フレイザードは弾丸発火散を放ち、ダイ達を(恐ろしいまでに地味だが)追い詰めていた。
クロコダインはジゼル戦の負ったダメージが大きくすぐにダウン。
ポップはフレイザードの炎の岩を凍らせようとしてヒャダルコを撃ったが氷の岩に阻まれ、逆に自分が氷漬けに…
マァムは頭に巨大な氷の岩が当たり気絶。残ったのは不死身の男ヒュンケル、そして勇者ダイだ。
この場においてフレイザードを敗北させる方法は一つだけある…それは
「ダイ!フレイザードは禁呪法によって生まれた生物だ。フレイザードの岩の一つに心臓の代わりとなっている核を探せ!」
フレイザードの心臓とも言える核を壊すことだ。
「そんなこと言ったって…!」
そんなことを言われても核を探そうにもダイには見つけ方が分からない。
「ダイ、アバンストラッシュは何を斬る?!」
ヒュンケルがダイにアバンストラッシュの極意を思い出させる…そこにヒントがあるからだ。
「アバンストラッシュ…大地を斬り、海を斬り、そして空を斬る…そうか!」
ダイはそれを理解し、喜ぶ。
「何をごちゃごちゃと…!ヒュンケル、まずはてめえからだ!」
フレイザードの炎と氷の岩がヒュンケルの顔に襲い掛かり、ヒュンケルは倒れた。
「がはっ!」
そしてヒュンケルは意識を失った。
「ヒュンケル!」
ダイはヒュンケルの元に駆け寄るが…
「おっと!やらせるかよ!」
フレイザードの岩がダイに襲いかかり、ダイを攻撃する。
「くそっ…!」
ダイはあの時を思い出す…かつてフレイザードに負けたことを、ジゼルと戦い敗北寸前で見逃されたこと、そして空烈斬の修行をしたことも…
「くらえーっ!空烈斬!」
ダイが空烈斬を放ち、フレイザードに攻撃する…
「何をやっているんだ?そんなチンケな技で俺を倒そうなんざ甘いんだよ!」
しかし、フレイザードの核には当たらずフレイザードは無事だった。
「まあ、この俺の弾丸発火散相手によく戦ったもんだぜ…せめて冥土の土産には俺の得意技で仕留めてやるよ!」
フレイザードがそう言うと、五つある指から一つずつメラゾーマを放つフィンガーフレアボムズの構えをした。
「これでジ・エンドだーっ!」
そしてフレイザードの得意技のフィンガーフレアボムズが放たれ…なかった。代わりにフレイザードの指がボロボロと崩れていき、今にも身体全体にそれが行き渡りそうだ。
「げぇ…!?まさか、俺の核にさっきの技がかすったのか!?」
フレイザードの推測は正しく、フレイザード核はダイの空烈斬にかすり僅かにフレイザードに影響を及ぼしていた。
「ならもう一度だ!覚悟しろ!フレイザード!空烈斬!」
「…かぁっ!」
フレイザードは再びバラバラになり、ダイを襲う…
~魔界~
その頃…ジゼルはというと…大魔王バーンの命令で、ある兵器を探しにきていた。
「ん?フレちゃんの核がちょっと削られた?」
ジゼルはダイの空烈斬によってフレイザードの核が少し削られたことを感じ取りそう言った。
「フレイザードを、フレちゃんと呼ぶとは…フレイザードとは一体何の関係ですか?」
ベリアルBこと、ベンが疑問に思いそう口に出す。
ちなみに、ベンの実力は相当高くバーン曰く
「もしジゼルがいなければ魔軍司令親衛隊の隊長は当然、クロコダインがいた頃の百獣魔団、サボエラ率いる妖魔師団の二つを合併纏めて総括することができる大将としても兵士としても強者よ」
らしく、魔王軍でも有数の実力者である。
「ん~…親子かな?」
正確にはフレイザードはジゼルとハドラーとの禁呪法で生まれたので親子とは言えない…だがある意味親子であるとも言える。
「フレイザードとジゼル様が親子!?」
「ええ…ハドラー様と共に禁呪法でフレちゃんを作ったのよ…」
「ああ、なんだそんなことですか…てっきり、ジゼル様が腹を痛めて産んだのかと…」
「流石にそれは無理よ…」
まあ、フレイザードの半身は炎、もう半身は氷なのでそんな生物を産まそうとしたら確実にタダではすまない。
「それはそうとバーン様から何を頼まれたんですか?」
