魔軍司令親衛隊隊長の恋愛!   作:ディア

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親衛隊隊長の過去2

~魔界(過去)~

「ここは…?」

今代の竜の騎士バランが目覚め、自分がベッドにいることに気がついた。

「(そうだ…私は魔族の家に入り、そのまま気絶したのだな…)」

バランは今までのことを思い出し、状況を把握する。

 

ガチャ…

するとジゼルがバランの部屋に入ってきた。

「あ…」

ジゼルは気まずそうな顔をして、人見知りをしてしまう。と言うのもジゼルはバランのことを殺そうとしたのだ。罪悪感で人見知りをしてしまうのは無理はない…

「もしかして、貴方が私を治療してくれたのか?」

バランはそのことを察して、話しを聞くことにした。

「え、ええ…」

「そうか…すまないな。」

バランは突然謝り、頭を下げた。

「いえ…私は当然のことをしたまでですから。…!?」

 

グラグラ!

 

ジゼルの台詞が終わるのを待っていたかのように地面が揺れた。

 

「地震…?!」

ジゼルは慣れない地震のせいか驚いてしまった。

「いや…今のは巨大な生物が高いところから降りた時に出来る事象だ。どうやら私に対する刺客のようだな…」

「刺客…?何故貴方が狙われるのですか?」

「私は竜の騎士という種族だ…竜の騎士は神々から地上を平和にする為に作られた種族…それをよく思わない輩が私のところに来て始末をしに来たという訳だ。」

バランはジゼルの質問に律儀に答えた。

「…竜の騎士さ「私の名前はバランだ。竜の騎士という名前ではない。」…バラン様、もし、地上を支配している魔族が部下の為にやっていることだとしたら…貴方は許せますか?」

 

「いきなりなんだ?」

「私は竜と魔族のハーフ…それ故に同村の魔族から迫害されていたところをこの館の主人に助けられました…そして、私はご主人様に仕え同じ魔族とも仲良くなって行きました…しかしそれを人間達が壊したんです!それに怒りを覚えた私のご主人様は地上を侵略して人間共を支配し、私の為に努力しています…」

 

「…私はお前に助けられた。だがなそれは許す訳にはいかん。」

「どうして!?」

「私は人間が好きだからだ。お前がお前の主人を愛するようにな。」

「!!」

「お前の話は嘘ではないだろう…だが人間は力や魔力はなくとも心がある生き物だ。当然お前以上に感情は豊かであるし、怯えや恐怖の度合いも大きい。それ故に魔族や竜を恐れ、やられる前にやったんだろう…」

「じゃあこの私の人間を憎む気持ちはどこに行けばいいの!?私の為にご主人様は地上を征服しているし、せっかく人間に復讐する為に力までつけたのに…何の意味もないじゃない!!」

「…お前はお前の主人が好きなんだろう?だったら話は早い。お前はお前の主人に結婚を申し込め…そうすればお前の生きる意味がわかる。」

「え?」

「私は竜の騎士故に子供を持つことはない…だが竜の騎士は人間の心、魔族の魔力、竜の力を兼ね備えた生物だ。それ故に人が何を大切にするのかよくわかる…それは家族だ。」

「家族…?」

「そうだ…人間は私利私欲で魔族を殺す筈はない。そんなことをすれば魔族に恨まれるからだ。だが家族を守る為なら人間は手段を選ばん。おそらくお前達の誰かが人間に手を出して恐れたのだろう…」

「…勝手ね。私はこのあたりの魔族を見て見たけどそんな魔族はいなかった。」

ジゼルはそう言ってバランのことを一蹴した。

 

バンッ!

