ではブロックの動きを封じるのがやっとだ。そこでクロコダインはもう片方の腕に闘気を溜め、獣王会心撃を放った。

「これが俺の最高の技だ!」

そしてもう一つの渦がブロックのところで最初に放った渦とクロスしブロックの腕をもいだ。

「ブローム!?」

そしてそれを見たアルビナスはクロコダインに毒針を放つがザムザに防がれ、マックスが全員を集合させた。

「こっちも集合だ!」

ダイの合図で一度ジゼルを含め全員が合流した。


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