魔軍司令親衛隊隊長の恋愛!   作:ディア

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今回のは独自解釈、オリジナル要素満載です!注意してください!


親衛隊隊長、古代最強兵器に挑む

 ~魔界~

 

 ダイ達がフレイザードと戦って勝利の宴をやっている一方、魔界にて

 

 

 

「先手必勝! ジゴスパーク!」

 

 ジゼルがいきなりジゴスパークを出して、オムド・ロレスに速攻した。

 

「れんごく斬り、ばくれつ斬り!」

 

 今度はベンがハドラー以上の炎を自分の武器にまとわせてオムド・ロレスに斬りつける。さらにベンはお得意の2回行動で今度はイオ系の魔法剣を使い……ひたすらに斬る。

 

「(おかしい。魔界の神と言われるバーン様がこんな遅い兵器を求めるはずが無い。となれば一撃一撃が余程強力なの?)」

 

 ジゼルはオムド・ロレスが的になっていることに不審に思い、警戒した。

 

「ジゼル様! もっとオムドを攻撃しないと!!」

 

 ベンがジゼルを叱り、ジゼルに攻撃するように呼びかける。

 

「ごめん!」

 

 ジゼルは息を吸って……ブレスの準備をした。

 

「しゃくねつ!」

 

 ジゼルはクロコダインよりもはるかに大きい炎のブレスを吐いてオムド・ロレスに攻撃した。

 

 

 

「やはり、伝説は古びたものでしか無いのか」

 

 ベンが飛び掛かりオムド・ロレスに攻撃が当たる寸前……二人に突然、大きな違和感を感じた。

 

「リバース」

 

 リバースとは周りにいる者と自分の素早さを逆転させる呪文だ……オムド・ロレスは攻撃しなかったのではなく、あまりにも図体がデカすぎるが故に素早さが失われ、攻撃出来なかったのだ。それが逆転した今どうなるかは想像出来る。

 

 

 

「ぐっ! どういうことだ、身体が重い!!」

 

「今まで攻撃出来なかったのがこういうこと?!」

 

 結果ジゼル達は究極的に遅くなり、オムド・ロレスは逆に理不尽とも言える程に速くなった。

 

 

 

「火炎竜」

 

 

 

 オムド・ロレスの攻撃は終わらない。火の竜がジゼル達を襲い、焼き尽くす。

 

 ジゼルはなんとか歴戦の戦いによる経験で耐える。しかし一名はそうもいかなかった。

 

「ぐぁぁーっ!!」

 

 ベンはそれに耐えきれず、気絶してしまった。気絶で済んだのは劣化しているとはいえハドラーと同じく炎や爆発に耐性を持っているが故だろう。これが他のジゼルの部下のメンバーだったら死んでいる。

 

 

 

「ベホマ!」

 

 ジゼルはベホマで自分の体力を回復させて、受け流しの構えをとった。

 

 

 

「ルカニ」

 

 しかしオムド・ロレスは古代の補助呪文である、守備力下降呪文ルカニを使い、ジゼルの守備力を下げた。

 

 

 

「しまった!!」

 

 

 

 ジゼルは補助呪文についてはバランから聞いていたがまさかこんな場面で使われるとは予測していなかったのだ。

 

 

 

「シネ!」

 

 オムド・ロレスは自分の身体からトゲトゲしい歯車を出し、ジゼルに襲いかかる。そして痛みを耐えるためにジゼルは目をつぶり、防御をした。

 

「?」

 

 

 

 しかしいつまでたっても痛みが来ず、目を開けると……一人の男が剣を構えて立っていた。

 

「やれやれ、やはりここにいたかジゼル」

 

「まさか、貴方に助けられるとはね」

 

 その男はかつて雷竜ボリクスに勝利したヴェルザーを封印した男である。

 

「お前に昔、世話になった礼だ」

 

 その男はカイゼル髭を生やし、竜を象徴するアクセサリーを身につけている。そして今代の竜の騎士であり、魔王軍超竜軍団長でもある。その男の名前は──

 

「バラン……ありがとう」

 

 最強の竜の騎士、バランだ。

 

 

 

「でもなんでここがわかったの?」

 

「古代の最強兵器を蘇らせると聞いたものでな。竜の騎士の記憶を頼りにして来てみれば見事に当たったものだ」

 

「なるほどね。話は変わるけどあの兵器はそんなにヤバイの?」

 

「ああ、だが倒せない訳ではない。お前と──」

 

 バランは竜の牙と呼ばれるアクセサリーを外し、握りしめる。するとバランの手から赤い血が流れ出てきた。

 