 

ジゼルのセリフが終わると突然入って来たのはグロテスクな怪物だった。

「いや~ようやく見つけたよ~…バラン君!」

 

その怪物は身体はピンク色の芋虫、顔はあるにはあるが白目。そして、何よりも顔付近にあるのは指らしきものが手のようについている。

「(気持ち悪い…)」

それ故に、ジゼルがそう思ってしまうのは無理なかった。

 

「ガルマッゾ…まだ生きていたのか!?」

バランの驚く声が上がる…つまりこの生物はバランが仕留めた筈の生き物であるとわかる。

「にゃははは…僕がそんなもので死ぬと思う?僕は超魔生物なんだよ?」

バランの疑問をバッサリと切り捨て、ガルマッゾは答える。

 

「…バラン様こいつは?」

ジゼルはガルマッゾのあまりの嫌悪感に敬語を忘れてしまう。

「こいつはガルマッゾ…冥竜王ヴェルザーの放った刺客だ。」

「そ!だからメイドさん、どいて貰えるかな?血は流さないからね?」

「…」

ジゼルは無言でどいた。

 

「いや~ありがとう…おかげで楽に殺せるよ。それじゃはじめようか!」

ガルマッゾがそう言ってバランに襲い掛かり、攻撃を仕掛ける…

「はぁぁぁっ!」

…攻撃を仕掛ける前に、ジゼルが飛んで、ガルマッゾに向けて後ろから魔神の金槌を振るった。

 

ブォン!ドガッ!!

 

「にゃにっ!?」

効果は抜群…会心の一撃で今のジゼルなら大半の敵なら仕留められる一撃だった。

「けほっ、けほっ…不意打ちとはやるね。この身体が完璧じゃないのもあるけど反応できないなんて驚きだよ。」

しかしガルマッゾは余裕そうにジゼルを称賛し、ジゼルに対して構える。

「まあ…メイドさんは僕に攻撃しちゃった訳だし死んで貰うよ。」

口調こそ穏やかであるが殺気の量は尋常ではなかった。

 

それもそのはず、ガルマッゾは超魔生物としては完璧ではないと言ってはいるがほぼ完成していた。その為バランのギガブレイクを受けても瞬時に回復し、再生する筈である…しかし回復しなかった。

 

「(とんでもないね…このメイドさん。多分パワーなら間違いなく最強だね。)」

 

そう…ジゼルのパワーがあり得ないまでに強かったのだ。

 

ジゼルは竜と魔族のハーフである。

 

話は変わるが歴代の竜の騎士なかでも人の心を不要とした者はいる…その竜の騎士が開発した技…竜魔人化である。バランによれば初代からあったと言うが実際には竜魔人という概念はない。竜の紋章を授ける時に変わって竜の騎士の歴史が変わってしまったのだ。

 

竜魔人化とは人の心を失う代わりに魔族と竜の力を倍増させ、戦闘が終わるまで戦い続ける恐ろしい変身である。

 

何が言いたいかと言うとジゼルはその竜と魔族の力を完璧に引き出せる要素はある。ジゼルが成長し、会心の一撃を出せばいくら超魔生物と言えどたまったものではなかった…

 

「それじゃ、行くよ~!!ドルマドン!」

ガルマッゾはジゼルに向かって闇の呪文であるドルマ系最強の呪文ドルマドンを放つ。

「マホカンタ!」

ジゼルは魔法を跳ね返す呪文、マホカンタで跳ね返すが…

「無駄だよ~…僕はドルマ系の呪文を吸収してパワーアップするんだから。」

ガルマッゾはドルマドンを吸収し、その魔力で回復した。

 

「ギガブレイク!」

バランがガルマッゾに必殺のギガブレイクを放ち、頭についていた指を切り落とした。

「ならば逆のデイン系は苦手の筈だ…」

バランの言うとおり、ガルマッゾはデイン系は苦手である…

「にゃはは…参ったね。でもバラン君忘れてない?そんな攻撃は無駄だってことを!」

バランによってやられたガルマッゾの指が再生し、復活した。

「キモい…」

そのグロさにジゼルは思わずそう言ってしまった。

 

「はぁぁぁ…ジゴスパーク!」

ガルマッゾは地獄の雷を呼び出し、バランにそれを当て攻撃し大ダメージを与えた…

「くっ…!?なんて技だ!?」

バランは余りのダメージの大きさに思わずそう言ってしまう…と言うのも竜闘気で防御しているにも関わらずダメージが響くのだ。

「この技はかつて真竜の戦いでヴェルザーに敗北したボリクスの切り札…彼が雷竜と呼ばれたのもそう言う理由だよ。ちなみに僕が使えるのはそのボリクスの細胞を取り込んでいるからなんだよね。」

ガルマッゾは律儀に説明した。

 

「それじゃもう一丁!」

今度はジゼルに向けてジゴスパークを放ち、攻撃する…それがガルマッゾ最大の間違いだった。

 

ブチン!

