魔軍司令親衛隊隊長の恋愛!   作:ディア

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久しぶりの投稿です…いや〜ようやくスイッチが入りましたよ…


勇者一行、雑談をする

「レスラー・ゴメス選手予選突破です!」

当然ながら、チウは手が届かずゴメスの格好の餌食となって敗北した。

「底知れない弱さだね…」

思わずジゼルは男口調でそう呟いてしまった。

 

「…」

チウは深く影を落とし、かなり落ち込む…リーチなどを考慮せずにパワーのみで本気で勝てると思ったのだろう。

「まあそう気にするなよ…」

ダイはチウを慰めようとするがチウにとってはなんの意味もなかった。

「放っておいてくれ…僕は死刑宣言をされたのと同じものだから…」

またもやチウが影を落とし拗ねてしまった。

「でも体当たりとかそういうの使えばいいじゃんか…」

ダイがそう呟き、チウにアドバイスを送る…

「君…勇者がそんなことをしてカッコイイと思うのか?僕は格好良くなりたいんだよ!」

チウはそう言ってダイを黙らせた…ダイにも心当たりがあるからだ。主にどたま金槌という武器とか…

「やれやれ…チウとか言ったけ?」

黙ってしまったダイに代わってチウにジゼルが話しかけた。

「誰だ!?」

当然ながらチウとジゼルの面識はない…

「私はゼシカ…それよりも君の言っていることは本当に正しいのかい?自らを格好良くする為に戦っているみたいなことを言っているみたいだけど…」

「当然じゃないか!それ以外に戦う理由なんてあるかい!?」

パンッ!

ジゼルの平手打ちがチウに頬に炸裂した。

「何をする!?」

チウは突然の平手打ちに抗議する…

「…ねえ、チウ。もし戦場に出たらどんなことを頭に入れているんだ?」

ジゼルはそう言ってチウを説得しようとした。

「それはもちろん格好良くすることさ…」

「私の友達は泥をすすってでも戦い抜きどんなに無様でもどんなに見苦しくてもわずかに勝率があるならばそっちの方にかけた…」

これはヒュンケルのことでジゼルにも伝わったのだ…ヒュンケル、いやアバンの使徒の諦めない心こそが魔王軍最大の武器だということを…

「…」

チウは黙ってそれを聞く。

「戦場に出れば男も女も子供も関係ない…まして戦い方を気にする者は真っ先に死ぬ。」

フレイザードのフレイザード理論こと男女平等論はジゼルから来ており、ジゼルも敵となれば種族性別問わず、心を鬼にして戦う…

「実際に戦い方を気にした者は死んでいった…私の友は泥をすすって這い上がって来た。」

もっとも敵としてだけど…とはジゼルは言わない。流石にそれを言って誤魔化せるほどダイ達もバカではないことはわかっているからだ。

「今の話しヒュンケルに似ているね…」

マァムはそう言ってヒュンケルのことを思い出す…ヒュンケルの戦い方は邪道とまでは言えないが決して美しい戦い方ではない。苦戦してもギリギリで勝つ…そんな戦い方だ。

 

「ヒュンケル…っていうとあの魔王軍のヒュンケル?」

ジゼルは思い切りヒュンケルのことを知っていたがあえて聞いた。

「ええ…とは言ってももう彼は改心してアバンの使徒として目覚めて私達同様に魔王軍と戦っているわ…」

「その口ぶりからするとアバンの使徒が魔王軍だったみたいだが…まさか君達も魔王軍なんて落ちじゃないよな…?」

そう言ってワザとらしくジゼルは距離を取る…

「バッキャローっ!そんな訳あるか!!」

ポップは冗談でもそんなことを許さず大声をだした。

「ははは、冗談だ…君達の目を見ていても魔王軍のような目つきじゃないのはわかっているよ。」

そう言ってジゼルは笑った後、真顔になった。

「…魔王軍に所属していそうな感じはロモス王の近くにいる大臣なんかがそうだな…」

ダイ達に聞こえる程度に言ってジゼルは大臣を視線に映す

「「「えっ!?」」」

するとダイ達は大臣達の方に振り向いた。

「まあ…そんなことは私の戯言だと思ってくれればいいさ。当たっているかどうかなんて私ですらわからん。そろそろ時間のようだしお暇させてもらうよ。」

そう言ってジゼルは立ち去った…

 

