魔軍司令親衛隊隊長の恋愛!   作:ディア

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今回はジゼルの出番はありません!
次回で思い切り出しますので期待していて下さい!


勇者一行、勝利する

~バルジ塔~

「ヒュンケルは裏切り者だってのに何故やらせない!」

フレイザードが大きな声でミストバーンに意見を言う…何しろ自分の嫌いな相手を殺せると思った矢先に止められてしまい、そうしざるを得なかったからだ。

 

『…フレイザード。』

ミストバーンがフレイザードの名前を呼ぶ。

「ああ?なんだ?」

『新たな力は欲しくないか?』

「さっきまでの俺なら欲しがったかもしれねえが今の俺には必要ねえ!帰れ!」

 

フレイザードはあのままだったら絶対に死んでおり助けを求めたかもしれないが、身体を持っている今はそんな必要はない。

 

何故ならフレイザードは出世欲の塊である。だから一人で勇者ダイ達を仕留める必要があるのだ。ミストバーンなど余計な援護なしでだ…その方がバーンに強いと思われるし、認められ出世出来るからだ。

 

『…』

ミストバーンは残念そうな顔をして鎧を出した。それは魔影軍団が誇る最強の鎧である。しかし、その鎧の中身は空であり何も入っていない状態だ。そこにミストバーンはフレイザードを入れた。

 

すると鎧が動きだし…爆弾岩のような目が鎧から見えた。フレイザードの目である。フレイザードが鎧の中に入った証拠だ。

「がぁぁぁーっ!!」

フレイザードは理性を失い、大暴れ。その理由はミストバーンがフレイザードの了承なしに鎧の中に入れたからだ。フレイザードはミストバーンを殺そうと思うが誰が誰だかわからない。それにフレイザードは炎のような凶暴性を持っている。氷のような冷静さがない以上ただのバーサーカーである。

 

「なんじゃ、こいつは!?」

運悪く崖から上がってきたバダックとゴメちゃんが来てしまいフレイザードはそっちへと目を向けた。

そしてそのバーサーカーの攻撃がバダックのところに迫る…

「させん!」

復活したクロコダインがバダックを庇い、フレイザードの拳を受け止める。それは間違いではない。ジゼルにこそ負けるがクロコダインはザボエラをゴルフボールのように扱えるような怪力を持っている…

「なんだと…!?」

しかし現実はクロコダインがフレイザードに押されており、そしてフレイザードはそのままクロコダインを押した…

結果、クロコダインと後ろにいたバダック達は崖ごと落ちてしまい戦線離脱となった。

 

「くそったれ!一か八かだ!」

ポップはさっきのフレイザードにヒャダルコが効かなかったことからヤケになり、とある呪文を唱えた。

「マヒャド!!」

ポップがヒャド系最強呪文マヒャドを覚え、それを放った。これでポップはこの戦いで二つの呪文を覚えたことになる。これがさっきのフレイザードなら間違いなく死んでいたが…

「効かねえのかよ!?」

ポップが思わず冷静にツッコミを入れて、硬直してしまう。当然ながらフレイザードはそのまま突進してポップを弾き飛ばす。これでポップ戦線離脱である。

 

「ブラッディースクライド!」

今度はヒュンケルがフレイザードに挑む。ヒュンケルは、ブラッディースクライドは貫通の威力のみならアバンストラッシュ以上と言っていたがそんなことは無い。せいぜいアバンストラッシュくらいのものである。

「何っ…!?俺のブラッディースクライドがほとんど効かないだと…?!」

フレイザードにはほとんど効かずにかすり傷程度のものだった。

ヒュンケルはブラッディースクライドを放った直後なので動けない…当然フレイザードはそこを見逃すはずも無く…体当たりをした。

「ぐぁっ!」

ヒュンケルは吹っ飛び…バルジ塔に当たりヒュンケルの鎧が砕けた。これでポップのマヒャドが効かなかったのも頷ける。つまりフレイザードの鎧はヒュンケルの鎧と同じ素材で出来ており魔法を通さない。

それはともかく、ヒュンケルは気絶してしまい戦線離脱した。

 

「ごおおおーっ!!」

フレイザードは気絶したヒュンケルに襲いかかり、拳で殴ろうとするが…

「待て、フレイザード!俺が相手だ!」

ダイがフレイザードを止めてヒュンケルを助ける。

「うう…ゔぁーっ!」

 

フレイザードが突進し、ダイを倒そうとする…

「アバンストラッシュ!」

ダイは目を開き、額に竜の紋章をだし、自分の切り札を出した…

結果、フレイザードは鎧もろともバラバラになり死亡した。

 

『素晴らしい…』

その強さにミストバーンが褒め称え、ミストバーンは立ち去った…

「あれが本当のアバンストラッシュかよ…」

ポップがアバンストラッシュの威力に思わずそう言う。ポップはアバンストラッシュの全開を見ていない…ダイのアバンストラッシュがアバンのアバンストラッシュと同じだと認識した。

「あれは師のアバンのアバンストラッシュと同じ…いやそれ以上だろう。」

しかし、ヒュンケルの言葉はそれを上回ると言い、ポップの顔は少し赤くなった。

「それよりレオナを助けないと!」

ダイのセリフで全員がバルジ塔に入る…前に

「…哀れな奴だったよな、フレイザードも。ミストバーンの介入がなければ俺たちに勝っていたかもしれないし、墓でも作ってやるか?」

ポップがそう言い、立ち止まるが…

「必要ない…あれがフレイザードの墓だ。」

ヒュンケルが指をさしたのは先ほどフレイザードが捨てた暴魔のメダルだ。そしてヒュンケルはそのままバルジ塔の最上部へと向かった。

「…それもそうか。」

ポップも同意し、ヒュンケルと同じく最上部へと向かった。

 