 

ガルマッゾのジゴスパークにより、ジゼルはその雷を吸収した。その雷もジゼルの雷を吸収する許量範囲を超え、ジゼルの身体から黒い雷がバリバリと鳴りつづけ…目もカラーコンタクトを入れたかのように紅くなり、そして最終的にはジゼルの身体が徐々に変化して…ついには翼の生えた龍となった。

 

「ヴー…!」

ジゼルは言葉も喋れなくなりとあるブレスと放った。そのブレスはビーム状でガルマッゾに向かって行った。

「ひゃぁぁぁ!?なんだい!?」

ガルマッゾはそういいながらもギリギリよけ、少し掠った程度で済んだ。

「ひえ~…恐ろしいブレス。」

ガルマッゾがそう言うのは先程のガルマッゾの掠った部分が回復していないのだ。掠っても回復する超魔生物の身体であるにも関わらずだ…

 

「がぁぁぁーっ!!」

ジゼルはそれを連発し、ガルマッゾに当てて行った…

「危ないってこれ!」

ガルマッゾはそれを避け続けたが…

 

ツルン!

 

「しまった!」

ガルマッゾは足を滑らせこけてしまい…そしてブレスが直撃した。

「ぎにゃぁぁぁっ!」

…そろそろジゼルが吐いたブレスの正体を明かそう。正体はオーロラブレスだ。本来ならば一回吐くすらも大変難しくかなりの時間がかかるがジゼルのまとった黒い雷のおかげで出来るようになったのだ。

 

「にゃはは…危なかったよ。」

しかしガルマッゾは無事だった。オーロラブレスを受けたにも関わらずだ…

「何故生きている!?」

「滑った時に咄嗟の判断でこの胴体を地面に叩きつけておいたんだ。その反動で回避して、半身をやられる程度で済んだんだ。」

ガルマッゾは笑いながらそう解説した…半身がやられても、これだけ素早く動けるのはバーンくらいのものだろう…

 

「がぁぁぁっ!」

ジゼルは爪をたて、ガルマッゾを切れ味の悪い包丁でトマトを切るように頭と胴体を真っ二つにした。

「ぎゃぁぁぁっ!」

流石の超魔生物と言えども頭と胴体を真っ二つにされてはたまったものではない…むしろジゼルが不完全であったから苦しみが来たのだ。

「ぐっおおぉぉっ!」

ジゼルはその場で気絶し、寝てしまった。

 

「にゃはは…まさか僕がこんなやられ方しちゃうとはね…やっぱり人間はどんなにがんばっても魔族や竜には叶わないか…」

「貴様が人間だと!?」

「そうさ…僕はカルマッソという人間の時にモンスターに憧れて、超魔生物の研究をしていた。だけど圧倒的に魔物の数が足りなかった。そこでヴェルザー様に誘われたのさ…『俺の元で働けばただで魔物の材料をくれてやる』ってね。そして僕自身がモンスターになってからガルマッゾって名乗ったんだ。」

「…愚かな。」

バランはガルマッゾのやったことを否定した。

「愚かなものか。僕がモンスターをどれだけ好きかわからないからそんなことが言えるんだ!」

ガルマッゾはそれだけ言うとチリとなり…風に飛ばされた。

「…確かにな。私は人間でないから人間が好きかもしれん。だが自分の種族に誇りを持たん奴には哀れな死のみしかないか…」

バランはそれだけ言うとヴェルザーを倒しに出て行ってしまった。

 

そしてその後、二人が再開するのは魔王軍であることは言うまでもない…




という訳でガルマッゾが登場しましたので解説…

この話のガルマッゾはめちゃくちゃパワーアップしています。どのくらいかと言いますと以下のスペックをみてご確認ください。

・自動HPMP回復
・ドルマで回復
・テンション
・AI2回行動
・デインに弱い
・スキルガルマッゾ
・マホカンタ使用可

以上です。ステータスの方はテリーなどのステータスを参照してください。

では次回はバラン編です。過去編は一旦切り上げます。ハドラーとイチャイチャシーンはこの時に期待してください。ではお楽しみに…

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