魔軍司令親衛隊隊長の恋愛!   作:ディア

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勇者一行、超竜軍団に刃向かう

〜平原〜

「待て!」

テラン城に向かうバラン達を止めたのはポップだった。

「ほう…貴様はあの時の魔法使いか。何をしにきた?」

「もちろん…てめえら止めに来たんだよ!ベタン!」

 

ポップの呪文が竜騎衆二人にあたり、騎乗していた竜は死んだ。

「うおおおおっ!?」

また二人もそれに動揺し、動きが取れなくなった。

 

「むんっ!」

しかし素早くポップの背後に移動したベンはトライデントでポップを突き刺そうとした…

「させん!」

鎧を纏ったヒュンケルがどこからともなく現れ、ベンのトライデントを止めた…ように見えた。

「イオラ!」

ベンはヒュンケルの首の横…つまりポップに向けてイオラを放ち攻撃をする

「くっ…!」

ヒュンケルは首をひねり、ポップに対するダメージを少しでも減らそうとするがヒュンケルの兜からイオラが入り込み、自身の顔に火傷を負ってしまった。

 

「ほう…魔剣士ヒュンケル。やるではないか。」

ベンはヒュンケルが己の顔を犠牲にしてまでポップを庇おうとする意気込みに感心した。普通の戦士であれば顔に向かって来たものは反射的に避けようとしてヒュンケルの向いた方向とは逆の方向へとひねる。ただそうすればポップの命はなかったわけでヒュンケルの判断は正しい。

「そっちも大したものだ…何故魔王軍の軍団長になれなかったのが不思議なくらいだ。」

「俺は軍団長なんかに興味はない。ジゼル様に仕えることのほうが余程良い。」

「お喋りはここまでだ。行くぞ!」

「来い…!」

 

「(あっぶね〜もう少しで死ぬところだったぜ…)」

一方ポップはベンとヒュンケルのやりとりに驚いていた。決してビビったわけでは無い。

「っとそうだ!イオラ!」

ポップはもう片方の手でイオラを放った。

「舐めるなーっ!!小僧ーっ!!!」

ボラホーンが切れ、ベタンもなんのその!ポップに襲いかかる。

「おいおい…冗談だろ!?」

まさかバラン以外にベタンが効かない相手がいるとは思わなかったのだ。

 

ヒュンヒュン…ドガッ!

真空の斧がボラホーンの襲撃を止めた。

「何だ!?」

ボラホーンとポップは驚き、斧が飛んできた方向を見ると…そこにいたのは前に見たときよりも勇ましく、覇気を纏った獣王クロコダインがいた。

「獣王クロコダイン!」

ポップは来ないと思っていた助っ人…しかもクロコダインが来てくれたことに嬉しくなる。

「またせたな…ポップ。」

クロコダインはニヤッと笑い、バランの方へと向ける。

 

「バラン…単刀直入に聞こう。ダイとお前の関係は親子だな?」

クロコダインがいきなりそんなことを聞いてきた。

「そうだ…今からディーノを取り返しに来た所だ。だが何故貴様がそんなことを知っている?」

バランもそしてこの場にいた全員が思った疑問だった。クロコダインがバランとダイが親子だということを知っているのはおかしいからだ。

「カール王国に行った時…竜の紋章の跡があったのでな…おそらくそんなことが出来るのはダイと同じような存在。だがカール王国を攻め滅ぼしたのはバランと言う噂が流れてな…それで結びついたというわけだ。」

クロコダインは一見武道派のタイプだが実は相当頭の回転が良く知略派としても有能なモンスターである。その為バランとダイが親子という関係にも気づけたのだ。

「なるほど…なら何故そちらの味方をする?」

「決まっている…ポップやヒュンケルが理由なしにお前と戦うような真似はせん。故に俺はポップやヒュンケルの味方をする!」

「そうか…残念だ…ならば死ぬがいい!ギガデイン!」

バランは真魔剛竜剣を抜き、ギガデインを唱え剣に雷を纏わせる。

「ギガブレイク!」

バランは竜の紋章を光らせ、本来の力を引き出し…クロコダインを斬る!

