~海岸~
フレイザードに勝利したダイ達は、ヒュンケル&クロコダインと別れた。そして現在はと言うと…
「メラ!」
ポップがメラを放ち、マトリフに攻撃する。
「ヒャド!」
マトリフはポップのメラを打ち消すヒャドを放つ。するとポップの足の海水が凍りつき、ポップは動けなくなった。
「イオラ!」
そこにマトリフは容赦なくイオラを放ちポップに攻撃する。
「やばい!」
それを見ていたダイが声を出し、ポップを心配する。
「メラゾーマ!」
マトリフの上からメラゾーマが襲い掛かるがマトリフはそれをよけた。
「ポップ!」
メラゾーマを放ったのはポップだった。ポップが無事だったのをダイは安心し、安堵の息を吐く。
「ほお…トベルーラか。見ない間に少しはやるようになったじゃねえか。」
マトリフがそう言って称賛する。何しろポップにはトベルーラを教えていないからだ。
「へっ!当たり前だ!こんなんルーラの応用でなんとかならぁ!」
ポップの言うとおり。トベルーラはルーラの応用である。そのためマトリフはポップにルーラを覚えさせたのだ。
「だが甘い!トベルーラ!」
マトリフはポップにトベルーラで頭突きをしてポップを海に落とした。
「ねえ、マトリフさん。俺ももっと魔法の修行やりたいよ。」
それを見たダイがマトリフに魔法の修行のレベルを上げるように言う。
「何言ってやがる。お前は十分基礎をやっているだろうが。」
ダイは魔法の基礎である精神修行を行っていた。
「だいたい、お前はポップみたいに魔法をそんなに覚える必要なんざねえんだ。勇者にはとっておきの武器があるからな。」
マトリフがそう付け加え、ダイをなだめる。
「とっておきの武器!?どんなの!?」
ダイはそれにくらいついて、マトリフに勇者の武器がなにか聞く。
「決まっているだろ、勇者の武器は…勇気だ!勇者は魔法使いに比べたら魔法は使いこなせねえ、だからといって戦士に比べたら肉体戦は劣る。そこで勇気が必要なんだ。勇気があれば戦場のペースを握って勝利する。逆に勇気がなければどんな敵にも勝てやしねえ…ま、そんなこった。」
マトリフがそう言って立ち去ろうとする…
「勇気か…でもさ。マトリフさん。」
ダイはマトリフを呼び止め、話しを続けた。
「ん?」
「魔王軍には俺のライデインストラッシュを無効化する奴もいるんだ。だから…そいつに勝つためにも魔法が必要なんだ。」
「一応聞いておくがお前のライデインストラッシュを無効化するとは…どんな奴なんだ?」
マトリフは一人だけ心当たりがある。実際に戦ったことのある奴でないと祈るばかりだ。
「ジゼルって奴なんだけど…」
「ジゼルだと!?」
マトリフの嫌な予感が当たってしまった。
「知っているの!?」
「先日、俺もジゼルと戦った。結果だけ言えば俺の勝利に終わったが運が悪ければ死んでいた。」
「ええーっ!?」
「あいつに勝つには今のお前達では無理だ。今のお前達のレベルが一回りどころか三回りも上がらないと勝てやしねえ。何しろヒャド系とバギ系の魔法については俺を凌ぐ程だ。」
「そんなに強いの…!?」
「とにかく今言えることは基礎を固めろ。そいつに挑むのはそれからだ…」
マトリフはそう言って立ち去った…
「(ハドラーですら歯が立たないのに…ジゼルって魔王軍の一員相手じゃ間違いなく私は足手まといね…これからどうしよう…)」
マァムがそんなことで悩んでいると…
「うへうへ…!」
いなくなったはずのマトリフが瞬時にマァムの身体にセクハラをしていた。
「あーっ!!何すんのよ!このスケベジジイ!!」
マァムはマトリフを肘打ちでマトリフの頭を打った。
「ぐぉっ!!」
セクハラに集中していたのかマトリフは避けきれず、地面にめり込んだ…
「全く、油断している隙もないわ…」
マァムがそう言うとマトリフが地面から這い上がってきた。
「見た目は母親のレイラに似てやがるが馬鹿力だけは親父のロカに似やがって…ロカが昔、マァムが男だったら武道家にさせてやりたいって言ったのが良くわかるぜ…」
マトリフはそう言うと気絶し、一人残されたマァムは考えていた。
「(父さんから引き継いだパワーを生かせる武道家…僧侶戦士のままじゃ確かにダイ達の足を引っ張るだけ。だけど武道家なら足を引っ張ることなくダイ達を応援できる!)」
マァムはそう決意して武道家になることを決めた。
「(だけどそのためにはダイ達と別れなければならない。せめて別れの言葉くらいは言っておかないと…)」
マァムは武道家として旅立つためにダイ達と別れなければならなかった。その理由は武術の神と呼ばれたブロキーナに会う為である。おまけにブロキーナは弟子を取ったことがない。それ故に覚悟が必要だった。
だけどマァムはせめて、ダイ達に別れを告げてから行こうと思い、パプニカ城へと向かった。