「私の最強形態を持ってすれば、いかなる兵器も太刀打ちできん!」

 

 バランの手の血が人間の血の色である赤から魔族の血の色である青へと変わり、更には髪の毛が逆立ち、バランの着ていた服が破れ、竜の鱗らしきものが胸、腹以外のところに浮き出てくると竜のような翼が生えた。これが竜の騎士の最強形態──竜魔人だ。

 

 

 

「それが竜の騎士の最強形態」

 

「私がこの姿になると理性を失う。故に滅多なことでは出さないが、状況が状況だ」

 

 

 

 バランは部下のやることになると慎重になるが自分のやることとなると相手を過小評価する傾向が見られる。ジゼルはそのことを知っておりそれがバランの弱点でもあると気づいていた。だがオムド・ロレスはその過小評価した状態でそこまで言わしめるほどの強敵だと認めた。

 

 

 

「バランにそこまで言わしめるほどの相手なら、私もやるしかない!」

 

 ジゼルは息を吸って、とある技の準備をした。

 

 

 

 話は逸れるがマトリフが生み出したメドローアはハドラーを倒す際にその技をなんとか魔法で再現できないかとマトリフによって生み出された技である。

 

 簡単に言えばジゼルが出そうとしている技はメドローアのモデルとなった技、オーロラブレスだ。

 

 

 

 メドローアは火と氷を互いに合わせて全てを滅ぼす呪文。しかし魔法であるが故の弱点──マホカンタや魔力を吸収するものには無効などの弱点もあり、範囲も限られる。

 

 

 

 ところがオーロラブレスはブレス系の技なので魔力もなければ吸収されることもなく、更には範囲もメドローアよりも広い。だが当然ながら弱点もある。それは致命的なまでに時間がかかることだ。

 

 メドローアは手で火と氷を操り放つ技なので簡単に出来るがオーロラブレスは口と肺で火と氷を操り放つ技、それはかなり時間のかかることだ。

 

 

 

 サクランボの枝結びで言うならメドローアは手でサクランボの枝を結ぶがオーロラブレスは口でサクランボの枝を結ぶと思ってくれればいい。

 

 

 

 一部の例外を除き大半の者は手でサクランボの枝を結ぶ方が良いと言うだろう。また口でサクランボの枝を結ぶことはとても難しいと答えるだろう。

 

 つまり、オーロラブレスの弱点はそういうことだ。

 

 

 

「バラン! 時間稼ぎお願い!」

 

 すぐさまジゼルは時間を稼くようにバランに頼んだ。

 

「了解した」

 

 バランはジゼルが何か大技をやることを期待したのか、それを承諾し真魔剛竜剣を抜いてオムド・ロレスに斬りかかる。

 

 

 

「オノレ! 邪魔ヲスルナ!」

 

 オムド・ロレスは氷ブレス系最強の輝く息を吐きバランを凍らせようとする。その息の威力はバランの部下であるボラホーンとは比べものにはならない。

 

「はあっ!」

 

 冥竜王ヴェルザーを封印したことのあるバランはそれが危険と感じて、すぐさまジゼルを守るために竜の騎士のみが扱える竜闘気(ドラゴニックオーラ)を縦横に広げ守った。

 

 

 

「コザカシイ!」

 

 オムド・ロレスは先ほどジゼルを襲った歯車で竜闘気が薄くなったバランを襲う。

 

「むっ!」

 

 バランは歯車を手で掴み、全力で歯車をオムド・ロレスの方向へと投げ返す。

 

「グォッ!」

 

 オムド・ロレスはバランの攻撃に耐えずにうろたえる。

 

「喰らうがいい! 大陸をも一撃で吹き飛ばすこの呪文を!」

 

 バランは両腕を前に突き出し、手を竜の形に変える。

 

「ドルオーラ!」

 

 バランの最後の切り札、ドルオーラが炸裂した。

 

 

 

「効イタゾ、今ノハ……」

 

 しかしオムド・ロレスは少し凹んだ程度でほとんど無事であり、ダメージもなかった。

 

「ば、バカな!? ヴェルザーですらドルオーラを受けて無事ではいられなかったのだぞ!!」

 

 ヴェルザーとの戦闘でドルオーラを使い勝利したとも言っていいほどドルオーラは強力だ。だがオムド・ロレスにはそれが無効だった。

 

「下ラン……ソンナ奴ト比較スルナ! 我ガ名ハ、オムド・ロレス。我ハ人間ガ使ワシタ最強ノ兵器! 故ニ、ソンナ大陸如キヲ破壊スル程度ノ攻撃デハ効カン!」

 