完全にバランのギガブレイクは決まった…そのはずだった。

 

「…まさかこれだけか?バラン。」

しかしクロコダインの声からは余裕そうな声が聞こえた。

「バカな!?ギガブレイクが効かないだと!?」

「ふっ…俺が何の為にカールへと行ったと思う?」

「破邪の洞窟か?!」

バランは破邪の洞窟の存在は知っている…だがそこに結局入ることなく一刻も早くヴェルザー討伐の為に魔界へと移動したのだ。それに魔界のモンスターのほうが強いと思っていたのでスルーしたという理由もある。

「そうだ。俺はジゼルと戦い一瞬で負けた。俺はその時、完全に実力不足を感じレオナ姫救出後カールへと向かった。」

クロコダインはジゼルに一瞬で敗れたことをバネに破邪の洞窟に入り、必死にジゼルに負けないように地下へと行った。

「じゃああの時必死に俺を説得したのは…その為か!?」

ヒュンケルは当初カールに向かおうとしたがクロコダインがどうしてもカールに行きたがっていたのでヒュンケルは譲ることにしたのだ。

「ヒュンケル…お前にはすまないことをしたと思っている。だがどうしても自分の実力不足を感じてしまい、足手まといになる確率が高かったのだ。許してくれ。」

「クロコダイン…ならパワーアップしたお前の力を見せてやれ!そうしたら許してやる!」

ヒュンケルは柄にもなく熱いセリフを出し、クロコダインを応援した。

「ならばパワーアップした俺の力を見るが良い!獣王会心撃!」

クロコダインは一瞬で闘気を溜め、ボラホーンに向かって放った…当然ボラホーンは避ける間も無く死んだ。

 

「すげえ、すげえぞ!おっさん!その調子で残りの槍男もバランもやっちまえ!」

ポップはクロコダインの強さに大興奮。これ以上クロコダインが輝いて見えたのは恐らく生まれて初めてだろう。

 

「誤算だったな…お互いな。」

しかし空気になっていたベンがそうつぶやくと一気にヒュンケルが押された。

「なんてパワーだ…!?」

「メラゾーマ!」

ベンはメラ系最強呪文メラゾーマをヒュンケルの顔に向かって放つ

「海波斬!」

ヒュンケルは避ける…などという選択肢はなく呪文なども切れる海波斬で対処した。

「バラン!」

ベンはアイコンタクトをしてバランにテラン城に向かわせるように促した。

「ちっくしょーっ!!ルーラ!」

ポップはルーラを唱え、バランよりも早くテラン城へと向かう。

「させん!ルーラ!」

バランもルーラを唱えテラン城へと向かった。

 

〜鬼岩城〜

「あちゃ〜まさかクロコダインがこんなパワーアップするなんて…」

ジゼルは自分のせいでクロコダインが想像以上にパワーアップさせてしまったことを反省した。

 

「(でも破邪の洞窟だけじゃないわよね…バランのギガブレイクは相当強烈…破邪の洞窟だけでギガブレイクが効かないなんてことは無い…)」

ジゼルはクロコダインのギガブレイクの耐性について考えた。そして結論は…

 

「(まさか…これも私のせい!?)」

ジゼルのジゴスパークがクロコダインに雷系の耐性をつけてしまったということだ。元々クロコダインはタフなこともありジゼルのジゴスパークに比べればなんでも無いと思い込んで特訓してきた。その為かバランのギガブレイクすらも克服してしまったのだ。

 

「はあ…ハドラー様分を補給しよう。」

珍しくジゼルは落ち込み、トボトボと歩いて行った。




何故かパワーバランスを考えるとクロコダインがパワーアップしてしまいました…
世の中気合と根性ですね。

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