魔軍司令親衛隊隊長の恋愛!   作:ディア

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今回はポップが大活躍します…ではどうぞ。


魔法使い、善戦する

「全くなんでワシがこんなことを…ブツブツ…」

ザボエラこと魔王軍幹部の下っ端は悪魔の目玉を手配するためにテラン城やその他諸々の場所へと向かっていた。

「とっとと手配しないと…いかん!こんな想像やめじゃ!一刻も早くせんとな…」

ザボエラはブツブツと言いながら恐ろしい想像をしてしまい冷や汗をかいていると人影を見つけた。

「あれは…ヒュンケルとクロコダイン!?」

その人影とは移動しているヒュンケルとクロコダインでテラン城へと向かっていた。

「(…いくら満身創痍とはいえワシ一人が攻撃をしても魔法慣れしている戦士の二人が相手では瞬殺…二人とも魔法使いならばどれだけ良かったことか…)」

ザボエラがそう思えるのは無理なかった。ザボエラの魔力は非常に高く、ベンの切り札イオグランデなどの究極呪文や竜の騎士やジゼルのような特殊な種族が使うデイン系の呪文などを除いたほとんどの魔法を扱うことが可能だからだ。それ故に魔法対決ならば魔王軍の中でもバーンを除けばトップクラスの実力を持っていると自負がある。

 

「(いや…ベンはどうしたんじゃ!?ジゼルは部下に関しては優しいが…その反面同僚などに関しては厳しい…悪魔の目玉がない上、ベンの方が有利じゃったし、尚更ワシが疑われる!」

ザボエラはヒュンケルとクロコダインに構う暇がないと言わんばかりにその場を立ち去り、ベンを探した。

 

「やはり死におったか…ベンの奴め…!」

ベンの死体を見てザボエラは思わずそう叫ぶ。

「やはり蘇生液につけるしかあるまい…」

蘇生液とはクロコダインやジゼルが使った装置にある液のことで、それに対象者をつけると大怪我を負った際に完全回復したり半々の確率で蘇ったりすることが出来る、某警部が開発した某泥棒探知機並みの隠れたチート装置である。

しかし、かなり便利なのだが余り使われることはない。何故なら魔王軍に大怪我を負えてしまう幹部はほとんどいなかった上に戦力にもなり得ない雑魚などの場合蘇生の必要はなく処分されてしまうからだ。またジゼルなどの回復呪文の系統を使えたりする者がいるからである。

ちなみに今までの蘇生液の使用例はクロコダイン、ジゼルの二名しか使っていないのが現状である。

 

とにかくザボエラはベンを蘇生液のある鬼岩城まで運ぶために棺桶に入れ部下にそれを持たせ、鬼岩城へと向かった。

 

~数分前テラン城~

ポップとバランはルーラでテラン城前まで来ていたが…突然中断させられた。

「なんだ!?」

ポップはルーラを解いた瞬間に吹き飛ばされた。

「(この衝撃、ドルオーラ…とまでは言わないが地上の魔物ではあり得んまでの威力だ…ジゼルか?いや、あいつはあり得ぬ。あいつはハドラーの為に無闇やたらに地形を崩壊させたりはせん…となればジゼルの部下のベンか…想像以上の戦力だ。)」

バランはジゼルの部下ベンの戦力に驚き、ヒュンケルやクロコダインの足止めの件については安心し、自らやるべき事を考えた。

 

「小僧…もう一度聞こう。私の邪魔をする気か?」

バランはポップに殺意を向け、睨む…常人やフレイザード戦の時のポップで有れば間違いなくビビって腰を抜かすだろう。だが…ポップは予想を裏切った。

「へえ…あんたは虫ケラかなんかと同じくらいにしか思っていない俺なんかを相手にするって言うのか?」

ポップは卑下し、バランになるべく相手にされないようにしていた…それこそがポップの作戦である。

 

こう言ってしまえば実力を隠し持っているかあるいは命惜しさに命乞いをしているのかどちらかに聞こえる。

 

「確かに貴様は私にとって虫ケラと同等…」

 

