魔軍司令親衛隊隊長の恋愛!   作:ディア

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親衛隊隊長はワニ男に容赦ない

~鬼岩城~

「ハドラー様、ハドラー様!どこにいますか!?」

ジゼルはハドラーを探していた。その理由は…

「お弁当せっかく作ったのに…」

そう弁当だ。ジゼルは弁当を作ってハドラーに食べて貰おうとしたが…ハドラーがいないのでしょげていた。

 

「ジゼルよ。」

そこへハドラーの主である大魔王バーンが声をかけた。

「ハドラーは勇者アバンの討伐に向かっておる。」

 

勇者アバンとは人間の中ではハドラーを倒した英雄となっているが…どうも胡散臭いとジゼルは思っていた。

 

「勇者アバン?わざわざハドラー様が地上に復活した直後に行かせたんですか?」

「ジゼル、アバンを見くびるな。アバンの厄介なところは頭の良さだ。下手に軍団長を使えばこっちの戦力が読み取られるわ…!」

「しかし、ヒュンケルでも問題はないかと…剣術なら魔王軍の中でも強いですし。それにミストバーンから尋問して聞きましたよ…ヒュンケルはアバンの一番弟子だと。」

さりげなくとんでもないことをジゼルの口から出たが、ヒュンケルがアバンの弟子なのは事実なのでバーンは少し考え、ジゼルに語る。

「ヒュンケルは確かに強い。だがヒュンケルはアバンの弟子だ。師匠の技を使ったところで見抜かれる可能性が高い…」

「ハドラー様もアバンに何回か戦ったことがあります。しかも敵同士として戦ったのだから尚更…」

「ジゼル。もう賽は投げられたのだ。諦めろ。」

「はい…」

 

とそこへ光の玉がハドラーの座る椅子に向かって…止まった。そしてやがて形状は変わりハドラーとなった。

 

「ぬうぅぅ…!」

しかし、ハドラーの手は無くなっており胸に傷もつけられていた。

「ハドラー様!その傷はアバンにやられたのですか!?」

ジゼルは大慌て。無理もない。自分の愛する夫(ハドラー視点除く)が怪我をして帰ってきたのだから。

 

「違う…!アバンはメガンテで俺を殺そうとしたが失敗に終わり自滅した。この傷はアバンの弟子にやられたのだ…!ふんっ…!」

ハドラーはそう言うと腕を生やし、胸の傷を治した。

「あ~よかった…ハドラー様の命が助かって…あ、お弁当よかったら後で食べて下さいね。」

そう言ってジゼルは笑顔でハドラーに弁当を渡す。

「ジゼル…」

ハドラーはジゼルが弁当を作ってくれたことに感動していた。

 

「それにしてもメガンテか…よほどハドラーを倒す手だてが無かったのだろうな…」

バーンがそう言って、アバンがよほど追い詰められていたことを指摘する。

「はい…何しろ格闘、魔法においても私に負けておりました。故にアバンは最終手段として私ごと道連れにしようとしたのでしょう…」

「なにはともあれアバン討伐ご苦労!ゆっくりと休養を取って休むが良い。」

「ははっ…!」

ハドラーの声を境に、バーンの声が聞こえなくなった。

 

ハドラーはジゼルの作った弁当を食べ、クロコダインへの通信を用意した。

「クロコダイン…!クロコダイン…!」

「ハドラー様、どうやら寝ている様ですよ?」

「…っ!」

「あのワニは一度寝たら滅多なことじゃないと起きませんからね…」

「ジゼル、起こしてこい…」

「かしこまりました。ルーラ!」

 

悪魔の目玉を通してハドラーはジゼルがどの様に起こすかヒヤヒヤしていた…

 

『こらー!起きなさい!!クロコダイン!!!』

『なっ?!!ジゼル殿!?これにはわけが…』

『言い訳無用!!ぶっ飛べ!!』

『ぐおおぉー!!』

ヒューン…ドガッ!ガラガラ…

『クロコダイン、何か言うことは…?』

『申し訳ありませんでした…』

『よろしい。』

 

ジゼルの過激な起こし方にハドラーはまたストレスを貯め、胃がマッハで穴が空いていくのを感じた。

 

「ハドラー様。クロコダインを起こしてまいりました。」

ジゼルが悪魔の目玉の前に立ち、そう言って報告をする。

「ジゼルご苦労だ。クロコダインと変われ。」

ハドラーは苦痛を堪え、威厳のある顔でジゼルを褒める。

しかし、そこまではよかった…クロコダインの顔は変わっており、ボロボロだった。

「それでハドラー殿、俺に何か用でも…?ロモス攻略なら、もう寸前ですぞ。」

「あ、ああ…それもあるが、お前に倒して貰いたい敵がいる。」

「倒して貰いたい敵?」

クロコダインが疑問に思う…厄介な敵はロモスにはいなかったはずだ。少なくとも自称勇者の腕自慢の人間達を倒してきたのだ。どんな屈強な敵がいるかと思い、少し興奮する。

 