「ならばもう一度だ!! ドルオーラ!!!」

 

 バランの最後の切り札が再び放たれるが……結果はほとんど同じだった。

 

「ヤハリ……ソノ程度ノ物カ……デハコチラノ番ダ!」

 

 

 

 ここでバランが使えるドルオーラの量は3回である。その理由は竜闘気に関係する。ドルオーラは魔力を使っているため呪文に分類されるが主に竜闘気を使っているので竜闘気の消費が早いのだ。だがそのお陰でマホカンタで反射されることもなければ竜闘気で有るが故に吸収されることもない。

 

 

 

 だがドルオーラの欠点は竜闘気の消費が激しいことだ。

 

 バランは歴代の竜の騎士の中でも竜闘気の量は多い方なので3回で済むが竜闘気の少ない竜の騎士だと1回も使えない……などということもあり得る。

 

 

 

 しかしだ。バランはオムド・ロレスにドルオーラを2回放ったことで少なくとも全体の竜闘気の半分以上は消費していることになる。つまり先程の様に竜闘気を拡張させて守るのは難しいということだ。

 

 

 

「コレデ終ワリダ!」

 

 オムド・ロレスはジゼルに向かい、歯車を出して放った……

 

「させん!!」

 

 バランは歯車を掴もうとするが間に合わず……そのまま歯車がジゼルへと向かった。

 

「ルーラ!」

 

 バランはジゼルのところまでルーラで行き、文字通り身を犠牲にしてジゼルを守った。

 

 結果……バランはドルオーラで使った竜闘気の消費のせいか、防御用の竜闘気の量が足らずに歯車はバランを貫いていた。

 

「がはっ!! ぐぅ……!」

 

 バランは幸いにも心臓を貫かれておらず命には別状はなかったが重傷だ。

 

 

 

「サテ……汝達ノ力ヲ吸収サセテ貰オウ!」

 

 オムド・ロレスがそう言うと、オムド・ロレスの火の炎と氷の炎の二つの炎が激しく燃え上がった。オムド・ロレスは何をしようとしているのか? それは──

 

「滅ビノ矢!」

 

 名前こそ違うがマトリフの切り札であるメドローアだ。

 

 

 

 マトリフのメドローアはオーロラブレスを参考にして作ったものだがオムド・ロレスのメドローアは古代の人間が『僕の考えた最強魔法』みたいな感じで作られたものである。しかし余りにもそれが古すぎるためにメドローアの資料がなく、マトリフは参考にするものがオーロラブレスとなった訳だ。

 

 

 

 マトリフは滅びの矢をメラとヒャドを合わせた矢(アロー)と言う意味でメドローアという名前をつけた。

 

 

 

「もはや、これまでか!」

 

 バランが諦めの声を出し万事休すとなった。

 

「バラン、時間稼ぎご苦労様。あとは任せて」

 

 そこへジゼルが声をかけて一歩前に出る。

 

「終わったのか? だがあれには太刀打ちできん」

 

 バランがそういうがジゼルは無視して口を開き──

 

「オーロラブレス!」

 

 メドローアと同じ特徴のブレスがメドローアを消し去り、オムド・ロレスを襲った……

 

「グォォォーッ!!」

 

 オムド・ロレスは全身がボロボロとなり後一撃で崩壊するだろう……

 

「はぁっ、はぁっ……!」

 

 だがジゼルは先程放ったオーロラブレスでスタミナ切れとなり動けない。バランも同じく竜闘気をほとんど失い動けなくなっていた。これではせっかくのチャンスを無駄にする──と思われた。しかし嬉しい誤算があった。

 

 

 

「はあぁぁっ!」

 

 先程まで気絶していたベンが起きており、オムド・ロレスにトドメを刺した。

 

 

 

 するとオムド・ロレスは歯車を落とし、次に天秤を落とし……オムド・ロレスの身体が次々と崩壊していった。

 

 

 

「なんとか勝ったな……」

 

 バランが声を嬉しそうにしてジゼルに話しかける。

 

「ええ……!」

 

 ジゼルも同じく嬉しそうな声を上げて同調する。

 

「俺たちの勝利だ!!」

 

 ベンが勝利宣言をした。

 

 

 

 こうしてオムド・ロレスを持ち帰ることは出来なかったがジゼル達はオムド・ロレスに勝って終わった。




今回はジゼルだけじゃ荷が重すぎるかと思い、バランにも共闘させていただきました。
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