バランはもちろん後者の方だと考える…何故ならフレイザード戦でポップが活躍したという話は聞いていないし、それよりもバランは部下の場合を除き、敵を過小評価する傾向にある…その為ポップが実力を隠し持っているとは考えられなかったのだ。

 

「だが我が息子ディーノを取り返す邪魔をする者は何人たりとも許さん!例え虫ケラだろうが全て邪魔になる者は一人残らず叩き潰すのみ!!」

 

バランがそう思ったのはダイ達の絆を恐れての事だった。ダイ個人よりもダイ達の絆の方が危険だと思ったからこそダイの記憶を失わせた。そうでもしなければ間違いなく自分は最後の手段を使わなければならないだろう…ただそうしてしまえば自分の息子であるダイを殺すことになる。それ故の判断だった。

バランはポップをこの場で殺すことを決め、剣を抜く…

 

「(バランが激情家で助かったぜ…もし激情家でなければ時間稼ぎが出来なかった。)」

ポップはバランの性格を短い間に読み取っていた。その為、あえて自分を卑下させることでバランの注意を向けさせたのだ。そしてポップは覚悟を決めた顔で杖を取った。

 

ポップは偶々マトリフのところにあった魔道書を読み、二つの呪文を覚えた。

「ピオリム!スカラ!」

ポップは覚えたての加速呪文ピオリムと防御力上昇呪文スカラを唱え、自らのスピード、そして防御力を上げる…

 

ちなみにそんな呪文を覚えることが出来たのはだいたいジゼルのせいである。マトリフはジゼルに勝ったとはいえあれは運が良かったからこそ勝てたのであって、もし運が少しでも悪かったら死んでいたと思わざるを得なくなっていた。やはりマトリフは身体能力に差があると思い、それを少しでも埋めるために必死で古代の魔法を調べた。そして習得したのがこの二つの呪文である。他にもマジックバリアなどもあったがマトリフもまだ習得していないのでポップも習得出来るはずもなく…現在に至る。

 

「下らん真似を…」

バランは呆れた声でそう言うとポップを切ったが…切ったはずのポップが残像となって消えた。

「何処切っているんだ?」

そしてポップはバランの後ろにいた。

「なにっ!?」

バランは驚く…何しろ魔法使いであるはずのポップが自分の部下であるラーハルトと同等以上の速さで移動していたのだ…驚かないはずがない。

 

「(危なかったぜ…ルーラも使っておいて良かった…)」

切られる寸前、ポップは瞬時にピオリムで口の動かす速度も速くなった超高速ルーラを唱え、避けていたのだ。逃げ足に関しては天才的だと自覚があるからこその最大の武器となっていた。そしてバランは自分に対して警戒する…そうすることがポップの目的だ。警戒されることによって迂闊にバランも手を出せなくなり時間稼ぎも出来る。

ポップがスカラを唱えたのはバランの攻撃を受けた際に傷を少なくさせる…これは普通の使い方である。だがポップはそれ以上のことを考えていた。

「(もし攻撃されたとしてもさほど効いていないと思わせるには十分だ!さあ…来やがれ!)」

ポップは心理戦に持ち込むことが最大の狙いだったのだ。現在のポップは戦闘には最適の心理状態、一方バランは自覚はないが焦りが生まれていた。

「(あの小僧がラーハルトと同等の速さか…ラーハルトを倒すのは容易いことだ。だがラーハルトは攻撃をしてくるから倒せるが奴はなんだ?いきなりあのような呪文を唱えたとなれば何か秘策があるはずだ…下手にカウンターを狙えばこっちが殺られる。となれば殺られる前に殺る…それしかない!)」

案の定ポップの思い通りとなり、バランはポップに向かって襲いかかって来た。




AC「ど〜も!モンスターABCの後書きコーナーは今回はおやすみです。」
A「理由は簡単ですよね…ええBが死んでいる以上は後書きコーナーが出来ないと言う理由なんでね…」
C「まあそういうことだ…それじゃまた次回もみてくれよな!それと今回気になった点は感想に送ってくれ!」

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