「なんか嵐のような人だったね…ゼシカさん。」

ダイがそう言って感想をいうとポップは溜息をついた。

「あいつが魔王軍なんじゃないの?なーんて…」

もろダイレクトに当たっているぞポップ!しかし残念なことにそれが冗談めいた空気でなければどんなに言っても無駄である。

「何言っているのよ…ポップ。ゼシカさんの目を見たでしょ…」

マァムが呆れた声でそう言ってジゼルを思い出す…

「まあな…あの人、優しそうな感じだったもんな…」

ポップはそれを肯定し、マァムに同調する。

 

そして予選を通過した選手たちがリングに集結した。

 

「さあ~今年の武道大会は大荒れとなっております。優勝候補No.1のラーバ選手を僅か10秒で破った強く美しき男装の麗人ゼシカ~っ!!」

「「「ゼシカ、ゼシカ、ゼシカ!!!」」」

ジゼルが呼ばれゼシカコールが武道場に大きく響く…ジゼルはかなり評判が高くなってしまったがこれでも抑えた方なので気にしていない。

「あーっと、物凄い歓声であります!続いて入場するのは…」

その後色々な選手が登場し…その中で一番目立つのは…

「全く強いのか弱いのかわからない謎の実力者、ゴースト君!」

実況がそう言うと現れたのは頭から一枚の布を覆ってそこに二つの穴を開けただけの格好をした人物だった…ちなみに裸足である。かなり悪い意味で目立った。

「(あのゴースト君って相当な実力者ね…いやでもわかるわ。)」

しかしジゼルだけははっきりとゴースト君の強さを感じていた…マァムも見抜き始めていたのだがそれでも信じられなかった。

「そしてゼシカ選手と同じく女性ながらにして予選を突破した~マァム~!!」

これまたジゼル程ではないが観客席に歓喜に溢れる…

「(様々な選手が集まる中でも…特にあのゼシカさんとゴースト君は絶対に侮れない…)」

マァムはゼシカとゴースト君に注意を払った…そのくらいマァムにとっては不気味な相手だった…

 

そしてロモス王国の大臣が前に出てきた。

「それでは諸君にはくじを引いてもらう…」

そう言って大臣はくじを出して選手たちに引かせる…しかしそのくじがあまりにも変だった。

ジゼルはE、マァムもE…これだけなら普通のくじだが、ゴースト君はAだが同じAを引いた者はいなく、他の選手もペアになっているということはなかった…

「ちょっと待って!」

そしてマァムが異変に気付いた…選手達のくじを並び替えると…そして一つの単語が出来上がった。

その単語はGAMEOVER…少なくとも冗談にしてはやり過ぎだ。

「なんでえ!?これは!?」

当然選手の一人は切れてくじを大臣に投げつけるが見事にキャッチされてしまった。

「どういうことだ!?」

ロモス王が怒り、威嚇するが大臣には無駄だった。

「ヒヒヒ…つまりこういうことさ!!」

大臣…いやそこに現れたのは一人の魔族だった。

「俺は妖魔師団長ザボエラの一子、妖魔学士ザムザ!魔王軍に貢献してくれてありがとう…諸君。」

そう言って現れたのはザボエラのような服を纏った男であり確かにザボエラの息子だと言えるような顔つきだった。

「(まさか…妖魔師団のやることって…)」

「キッヒッヒッヒ…妖魔師団の研究している超魔生物の材料に最も適している人間が欲しくてな。この大会を開いたというわけよ…それに景品を餌にして魔王軍に逆らうロモスにいる馬鹿どもを纏めて始末出来る一石二鳥な作戦…こうも上手くいくとはな…!ヒヒヒ…!!」

ザムザの薄汚い笑い声がその場に響いた…


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