「ちょっとした兵器を持って帰ってこいって…」
「どんな奴ですか?」
「オム…オムライス?違うわね。でも確か天秤みたいな形をとっている兵器だって言っていたはずなんだけど…」
それを聞いてベンは顔を真っ青にした。
「…さてと。」
そしてベンは翼を広げて逃げようとするが…
「さてと、じゃないでしょうが!何か知っているならさっさと教えなさい!」
ジゼルのグーがベンに襲い掛かり、何発もベンはくらう。
「痛いですから!ジゼル様、やめてください!」
ベンは必死にジゼルにグーで殴るのをやめさせるように求める。
「だったら教えなさい!」
ジゼルの目が三角になり、ベンを脅した…
「わかりました!教えます!」
ベンは僅かな希望を見て、素直に白状することになった…
「それで?」
ジゼルはベンを正座させて、尋問を行っていた。
「はい…バーン様が仰っていたのはオムド・ロレスのことです。」
オムド・ロレスを、ジゼルはキラーマジンガのような一撃で倒れる兵器なので大したことはないだろうと思い名前を覚えずにいた。
「オムド・ロレス?」
ジゼルはその名前を聞いて首を傾げる。ジゼルはそんな名前を聞いたことはないからだ。
「ジゼル様…少し話を脱線させますがいいでしょうか?」
ここでベンが詳しい解説をしようとジゼルに申し出る。
「ん?別にいいけど?」
「ありがとうございます。ジゼル様、人間は何故魔族、竜と並ぶ種族だと知っていますか?」
「竜の騎士が人間の味方をしているからじゃないの?」
確かに竜の騎士は最強の兵士だが、所詮生き物。生きる期間が魔族や竜に比べると短い。だが…それだけの実力を今代の竜の騎士バランは持っている。バランは今までの竜の騎士の戦闘経験を持っており、歴代でも最強クラスの強さを持っている。
「いえ…違います。人間はとある兵器によって魔族と竜と肩を並べる存在となりました。」
しかし、ジゼルの予想は外れ、人間が魔族や竜と肩を並べる要因は竜の騎士ではなかった。
「それが…オムド・ロレスだと言いたいの?」
「ええ…オムド・ロレスは人間が作り出した最強兵器。その兵器の凄まじさと言ったら…とんでもないもので。」
「具体的には?」
「全盛期の闘神レオソードに土をつけたほどです…」
「闘神レオソードって御伽話に出てくるあのレオソードよね?」
魔界でレオソードと聞いたら、子供でも知っていると答えるほどの知名度の高さを持っている最強の戦士だ。
「はい。ですから…」
「面白いじゃない…」
ジゼルは燃えていた。マトリフに油断していたとはいえ負けて、ダイ戦では、ダイを捕まえるために手加減をしなければならなかった。
そのためジゼルの鬱憤を晴らすためにもオムド・ロレスのような全力を尽くし、戦える相手が欲しかった。
バーンとも戦いたかったが上司である為反逆罪になって魔王軍を首にされハドラーとも繋がりが無くなるので却下。
ヴェルザーに挑もうとしても刺客ばかり送って来るので一対一の勝負は無理。
ジゼルはベンの話を聞いて興奮し、逆に話したベンは憂鬱になり、オムド・ロレス探しを再開した。
~バルジ塔~
ダイは苦戦していた。フレイザードの核に空烈斬が当たらずに、逆にフレイザードの攻撃がダイの体力を削りダイが倒れるのも時間の問題だった。
「なんでだ!?なんで当たらないんだ!!」
ダイはフレイザードの核に当たらないことでイライラしてそんな暴言を吐く。
「ダイ!」
いつの間にかヒュンケルが目覚めたのか、ヒュンケルがダイを呼んだ。
そしてダイがヒュンケルの方へ振り向くと、ヒュンケルは自分の血をダイの目に入れた。結果…ダイの目は見えなくなり視界が閉ざされた。
「なにするんだ!」
ダイは怒る。無理もない…大事な戦いだというのに目を潰されてしまっては勝てるものも勝てないからだ。
「空烈斬は心の目で見て斬る技だ!なまじ見えてしまうからダメなんだ!」
その言葉を聞いてダイはハッとする。
「なまじ見えてしまうからフレイザードの核が見えない…ならば心の目で見ればいい!」
ダイは空烈斬の構えをとって、そして空烈斬は完成した。