~鬼岩城~
「邪悪の六芒星が三つに…!ヒュンケルとクロコダインは裏切り、フレイザードは死んだ。魔王軍は三人もの軍団長を失った。そのため邪悪の六芒星を形成するトライアングルが一つになってしまった…!」
ハドラーが汗をかき、真剣に考える…
「これはまさか、魔王軍の戦力が半減した事を意味するのでは…?!」
♩〜♩〜
と、そこへ笛の音が響き、そこにいるハドラー、ミストバーン、そして現在ハドラーの護衛についているアクデンとカラスがそちらを見る。
「この笛の音は…!」
ハドラーは知っている。この笛の音が誰なのかを。
「グッイブニング〜!魔王軍の皆さん。」
死神と呼ばれるキルバーンが姿を表した…
「「「…」」」
『…』
しかし、ミストバーンはともかくハドラー達もキルバーンの登場に黙りこんでいた。
「どうしたの?そんなに固まっちゃって?」
キルバーンの登場により空気は固まる。しかも全員その理由は…
「仮面を見ろ。仮面を…」
ハドラーが必死に笑いを堪えたような声でそう指摘するとキルバーンは首を傾げる…
「仮面?これは僕のお気に入りなんだけどなんか変?」
「だったら…なぜ落書きされているのだ?」
ハドラーが鏡をキルバーンに渡すと…
「なんだこれは!?」
そうキルバーンの仮面に思いっきり落書きが描かれて会ったからだ。しかもその落書きのせいでひょうきんみたくなっていた。
「…もう我慢できません…!」
「我慢だ、カラス!笑ったら死ぬぞ!」
『キル…!私はもう限界だ!』
「…」
カラス、アクデン、ミストバーン、そしてハドラーが
「「「だははははっ!」」」
『フハハハハハ!』
一斉に笑い、某年末番組なら全員OUTである。
「…殺すよ?」
キルバーンはそう言って殺気を出す。しかし笑いは止まらない。
「…ちょっと酷いよね!キルバーンが仮面の落書きに気がつかなかったくらいでさ!」
ここでキルバーンの使い魔ピロロがそう発言するが…無駄だった。ここで、キルバーンはもし笑った連中が敵になったときは容赦はしないでいぶり殺すことに決めた。
『キル、だったらその仮面を変えてこい…その仮面のせいで私達は笑っているのだ。』
ミストバーンの言うとおりである。キルバーンが落書きされた仮面を被ったままだと、全員が笑い死ぬのは時間の問題だ。
「くくくっ…確かにその通りですね。」
「カラス…笑い声はなるべく抑えろ。でなきゃ、俺たち死ぬぞ…ひひひ…」
この二人の声はキルバーンには幸いにも聞こえず、無事だった。
「ピロロ、替えの仮面あるかい?」
「もちろん!はい、キルバーン!」
そう言ってピロロがキルバーンに仮面を渡す。
「ピロロはいい子だね。おかげで助かったよ。」
キルバーンはすぐに仮面を変えてようやくいつものキルバーンの顔らしくなった。
〜魔界〜
オムド・ロレスを倒した三人は少し休んでいた。
「バラン…そう言えば、カール王国攻略は終わったの?」
ジゼルがそう話題をあげてバランと話す。
「その件については問題ない。もう滅ぼしてきた。」
バラン率いる超竜軍団はモンスターの中でも最強のドラゴン系統で編成されている。そのため魔王軍最強の軍団である。故にフレイザードが滅ぼしたオーザムと同じくらいの騎士団を滅ぼすくらいなら楽勝だ。
「…本当?」
「本当だ。お前は?」
「ダメだった。勇者ダイの心は折っても邪魔が入ってね。そのおかげでフレちゃんは死んじゃったし…」
「ほう…フレイザードは死んで、お前が失敗するほどの相手とは…」
「う〜ん、なんて言えばいいのかな。助っ人として来たのはヒュンケルとクロコダインなんだけど一番邪魔をしたのは別人なのよ。」
「?どういうことだ?」
「簡単に言うとハドラー様がヒュンケルに殺されたから私が敵討ちにヒュンケルを殺そうとしたんだけど…」
「だけどなんだ?」
「ミストバーンがヒュンケルを庇ったのよ。」
「ミストバーンはヒュンケルの闇の師だろう。それくらいは不思議ではあるまい。」
「なんとも言えないけどミストバーンはそんな感じじゃ無いわ…」
「なるほど…」
ジゼルとバランが話しを終えると何かが見えてきた。
「ん?なんか近づいてきますよ。ジゼル様、バラン様。」
ベンは一番早く気づき、それを報告する。その正体は魔王軍の中では下っ端の魔物ミニデーモンだった。
「ジゼル様、バラン様、ベン様。ただいま悪魔の目玉より伝令に参りました。」
「どうしたの?」
「ジゼル様はご存知かも知れませんがフレイザード様は死んだとのことです。それとバーン様が皆様をお呼びです。」
「わかったわ。それじゃみんな私に掴まって…ルーラ!」
ジゼル達は鬼岩城へと移動した。
バラン編まであと少しです。
しかし…色々な二次創作の作者様の影響で他の小説もやりたくなる…