〜最上部〜

そこにはレオナが氷漬けにされている姿があった。それを溶かそうとポップがベギラマやメラゾーマなどを放ち、またマァムの魔弾丸に入っている魔法を使っても全く溶ける気配を見せない…

「これでベギラマが入った魔弾丸は最後…ポップ!ここにベギラマを入れて!」

マァムはここにおいて覚悟を決めた。それは…

「ば、バカ!そんなことしたら…魔弾丸が壊れちまうだろうがよ!!」

 

一つの物に二つ物を入れると壊れる。当然である。魔弾丸も然り…ベギラマが入っているところにベギラマを入れたら威力こそ高くなるが、壊れることは確実だ。

 

「何を言うんじゃ!レオナ姫のためならそんな道具を犠牲にしてでもやるべきじゃろうが!!」

ここで事情を知らないバダックが横槍を入れてレオナを早く助けるように促す…

「そんな道具だと?この魔弾丸はな、アバン先生が残してくれた遺産なんだよ!!」

ポップはバダックの言ったことに怒り、事情を説明する。そう…マァムの覚悟とは、アバンの残した遺産を壊してレオナを救出することだ。

「むう…すまん」

レオナ姫に忠誠があるバダックと言え、自分の失言に謝る。

「ポップ!それよりも早くベギラマを入れて!」

「いいのか?」

「アバン先生なら人を助けることによって道具を壊したところで何も言わないわよ…」

「わかった…!」

ポップがそう言って魔弾丸を持つ…そしてベギラマを放とうとするが…

「ベギラ…?あれ?」

ポップが突然へたり込み、腰を抜かしたかのように動けなくなってしまった…

「どうしたの?!」

マァムが心配して駆け寄るが…ポップの顔は申し訳なさそうな顔になっていた…

「すまない…どうやら魔力切れだ。」

ポップはこの戦いにおいてベギラマ数発に、ヒャダルコ数発、マヒャドを唱えたのだ。これで人間で魔力切れにならないのは超がつく一流の魔法使いと言えるだろう。

「じゃあ、もう…!!」

「ああ…もう姫さんを助けられねえ…どんなに頑張っても魔法使いが魔力切れじゃあ意味がねえからな。」

ポップはそう言って寝っ転がった。

 

「俺がやる!」

その声は…意外な者だった。魔法が苦手でメラも手で打たないとまともに出来なかった勇者…ダイだ。

「けどよ、大丈夫なのか?」

ポップがそう聞く…ダイは竜の紋章無しでは魔法がろくに使えないからだ。

「俺は大丈夫!だからマァム貸して!」

「わかったわ!ポップが(魔法を)使えない以上はダイに賭けるわ!」

マァムが『魔法を』を抜かしたことでポップは少し拗ねていたがそれは余談である。

 

「はぁぁぁ…!」

ダイは額に竜の紋章を出して本当の力を出す。

「ダイ…その紋章、自力で出せるようになったのか?!」

ダイはこれまで、ピンチの時にしか竜の紋章を出せなかったが先ほどのフレイザードとの戦い…そしてジゼルとの戦いで竜の紋章を自在に出せるようになったのだ。

 

「あれは…!?」

ヒュンケルが驚きの顔をする…ダイの闘気が増えていたからだ。ヒュンケルはハドラー戦で出したグランドクルスのおかげで闘気を敏感に感じ取れるようになっていた。

「あれがダイの不思議な力だ。」

クロコダインはダイと戦った時に素手で斧を掴まれ飛ばされたことがある。そしてアバンストラッシュの時も竜の紋章を出していたのでクロコダインの腹が真っ二つに割れたのもその力だと判断した。

「なるほど…」

ヒュンケルは納得し、ダイのことについて前例がないか調べることに決めた。

 

「ベギラマーっ!!」

ダイは魔弾丸にベギラマを込めて、マァムに渡す。

「みんな離れて!」

マァムはレオナに当たるように魔弾丸を向ける…そして引き金を引くと…

 

バンッ!!ベリベリッ…!

 

やはりと言うべきか魔弾丸は壊れてしまい、先の部分が花のように乱れ、一部は剥がれていた…だが撃つことには成功し、ベギラマの入った弾は氷漬けのレオナに当たった。

「(ありがとう…魔弾丸。レオナ姫を助けてくれて。ゆっくり休んでね。)」

マァムがそんな事を思っているとレオナの氷が溶けて、レオナをダイが受け止めた…

 

「生きている…!生きているぞ!」

ダイはレオナの心臓の音を感じ、生きていることを報告した。

 

とは言ってもレオナはほとんどギリギリの状態であと少し遅かったら間に合わなかったのは事実だ。

 

「「「「やった〜!!」」」」

それに全員が喜び、パプニカの城跡で宴会を開くことになった…




バタフライ効果でポップがマヒャドを覚えました!

それよりもジゼルを今回出さなかったのはきちんとした理由があります。
それはオムド・ロレス戦をしっかり書きたかったからですね。
バラバラに視点を変えると見づらいと思い、今回ジゼルの出番をなくしました。
その分次回はジゼルの出番はありますが、ダイ達の出番がありませんのでご了承してください。

それにしても、合わないって理由で評価0つけられたのはちょっとショックだったな…ですがそれでも評価平均7点オーバーなんて夢のようですよ!

これからもこの作品をよろしくお願いします!

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