「死ねーっ!」
フレイザードが襲い掛かるが関係ない。フレイザードの核が見える…フレイザードを倒すにはそこを斬ればいいからだ。
「これが本当の空烈斬だ!」
結果…フレイザードは元の身体に戻ると…
「へっ、やっぱり失敗だったようだな…げぇ!?俺の核が!!」
大成功だった。フレイザードの核は真っ二つに切れ、フレイザードは炎と氷の二つも持つ身体を維持できなくなるだろう…
「やべえ!身体が維持できなくなってきやがった…!このままじゃ死んでしまう…!!」
フレイザードは炎の身体と氷の身体を分けて自分の寿命を僅かに伸ばした。
「ベギラマ!」
しかしポップが復活しており、ベギラマで氷の半身を燃やしてしまいフレイザードは炎の身体のみとなった。これでフレイザードの寿命は決まったようなものだ。
「さて…こいつをどうしてくれる?」
ポップがヒュンケルにフレイザードの処刑方法…もとい、どんなふうにトドメを刺すか聞いた。
「もちろん…二度と復元出来ないほどバラバラにしてくれる!」
その言葉を聞いてフレイザードは青ざめる…弾丸発火散は核がないと出来ない。避けようとしても左半身のみしかないなので避けることは不可能。よって…打つ手なし。
しかしフレイザードはまだ諦めていなかった…
「(…俺を生んでくれたのは誰だ?…お袋だ!俺はジゼルの息子だ!)俺はここで負けるわけにはいかないんだよ!!」
フレイザードがそう言うと激しく燃え上がり、フレイザードの火が身体を溶かした。
「何っ!?」
予想外のことにヒュンケルは驚く…普通ならあそこで諦めるものだがフレイザードは自分の殻を破り、初めて成長したのだ。
「ヒャダルコ!」
ポップが咄嗟に放ったヒャダルコがフレイザードを襲う…それはなんらおかしいことでもなんでもない…だが
ジュー…!
文字通り焼け石に水だった。
「俺のヒャダルコがフレイザードの熱にやられた!?」
「死ね、ヒュンケル!」
フレイザードが最初に狙った相手はヒュンケルだった。フレイザードのマグマがヒュンケルを襲い掛かろうとしたとき…フレイザードは自分の身体が浮くのを感じた…
「なっ…!?てめえ…ヒュンケルを倒せるってのになんで、妨害しやがった!」
フレイザードは知っている…自分の身体を浮かした犯人を。
『…』
しかし当の本人は無視。
「あと一歩でヒュンケルを倒せるとこだったんだ!邪魔するんじゃねえ!ミストバーン!」
またもやミストバーンがヒュンケルをかばい、ここに現れた。
~魔界~
「これが…オムド・ロレス…凄い威圧ね。」
ジゼルは珍しく緊張していた。どのくらい緊張していたかというと生徒会長を決める演説を自分が話すくらい緊張していた。
「だからこんな化け物相手をどうやって持って帰るんですか?!」
ベンはジゼルを今だに諦めさせようとするが無駄だった。
「もちろん実力行使よ。」
清々しいまでの笑顔で答えられてしまいベン自身が諦めた。
「真ノ強サトハ何カ?」
そこへ第三者の声が聞こえた。
「どこにいるの!?」
ジゼルは周りを見渡すが、いるのはベンだけだ。
「果テルコトノ無イ欲望ダ……アル人間ハソウ答エ我トヒトツニナッタ……ダガ、セイギト答エタ人間モマタ我トヒトツニナッタ……ミナガ我トヒトツニナッタ……強サイサニ意味ナド不要ダ。」
「…ふざけているのか?」
ベンはオムド・ロレスが自分の作り主である人間をも殺して力を吸収していることに機嫌を悪くした。
「我ガ名ハ、オムド・ロレス…人間ガ使ワシタハカイノ使者。汝モ我トヒトツニナルガイイ…世界ハ、ハカイスルタメニアルノダカラ…!!」
そして、魔界で戦闘が始まった。
ジョーカー2Proよりオムド・ロレス登場!
ちなみにオムド・ロレスは常にマホカンタなんてふざけた効果がありますし厄介ですよね。
作者はオムド・ロレスは、スキルで自動HP回復をつけたメタルキングで地道にコツコツと通常攻撃で倒しました。
50ターン以上かかりましたね…ただひたすらにボタン押すだけでしたからまだよかったんですが…あれは疲れました。