「奴の名前はダイ!」

「ぶっ!!」

ジゼルが吹いた。無理もない…少し前に助けた少年がハドラーを傷つけたからだ。

「こいつがそうだ…」

そう言ってハドラーは悪魔の目玉にダイを映す。

「(あちゃー…間違いないや。なんでよりによってハドラー様を傷つけるかな。)」

 

「ぶわっはっはっはっ!」

クロコダインはダイの映像を見て大笑い。

「何がおかしい!?」

「冗談はよしてくれ。仮にも獣王と呼ばれるこの俺にガキの相手をしろと?」

しかし、ボロボロの状態のクロコダインが言っても説得力皆無だった。

「奴を舐めるな。ダイは、俺にかなりの手傷を負わせた…この通りな。」

ハドラーはクロコダインに傷跡を見せる。

「なんと!?ハドラー殿が手傷を!?」

 

クロコダインは驚く。何しろハドラーはバランやミストバーンに劣るものの魔軍司令という立場である以上六軍団長の平均くらいの強さを持っている。むしろ、ハドラーを超えているバランやミストバーンがおかしいだけだ。ヒュンケルやフレイザードに関しては反則クラスの武器や技を持っていなければ勝てるくらいだ。

 

「もしかすると全盛期のアバンをも上回る力を持っている可能性がある…」

かつてハドラーを倒したアバンを上回ると言っているのだ。武人として戦わない訳には行かない。

「ハドラー殿にそう言わしめるほどの男…是非とも戦いたくなったわ!!」

そう言ってクロコダインが立ち上がろうとするが…

「うおっ…!」

少しヨレてしまい、情けなくなってしまった。

 

その元凶であるジゼルがクロコダインに近づき…

「クロコダイン、動かないで。」

「?」

「ベホマ。」

ジゼルはベホマを唱え、クロコダインの傷を癒す。

「おお…感謝する。ジゼル殿。」

「さっきやりすぎたし…お礼はいらないわよ。ほら行ってきなさい。」

「では、ハドラー殿、ジゼル殿。ダイの首を持って帰りますので少々お待ち下さい!」

クロコダインはそう言って、洞窟から出て行き、ダイを討伐しに行った。

 

~魔界~

その頃…魔界の竜族の頂点に立つヴェルザーはかつて自分と覇権を争った雷竜ボリクスのことを思い出していた。

 

~回想~

「何故お前は俺と互角に戦える…!俺よりも弱いはずだ!」

 

ヴェルザーがボリクスにそう言う。その通り、ヴェルザーは冥竜と呼ばれ、不死身であり、スタミナ切れの心配はない。一方、ボリクスは雷竜と呼ばれており雷を操る竜だ。雷は体力を多く消費する。明らかに勝率はない。

 

しかし、今押しているのはボリクスの方だ。だが息切れを起こしており、もう体力の限界を感じさせていた。

 

「確かにそうかもな…だが私には息子がおり、愛すべき妻がいる…私はその者のために戦っているのだ。どんなに力の差があってもお主の様にただ傲慢に竜族の頂点を目指すものと互角以上に戦えるのだ!」

ボリクスがそう言うと、稲妻を呼び寄せ、ヴェルザーに攻撃をする。

「くだらん…!その技もその信念も…俺は常に竜族の頂点に立つことだけを考えて来た。それを息子だの愛すべき妻だの…ふざけるな!!」

ヴェルザーがボリクスを押し返す。

「ぐっ…!」

ボリクスはヴェルザーの攻撃に耐えられなかったのか膝をつく…

「貰った!」

ヴェルザーがボリクスの首を噛みにかかる。

「しまっ…!」

それを避けようとするが手遅れ…そして決着がついた…

 

「俺の勝ちだ!」

そう宣言し、ヴェルザーは冥竜王と名乗る日が来た。

~回想終了~

 

「どうやら血は争えないものだな。お前の孫娘もお前と似たようなセリフを吐く…」

ヴェルザーはそう言ってキルバーンの送ってきた映像をもう一度見た。そこにはジゼルの姿があった…

「やはり…似ている。ボリクス、お前にな。」

ヴェルザーはそう言ってまた眠りについた。




と言う事でジゼルの祖父はボリクスという微妙なキャラでした。本当はボリクスを父親にしかったんですが年齢を考えると魔族の中でもあれなので孫にしました。
ジゼルの祖父をボリクスにしたのは○○○○○○を使わせたかったからですね。
あと、今のところギャグ限定ですが、クロコダインを飛ばすほどの怪力となると…そのくらいの強さがあれば十分だと思いました。
ジゼルがベホマを使えたのは母親の遺伝です。
それ以外に質問があればどうぞ。

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